1mmの違い

ホイールを作るのにとても大切なことはいろんな部品を正確に測ることではないでしょうか?

 

実は私のコーワのスポークカッターは1mmの誤差があります。たまたま1mm誤差があったということが分かりました。ゲージがついていますので1mm足してカットしていますので別に困りません。

スポークをセットしてねじを転造

スポークカッターにはゲージがついています。必要なスポーク長にゲージを合わせてカットします。カットしてからねじ部分を転造します。工程は2工程です。スポークをカットしてねじ部分を作るのですが簡単です。あっという間にホイールに必要なスポークは準備できます。このスポークカッターを購入したときは使い方の要領が悪くうまくねじを作ることができませんでしたがすぐに慣れます。

 

ホイールを何本か作って、あるときニップルホイールを覗いたときにスポークのねじ部分が予定した位置に収まっていないのに気づきました。どうしてもこんなに短いのか最初理由がわかりませんでした。

 

リムのERD,スポーク長など間違いないかもう一度確認しました。計算ではちょっと長めのスポーク長になっているにも拘わらず短いのです。どうしてそうなのか確かめるためもう一度ばらしてみました。

 

スポークの長さを確認しますと実際のスポーク長より1mm短いのです。ここで初めて分かりました。カットしたスポークは1mm短かったのです。

 

これで理由がはっきりしました。ゲージをセットすると1mm短くカットされるということです。このことが分かって以来スポークのカットには1mmプラスしてカットしています。

 

カットの一回目は間違いないかの確認をしてOKでしたら続けて残りの分をカットしています。この作業以来作業前には長さが間違いないか確認するように癖がつきました。

コーワのスポークカッター

コーワのスポークカッターはホイール作りに興味を持ち始めたころですが結構早く購入を決めました。高価な買い物でした。しかし高いカーボンホイールを買うことよりもこのスポークカッターを購入したことで楽しみが何倍も増えました。ホイール作りをやめてもすぐに買い手は出ると思いますのでいい買い物と思っています。

ビギナーの時はスポーク長の計算間違い、リムのERDの出し方間違いなどで何度もスポークの発注を間違えました。

 

スポーク長の計算ではDTの計算ソフトを使っていました。昔のDTのソフトでは実際の長さだけの表示だけでした。今は使用スポークの伸びを自動計算してくれますが昔の計算ソフトでは伸びは自分で考えこの長さなら2mm引いておこうとか考えて出していました。

今のDTの計算ソフトでは伸びも考慮した数値が出ますが昔は結構間違いました。

今はwheelproのソフトとDTの計算ソフト2つを使って計算しています。2:1組の場合だけはDTやwheelproでは計算できないのでエクセルを使って計算しています。

Excelでの計算ワークシート

コーワのスポークカッターのおかげで私の計算間違いで発注しましたスポークは一掃されました。スポークのストックはありますが間違いで発注したスポークは残っていません。

ガルバニック腐食

カーボンホイールにはほとんどがアルミニップルを使われています。アルミニップルはカーボンリムに直接接触しています。ここで電池作用が生じ、アルミとカーボンの固有の電位が違い卑なるアルミが腐食されます。ガルバニック腐食というのですが詳しくはネットなどで調べてください。

アルミニップルは昔と違い強度の高いアルミを使用されています。しかし使い方を誤ると意外ともろいものです。

Nipple galvanic corrosion をキーワード検索しますと

Aluminum Nipple Corrpsion in Carbon Compsite Rims というユーチューブで19分ほどのビデオを見ることができます。アメリカの有名なホールビルダーが警鐘しています。とても参考になると思います。

ガルバニック腐食という言葉を知ったのは恥ずかしいことですが最近のことです。違う金属が接触すると不具合が起こるということは知っていましたがこの現象をガルバニック腐食というのです。

アルミニップルを使うときの注意点を調べていましたら,アメリカの有名なビルダーさんが教えてくれました。

私はアルミニップルをオイル漬けにして保管していますがアルミニップルをオイルでコーティングされていますと腐食を防ぐことができます。

ニップルのオイル漬け

またスポークがニップル頭まで十分にねじ込める長さでないとニップルの腐食の影響が受けやすいので注意が必要です。頭の部分が弱いのでこの部分が壊れます。

シクロクロスで使用のホイールは通常のホイールより洗う回数が多いと思います。油分を取り切ってしまうことも要注意です。

カーボンホイールに直接アルミニップルが触れないようにステンレスのワッシャーを使いワッシャーにはグリスを塗ったり注油して直の接触を避ける方法は有効です。

ステンレスワッシャーは有効

以前カーボンリムメーカーよりカーボンリムを購入したときですが、ワッシャーは必要かということをメールで問い合わせたところ自社のホイールには使っていないという返事でした。この担当の人もガルバニック腐食ということは知っていないのかもしれません。

