バイテックス後輪ハブRAR12を分解しました

先日お客様とお話することがありバイテックスのハブについて尋ねられました。

バイテックスハブはあまり知られていないようですが台湾のハブメーカーとして世界的に有名です。ハブのフリーにはアンチバイトガードがついていることなどお話しました。クリスキングなどの高価なハブではありませんが品質はいいと思います。私はよく使います。

バイスに5mmレンチをセットします。
もう片方にも5mmレンチをセットし、反時計回りに回すとキャップが外れます。
キャップが外れたら10mmレンチで心棒を反時計回りに回す。
キャップが残ります。

ハブベアリングは6902,6802が各2個ずつ使われています。分解には5㎜の6角レンチが2本、10㎜のレンチが1本必要です。

5mmレンチをバイスに挟んでからハブをセットします。もう片方に5mmレンチを差し込んで反時計回りで回しますと簡単にキャップが外れます。10mmレンチで心棒を回せば反対側のキャップを簡単に外せます。

フリーは回しながら引き抜けばすんなり抜くことができます。構造はとてもシンプルにできています。

爪の下にばねがはめ込まれています。ベアリングは6802です。

いつ頃からフリーの爪にばねが仕込まれたのかわかりませんが各爪の下に小さなばねが取り付けてあり爪が立ちやすくなっています。ノバテックのフリーにはこのようなばねがありません。良い工夫と思います。

ノバテックのハブもたくさん使ってきました。今までに一度だけですがノバテックハブでフリーの爪が立たなく空回りをするハブがありました。お客様よりご連絡いただきましてわかりました。グリスが固着していたのが原因です。

グリスを変えて組み直しますと直りましたが、小さいばねを使っているこのバイテックスハブのフリーでは爪が立たなくなるようなことはないですね。いろいろと改良されているので驚いています。

フリーを外したドライブ側です。6902のベアリングが見えます。
キャップを外した非ドライブ側です。10mmレンチで回すようになっています。ベアリングは6802です。

今回の分解ではハブの中を見ただけですが構造は非常に単純です。シンプルなのでトラブルが少ないと考えます。ベアリング交換も簡単にできます。

ベアリングをさわるには少し勇気がいりますがそんなに難しいことではありません。NTNの非接触型に替えればもっと回転も軽くなると思います。

使っていないハブメンテナンスツール

シマノのディスクハブのマニュアル見ますととても分かりやすく解説しています。

シマノ マニュアルより参照

シマノハブは一般ユーザーでもメンテナンス作業ができるように図表を使って説明されています。やる気さえあればできるようになっています。ありがたいことです。

持っているのですが使ったことがない道具が数点ありますがこの6角レンチはこれから使う出番が出てきそうです。

15mm6角レンチ

シマノ純正のTL-FH15は15mmの6角レンチです。ディスクハブには必要です。15mmは使うことがなかったのですがディスクホイールが広まってきていますのでこれからは使う機会も出てくると思っています。

しかしハブフリーを交換するほど使い込むことはなかなかありません。シクロレースに使われることが多いとフリー交換もあるかと思います。いずれにしましても使って見たいです。

この6角レンチはとても高価です。1万円もするという価格ではありませんが単なるレンチとなりますと私には値段が張ります。機械工具メーカーさんのホームページを探して純正の半分の値段の品物を見つけました。機能は同じと思っています。

ディスクハブマニュアルより参照
マニュアルの通りバイスで挟んで使います

シマノハブのマニュアル通りにセットして使うつもりです。シマノのマニュアルはわかりやすいです。一通り目を通しておかれることをお勧めいたします。

ゾンダハブは重かった

ゾンダ後輪ホイール分解の記事を書きました。正直言いましてハブは意外と重かったのです。

以前ゾンダを購入しました時の記事を書きましたがこの時は分解しないで台湾ハブとほぼ同じ重量で計算しましてリム重量を算出しました。ざっくりリムは500g前後だろうという記事ですがリム重量はほぼ合っていました。

ゾンダ 後輪ハブ

驚いたのはハブの重量です。軽量しますと293gと予想外に重かったのです。ノバテック、バイテックスなどの台湾製ハブは

バイテックス 231g

おおよそ230g前後ですのでゾンダハブの重さはびっくりしました。

 

