テンションドロップについて③

お気に入りのチューブラーホイールですがしばらく使わずにおいていました。

タイヤも少しくたびれていましたので取りかえました。振れとテンションを点検しています。タイヤをインストールしてスポークテンションを調べました。

結果は、スポークテンションはほとんど変わりませんでした。コンチネンタルのコンペティションならインストールしにくいチューブラータイヤの中で最右翼と思いますのでスポークテンションは下がるかもしれません。ただコンペティションも慣らしのために空気を入れてしばらく置いておけば比較的はめやすくなります。

いずれにしましてもチューブラーホイールではタイヤをインストールしましてもスポークテンションはほとんど変わらないということです。

 

今回のホイールの内容は

キンリン TB25 32h

ハブ 前輪シマノHB5500 32h

後輪シマノFH5700 32h

スポーク CNカラースポーク

ニップル アルミ

 

10速で乗っています。前輪ハブのほうが古いタイプです。

タイヤインストール前にテンション調整をやり直しです。最初に仕上げたときにしっかりとスポークテンションを均一にしていますので2,3か所さわるだけで調整は終わりました。

タイヤはコンチネンタルのGIROです。練習用のタイヤですがレースに出ないのでコスパの良いタイヤとして気に入っています。

 

ホイールを仕上げてタイヤをインストールしてもスポークのテンションがほとんど変わらないのはチューブラーホイールです。このことはタイヤによってホイールの性能が変わることがない、もしくは変わることが非常に少ないホイールいうことです。テンションドロップはほとんどしません。キンリンTB25リムを使えば安価に高性能のホイールができます。クリンチャー派の方も一考をお勧めします。

 

テンションドロップについて②

クリンチャーホイールの場合15%以上のスポークテンションドロップは避けられません。

このためスポークの寿命を縮めない程度にテンションを上げる必要があると思います。スポークテンションを100kgf以上保つためにテンションが下がることを逆算して120~130kgfになるように調整しています。

 

私はスポークを握ってわかるほどの熟練者ではありません。ホイールのフォーラムを読んでいますと意外とテンションメーターは使っていないベテランの方が多いようです。感覚派でなくテンションを数値化してホイール作りを行っていますのでテンションメーターが活躍しています。

一般的なパークツールのテンションメーターは今までキャリブレーションの依頼を受けました経験から15~20%くらい高めに出るようです。

 

後輪を作っていると仮定します。

キャリブレーションしていないテンションメーターで測りますと実際のテンションは左100kgfでもメーターは120kgf前後を示します。テンションメーターが120kgfを示したのでこれで完成とします。しかし実際は100kgfで張られていることになります。

ここでタイヤをインストールしますとスポークテンションは下がり80kgf、左は約この半分で40kgfになります。ゆるゆる状態です。スタートが本当のテンションではないのだから仕方ありません。

 

こんなことにならないようにするにはテンションメーターの校正、キャリブレーションしかありません。自分のテンション表作るしかないと思います。

ただ正確でないテンションメーターはテンションを揃えるだけの目的でしたら絶対値が分からなくても使えなくはありません。

手作りのテンション校正器

 

ネットであるフォーラムを読んでいましたら手作りのテンション校正器を作っている人がいました。これに使っている秤は意外と正確です。通販で調べると安価に出ています。

私はキャリブレーション用の機械をドイツから輸入しましたが使っている秤は中国製の秤でした。大丈夫かなと思い校正機関に秤の校正を依頼しましたところ正確に100kg、120kgを示すことが分かりました。スタート地点がはっきり分かったことで安心です。

数値は正確と証明いただきました
校正機関の証明書

以上、キャリブレーションされた正確に測れるテンションメーターがあればクリンチャーホイールのテンションドロップが大きくても無事クリアーできると思います。

テンションドロップについて

クリンチャーホイール、チューブレスホイールにタイヤをインストールしますとホイールのスポークテンションは大きく下がります。

一例をあげます。

このグラフのホイールですがキンリンのXR31RT28hのリムを使ったホイールです。

左70.2kgf/右119.7kgf

IRCのフォーミュラー・ライト25mmのチューブレスタイヤをインストールいたしました。

結果はこうです。

左56.4kgf/右98.1kgf

約2割弱テンションが下がります。もっと下がるリムもあります。リムの剛性と構造が影響すると考えられます。リムが柔いとビードの影響を受けやすいということです。

 

