スポークの緩み止めについて

ホイールを作り始めて10年以上、結構長いのですが今までに使ってきたスポークの緩み止めについて考えたいと思います。

ホイール作りを始めたころはニップルにさび止めのクレ5-56をひと吹きかけてスポークを通していました。あるショップの方よりこれで十分ですと教えていただいたのですがこれだけではスポークの腐食防止にはなりますが緩み止めにはなりません。いろいろ知っていくうちにいろんなものを試すようになりました。

あるショップの方から緩み止めにはWheelsmithのSpokeprepがいいよと教えていただきました。

なぜ色を変えているのかわかりますか?といわれ最初わからなかったのですが後輪の右と左の長さが違うので色を変えているのです、との答えです。うまいこと考えたものです。

 

このプレップも最初使い方が分からなくショップの人が容器にスポークの先だけをつけてスポークを使ってこのプレップをのばしているのを見ました。ああこうするのかと見様見真似でやっていました。しかしながらこれではうまくスポークにつかないことが分かりました。スポークの油分を取ってからでないとプレップの効果は薄れます。

次に使いだしたのがリンシードオイルです。これはアメリカの自転車フォーラムで紹介されていたのを知りました。

リンシードオイルて何?と思っていましたが亜麻仁油のことでした。

 

このオイルの特徴は使用後時間が経つにつれて固まる性質があるのです。空気に触れると固まるのですが固まるのに少し時間がかかります。ホイール作製後1週間から10日後にはオイルが固まってニップルの緩みを防いでくれます。

時間が経つと固まります

安価で1Lで1000円ほどです。1Lあれば一生分のホイール作りに事足ります。私はこのリンシードオイルは手軽なので最近まで使っていました。小分け用の容器にオイルをいれスポークのねじ部分をちょこんとつけるだけで終わりです。これで時間が経つとニップルの緩み止めになるので本当に手軽です。

 

海外の有名なビルダーのブログを読むと結構使っている人が多いようです。ただこのオイルを使っていることはとても素人のように見られるので見栄でスポークプレップを使用している人もいるとか。それだけ有効と考えている人が多いのでしょう。

ロックタイト220も便利で効果あります。固まりがきつくないので使っています。スポークねじ部分、ニップルにはオイルを使いホイール完成の最後にこのロックタイト220を一滴たらして終わりです。緩いタイプですと後でニップルを緩めるときに困りません。

油分をしっかりとる
乾くのに時間がかかるが効果は大

最近はFixというテフロン系のプレップを使うようになりました。ニップルのガルバニック腐食防止に対して一番効果があるということで今はこれを使っています。

 

WheelsmithのSpokeprepやFIXを使うときにはしっかりとスポークの油分を取っておかないとニップルを回していくにしたがってぽろっとプレップが剥がれ落ちてしまうことがあります。

テフロン系のプレップを使うときの注意として気を付けなければいけないことはスポークの油分をしっかりとることです。

私はペンキのうすめ液とアルコールの2種類を用意しスポークのねじ部分の油分を最初はペンキのうすめ液、次にアルコール液とスポークを握ってシャカシャカとかき回して油分を取っています。こうすることでテフロン系のプレップはしっかりとねじ部分に塗ることができます。

こうした緩み止めの下処理はホイール作りには直接影響しませんがホイールを長く使う上では大切な下処理と思います。

 

プレップの塗り方も上手になりました。最初はスポーク2本を溶液にスポークの先だけを液につけて後でスポークのねじ部分のいきわたるようにスポークを両手に持って1本ずつ持ってのばしていたのですがとても時間がかかっていました。ある時ふと刷毛を使ったらいいと思いつきそれからは刷毛で塗っています。小さな刷毛ですが百均で購入したものです。

小さな刷毛、筆は便利ですね。グリスもこれで塗っています。無駄なく細部にうまく塗れるので重宝します。

 

海外のプロビルダーの仕事場写真は参考になります。こういう使い方したらいいとか写真でだいたいが分かります。

DTリムRR411ホイールをチューブレスで使う

超ベテランの方の注文ホイールはお納めできました。初めてチューブレスで乗られるということを伺っていましたのでホイールの1本はリムテープを巻いてもう一本は巻かずにご自分で練習のために巻いていただくという形でお納めいたしました。

結果からいいますと大変てこずられ、何度もやり直しをされたようです。問い合わせもありました。新しいテープをお送りし、私なりのアドバイスをいたしました。

 

このRR411リムの表面処理は艶消し処理で作られているのでリム面がざらつきリムテープの貼り具合が弱く空気が漏れました。どうして空気が漏れるのか原因を調べていただきました。