ニップルが腐食によってすっぽ抜けてしまうことが起こることを知らない人は結構おられるのではないでしょうか。特にカーボンホイールは要注意です。

安く手に入れた中古ホイールなどどんな使い方をされていたかもわかりません。外から見ただけではわからないことだけに安易な買い物には落とし穴があるかもしれません。

ホイールの組み換えのブログを読んで

『手組ホイール』をキーワードで調べていましたら手組ホイールで有名なブログに当たりました。

 

18万と高価なレイノルズのアサルト後輪のスポークテンションがぬるいので組み替えてほしいと依頼があり組み替えたという記事です。

 

依頼前のレイノルズはスポークテンションが緩くてシュータッチをするということです。レイノルズのアサルトは設計が悪いだめなホイールで私が組み替えてよくなりましたという内容です。

 

読んでみて気になったことは組み換え前はどのくらいのテンションであったのか、そして組み換え後のスポークテンションはどのようになったのかを知りたいと思ったことでした。

組み換え後のスポークテンションを計算したいと思います。

組み換えに使われたエボライトハブ24hを使ってリムERD580mmのアサルトに近いリムでスポークテンションを計算しますと下記のようになります。

左右スポークを2クロス2クロスで組みますと次のテンションです。

テンション比率は45:100です。

左右スポークを左3クロス右2クロスで組みますと下図の通りのテンションで計算されます。念のため違う計算ソフトSpocalcを使ってみます。

Spocalcでの計算です。

このソフトでも同じ結果です。

左3クロス右2クロスにすることによりスポークテンション比は左47:右100です。2%上げることができます。

この結果から右ドライブサイドを120kgfで仕上げますと左側は56.4kgfです。これはあくまで理論値です。

レイノルズアサルトは18万円の定価です。高価なので私も買って調べてみようということには簡単にはいきません。組み換え前のアサルトのスポークテンションはどのくらいだったのか知りたいです。

 

超ベテランのライダーよりインプレいただきました

ハブはシマノDuraハブFH7700,HB7700を使ってリムはDTのRR411リム32hで組んだホイールの評価をいただきました。

DTリム RR411 32h
Duraハブ FH7700 HB7700 32h

ラインでのやり取りでホイールの印象を送っていただきました。

以下インプレを送っていただいた文です。何度かのやり取りを集めた文章ですがホイールを気に入っていただいたことがよくわかります。

 

『カンパのユーラス持ってまして、完組が良くて、もう手組には、戻らないと思ってましたが、間違えでした。
チューブが無くなったからですかね?軽いし 加速もいいです。
他のホイール タイヤに戻れないかもです』

『30キロ走りました。すばらしいです。初めてチューブラー乗った時よりも、素晴らしい。ホイールが良い?タイヤが良いのかとかは、分かりませんが、素晴らしい。ビートがあがらなくて敬遠してる人は、やってみるべきですね

このホイールなら、200キロも 楽に行けそうです』

『クリンチャーホイールと、古いチューブラーホイールは、もう出番なしかもしれません。今日 フロントのテープを張り替え クロモリに付けて走ってみました。自分の中では クロモリには 手持ちのユーラス+ミシュランパワーエンデュランス(ハブにグリスホール開いてる)が、相性抜群に思ってました。が、今回作った ホイール+チューブレスレディも、負けてません。軽さ 加速 負けてませんでした。路面の情報も 凄く良く分かります それでいて乗り心地が良いし転がり感も良い不思議な足下です』

『インプレで、忘れてましたが、中間加速が良いです』

『新しいホイールセットで、走りに出ました。転がってる感が凄いのと、路面からの情報が 心地良く伝わってきます。』

 

32hのホイールはオーソドックスすぎるかもしれませんがとても乗り心地の良いホイールです。おススメいたします。

スポークの緩み止めについて

ホイールを作り始めて10年以上、結構長いのですが今までに使ってきたスポークの緩み止めについて考えたいと思います。

ホイール作りを始めたころはニップルにさび止めのクレ5-56をひと吹きかけてスポークを通していました。あるショップの方よりこれで十分ですと教えていただいたのですがこれだけではスポークの腐食防止にはなりますが緩み止めにはなりません。いろいろ知っていくうちにいろんなものを試すようになりました。

あるショップの方から緩み止めにはWheelsmithのSpokeprepがいいよと教えていただきました。

なぜ色を変えているのかわかりますか?といわれ最初わからなかったのですが後輪の右と左の長さが違うので色を変えているのです、との答えです。うまいこと考えたものです。

 

このプレップも最初使い方が分からなくショップの人が容器にスポークの先だけをつけてスポークを使ってこのプレップをのばしているのを見ました。ああこうするのかと見様見真似でやっていました。しかしながらこれではうまくスポークにつかないことが分かりました。スポークの油分を取ってからでないとプレップの効果は薄れます。

