TNI REVOハブフリーのベアリング交換

ホイールを両手で持って回してみてゴリ感を感じたらハブベアリングの点検をお勧めします。

ベアリング交換が必要と感じてもハブシェル側のベアリングには傷みがない場合もあります。フリーを外してみてホイール回転を調べる必要があります。

フリーを回してみて滑らかに回らない場合、一般にはフリーごと交換します。しかし交換用のフリーを販売していない商社もありますのでこんな場合はベアリング交換になります。

フリーの本体から取り出したベアリングとスナップリング

今回のベアリング交換はフリー内部の2個のベアリングを取り出して新しいベアリングを圧入します。

先ずフリー爪側のベアリングをポンチでたたきます。フリーの中にはスペーサーが入っていますのでこれをドライバーなどで押すと位置がずれます。フリー内部を覗いてみるとベアリングの端が見えます。この見えているベアリングの端部分をポンチでたたくと簡単に外れます。何度か繰り返すときもありますが必ず外れます。

次は反対側にある奥のベアリングを取り出します。このベアリングはスナップリングでベアリングが外れないように固定されていますので先にスナップリングプライヤーを使ってこのリングを取り外します。そして奥のベアリングをポンチでたたいて取り出せばひとまず休憩です。ベアリング取り出しの同じ作業を繰り返しますが奥のベアリングは結構難しいと思います。

取り出しましたベアリングは15267規格のベアリングでした。6902規格を使っているハブが多いのですが残念ながら使われるベアリングは統一されていません。

プレス機で圧入しています

次はベアリングの圧入です。

今までの逆の作業を行います。手組ホイールファンでは圧入にはプレス機を使っています。サイズに合ったスペーサーを使ってベアリングに負担がかからないように押し込んでいきます。先ずは奥のベアリング、次にスナップリング、最後に手前のベアリングを押し込んで終わりです。通常作業は1時間くらいで終わります。見積もりも1時間分の代金とベアリング代です。

ご自分でフリーのベアリングを新品にする場合コスパを考えますと新しいフリー購入が良いでしょう。工具は結構高価ですし、うまく出来る保証もありません。新しくフリーを買うほうが楽で安心です。しかしこのベアリング交換は興味深い作業でやる気のある方にはとても面白いと思います。出来上がりの達成感は格別です。メカニックをやっている気持ちになります。もちろん失敗しても新しくフリーを買えばいいだけです。興味のある方にはおすすめします。

追加です。

シールを外してきれいにしてみたが再利用はお勧めできません

ベアリングのシールを外してきれいにしてから再利用できないかとやってみました。やり方が悪いのかなんとなくゴリ感は残るようです。自転車用のベアリングは高価なものではないので新品ベアリングを使うほうがいいと思います。

後輪ハブのベアリング点検

TNIのREVOハブを使ったホイールの後輪ハブにゴリ感が出ているので点検依頼がありました。

フリーを外して回してみます ゴリ感なく回っていますので今回はフリーのベアリング交換を行います

先ず両手でハブを持って車輪を回してみます。ゴリゴリした感覚がありました。次にハブフリーを取り外し振れ取り台に載せて回してみました。この時車輪はすんなりとゴリ感なく回っています。回転を見ていますとハブシェル内のベアリングには問題がないようです。

フリーにはベアリングが2つ入っています。今回のゴリ感はこのフリー内部のベアリングが傷んでいるようです。後輪ハブには合計4個のベアリングが使われていますが今回の点検ではフリー側のベアリングを交換することにしました。

フリーをハブシェルから取り外します。両側のハブキャップを取り、フリーを引き抜けば簡単に取り出すことが出来ます。

フリーのメンテナンスでは一般にはフリー本体をそっくり交換します。残念ながらTNIのREVOハブでは交換用のフリーを販売していません。しかし交換用のフリーを手に入れることが出来るようになりました。REVOハブのフリーではありませんが代替品のフリーがありますので安心です。今回はベアリングの交換で対応することにしました。

TNIのREVOハブフリーを取り換える

手組ホイールファンではTNIのREVOハブをよく使っています。使用頻度の高いハブですがTNIではメンテ用のフリー部品は別売されていません。残念です。

TNIのREVOハブ

トラブルの起こりやすいフリーを新品で入手できないのが難点でした。しかしフリーを取り外してグリスアップしていれば使うことが出来ていましたので特別問題ではありませんでした。ハブメンテが出来る人には特別問題ではないのですが、フリーが手に入ればメンテは一層楽になることは確かです。