クリンチャーホイールはタイヤのビードがリムに影響してスポークのテンションダウンがおこります。このテンションダウンはどうしても避けられません。

 

ビードを伸ばしてなじんでからホイールにはめる方法は有効と思います。最初サブホイールにインストールしておいてタイヤがホイールになじむというかビードがある程度伸びてはめやすくなってから本命のホイールにはめなおすという方法もありと考えます。

 

今はホイールを仕上げるのにスポークテンションをできるだけ高く仕上るようにしています。しかしテンションの上げすぎはスポークの寿命を縮めることになりますので120~130kgf近くまでにしています。

 

これなら約20%下がっても100kgf前後をキープできます。

ただいつも考えるのですがスポークテンションに関して正解がないように思います。大体このぐらいで納める。いろんなメーカーのホイールを調べてみて推奨テンションは大体このくらい100kgf~120kgfです。これという数字はありません。

質問がありました

ホイールをお買い上げいただいた方より質問がありました。

 

この方はご自分でホイールを作りたいということでいい参考書を教えてほしいと連絡がありました。

日本ではホイール専門書はないので雑誌の情報とかネットのブログなどから情報を得るしかありませんが初めての方にはわかりにくいと思います。

 

そこで私のおすすめはhttps://www.wheelpro.co.uk/wheelbuilding/book.phpです。

英語ですがとても分かりやすく書いてあります。

この方もこのE-bookを買われて勉強されました。リム、ハブを購入され正確に寸法を取られたようです。次のステップでスポーク長を出すときに2点わからないと尋ねてこられました。

私は慣れているのでなんでもないことですが初めての方にはこれはなに?ということが出てきました。

Cross,Diaが分からないとのことです。

説明の連絡をいたしましたが結構こんなことが起こるものです。よくパソコンで一度わからなくなると何が何だか全く思考が止まったようになることがあります。ちょっとしたことでわかるのですが今回はこの一例のようです。

 

無事にスポークも発注されたようです。もうすぐ第一作目ができると思います。通勤用のクロスバイクに使われるとのこと。楽しみです。

注射器スポイトの活用

100円ショップで売っている注射器型スポイトが結構活躍しています。

ニップルにオイルを注すのにこれを使っています。本来化粧品の小分け用に使われているスポイトです。百均でも化粧品の売り場に置いています。

今まではオイルを注ぎ足すことで使っていましたがチューブレスタイヤでも使っています。

チューブレスタイヤを取り換えるとか、うまくビードが上がらなくやり直しの時にこの注射型スポイトが活躍します。

 

シーラントを入れるときにこの注射型スポイトを使っています。何度も繰り返して入れないといけませんが10回ほどの手間ですので手間というほどのものではありません。シーラントが横に漏れることなく入れることができます。シーラント用の専用ポンプも売っていますが価格的にもこのスポイトはお手軽です。

さてチューブレスタイヤを外すときに手がべとべとになって困るということを聞いていますがタイヤ片方のビードが外せばタイヤの下にシーラントがたまっているのが見えます。この見えているシーラントをスポイトでくみ取ってしまいます。何度もスポイトで吸い取らないといけませんがこれもそんなに手間なことではありません。きれいに吸い取ってしまえばあとの作業は簡単です。リムのテープを張り替えるときのそんなに手がべとべとになることはありません。

 

また同じ作業になりますがシーラントを入れるにはこの注射型スポイトで入れることになります。

セラミックベアリング

注文していたベアリングが届きました。ノバテックハブなどのフロントハブに使われている699規格で、ハイブリッド セラミックベアリングです。

NTNのシールドベアリングとはすこし構造が違いますので全く回転が違います。気持ち悪いくらい回るのですが日本製ではありません。で、強度的にはどうかとかいらない心配をしています。

