Eバイク用のホイール作製

Eバイクを仕事に使っておられる方よりご注文いただきました。今回のご注文は2回目です。

ホイールの部材はお送りいただきました。組み立てだけのご依頼です。

DT U663 747g
DT 350HYBRID

リム DT  U663 前輪32H 後輪36H

ハブ 前輪 シマノ HB-R7070 32H

ハブ 後輪 DT 350HYBRIT 36H

スポーク 前輪 DT コンペティション黒

スポーク 後輪 DT AlpineIII 黒

ニップル DT SquorxPro 黒 ブラス

リムは国内では販売されていないリムです。お客様は海外より取り寄せられました。MTBの用品は販売量の差と思いますが扱い品目は少ないように思われます。スポーツ自転車のマーケットが小さいのが理由かもしれません。

最近のネット情報からと思いますがお客様の方がよくご存じで教えていただくことが多いです。今回のリムはその事例です。初めてのリムでした。調べてみますとEバイクに適したリムです。とても重いリムですが、重い=頑丈ということです。組んでみるととても組みやすいリムでした。ジョイントはピンジョイントで価格も特別高価というものではありません。

スポークも丈夫さを優先されていますので後輪にはDTのAlpineIIIを選んでおられます。jベント部分が#13で中央部が#15、ねじ部分が#14のバテッドスポークです。国内流通はほとんどありません。

前輪1152g
後輪1430g DT U663リム使用

組み立てだけを依頼いただいたわけですが、ご注文は2回目なので組み立て方には信用いただいていると思います。今回は自転車を使って仕事されている方が選んだ部品ですので説得力があります。使用感などまた教えていただけると思います。患者数で腕が分かるお医者さんの世界と一緒にするのは厚かましいのですが、ホイールもどれだけいろんなホイールを経験するかで上手下手が現れます。今回はいい経験でした。

キンリンXR31T/RTリムで多スポークホイールを作製

手組ホイールファン一押しのアルミリムXR31T/RTを使ったホイールのご注文です。

お客様はご自分でも自転車を組み立てられ、ホイールも自作出来る実力者です。DURAハブにオープンプロの手組からDuraホイールのWH7900-C24-CLと使ってこられました。

このブログを読まれて手組ホイールファンのホイールに興味を持たれたようです。上記のアルミリムで前輪28H後輪28Hの組み合わせで作りたいとご連絡いただきました。

HB-RS300 28H 146g
FH-RS300 38H 374g
24mm幅31mm高リムで497gは軽い

シマノハブでは上位グレードハブと下位グレードのソラハブを比べると見た目の仕上がりでは大きな差はありますが、メンテナンスが良ければ回転性能での差は大きくないこともご存じでした。結論としてハブは実質本位のソラハブを選ばれました。

お客様は現在10速で乗られています。ソラハブで作ると後輪スポークの左右差も少ないことも承知されています。黒帯のライダーさんには余計な説明は要りません。

前輪812g
出来るだけスポークテンションを揃えています
後輪1067g
左スポークのテンション値がとても高い

今回使用する後輪リムは3mm穴位置がずれていますのでスポークテンション比率は70:100くらいに仕上がります。これなら2:1組にする必要もありません。後輪左右スポークのテンション差異が少ないホイールが出来ます。使うスポークを細いスポークで作りますとスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれます。ロングライドに適した、特に平地や緩やかな丘陵地帯をメインに走られる方にぴったりのホイールです。

出来上がりは前輪812g、後輪1067g、前後で1879gと決して軽いホイールではありません。しかしアルミリムの中ではリム剛性は最強クラスのリムを使っていますので重くてもびっくりするほどよく走ります。お客様のご感想が楽しみです。

波型リム使用46mm高カーボンホイールのご注文

2セット目のカーボンホイールをご注文いただきました。

リムは46.5mm高28mm幅で405gの軽量リムです。ハブはスターラチェット方式のRyetハブを使いました。このハブは前後で238gと超軽量ハブです。すでにブログでも紹介したことがありますが高評価のハブでしたのでお勧めしました。

前輪用 75g
後輪用 163g
リム高46.5mm 28mm幅 405gと軽量です

使いました波型リムは空力を上げるために作られています。見た目は非常に存在感があります。リムにはシールがない無印リムですが今までお買い上げいただきましたお客様はどこのホイールですか?とよく尋ねられるようです。結構目立つホイールだと思います。

穴ナシリムですのでリムテープがいらないチューブレス仕様です。リムにはバルブ穴が1つあるだけでニップル穴がないということは強度が高いということになります。約46mm高で400gほどのリムはとても軽量といえます。軽量だけでなく剛性があるということがカーボンリムの良さといえます。