よく使うハブの中で重いハブはシマノハブです。ミケハブもよく使います。シマノハブは360gほどあります。ミケは295gと重量があります。

ミケハブ 295g

シマノハブ 365g

今まで重いハブですがという枕詞付きで説明していましたハブですがなんとなく援護射撃を得た感じがあります。軽いに越したことはありませんが重いハブもいいものです。気にしないで使いましょう。

 

アルミホイールのベンチマークと言われるカンパのゾンダハブは軽いハブではない。つまり中心部の重量は回転には大して影響していないと考えます。もちろん車のばね下理論と同じ考えでホイールが軽いことはいいのでしょうが必ずしも軽いホイールは走るホイールではないということが言えるのではないかと思います。ゾンダのハブは重い。この事実はとてもインパクトあります。

重い前輪ハブ

軽量ハブはよく使っています。台湾製のノバテックA291SBです。20穴がメインでよく使います。重量も60gですのでとても軽くベアリングは699規格です。ベアリング取り換えも簡単にできます。高級ハブではありませんが安かろう悪かろうではありません。品質はとてもいいハブです。

ノバテック A291SB 20h 60g

普段は上記のような軽量ハブに目が行きますが少し重いハブもとても良いところがあります。ホイール総重量は増えますがホイール中心部の重さです。回転には影響しません。丈夫さ、回転重視で考えますと120g~150gのハブには良い点がたくさんあります。

ミケ 132g

例えばミケハブを見てみます。ハブの重量は132gです。結構重いのですが、重い=丈夫ということです。ハブシェルが強固と考えることができます。そしてベアリングは6001の大きなベアリングです。サイズが大きいので回転は安定しています。とても使いやすいハブです。

シマノ アルテグラHB-6700 18h

次はシマノハブです。写真は18穴のアルテグラハブです。156gあります。現在は販売されていません。このハブは特殊ですが一般に購入できるハブは32穴、36穴の105,アルテグラ、ティアグラです。穴数が多いハブしかありません。ティアグラハブだけは28穴が販売されています。一番よく使われる20穴は販売されていません。とても残念ですがシマノさんの戦略ですので仕方ありません。

多スポークホイールにはこのシマノハブは一押しです。シマノのカップアンドコーンハブは自分で容易くメンテができるように設計されています。グリスアップの手入れさえまめに行えば本当に長く使えます。

BITEX RAF16 120g

RAF16  6000ベアリング使用

台湾ハブにも重いが丈夫なハブがあります。バイテックスのRAF16です。120gと重いのですがこのハブも丈夫です。重いが丈夫、ベアリングが大きい、利点が沢山あります。ベアリングの交換は楽です。ベアリングは6000と大きく、丈夫なベアリングのため交換はあまり必要ないです。そして交換の時はNTNの非接触型にすれば最強ハブに変身します。

 

どうしても軽いホイールを求めると敬遠しがちな重いハブですが使ってみると別の良さを発見します。重いハブはおススメです。

爪が立たないハブトラブル

新品のハブを使って組み上げたホイールをお納めしましたがフリーが空回りすると連絡いただきました。連絡いただいて最初は理由が見当つきませんでした。新しいハブで作らせていただいたのにホイールが空回りするとはと驚きました。

 

理由はハブフリーの爪が立ったり寝たままになったりしたのが原因です。フリーの中に充填されているグリスが固着していたのです。新品のハブでしたが長期在庫のハブであったのかもしれません。詳しい原因はわかりませんがハブフリー内に充填されているグリスをきれいに取り除き比較的粘度の低い高性能グリスを塗ってセットしました。

ラチェットリングにフリーの爪がかかりホイールが回転します

爪はリングスプリングの力で立っています

リングスプリングで押さえつけて爪を立たせるというシンプルな構造です

果たしてフリー内の爪がきっちり立ちラチェットリングにかかる音が聞こえます。

 

ホイールの調子がどうも変な感じがする。チェーンを点検してもOK、ディレーラーの調子もよい、こんな時は一度ハブフリーを点検するのもよいかと思います。フリー内のグリスが固まって爪がきっちり立たないこともあるのです。

 

別のお客様よりフリー内部の爪を固定するスプリングが切れたと連絡いただきました。スプリングも傷むことがあります。頻繁に起こるトラブルではありませんがシンプルな構造のハブも経年劣化によるトラブルが起こることもあります。