左フリーはREVOハブのフリー  右フリーは今回購入したフリーです

最近ですが、ハブメーカーの情報を得ることが出来たのでフリーの部品だけを注文してみました。フリーは10日ほどで届きました。

新しいフリーにはスペーサー、キャップが付属しています。このスペーサーはREVOハブ付属のスペーサーより少し長めですのでREVOハブについている部品をそのまま使います。手持ちのREVOハブのフリーを外して届いたフリーを差し込みました。

新しいフリーをREVOハブに取り付けています  下フリーはREVOハブのフリーです

新しいフリーはハブシェルにぴったりと収まりました。これで安心です。

これはシクロレースをやられている方には朗報です。どうしても泥だらけになるレースですので普通のロードバイクよりハブのメンテ頻度は高いと思います。

シマノハブの場合ユーザーさんがメンテしやすいように情報を公開しています。シールドベアリングを使ったハブの場合、本来ならメンテフリーですが実際はそんな訳には行きません。結構敷居が高いものです。フリーを外して爪にグリスを塗ったりすることが必要です。フリーを取り換えた方がいい場合もでてきます。今回のようにフリーの取り換えが出来る選択肢が増えたのはとてもいいことです。

スターラチェット方式のハブ

今持っているスターラチェットハブの写真です。

4点すべてスターラチェット方式のハブです  一つ分解しています

4点すべてスターラチェット方式のハブです。手持ちの種類も少しずつ増えてきました。元々スターラチェット方式のハブはDT Swissの製品ですが、製法特許の期限が切れてからはいろんなメーカーから販売されるようになっています。

工学的にはスターラチェット方式の方が爪式より優れているようです。しかし今までは特許がありましたので他社は作ることができませんでした。DTのホームページを見ますと特許に守られていたDTハブも最近では進化版が出ています。しかし基本的な構造は変わらないので通常のスターラチェットタイプで十分な性能を得るのではないかと感じています。

DTハブはメンテの仕方をホームページで公開しています。このようなフォローがあればユーザーは安心します。信頼できるメーカーだと大いに感じています。

残念ながら昨年の7月より日本ではDT製品をヨーロッパのセラーから購入することは出来なくなっています。日本の正規代理店から購入すればいい話なのでDT製品が買えないという訳ではありません。但しDTハブはとても高価です。

一杯のコーヒーが300円の時代に店のメニューに高いがうまい!と書かれた一杯1000円のコーヒーを出す店が心斎橋にありました。これは試さないといけないと飲んでみました。果して味音痴なのか味の違いがわかりませんでした。

最近増えたスターラチェット方式のハブは300円のコーヒーかなと個人的には思っています。高くなくても300円のコーヒーはそれなりにおいしいコーヒーです。

後輪ハブキャップは簡単には外せません

前回の記事はMTBホイールの作製でした。使うハブはシマノのハブです。

前輪用HB-TC500-15-B 32H  左右キャップは簡単に引き抜けます
後輪用FH-TC500-HM-B 32H  矢印部分 左ハブスパナが使えるように加工されています 右は何もなし

前輪用HB-TC500-15-B 32H  後輪用FH-TC500-HM-B 32H

ハブのメンテを考えてハブ構造は知っておく必要があります。こんな時はシマノのホームページで検索するのが一番です。手入れの仕方など必要な情報は簡単に得られます。ハブのサイズを調べるときにもよく使います。

下の図はシマノのホームページから得ました。ハブを分解するにはハブキャップを外さないといけません。

シマノのホームページより

前輪用ハブの左右キャップはねじ式ではありません。引き抜けば簡単に外れました。

後輪用ハブではフリー側のキャップには何の加工もなくストレートの筒状態です。左側のキャップにはハブスパナを使うように切込みが入っています。

ホームページの説明では

右キャップおよびフリーユニットをハブ軸に対して真っ直ぐに引き、取外します。

このように書かれていますが残念ですが手では簡単には引き抜くことは出来ません。

通常ハブは5mmのレンチとハブスパナがあればキャップは外せる場合が多いのですがキャップに何も加工がされていない場合は引き抜くことで外します。

真っ直ぐ引き、取り外しますと書かれていますが残念ですが手では無理で抜けません。誰も教えてくれないと思います。自分で考えるしかないです。

クリスキングハブには専用ツールが必要

クリスキングハブについて続けて書いています。クリスキングハブを触っていると独特の作りを実感します。メンテナンスには専用道具が必要です。

ハブメンテに使う専用ツール

高価なハブですのでこのハブを使う方ならショップに任される方が多いと思います。とても少ないと思いますが自分で何もかも行う方もおられると思います。そんな人は専用ツールも準備が必要です。残念ながら専用ツールがなければメンテはできません。

