ヘッドインとヘッドアウト②

お預かりホイールを続けて研究させて頂きます。

先ずスポークの状態を見ます。グラフにするとわかりやすいのでいつも先ずグラフです。

スポークテンションは緩くてバラつき偏差値が高いです

状態がよくわかります。前輪は後輪と違い駆動には影響ありませんので緩いのかもしれません。

表をじっと見ますと先ず思いつくのは前輪のスポークテンションがとても緩く、ばらつきも大きいです。タイヤなしで約70kgf前後のテンションです。ホイールはクリンチャーホイールアルミですのでタイヤインストールしますとタイヤビードが影響してスポークテンションは10~20%下がります。ばらつきが大きいスポークテンションでしたら一部のスポークが50kgを割る可能性があります。緩いと問題です。

スポークテンションのバラつきと緩さが一番ホイールにとってスポークが折れたりニップルが飛んだりする原因になります。

現にお客様からの話では、特別に粗い乗り方をしたわけでもないのに2回ニップルが飛んだということを伺っています。ニップルはアルミなので破断することはブラスより多いのは事実ですが緩いスポークも原因の一つではないでしょうか?

ホイールのスポークはサピムのCX-RAYです。地面からの振動を吸収してくれるスポークですので乗り味は柔らかいです。柔らかい乗り味を狙って作っているのでしょうが何故ここまで緩いスポークテンションで仕上げるのかがわかりません。

73kgfは使えるテンションですが、私は緩いと思います。一般には100kgf前後で仕上げるといわれています。しかし正解はありませんのでこれが正解ですといわれると正解であるところがホイールです。

どの教科書を見ても(外国の本ばかりで日本語の教科書はありません)この数値が最適ですと書かれていません。しかしシマノからは発表されています。

先日、お客様よりご存知ですか?とシマノがホイールの適正テンションを表にして発表していると教えていただきました。これがその表です。シマノのディーラーマニュアルの16ページに掲載されています。

これはネットにアップされていますのでいろんな情報がよくわかり勉強になります。私はこの表を見落としていました。

シマノディーラーマニュアルより

シマノが発表している数値から考えますとお預かりホイールはギリギリOKですが通常は緩いと思います。

私には緩いと思いますが表を教えていただいたお客様はご自分でもホイールを組まれますので別の方法で調整されています。

先ず一番高い数値で組んでいろいろ乗ってみてゆっくり好みの数値にテンションを下げて調整する方法です。

私は大体このテンションと決めてしまいますがあとで微調整する方法もいいですね。ホイール組が出来る上級者ならではの方法です。

スポークテンションを均等に約100kgfで仕上げています

ホイールは上図のようにテンションを調整してお返ししました。どのように変わったかがわかるように引き取り時と調整後のグラフを添えています。

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