対処方法としてはリムをしっかりきれいにすることです。アルコールなどでリムについている油分、ホコリをしっかり取り除くことが肝心です。場合によってはリムを石ケンで洗い油分をとりしっかり乾かす方法もいいやり方です。

RR411リムは幅が22㎜内寸が18㎜です。リムテープを22mmのテープを使うことでリム内凹みに沿ってリム内両端ギリギリまでテープを貼れるようにしていただきました。

きっちり貼れていません
丁寧にゆっくりシワなく貼る

急いで巻くのではなくゆっくりゆっくり押さえながらテープがリム面にしっかり張り付くように巻いていただきました。ゆっくりテープをのばしながら指圧をするような感覚です。

何度もやり直しをされたのですがテープ貼りはうまく成功しました。

 

RR411リムのリム面は梨地でざらついています。このリム面が影響してリムテープの貼り方を難しくしています。何度も繰り返してリムテープを替えていただきましたが最終的にはうまくいきました。

 

努力の甲斐あってこのホイールの乗り味は本当によく、チューブラーのホイールを乗った時の驚き以上のホイールと大満足のご連絡をいただきました。チューブレスは初めてだったのですがもっと早く試したらよかったと話されています。

 

超ベテランのライダーが初めてチューブレスを体験されました。そしてその良さを感じていただいたようです。ちょっとインストールが難しいチューブレスタイヤですが使ってみる価値はあります。面倒そうでためらっておられる方にお勧めです。

万能作業台

アメリカのビルダーさんのホームページを見ていてこの作業台をメインの作業場の横に置いてある写真を見ました。

私も前からホームセンターにおいてあるのを知っていました。便利そうだから買おうと思っていたのですが悩んでいました。でもやっと買うことにしました。

ためらっていた理由はただでさえ狭い環境ですのでこれ以上ものが増えることはやめておこうと思っていたのです。しかし買ってみて良かったです。折りたためるので使わないときは立てかけておけばいいのです。

スポークのプレップを塗るときはいつもメインの作業台を片付けていましたがそれもしなくて作業が進みます。ハブのサイズを計測するときもこの作業台で行っています。

今まではメインの作業台に常備おいている振れ取り台を片付けながらしていた作業を行っていましたが横に置いてあるこの万能台を使うことで楽になりました。これが1980円です。もっと早く買えばよかったです。

ヘルメットの隙間から蜂

昨日ですが気持ちよく走っている時にいきなり頭のてっぺんがちくっとしました。ヘルメットの隙間から蜂が入ったのです。

すぐにヘルメットを取ったのですがやはり刺されてしまいました。

どんな蜂かはわかりませんがあまり大きくなかったようです。痛みは感じましたが特別にアレルギー反応など起こらずに済みました。

前のヘルメット

以前使っていたヘルメットはちょっとお値段も高めのヘルメットで網の虫よけも中に貼ってありました。このヘルメットは昨年の落車の時に私の頭を守ってくれました。ひびが入ってしまい今の分に変わっています。

今の分は廉価版でこけたときの予防になればいいという感じで購入し虫よけもない安価なヘルメットを使っています。

 

蜂に刺されたのはこれで2回目です。一回目は5年ほど前でファスナーを下ろして走っていた時胸の中に入ってきました。急いでシャツを脱ぎましたが刺されてしまいました。ちくっとしてしばらくしてから赤く腫れてきました。痛みが強かったのでお医者さんに行って処置してもらいました。この時に蜂の怖さを聞いていました。

 

蜂に刺されて2回目以降はハチ毒に対するアレルギー反応が加わります。反応には個人差が大きいですが、ひどい場合アナフィラキシーショックで死に至ることがありますので要注意です。

今回はひどい反応はなかったのですが暑くなってのこれからは気を付けなくてはいけません。

まさかヘルメットの中に入ってくるとは思わなかったのですが蜂は黒い色に反応するとお医者さんから聞いていました。そういえば私のヘルメットは黒色です。網ネットがない安価な黒いヘルメット、悪い条件がそろっています。買い替えることにします。

32hのホイールを依頼されました③

スポークテンションのグラフ化についてお話します。

超ベテランの方から32hホイールを組む注文をいただきました。ハブはシマノDuraハブHB7700、FH7700の前後セットです。ハブは持ち込みで私のほうはリムとスポークを用意するという注文です。

納品の際スポークテンションのグラフを添えて納品いたしました。

このグラフはとても説得力があったようです。素晴らしいと唸っていただきました。私にとっては覚書のような位置づけのものでしたが喜んでいただけたようです。

 