波型がよくわかるようにしました この波が空力をよくします
前輪 627g
後輪 729g

昨今は円高でこれはどうしても仕方ないのですがリムはとても高価なリムです。しかし価格的にはブティックブランドのホイールと比べて半額以下です。コスパを考えますと性能共に価格競争力があるホイールと言えます。

手組ホイールファンでは体重と乗り方を考えてスポークの太さを決めますのでオーダーメイドのホイールといえます。オーナー様よりご感想をお聞かせいただけるのが楽しみです。

DTリムで多スポークホイールのご依頼

今までのブログ記事を参考にしていただいたようでDTのRR411軽量アルミリムを使ってのホイールをご注文いただきました。

乗り手の体重と乗り方にあわせた手組ホイールは既成ホイールとは違った良さがあります。

105グレードハブ 

今回はハブを持ち込みいただきました。リムとスポークはこちらでご用意いたします。ホイールの内容は次の通りです。

前輪用429g
後輪用455g オフセットリム

リム DT RR411 前後共32H 後輪リムはオフセットリム

ハブ シマノ 105 HB-R7000 FH-R7000 32H  

スポーク 前輪 TB-2015 2.2/1.5/2.0mm シルバー

スポーク 後輪 左TB-2015 2.2/1.5/2.0mm 右コンペティション2.0/1.8/2.0mm シルバー

ニップル ダブルスクエア 黒

スポーツ系の自転車ではシルバースポークを使ったホイールは見かけることはほとんどありません。お客様はシルバースポークをご希望されました。

前輪795g 外周部が軽いです
後輪1061g 外周部は軽いです

このブログでは何度も多スポークホイールの利点を述べています。完組ホイールでは前輪20後輪24本のホイールのような少スポークホイールが多いのです。当然スポークは太いスポークを使って剛性を上げています。前20・後24のホイールを2mmのスポークで作るとスポークの総面積は前輪62.8mm²、後輪75.4mm²です。

今回のホイールでは前輪56.6mm²、後輪68.9mm²とスポーク数は前後で64本ありますが面積的には完組ホイールとほぼ同じです。

少スポークホイールの剛性を維持するにはスポークが少ないのでスポークを太くするしかありません。乗り味はとても硬いホイールに仕上がります。

多スポークホイールでは細いスポークを多くして体重を支えるます。この時スポークはショックアブソーバーの働きをしてくれます。ホイールの剛性も確保します。

シルバースポークとてもいいです

スポークの面積では少スポークのホイールとほぼ同じです。乗り味では多スポークホイールに軍配が上がります。

今回のご注文ではお客様は多スポークホイールを選択されました。ロングライドに向いた疲れにくいホイールの良さを感じていただけると思います。

ホイールの再調整依頼

昨年の9月にご注文いただきましたリム高約46mmのディスクホイールの再調整依頼を受けました。レースなどシーズン予定が終わり一度見てほしいとお預かりしました。

リム高46.5mmリム幅28mm 波型リム 空力がいいと言われています

タイヤを外してみますとこのようになっていました。

リムから取り外したタイヤです

お客様にシーラントの名前を伺いますとマクハルのシーラントをお使いです。

このような皮膜状になってめくり取ることが出来ます
取り除いたシーラントの固まりです
リム内部もきれいな状態でした

シーラントをはがしていく感じで取り除くことが出来ました。いつも液状のシーラントでしたので初めてです。使い方を調べたのですが、タイヤ内部に膜が出来たら余分なシーラントを抜き取るという方法を取ります。重量を軽くできる利点がありますのでレースに出る人にはいいかなと思います。

タイヤを外してスポークテンションを調べましたが特別ニップルをさわることもなくホイールをきれいにするだけで終わりました。お客様にもこのことをお知らせしています。

スポークテンションは変化することなく均等になっています

ホイールを仕上げるときに時間をあけて何度も馴染みだしを行った効果が出たようです。作るのに時間が掛かりますがスポークテンションを出来るだけ均一になるように手をかけて仕上げると後が楽です。振れが出るホイールは改善の余地があるホイールということです。

自慢げになることは慎まないといけませんが、半年たったホイールを再点検してほとんど触るところがなかったことが分かり喜んでいます。知らなかったシーラントも知ることが出来ました。最近お客様から新しく前後で1260gのホイールをご注文いただきましたので新しいホイールのインプレをいただけるようです。ただ単にホイールを作って、納品して、終わりではありません。ありがたいことです。

32mm幅40mm高の軽量カーボンリムでホイール作製

何度もリピートオーダーいただいているお客様よりご連絡いただきました。

ディスク仕様の自転車を作るので高さ40mm前後の軽量リムを提案してほしいとのことでした。いままで注文いただいたホイールの中で評判のよかったリムの中で選びましたリムです。

リム幅32mm40mm高 398g軽量カーボンリム

リム高、リム幅を考えますと約400gのリムはとても軽量です。ハブはノバテックの台湾の軽量ハブです。量産ハブなのでメンテ用の部品も手に入れやすく必要十分なハブと考えます。