このハブツールはメカニックの仕事を感じさせてくれる何か特別感があります。使うときはたまにあるのですがいつもクリスキングのすごさを感じています。

ノバテックハブを分解しました

ノバテックハブを分解しました。シールドベアリングを使ったハブの構造はとてもシンプルにできています。単純な構造だから故障も少なくて長く使えるのだと思います。ベアリングはハブシェルに2個、フリー側に2個使われています。

フリー側のベアリングは取り出しが難しい
NTNのベアリングを使っています

「手組ホイールファン」ではシールドベアリングを使ったハブならノバテックのハブを使うことが多いです。使われているベアリングは予備をいつも用意しています。フリーには6902規格、ハブシェルには6902と6802のベアリングが必要です。主にNTNのベアリングを使っています。安価なベアリングもありますが摺動性を高める要なのでブランド品に頼っています。ブランドの違いがはっきりしませんのでおまじないと思っています。

ベアリングの取り外しや、圧入するにはプレス機を使うことにしています。製品になっているホイールからベアリングを取り出すにはポンチでたたき出すとか、スライドハンマーを使うのですがハブ単体の場合はプレス機械を使って分解するのが簡単で失敗がない方法です。プレス機械を使っています。

ベアリングは比較的安価なものです。高価なセラミックベアリングもありますが安価なベアリングを定期的に取り換えて使うのは良い方法と思います。

シールドベアリングを使ったハブはベアリングを取り換えれば新品に戻ります。リユースの場合フランジのスポーク穴は使用した後がありますのでこのあとを追う形で再利用することが肝心です。穴位置を変えるとフランジが割れることもありますので注意しないといけません。

サピム スポークワッシャーを使った一例

スポークワッシャーを使う方法もフランジを守るということで良い方法と思います。

中古のハブもシールドベアリングの場合ベアリングを交換しますと回転は新品に戻ります。ベアリング交換はとても達成感がある面白い作業です。

トラックハブのベアリング圧入

ハブ軸が傷んだノバテックトラックハブの取り換え用ハブ軸が届きました。

写真上のハブ軸は傷んでいます 新しい軸棒とベアリングが揃いました

ベアリングはNTNの6000LLB C3/5Kを2個使っています。ベアリングは叩いて取り出していますので取り付けには新しいベアリングを使っています。ベアリングの取り付けは分解した時の逆を行います。

一つ目はプレス機で圧入していますがたたいて入れてもOKです

先ずはハブシェルにベアリングを一つ取り付けます。これにはプレス機で圧入しています。機械を使って押し込むだけですのでセンター出しは簡単です。勿論叩いて圧入でもよろしいです。

ベアリングを叩いて圧入するには簡単な道具が必要です
新しいベアリングを左の古いベアリングとDTの圧入道具を使って圧入します

次はハブ軸を差し込んで反対側のベアリングの圧入です。この時は叩いて取り付けています。すでに軸棒を通していますのでセンターを出す作業は楽です。真っ直ぐ上からたたけば簡単に入ります。古いベアリングを使うといいです。

新品に戻ったハブです 回転はすこぶる良好です

新しいベアリングに取り換えましたトラックハブです。ベアリングがいいので回転が前よりよくなったようです。シールドベアリングを使ったハブは取り換えると新品に戻ります。適切な道具と少しの勇気があればうまくできます。

REVO後輪ハブのベアリング交換

後輪スポークのドライブ側1本が折れたということでご連絡いただきました。届きましたホイールはすぐにお直ししましたところハブにゴリ感があったので点検しました。

ハブの手入れは、メンテナンス作業の基本として、先ずはきれいにすることから始まります。

非ドライブ側ベアリング 反対側より叩いて取り出します
たたき出した軸棒 ベアリングと一緒に外しました
軸棒を直接叩くのではなくDTの道具で軸棒を保護しています

ハブフリーを引き抜いてラチェット部分の清掃後、ハブ軸を叩いて非ドライブ側のベアリングを取り出します。たたくときには直接ハブ軸を叩くことは軸棒を傷めますので注意が必要です。