偏見を持ってはいけないのですが変なところでおかしな気持ちがわいてきます。

写真上段がセラミックベアリング、下段がNTNのシールドベアリングです。構造上の違いがあります。上段は雨、埃には弱いと思います。頻繁に取り換えることが必要でしょう。下段のシールドベアリングはスチールでシールしていますので耐久性があります。どちらも安価なものです。ベアリング取り換えはそんなに難しくありません。ちょっと勇気がいるだけです。簡単に取り換えられます。

 

出発点を揃える

ホイールの仮組が終わってからさあこれからニップルを締めていく作業が始まります。

いろんなブログなどではニップル回しの回転をかぞえて順番に締めていくとかいろいろな人のやり方が紹介されています。

仮組のゆるゆるのスポークを締めていくのにスタートを揃える必要があります。

一般的なのはスポークのねじの最期の部分をスタート位置にする方法です。

仮組の状態から各ニップルを回していくのですがどのニップルもスポークのねじ山最後のところで止めてこの位置がスタート地点にするのです。

ねじ山がかくれるところまで
ねじ山が隠れたところがスタート

私はもう少し簡便方法で行っています。普段電動ドライバーを使っていますのでビットの先がとがっていますからあるところまで回すとスポークの先とドライバーの頭が当たり空回りします。この空回り状態をスタートにしています。

ニップルによっては電動ドライバーを使えないニップルもあります。この場合はねじ山の最期の位置がスタートです。

このサピムのニップルドライバーもある位置にきましたらドライバーの先端とスポークの頭が当たりドライバーが空回りします。空回りしたところが始まりの位置です。

ゆっくりやればできるなんて抽象的な説明をされているユーチューブや均等に回せばいいという説明が意外と多いのです。

 

ここから始めるという位置を決めれば簡単です。

スタートする位置はいろんなビルダーさんがおられてそれぞれやり方が違うのですが一般的にはねじ山の最期までニップルを回してここから始めるというのが多いです。

 

ここから始めるという感覚が分かれば上達は早いと思います。あとは均等に締めこんでいくだけです。

ニップルインサーター

ブログを始めた最初のころは使っている道具のことを書いていました。

ニップルレンチやテンションメータ―などホイール作りに使う道具のことを書いていました。同じような内容になるかもしれませんがまた書いてみたいと思います。

 

ニップルインサーターですが手作りでこのようなものを使っていました。スポークを使いやすいように曲げて作ったもの、精密ドライバーをニップル回しに使えるように作ったものです。

その時々に応じて便利に使えるようにといろんな情報をえて試してきましたが一番使いやすいと思いますのがこれです。

ダイヤモンドヤスリの先をほんの少しぽきんと折った、このヤスリです。

私にはこれが一番使いやすいインサーターです。

ニップルを入れる箱、ニップルシャッフラーと呼んでいるのですが一合升を改造した手作りの箱にニップルを入れ、やすりインサーターでニップルを突き刺しながらスポークに差し込んでいきます。とても作業が早く簡単に仮組が終わります。

古いメンテナンスの解説本を読んでいてやすりを使う方法を紹介している本を再発見しました。

だいぶん昔に買った本ですが見落としていました。やすりを使う説明文が載っているのです。同じことを考える人がたくさんいるのだなと思いました。

 

このように本で紹介していますが、意外と見落としてしまうtipsがこれです。

綿棒を使う、つまようじ、古いスポーク、精密ドライバーの先にスポークで作ったビットをつける、いろいろ試してきました。ホームセンターで買ったこのやすり、もう5,6年使っています。とても便利でホイール作りには欠かせません。

振れ取りしました

鉄下駄ホイールの紹介で写真を撮りました。

ついでに久しぶりなので振れ取りをしようと振れ取り台にセットしました。

一か所振れが出ていました。

1/8回転ほど回して振れ取りは完了です。

振れ取りがほとんど要らないのは

  • ホイール完成の時にストレスリリーブ(なじみだし)をしっかり行っている
  • スポークテンションをできるだけ均一になるようにテンション調整を行う

この2点をしっかり守って行っているからです。

 

 

このホイールは5年ほど前に作ったホイールです。

チューブラーホイールです。リムはTB25 32h、チューブラーリムは4000円前後で販売されています。スポークは星のスターブライト#14ニップルも星のアルミニップルです。重いのですが安価でよく回るお気に入りのホイールです。

