カーボンホイールをお納めしましたお客様より連絡があり現在レースに使われているジップ404NSWのスポークテンション調整依頼を受けました。
こういう高級ホイールを点検させていただきますのはとても緊張します。やることは同じなのですがやはり失敗しないかと思ってしまいます。
先ずはお預かり時点のスポークテンションを計測して記録することから始まります。
横ブレ、縦ブレを調べてみますととてもよくできていることが分かりました。当たり前です。振れはは少しありましたがすぐに直せるくらいの振れです。ブランドの名に恥じない仕事でないとブランドではありません。
いろいろ調べさせていただけるのがありがたいです。
リムのブレーキ面は強化加工されています。これは速さには関係ありませんが安全面で有利です。長持ちするブレーキ面は高価でも結局は経済的です。
スポークはサピムのCX-RAYストレイトプルスポークです。ハブ、リムを計測しました。
これらのデータからスポークの角度を計算しますと次のような結果となります。
スポークのブレイシングアングルが大きいことがよくわかります。このリムを支えるツッパリ棒的な角度が大きいのです。通常6度前後が多いのですが9.9度あります。この角度は大きいです。角度が大きいほどつまりぐっとリムを支えているということになります。これは横剛性が高いことを意味します。
ハブを見ますとフランジ幅が80mmあります。通常の台湾ハブでは70mmですが10mm横に広いです。この10mmは大きいです。ハブシェルも太く、フランジの径が大きいです。台湾ハブでは30mmが多いのですが38mmあります。シマノハブと同じです。
ハブシェルが太く、フランジ幅が広いハブということは剛性が高いということです。
●ブレイシングアングルが大きい
●フランジが大きい
●リム剛性が高い
スポークのリムを支える力が高く、リム剛性が大きいホイールは撓まないのでコーナーに強いです。駆動力のロスなくコーナーを回れることは大きなメリットです。
いろいろ調べる機会を得ました。ありがたいです。とても良くできたホイールでした。羨ましいです。