ハブはアルミで作られていますのでヒートガンで温めるとわずかに膨張します。こうするとベアリングを叩いて取り出したり、圧入したりするときには楽にできるようです。おまじないのように何でも温めています。

スライドハンマーでカツン、カツンと引っ張ればOKです

ハブシェルには6902ベアリングが使われています。ラチェットラチェット側のベアリングはスライドハンマーで取り出しています。軸棒をひっくり返してベアリングに通し、軸棒の後ろからベアリングを叩くという方法もありますがスライドハンマーなら一発で取り出すことが出来ます。

ハブメンテナンスにDTの道具は使いやすい よくできています

ベアリングの圧入にはDTの道具を使っています。たたいてベアリングを入れていくのですがセンターを出すことが一番難しいところです。DTのハブツールはよくできていて今回のハブはDTハブではありませんがうまく使えます。

ネジを使って圧入していくのに便利です
叩くことで圧入、取り出しには安価な道具です

写真のようにねじ棒を使ってゆっくり両サイドより圧入していく方法もありますが、たたいて圧入しています。これは慣れだと思っています。軸棒のセンター出しが難しいのですが失敗したらやり直したらいいだけです。必要なのは少しの勇気です。

フリー側には15267ベアリングが2個使われているので先ずはラチェット側のベアリングをスライドハンマーで取り出しています。

15672ベアリングが使われています フリー内部にスナップリングが見えます
プライヤーで取り外したスナップリング 専用の道具が必要です
ベアリングをプレス機械で圧入、取り出しを行います

奥にあるベアリングを取り出すのはプレスの道具を使っています。一つ目のベアリングは前からベアリングを押し出します。奥の内部にはスナップリングがあります。プライヤーでこのスナップリングを取り出すのも難関の一つです。リングの取り出しが終わればプレス機械で奥にあるベアリングを押しだして2個のベアリングは取り出し完了です。

圧入にはこの逆を行います。

ここまでの作業は文字で書けばこんな作業だとわかるのですが、圧入には軸棒の心出しが難しい作業です。ベアリングの取り出しは叩いて取り出す作業ですので少し雑でも作業は進みます。

しかし圧入には心出しが必要ですので慎重な作業が必要です。これがベアリング扱いを難しくしています。プレス道具はあまり使わない道具の筆頭ですが、使うときはとても楽で正確にベアリングを圧入できます。楽にかつ正確に行うために便利な道具をいつも探しています。

ハブのメンテナンスは面倒ですが作業が終わると達成感はとても大きいです。コスパを考えますとベアリングは安価に入手できますので作業は自分でやるのが一番です。しかし今流行りのタイパを考えますと上手な人に任すのが良いかと思います。特殊な道具を揃えることも要りません、このほうがお安いかもしれません。

意外と気づかないハブの音、大きくなると要注意!

最近お預かりしましたホイールですが納品時よりハブの音が大きく感じました。後輪ハブの音がカリカリカリと大きくなりますと要注意です。

フリー内部の汚れ こまめなメンテが必要です

ハブフリー内部のグリスが汚れ、グリス切れが起こっています。後輪は定期的にスプロケットを取り外し、フリーを抜いてきれいにして新しいグリスを入れることで回転は安定します。こまめなメンテが必要です。シールドベアリングを使ったハブはメンテナンスがいらないように見えますが全く違います。

いままでお預かりしましたホイールのハブ内はグリスが切れていることが多くフリー内部は真っ黒状態のホイールが多かったと感じています。いつも乗っているロードバイクはフリーの音の変化はなかなか気づきにくいのですが、空で回して音の確認が必要です。

乗っておられる地域によっても違うのですが最低でも半年ごとにハブフリーを抜いて汚れをとり、グリスを塗ることでハブは長持ちします。シールドベアリングといえども汚れは内部に入っていきます。

油汚れは油でとる

ハブフリー内部をきれいにするのはそんなに難しいことではありません。人それぞれのやり方があると思いますが布切れと綿棒でふき取れば手軽です。

油汚れは油で取るといいますが綿棒にグリスをつけて拭き取るようにしています。10本ほど使えばきれいに仕上がり最後は綿棒が汚れなくなります。30分ほど時間が掛かりますが一手間かければ長持ちします。