 

振れ取りは2回目です。スポークのテンションをドライブサイド測ると110kgfです。タイヤをインストールしましたので110kgfです。インストール前は120kgfでした。タイヤをはめると10~15%テンションが下がります。これは仕方のないことです。テンションダウンを防ぐのにタイヤを伸ばしてはめる方法もありますが私は行っていません。

 

1回目の振れ取りで初期ブレを取っているのですがこの時も数か所しか調整していません。

今回は2回目です。一か所さわっただけでフレもなくよく回っています。

 

スポークテンションは偏差をなくすことがとても重要です。ホイール作りにおいて縦横の振れが取れても完成ではありません。

各スポークのテンションが揃っていなくても振れ取りができます。スポークが交差するホイールの場合左右2本ずつ合計4本のグループで構成しますので各スポークがほぼ同じテンションでなくてもグループ単位でそろっていれば振れのないホイールが出来上がります。これがホイールのトラブルのもとになります。

振れが取れてから今一歩、各スポークのテンションをできるだけ均一になるようにテンションをそろえてあげれば狂いが出ないホイールに仕上がります。私は偏差を5%以内になるようにしています。おかげでスポークは一度も折れたことはありません。

鉄下駄ホイールは結構早い!

私の好きなホイールは32h、36hのホイールです。輪行で遠くに行くときはいつもこの多スポークホイールで行くことにしています。

理由は乗り心地が柔らかく疲れにくいことです。おまけにスポークが落車などで1本折れてもそのまま乗れるホイールです。安全安心のホイールです。

以下普段に使っているホイールです。

キンリンTB25 32h 3クロス組
キンリンTB25 36h
キンリンTB25 32h

前の記事に書きましたがホイール5本を評価しましたことからなお一層この多スポークホイールが好きになりました。

 

FTP300wのシクロ選手が5本のホイールを乗り比べました。

私の作ったxr31t/rt、大阪の有名手組ホイール、あるショップの32h鉄下駄ホイール、ユーラス、レーゼロの5本を一定の距離間を270Wで走ってタイムを取るという手法です。タイムはストップウォッチではなくパワーメーターのデータより計測していますのでタイムは正確です。

 

結果の中で特筆することに32h、2000g以上の鉄下駄ホイールが登りに強いことが分かったことです。シマノハブ32hで非常に重いのですが剛性高く仕上がっているのです。力が逃げることなく前へ進むことが分かりました。とても重いホイールですが意外と登りに強いのです。

 

競輪のホイールは36hです。1000W以上の力を逃がすことなく反映するにはやはり多スポークホイールがいいわけです。

 

いろんな雑誌やネットでは鉄下駄の重いホイールは敬遠されています。バイクのアップグレードの方法に軽いホイールばかりが注目されています。もちろん軽いのに越したことはありませんがよい結果を出すにはそれなりの価格になります。

 

今回の比較実走でタイムを見ると32hの多スポークホイールが登りに強いことが分かりました。32hのホイールは重くて走らないイメージですが全くそんなことはありません。非常に登りに強い結果でした。

『軽さは正義』のタイトルで4月号のサイスポは発売されましたが全然違う話です。

 

重い鉄下駄ホイールが結構いい感じで登りに力を発揮いたしました。

もちろん乗る人の力量、乗り方で違うのでしょうけれど270Wの一定の力で登った限りとてもいいタイムでした。32hの鉄下駄ホイールはよい結果を残しました。

 

もちろん軽いホイールに越したことはありません。重量がホイールの価値判断の指標となっていますが剛性が伴っての話です。

単に1300gを切っているホイールというだけで走るホイール、登れるホイールとするのは危険な感じがします。

 

この記事を書いていて思うのですが私もホイール販売のツールに重量を一番に書き込んでいます。自戒をこめてやはり剛性が伴っての軽量化と思います。

 

鉄下駄ホイール、大いに結構です。どうしてもゾンダ、レー3、レーゼロに目が行きますが32hの鉄下駄ホイールは隠れた力を持っています。価格も安い!!