スポークはCX-RAYよりも剛性が高いピラーのWING21で組みます。スポークは乗られる人の力や乗り方で決めるのが良いと思います。サピムCXRAYが最高のスポークと思っている人が多いのですがそんなことはありません。使い方で決めるべきと思います。

剛性が強すぎればスポークを細くし、弱すぎればスポークを太くするというチューンアップで最良点を見つければいいのです。これが手組ホイールの良いところと思います。

ニップル穴のないリムはテープが不要です

リムは穴なしリムで作ります。ニップル用の穴は前だけですのでホイール作製には面倒なリムですが使い手にとってはとても良いリムです。チューブレスにも使えるし、チューブタイプにも使えます。テープ巻きが不要なのでタイヤの選択が広がります。

ニップルはブラスニップルを使用しています。軽量リムですがニップルはブラスでアルミニップルではありません。ガルバニック腐食のこともありますのでブラスの方が安心です。

前輪689g
後輪814g

前輪689g後輪814g、前後で1503gの軽量ホイールが完成です。

波打っているリムは空力をよくする形状です

リムは波打っている形状で、空力が良くなる形です。タイヤはメーカー推奨では28c~50cです。お客様は28cを使われるようです。年間10000km以上走っておられるお客様なので的確な評価が楽しみです。

シングルスピードバイク用のホイールをご注文

シングルスピード用のホイールをご注文いただきました。ハブは持ち込みです。

前輪用 281g
後輪用は両切ハブです

リム XR31T 32穴 黒

ハブ グランコンペ 32H 黒色 持ち込み

スポーク ピラー TB2015 2.2/1.5/2.0mm 黒

ニップル ピラー DSN 黒

XR31T 31mm高24mm幅で454g

リムは剛性の高いリムです。アルミリムの中では一番剛性のあるリムの一つと考えています。31mm高24mm幅なので決して軽いリムではありませんが重量がかかっても歪みにくいリムです。結論から言いますと、とてもよく走るホイールに仕上がります。

ホイールは4つの部品で出来上がっています。どれも大切ですが中でも一番大切な部品はリムだと思います。ある公的機関で荷重試験をお願いして調べた結果、歪が少ないとても優秀な成績でした。このリムを選ばれたのは賢明です。

グランコンペのラージハブ スポークはTB2015

ピラーのTB2015スポークは中央部が1.5mmで細い部分がショックアブソーバーの働きをします。地面からの衝撃を吸収できるので疲れにくいホイールが出来上がります。これが多スポークホイールの利点です。

前後ともに左右スポークは3クロス組

スポークテンションに注意して組み上げました。時間をあけて何度も馴染みだしを行っています。精悍な姿のホイールに仕上がりました。リムテープを巻いてバルブを用意すればチューブレスホイールとして使えます。ご感想が楽しみです。

前後1260g超軽量カーボンホイールのご注文

リピーターのお客様よりご連絡いただきました。とてもよく研究されている方でほとんどの部品はご自分でお決めになっています。スポークの選択には少しお手伝いいたしました。ホイールはヒルクライムに使われる予定です。

28mm幅35mm高リム 367g
前輪ハブ 75g
後輪ハブ 156g

リムは35mm高のディスク用リムです。ハブはお送りいただきました。Ryetというメーカーの超軽量ハブです。前輪24穴後輪24穴の組み合わせです。

スポークはいろいろ相談いたしました結果、前輪はDTのエアロライト、後輪ドライブ側に少し太いエアロコンプ、反対側にエアロライトという組み合わせです。スポークの剛性も考えての組み合わせです。

ニップルはアルミニップルも考えられます。しかし20グラムほど重くなるのですがやはり丈夫なブラスのSquorxProで組み上げました。手組ホイールファンの使用ニップルはブラスとしています。

ハブはストレートプル方式のハブです。スポーク長はハブ寸法の計測さえ間違えなければ通常のjベントハブと同じです。注意点はハブ穴のスポークを通す部分です。ほとんどのハブはスポークオフセット値が発生しますのでこの数値を正確に測ることです。少し細かいことですがわかる人にはわかる話です。

スポークは扁平スポークで作りますのでニップルを締めていくときスポークの供回りはスポークホルダーを使えば防ぐことが出来ます。丸スポークの場合もスポークがニップルと同じように動きますのでねじれを防ぎながらスポークテンションを上げます。丸スポークは安価ですが取り扱いは難しいです。何事も一長一短です。

スポークテンションはメーカーの指定に沿って組み上げています。テンション値は出来るだけ揃えることに注意しています。

前輪584g
前輪スポークテンショングラフ
左右スポークはエアロライト使用
後輪676g
後輪スポークテンショングラフ
ドライブ側エアロコンプ 非ドライブ側エアロライト
リムにはニップル穴がありません リムテープが不要です