ホイールの作製において振れ取りは一番大切な作業です。通常は振れを取りなじみだしを行えば作業は終わりです。ここで一番大切なことはスポークのテンションができるだけ均一になるように調整されているかが問題です。この作業を怠るとスポークが折れたり、スポークが伸びる原因となります。長く乗っていると必ず出る振れがとても早く出る原因となります。

 

私は縦、横の振れ取りによる振れの最小化+スポークテンションの均一化、この2つを視覚化して行っています。

これが技術といえば技術なんですがビルダーとしてそんなに長い経験もない私がわりと早く高精度に仕上げれるようになれたもとになっています。

グラフ化し、データを可視化することのよりどのくらいニップルを回せばいいかと逆に計算ができます。

 

神の手を持たないビルダーが最良の結果を出す方法としてスポークテンションの可視化が一番と思っています。

『手組ホイール』をキーワードにいろいろな方のブログを読みますとJベントスポークのホイールはスポークが折れやすいとJベントスポークホイールをけなしておられるブログに当たりました。ホイールはストレートスポークでないと折れる欠点があると言っている人のブログでした。

私はこの方の意見にはあまり賛成できません。スポーク折れトラブルのほとんどがスポークテンションの不一致が原因と考えています。要は組み方が下手、もしくは手抜きではないでしょうか。経年劣化でない限り折れの原因はスポークテンションにあると思います。上手に組めばなかなか折るものではありません。

こんなことからもスポークテンションのグラフ化は有力なツールといえます。

プライムのハブについて

安価で軽量ハブを探していました。

Wiggleでプライムハブを見つけたので購入しました。価格は送料込みで9500円ほどです。送料込は大きいです。

届いたので内容を見てみました。

はっきりとわからないのですが、どうもノバテックの製品ではないかなと思います。

製品としてしっかりした品物でしたら別にどの名前でもいいのですが、プライム?なに?と思っていました。

 

ハブフランジのサイズを見るとノバテックA291SB,F482SB-11の寸法と同じサイズです。

ハブの塗装は違いますが基本的なサイズは同じです。

後輪のABGアンチバイトガードが装備されています。これはノバテックの特許だそうです。

 

サイズ、形、中のベアリング、ABGとこれらから判断してノバテックと思っています。

どこで作られたとかべつにどうでもいいことですが価格がお安く性能がよかったらいいのです。20/24hしか販売されていませんが安価にいいホイールが出来ると思います。

32hのホイールを依頼されました②

DuraハブHB7700,FH7700を使ってホイールが完成しました。

超ベテランの方からの依頼です。少し気合が入っています。

 

ハブデータは実測しました。

デジタルハイト計で計測

理論値の後輪スポークテンション比率は66:100で左が高い数値です。スポークが32本ありテンション比率もいい数値です。駆動ロスが少なく長時間乗っても疲れにくいホイールに仕上がります。

後輪用 オフセットリム 447g
前輪用 417g

リムはDTのRR411を使いました。チューブレス対応のリムで後輪はオフセットリムです。420~450gの重量はアルミリムでは剛性を得るにはこのぐらいの重量が必要と考えます。キンリンのXR200などを使うともっと軽くできますがあえてこのリムをお勧めしました。チューブレス+オフセットのメリットは大きいです。

前後ともに3クロス組
前輪 711g
後輪 989g
前輪 3クロス組
後輪 3クロス組

 

王道の3クロス組です。スポークテンショングラフは以下の通りです。出来るだけ振れを取りながら各スポークのテンションを均一にする。簡単に言えばこれにつきます。

 

昨日完成しましたが1日おいて再調整しました。実際一日置くとスポークのテンションが少しですが落ちていました。またテンションを上げて仕上がりです。

このハブ使ったホイールは美しい。私も欲しいです。

O様より応援メールいただきました

ヤフオクに出品していました私のホイールに興味を持っていただいた方より励ましのメールをいただきました。許可をいただいていますのでこのブログに掲載いたします。応援していただいてありがたいです。

広いスペースに保管されています。以下全文です。

 

