スポークの組み替えをご依頼いただきました。
同じお客様から今回で3セット目のスポーク組み替え注文です。ホイール専用の箱も何度も我が家とお客様を往復しています。大活躍のホイール専用箱です。
お預かりしましたホイールはいつも最初にホイールのスポークテンションのチェックを行っています。
今回のホイールは以前ご注文されたホイールのバックアップ用として同じ仕様のホイールを自転車屋さんに依頼されました。マビックオープンプロ36hにDURAハブの組み合わせです。私の知る限り同じ自転車屋さんに3セット依頼されています。このためビルダーさんの組み方、くせはわかっています。
私もまだまだの実力と思います。人様のホイールを批判するのは行儀が悪いと思いますがあえて書かせていただきます。結論から言いますと作り方が中途半端な作りでした。
お預かりしたホイールは振れ取りを完璧に近いくらいしっかりと振れ取りが出来ていましたがスポークテンションには全く注意が払われていません。スポークテンションは握っただけではわかりません。テンションはバラバラの、ユルユルでとても残念な作りでした。もう一手間かけたらよくなるのにとつくづく思いました。
スポークは4クロス組です。4クロスで組みますとこのハブではスポークがオーバーラップします。これでも良いという人がいますが図のようにスポークの頭の上にスポークが重なりますのでスポークが大きく曲がります。この状態はやはりスポーク、ハブに余分な負担が掛かります。スポークが折れたりするトラブルの元になりやすいので一般には行いません。お客様には3クロス組で組み直すことを提案し了解いただきました。
スポークは前輪をサピムLaser、後輪をサピムRaceで組みます。Laserは中央部が1.5mmと細いのでスポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますので地面からの振動を吸収してくれます。このため乗り味が柔らかくなります。地面からの突き上げが減りロングライドに最適です。スポークが細いので剛性が落ちるのではと心配されましたが36本の数がありますので十分剛性は担保されます。後輪はRaceで中央部が1.8mmと少し太くして剛性を高めています。
スポーク組の一番大切なことは各スポークのテンションを揃えることです。チェーンを通してくる前に進む力は各スポークに均等に伝わります。スポーク側が均等に引っ張ってあれば前に進む力もロスなく伝わります。駆動ロスを少なくするにはできるだけスポークテンションを揃えることが肝要です。理屈は簡単ですが実施は難しいです。正しく行えば性能アップにつながります。
グラフで示しますとよくわかります。お預かり時点ではゆるゆるのスポークテンションでしたので約100kgfで仕上げました。また同じ箱に入れてお送りします。
お客様は同じ仕様のホイールをバックアップのホイールとして持たれています。とても自転車愛を感じます。