出来上がりは前輪584g後輪676g合計1260gです。超軽量のホイールが完成しました。あまりの軽さに驚きます。

6月のヒルクライムレースに間に合いました。良い結果出るといいですね。

後輪用55mm高カーボンホイールのご注文

後輪リムのご注文をいただきました。2度目のご注文で、お客様はすでにリム高が低いカーボンホイールセットをお持ちです。前輪は今まで通りで後輪のみリム高を上げてレースに使われるようです。

55mm高25mm幅 516g
オプションでブレーキ面を強化できます

リム高55mmリム幅25mmのカーボンリムを使っています。

ブレーキ面はオプションで強化しています。ブレーキ面を強化していますのでブレーキは通常のリムと比べてよく効くようです。このブレーキ面ならディスクに替えなくてもいいと言われています。リム代金は5000円ほど高くなりますがブレーキが心配でディスクに変更と考えておられる方には朗報です。システムを替えなくても済みます。

スポークはドライブ側にサピムのCx-Sprint、反対側にCx-Rayの組み合わせです。ニップルはDTのSquorxProです。ニップルの内部に固着防止剤が入っていますので安心して使える優秀ニップルです。

後輪用ノバテックハブ 243g

ハブは台湾のノバテックハブです。量産ハブは修理部品も手に入れやすいし、価格も高価ではないので安心です。必要十分な性能を保持しています。 スポークの組み方は左右共に2クロス組です。

スポークテンションを出来るだけ均等に張ることを意識して組み上げます。テンションのバラつき度は5%以下になるようにしています。

テンションばらつき度を出来るだけ小さく仕上げます

グラフにしますとわかりやすいです。テンションが揃っているとチェーンから来る力が各スポークに伝わるときに駆動ロスが発生しにくいと考えています。強弱のあるスポークでは力が正しく伝わりません。テンションを揃えることはとても大切です。

後輪894g
バルブ穴が一つあるだけ リムテープは不要です

上の写真のようにリムにはバルブ穴が一つあるだけのチューブレスホイールです。リムテープがいらないホイールは扱いが楽です。お客様の評価が楽しみです。

リユースリムでMTBホイールの作製

MTBダートジャンプホイールの後輪をご注文いただきました。昨年10月31日の記事でご紹介しましたが前輪をご依頼いただいています。今回は後輪の作製です。

MTB用ハブ 32H 
テーブルに置くとピタッとしています 縦方向にひずみがあるリムでした

ハブとリムは前回と同様に持ち込みいただきました。後輪ハブのアクスルはねじ式で、フレームには付属ナットで取り付けします。650cのリムはリユースのリムでした。テーブルの上に置きますと大きな歪はなく前回同様に素直に組み立て出来ると考えました。

しかし今回はそのようにいきませんでした。縦方向のひずみがあり、仮組が終わってニップルを締めあげていくうえでどうしても縦ブレが取れません。スポークテンションを点検しながら組んでいくのですが縦ブレを出来るだけ小さくすると横ブレが大きくなります。

グラフにするとわかりやすいのでグラフにしますと次のようなグラフになっています。

歪の大きいリムで縦ブレ、横ブレを取るとこのようなグラフになってしまいます

歪の大きいリムは見た目では分かりません。一般には新品リムには大きな歪みは無いようですがリユースとなれば話が別です。前の使われていた状態が影響します。スポークテンションが揃っていないホイールは使っている間に振れが大きくなります。ホイールは自然と癖がつくわけです。このようなリムは再度使うとなりますと難しいです。特に縦ブレが大きく、縦ブレを取ろうとしますと横ブレが大きくなります。ある程度で納得が必要なホイールです。

結局は張り過ぎのスポークをするめ、緩いスポークの張りを上げることで調整し直しました。

スポークの張りの違い大きいと後から振れが出てきます。出来るだけスポークテンションが揃っていることが大切ですが、リムのひずみが大きいと修正が難しいという問題が起こります。

最終この状態で納品しました

最終的には次のグラフのような状態で妥協しました。勿論これまでの状況はお客様にお知らせしています。妥協案で了解いただきました。

リユースリムで作るのは難しい

お客様はご提示しました状態でもいいと了解いただきました。使用目的がダートジャンプ用としてのホイールでしたので使えると判断いただき良かったです。リユースの癖のついたホイールは難しいというのが感想です。

幸いにもお客様は今回の出来上がりにはご理解いただきました。確か8回目のホイールですのでまた新しくリムを手に入れたとき交換するということになりました。仕上がりには納得いただいたようです。

リユースのリムはそれまでの組み方の癖がついていますので再利用には注意が必要です。ホイールをうまく作れるかどうかはリム次第ということです。