次に使いだしたのがリンシードオイルです。これはアメリカの自転車フォーラムで紹介されていたのを知りました。

リンシードオイルて何?と思っていましたが亜麻仁油のことでした。

 

このオイルの特徴は使用後時間が経つにつれて固まる性質があるのです。空気に触れると固まるのですが固まるのに少し時間がかかります。ホイール作製後1週間から10日後にはオイルが固まってニップルの緩みを防いでくれます。

時間が経つと固まります

安価で1Lで1000円ほどです。1Lあれば一生分のホイール作りに事足ります。私はこのリンシードオイルは手軽なので最近まで使っていました。小分け用の容器にオイルをいれスポークのねじ部分をちょこんとつけるだけで終わりです。これで時間が経つとニップルの緩み止めになるので本当に手軽です。

 

海外の有名なビルダーのブログを読むと結構使っている人が多いようです。ただこのオイルを使っていることはとても素人のように見られるので見栄でスポークプレップを使用している人もいるとか。それだけ有効と考えている人が多いのでしょう。

ロックタイト220も便利で効果あります。固まりがきつくないので使っています。スポークねじ部分、ニップルにはオイルを使いホイール完成の最後にこのロックタイト220を一滴たらして終わりです。緩いタイプですと後でニップルを緩めるときに困りません。

油分をしっかりとる
乾くのに時間がかかるが効果は大

最近はFixというテフロン系のプレップを使うようになりました。ニップルのガルバニック腐食防止に対して一番効果があるということで今はこれを使っています。

 

WheelsmithのSpokeprepやFIXを使うときにはしっかりとスポークの油分を取っておかないとニップルを回していくにしたがってぽろっとプレップが剥がれ落ちてしまうことがあります。

テフロン系のプレップを使うときの注意として気を付けなければいけないことはスポークの油分をしっかりとることです。

私はペンキのうすめ液とアルコールの2種類を用意しスポークのねじ部分の油分を最初はペンキのうすめ液、次にアルコール液とスポークを握ってシャカシャカとかき回して油分を取っています。こうすることでテフロン系のプレップはしっかりとねじ部分に塗ることができます。

こうした緩み止めの下処理はホイール作りには直接影響しませんがホイールを長く使う上では大切な下処理と思います。

 

プレップの塗り方も上手になりました。最初はスポーク2本を溶液にスポークの先だけを液につけて後でスポークのねじ部分のいきわたるようにスポークを両手に持って1本ずつ持ってのばしていたのですがとても時間がかかっていました。ある時ふと刷毛を使ったらいいと思いつきそれからは刷毛で塗っています。小さな刷毛ですが百均で購入したものです。

小さな刷毛、筆は便利ですね。グリスもこれで塗っています。無駄なく細部にうまく塗れるので重宝します。

 

海外のプロビルダーの仕事場写真は参考になります。こういう使い方したらいいとか写真でだいたいが分かります。

DTリムRR411ホイールをチューブレスで使う

超ベテランの方の注文ホイールはお納めできました。初めてチューブレスで乗られるということを伺っていましたのでホイールの1本はリムテープを巻いてもう一本は巻かずにご自分で練習のために巻いていただくという形でお納めいたしました。

結果からいいますと大変てこずられ、何度もやり直しをされたようです。問い合わせもありました。新しいテープをお送りし、私なりのアドバイスをいたしました。

 

このRR411リムの表面処理は艶消し処理で作られているのでリム面がざらつきリムテープの貼り具合が弱く空気が漏れました。どうして空気が漏れるのか原因を調べていただきました。

対処方法としてはリムをしっかりきれいにすることです。アルコールなどでリムについている油分、ホコリをしっかり取り除くことが肝心です。場合によってはリムを石ケンで洗い油分をとりしっかり乾かす方法もいいやり方です。

RR411リムは幅が22㎜内寸が18㎜です。リムテープを22mmのテープを使うことでリム内凹みに沿ってリム内両端ギリギリまでテープを貼れるようにしていただきました。

きっちり貼れていません
丁寧にゆっくりシワなく貼る

急いで巻くのではなくゆっくりゆっくり押さえながらテープがリム面にしっかり張り付くように巻いていただきました。ゆっくりテープをのばしながら指圧をするような感覚です。

何度もやり直しをされたのですがテープ貼りはうまく成功しました。

 

RR411リムのリム面は梨地でざらついています。このリム面が影響してリムテープの貼り方を難しくしています。何度も繰り返してリムテープを替えていただきましたが最終的にはうまくいきました。

 

努力の甲斐あってこのホイールの乗り味は本当によく、チューブラーのホイールを乗った時の驚き以上のホイールと大満足のご連絡をいただきました。チューブレスは初めてだったのですがもっと早く試したらよかったと話されています。

 

