穴なしカーボンリムを使って途中まで組み立てておられた方よりカーボンホイール完成の依頼を受けました。
お送りいただきましたリムは46mm高のリムです。ハブは初めてのブランドでした。ARCブランド、中国の通販で購入とのことです。
ホイールは仮組状態で送られてきました。スポークが通っていますのでどのように組み立てられたのか伺いますとマグネットを使われたとのことです。なかなかのビルダーさんです。
ニップルは14mmのアルミニップル、スポークはピラーの1422で、スポーク長のデータもお送りいただきました。DTの計算ソフトを使われています。
ホイールを組むことができる方なのでハブを計測してスポーク長を出されていました。私も同じソフトで計算していますが入力値が違いました。リムメーカーのデータをそのまま使われていました。お客様の使われた数値は4mm短いERDでした。その結果スポーク長は私の計算と2mm違っていました。
ホイールは仮組状態でお送りいただきましたのでそのまま組めないことはありませんが使われていますのはアルミニップルでした。アルミニップルの場合、短いスポークで長く使われているとニップルの頭が飛ぶ可能性が高いということを申し上げました。
DTの計算ソフトはスポークの伸びも計算の中に入れてスポーク長を算出していますので組み上げて2mm以上伸びることはありません。つまりスポークがニップルの頭までは来ないことになります。これがアルミニップルの弱点です。
実際の状態を確認しました。1個ニップルを外してスポークの長さを見てみますと短いのがよくわかります。この状態でホイールは組み上げることはできますが安全性は担保できていません。お客様にこのことを連絡しました。
一番いいのはスポークを長いスポークに変えること、次善策としてニップルをブラスに替えて強化する、2つを提案しましたところブラスニップルに交換を選ばれました。短いままアルミニップルで組み上げるよりはるかに強化されますので安全度は高まります。
リム、ハブを直接購入してホイールを作ってこられた経験豊かなホビービルダーさんですが今回はプロに任した方がいいと、私のほうに連絡いただきました。全部ばらして再度組み上げましたので工賃と送料代で少し割高になってしまいましたが、ホイールは完成することが出来ました。
このブログ記事をお客様が読まれると気を悪くされるかもしれませんが、ご自分で組みあげられるより安全性を意識したホイールが出来上がったと思います。
今まで500本以上作ってきました。アルミニップルの弱点を知っているつもりでしたがニップルの頭が飛んだと残念ながら5回連絡いただいています。約1%の率ですがこれは0でないといけないと思っています。安全性を考えればアルミニップルを使うときはスポークが頭まで突き抜けないと危険です。このことを十分知っていただきたいです。