ハブの構造は簡単です。定期的に点検が必要です。

ミケハブが到着

Micheのハブですがネット通販で前輪24h後輪24hのセットを見つけましたので購入しました。Miche社のHPでは24hは特注と書いてありますので特注品と思います。値段もブティックブランドの価格ではありません。いい買い物しました。

前後 427g

前輪用 132g

後輪用 295g

イタリア製Micheのハブは安価で性能がいいハブです。Wiggleで販売していましたのでいいハブですよと何度もお客様にお勧めしていました。しかし今年の夏にwiggleから連絡あり取り扱いしなくなったとのことです。とても残念です。

 

Micheハブの穴数は前後28,32,36hで販売されていました。通常に手に入るシルバーはシマノ、黒はカンパと分けられています。

 

このハブはとても優秀で気に入っています。理由はベアリングの径が太いことです。前輪ハブに6001規格を、後輪に6901規格を使っています。ハブの径が大きいということは丈夫ということです。長期使用に耐えられます。構造も簡素で容易にベアリング交換ができます。

残念ですが一般的には重いので嫌!と敬遠されがちです。軽さは正義とおっしゃる方が多いのですがこれはちょっと違うのではないかと思っています。もちろん軽いに越したことはありません。何事も一長一短で軽い部品はいいのですが値段が高いのです。重い部品は逆に丈夫で安価です。Micheのハブは後者ですがびっくりするほど重くはありません。台湾製ハブより100g重くシマノハブよりは100g軽い重さです。

 

このハブの良いところ

ベアリングが大きい=回転がよく高い耐久性

ベアリング交換が楽

重いから嫌といわずに見つけられたら買いです。

BitexHub BX301が届きました

バイテックスのストレイトプル2:1組(16:8)ハブが気になっていまして注文しました。

227g

重量はカタログ通りの重量です。

 

Weight

227g
Bearings 4 sealed Enduro 688 bearings
PCD NDS 32mm – DS 52.5mm
Center-to-Flange NDS 38mm – DS 13mm
OLD 130mm
Flange Diameter NDS 38.4mm – DS 56.2mm

 

Wheelproのスポーク長の計算ソフトでスポークの左右テンション比率が出ますのでこのソフトを使って大まかなテンション比率を出してみます。

下図に表示します。

左右のスポークテンション比率は左71:右100で悪くありません。DTのRR411のオフセットリムを使うと90:100で仕上がります。

分解してみました。5mmのヘックスレンチと17mmのソケットレンチで簡単に分解できます。ベアリングの取り換えも簡単にできます。

手組で2:1組に挑戦するのによいハブと思います。

カップアンドコーンもいいがベアリングもいい

ミケハブが気になるという題目で記事を書きましたがフロントベアリングは6001規格を使っています。6001規格は大きい分ハブ重量も増えますが丈夫さも増します。何事もトレードオフです。

ハブ価格が安価なうえにハブ構造が単純ですのでベアリング交換はいたって簡単です。おまけにベアリングが安いのです。ベアリングを毎年変えてもわずかな出費で済みます。

私はもともとシマノハブが好きで少々重くてもシマノを支持してきました。メンテナンスさえ怠らなかったら20年使っても十分使用できるからです。こまめにグリスを新しくすればいいのです。おまけに部品の交換にも対応できるので安心できるハブです。

回転に関しても自分で調整できることも気に入っているところです。この考えは今もあまり変わっていません。

 

最近ですがハブのことを調べていまして英国のHambiniさんのホームページ(勝手にリンクすることは控えています)にたどり着いたときに少しだけ考えが変わりました。普通のベアリング(深溝玉軸受)使用のハブもいいぞと思うようになりました。

 

このHambiniさんはエンジニアでベアリングの研究をされています。

単に平面での回転だけの比較ではカップアンドコーンのシマノハブはベアリングハブに負けるということを知りました。構造的には深溝玉軸受のほうが回転が良いということです。ホイールになるとカーブではハブが斜めになったりするので一概にカップアンドコーンが劣っているとはいえませんが単純に平らなところでの回転を比較するとNTNの6001LLB規格に取り換えたミケハブの回転がシマノのカップアンドコーンの2倍近く回転するという実験を行っているのです。

 

シマノハブがいちばん良いと考えておられる方は結構おられると思います。私もシマノのカップアンドコーンが優れていると思っています。しかしこれはこまめにメンテナンスする人にはいいハブであるといえます。頻繁にグリスアップが必要です。

