前回の記事で紹介しましたICANのカーボンホイール後輪のスポーク調整を行いました。
先ずはすべてのスポークをゆっくり緩めます。ゆっくりでないと怖くてさわれない状態です。ドライブサイドが200kgf以上はありますので腫れ物をさわる感じです。
余分な力が加わってポキンと折れてしまったらビルダーとしましては恥ずかしいことなので慎重に行いました。
何びくびくしてンねん!(関西ですのでこの言い方です)と叱られそうですがテンションメーターの換算表にない数字で作られたホイールは初めてです。ニップルを少し回しては休み、ゆっくり、ゆっくりと緩めました。
お客様は無事に乗られてよかったと思います。このホイールでは段差のあるところを乗り越えたりしたらスポークが折れたり、リムが割れることは必至と思います。CX-RAYスポークには弾力があるのですが強く引っ張られているので大きな力が掛かった時に力の逃げるところがありません。影響はリム、スポークに来るわけです。
ご縁があって再調整を引き受けましたが今まで何度もハイテンションのICANホイールに出会いましたのでこれが標準状態なのかもしれません。もっとたくさん調べたら本当はどうなのかがわかると思いますがICANのホイールにはハイテンションが多いので注意が必要です。
ホイールビルダーとしての意見です。なんの損得もありません。
話題を戻します。
スポークを緩めることさえ無事に終われば後は通常のホイール組み立てと同じです。
いつも買っているリムメーカーでは135kgf以下で作るようにという注意書きがあります。このようにカーボンリムではスポークテンションが130kgfくらいまでで仕上げるのがいいようです。
今回の調整もこの注意書きと同じようにしました。タイヤをはめるとテンションダウンしますのでこのくらいがいいようです。
今回のホイールについてですが、ご自分のホイールが貶されているのは気持ちがいいものではありません。このことはよくわかるのですがブログ記事にいたしますとお客様にもお知らせしています。
超ハイテンションで組まれたホイールはリムが割れたりスポークが折れたりしやすいことを広く知っていただくことが大切と思いました。部品には信頼あるものを使われていても作り方に問題あれば出来上がりは別物です。