自転車仲間より紹介してもらったということでご連絡いただきました。
今乗っておられるホイールはスペシャライズドのRoval アルピニストCLX IIですが、もともと買った自転車についているホイールと比べてもスピードが伸びないということでした。困ったことに安価なホイールの方がよく走るといっておられます。高価なホイールはよく走ると思っておられたのですが期待外れのようでした。超軽量に作られたホイールも乗り手のパワーと合わなければミスマッチを起こす一例です。
ホイールの詳細をスペシャライズドのホームページから調べてみました。
スポークは後輪スポーク左右ともにDTのエアロライトを使われています。2:1組でドライブ側に16本、非ドライブ側に8本という組み合わせで左右のスポークテンション差を是正しています。グラフを見ますとよくわかります。左と右のテンション差が少ないです。
ホイールはよくできているのですが剛性が足りなくて乗り手の力に合っていません。ではどうすればいいのかとなりますと
①新しいホイールを購入する
②スポークの剛性を上げてホイール全体の剛性を強化する
今回の場合はスポーク交換が最善です。安価に剛性アップが図れます。
ホイールを分解しますとよくわかります。
ドライブ側のエアロライト16本の重量は72gでした。これをコンペティションに交換します。コンペティション16本は105gで33g重量が増えます。僅かな重量増ですがスポークを交換するだけで剛性は大幅に上がります。
ホームページから得たスポーク長は288mmでした。実測しますと同じ寸法です。コンペティションに交換しました。ここで注意点があります。スポークはTヘッドという特殊な形をしています。このスポークは一般には販売していませんのでこちらで作ることにしました。
ニップルはアルミリムを使われていますので再利用はしていません。新しいニップルを用意して組み上げます。
高級ホイールでも乗り手との相性があります。どなたにでもピッタリということはありません。お客様はせっかく購入されたホイールでしたがもともと自転車についているホイールの方がよく進むのでがっかりされました。
ホイールは乗り手の実力に合った剛性が求められています。軽いホイールがよく進むということではありません。今回の事例では高級ホイールですがスポークの剛性が足りなくて、いわゆる温いホイールで乗り手の力が正しく伝わっていないホイールでした。
最上級の高価なスポークを使っていても乗り手に合っていなければ実力は発揮されません。重量は増えますがスポーク替えで剛性を上げて改善しました。高価なホイールなのに温いホイールで期待外れの方はスポークの交換を検討されたらいいと思います。よくなります。