グリスアップが必要

ほったらかしのカップアンドコーンならべリングハブのほうが優れています。そしてベアリングハブは中のベアリングを交換すればまた新品状態に戻ります。

ベアリング交換は難しそうに見えますが意外と簡単です。私個人的にはホイール作りのほうが道具もいるし技術力も必要ですのでよっぽど大変と思います。

後輪ハブのベアリングを交換

ステイホームを有意義に過ごすためノバテックの後輪ハブベアリングを交換しています。

今回の目的はNTNのLLB(非接触型)ベアリングに交換して少しでもハブの回転をよくすることが目的です。マージナルゲインを得るための一つです。

 

ノバテックのハブを分解しますとよくわかりますが使用されている部品は僅かです。

分解したフリー

 

6mm、10mmのアレンキーがあればハブのエンドキャップを外せます。

写真のように使われている部品は少ないです。汚れを落としてまた組み立てます。グリスも塗るようにしています。刷毛を使うと楽です。

フリーのベアリングはまだ新しいので今回はさわりません。ハブシェルのベアリング2点を取り換えることにしました。NTNの6802LB、6902LBの非接触型ベアリングを用意しました。1000円以内で回転が良くなるというならやってみる価値があります。

 

今回はスライドハンマーを使いません。ハンマーで叩き出します。

スライドハンマー

フリーを取り外してホイールをしっかり抱えてハンマーでたたいて取り出しました。3回ほどたたけばポロっと取り出せます。音がやかましいのでスポークには古いバスタオルのようなものをかけて作業すると静かにできます。

 

力強くカツーンとたたいてベアリングを出してからきれいに古いグリスをふき取ります。ベアリングを圧入するときも事前にベアリンにもグリスを塗っておきます。

 

ハブシェルをきれいにしてから新しいベアリングを圧入します。ベアリングと同じ寸法の圧入用金具を使って叩き入れます。私はDTのベアリング交換工具を持っていますがベアリングの外周と同じ寸法のソケットをホームセンターで探せばよいと思います。外周28mmは売っています。

塩ビ管も活躍

水道の継手塩ビ管を使って浮かしています。アンビルの上にのせて真上からたたいてベアリングを圧入します。この作業がいちばん注意するところです。ベアリングのセンターを出して入れていくのですが真上から叩き入れることです。最初の一打目を注意すればあとは簡単です。ゆっくりとコンコンとたたけば入っていきます。

 

ポイントは取り出した古いベアリングを使うことです。新しいベアリングの後ろに古いベアリングをセットしてその後ろから同じサイズのソケットを使ってたたくという方法です。

ねじ棒を使って押し入れていく方法もありますが私はたたくほうを選んでいます。

2日で6個替えました

ホイールを作るのは難しい作業ですがベアリング交換は簡単です。道具もそんなにいりません。

いるのはほんの少しの勇気です。

前輪ハブベアリングを取り換え

ハブベアリングを取り換えました。ベアリング選択には英国のHambiniさんのブログを参考にさせていただきました。

取り換えまでのベアリング

ベアリングは接触型の6001RS規格からNTNの非接触型6001LBに交換しました。

左ベアリング2個は接触型 右はNTNのLLB

写真左側はハブから取り出したベアリングです。接触型ですがハブ内側のシールは取られていました。シール半分を取られています。もし接触型のベアリングでシールが両側にあるともっと硬い回転であると思います。

シールが半分のLLU(接触 )ベアリングとNTNのLLB(非接触)規格とさわって回してみましたところ驚きました。シールがあるNTNのほうが軽いのです。回るときの感覚が全く違います。

同じ6001規格のベアリングですがシールが接触、非接触では手で回すと全く回り方の感じ方が違います。ベアリングの製法の違いで回り方が大いに違います。もちろん長持ちという観点から選ぶ方法もありますがベアリングは安価なものですので回転を主眼に選ぶほうが良いと思います。

たたいて圧入します

ベアリングを取り出したハブに新しいベアリングを叩いて圧入する方法を取りました。アンビルの上に置いて真上よりベアリングと同じサイズの金具を使いハンマーで3回ほどたたいて押し込みます。私はDTのハブツールセットを使っていますがハブのサイズに合う金物であれば何でも良いです。

ベアリングを引きぬいてセンターがずれないようにしながら新しいベアリングを真上から軽くたたく、これだけです。ベアリング交換でホイールの回転は大きく改善できそうです。コツコツとマージナルゲインを稼いでいます。