超ベテランのライダーが初めてチューブレスを体験されました。そしてその良さを感じていただいたようです。ちょっとインストールが難しいチューブレスタイヤですが使ってみる価値はあります。面倒そうでためらっておられる方にお勧めです。

万能作業台

アメリカのビルダーさんのホームページを見ていてこの作業台をメインの作業場の横に置いてある写真を見ました。

私も前からホームセンターにおいてあるのを知っていました。便利そうだから買おうと思っていたのですが悩んでいました。でもやっと買うことにしました。

ためらっていた理由はただでさえ狭い環境ですのでこれ以上ものが増えることはやめておこうと思っていたのです。しかし買ってみて良かったです。折りたためるので使わないときは立てかけておけばいいのです。

スポークのプレップを塗るときはいつもメインの作業台を片付けていましたがそれもしなくて作業が進みます。ハブのサイズを計測するときもこの作業台で行っています。

今まではメインの作業台に常備おいている振れ取り台を片付けながらしていた作業を行っていましたが横に置いてあるこの万能台を使うことで楽になりました。これが1980円です。もっと早く買えばよかったです。

ヘルメットの隙間から蜂

昨日ですが気持ちよく走っている時にいきなり頭のてっぺんがちくっとしました。ヘルメットの隙間から蜂が入ったのです。

すぐにヘルメットを取ったのですがやはり刺されてしまいました。

どんな蜂かはわかりませんがあまり大きくなかったようです。痛みは感じましたが特別にアレルギー反応など起こらずに済みました。

前のヘルメット

以前使っていたヘルメットはちょっとお値段も高めのヘルメットで網の虫よけも中に貼ってありました。このヘルメットは昨年の落車の時に私の頭を守ってくれました。ひびが入ってしまい今の分に変わっています。

今の分は廉価版でこけたときの予防になればいいという感じで購入し虫よけもない安価なヘルメットを使っています。

 

蜂に刺されたのはこれで2回目です。一回目は5年ほど前でファスナーを下ろして走っていた時胸の中に入ってきました。急いでシャツを脱ぎましたが刺されてしまいました。ちくっとしてしばらくしてから赤く腫れてきました。痛みが強かったのでお医者さんに行って処置してもらいました。この時に蜂の怖さを聞いていました。

 

蜂に刺されて2回目以降はハチ毒に対するアレルギー反応が加わります。反応には個人差が大きいですが、ひどい場合アナフィラキシーショックで死に至ることがありますので要注意です。

今回はひどい反応はなかったのですが暑くなってのこれからは気を付けなくてはいけません。

まさかヘルメットの中に入ってくるとは思わなかったのですが蜂は黒い色に反応するとお医者さんから聞いていました。そういえば私のヘルメットは黒色です。網ネットがない安価な黒いヘルメット、悪い条件がそろっています。買い替えることにします。

32hのホイールを依頼されました③

スポークテンションのグラフ化についてお話します。

超ベテランの方から32hホイールを組む注文をいただきました。ハブはシマノDuraハブHB7700、FH7700の前後セットです。ハブは持ち込みで私のほうはリムとスポークを用意するという注文です。

納品の際スポークテンションのグラフを添えて納品いたしました。

このグラフはとても説得力があったようです。素晴らしいと唸っていただきました。私にとっては覚書のような位置づけのものでしたが喜んでいただけたようです。

 

ホイールの作製において振れ取りは一番大切な作業です。通常は振れを取りなじみだしを行えば作業は終わりです。ここで一番大切なことはスポークのテンションができるだけ均一になるように調整されているかが問題です。この作業を怠るとスポークが折れたり、スポークが伸びる原因となります。長く乗っていると必ず出る振れがとても早く出る原因となります。

 

私は縦、横の振れ取りによる振れの最小化+スポークテンションの均一化、この2つを視覚化して行っています。

これが技術といえば技術なんですがビルダーとしてそんなに長い経験もない私がわりと早く高精度に仕上げれるようになれたもとになっています。

グラフ化し、データを可視化することのよりどのくらいニップルを回せばいいかと逆に計算ができます。

 

神の手を持たないビルダーが最良の結果を出す方法としてスポークテンションの可視化が一番と思っています。

『手組ホイール』をキーワードにいろいろな方のブログを読みますとJベントスポークのホイールはスポークが折れやすいとJベントスポークホイールをけなしておられるブログに当たりました。ホイールはストレートスポークでないと折れる欠点があると言っている人のブログでした。

私はこの方の意見にはあまり賛成できません。スポーク折れトラブルのほとんどがスポークテンションの不一致が原因と考えています。要は組み方が下手、もしくは手抜きではないでしょうか。経年劣化でない限り折れの原因はスポークテンションにあると思います。上手に組めばなかなか折るものではありません。

こんなことからもスポークテンションのグラフ化は有力なツールといえます。