以前ホイールを2セット購入したOです。
色々とお世話になりました。

私のような素人目線からの素直な感想を見て多少の参考になる方が居ればと思って書かせて頂きますね。

高校生の時のロードバイクは、ミヤタのフルアルミ製10万位の14段のWレバー。ホイールは、格安手組みに練習用の千円程度のチューブラー仕様でした。
44歳になり、昔の良き思い出だけを頼りに再びロードバイクを中古購入するが、あまりの違いに愕然としました。アルミフレームですけど、フォークはカーボンなのにガチガチな乗り心地で手も痺れて軽快さが無い!歳のせいか、思い出が美化され過ぎてるのか???
ホイールは、フルクラムレーシングクワトロに
コンチネンタルグランプリ4000SⅡです。
雑誌やネットで調べて悩み続ける日々でした。
ホイールやタイヤで走行性能が大幅に変わるとの情報が多く、フルクラムレーシング3で検討してました。軽さは大事で、後悔したくないならレーシングゼロ!って意見も多いけど価格も…
ふと、高校時代からの友人がシマノに勤めている事を思い出し早速相談しました。
そもそも手組みの良さを知ってる人に完組みは、ガチガチでお勧めしない事や今の世の中チューブラーでは無い事も初めて知りました(汗)

軽さを求めたホイールは、速度維持するのに大変な事やハブとリムのバランス、慣性の説明も聞き軽さ神話は脆くも崩れ落ちました。
何気にヤフオクで物色してると、ただならぬ違う匂いの出品者に心寄せられました(笑)
測定器の校正をしてるのは、ただのヤフオクの出品者では無いなとすぐ分かりましたね(笑)
売ってしまえば終わりと考えるなら、超軽量ホイールにして目を引けば簡単ですがそうじゃない所が流石だと思いました。
ブログを一通り読ませて頂き、体重や使用目的をお伝えして、要望はチューブレスにする事と、オリジナリティを出したいのでスポークをアクセントに少しカラー化したいと伝えました。

装着したタイヤは、IRCのフォーミュラプロのライトです。
走行してみると、振動吸収性はタイヤ要因もありますが明らかに良く手がしびれ無くなりました。漕ぎ出しでは元々ガツガツ踏まないので驚く程軽くは無いですが、少し走りだすと速度は明らかに出てます。ペダルを止めても速度を維持し続ける回転力も凄く向上しています。

乗るのが楽しくなり、乗る機会がとても増えて楽しいです。
20キロ~27キロの速度しか出さない子供でも、違いはすぐ分かるようで、お試しで貸しただけなのにあまりに欲しがったので、2セット目も注文しました。子供に勿体無いと妻は言いましたが、せっかくロードに乗るなら本当の良さや楽しさももっと知って欲しいと思いました。私自身が高校の時に手組みチューブラーの良さを知って存分に楽しんだ思い出があるから余計そう思いました。
自分のホイールのタイヤは自分で装着しましたが、手が腫れる程辛かったので息子のホイールを注文した際にはタイヤ付きで購入させて頂いたのは言うまでもありません(笑)
IRCさんのホームページのタイヤ装着動画は簡単そうに付けてますが、自転車屋で聞けばあんな簡単に付けれないメーカーだよ!との事でした…

シーラントの運用ですが、私のホイールでは無しで使っております。基本的に乗る度に空気入れるタイプなので数日大丈夫なら気にしません。息子のホイールは、同じリムを使用してますがシーラントを使用して使っています。出先でのトラブルに対処出来ないからもあります。

サイクルイベントに行っても、同じ仕様にまず会わないですし、お勧めします。
遠方からの注文でしたが、下手な自転車に触られたくないのでアフターまでお任せ出来るので安心ですよ♪
良く無ければ子供のホイールまで再び買いませんからね。
ハイアマチュアレベルでの感想もありましたが、私のような素人でも性能的にもデザイン(見映え)も大満足です☆素人が体感出来るってのは、それだけ変化が大きいのだと思います。
写真も添付しておくので良かったら使って下さい♪

お父さんのバイクです。 グリーンスポークをアクセントにしています。

息子さんのバイクです。 グリーンのスポークで作製。

振れ取り台にダイヤルゲージを取り付け②

X-toolsの振れ取り台はなかなかコスパの良い製品と書きました。この丈夫さ、使いやすさで約1万円はお買い得と思います。

使い勝手をよくするためにはダイヤルゲージを取り付けて使えることが必要です。これにはマグネットベースを使っていました。このマグネットベースを振れ取り台の足の部分を使って取り付けていましたがもっと楽に使える方法がないかを考えていました。

ステンレス平板でマグネットベースを使います

ダイヤルゲージはマグネットベースに取り付けていますので机が鉄であれば簡単でいいなと思っていました。このため30cmx40cmx0.5mmのステンレス平板を使うことにしました。価格も1000円ほどです。このぐらいのスチールの板があれば簡単にマグネットベースを設置できます。実際に置いてみました。とても使いやすいと思います。簡単でお勧めです。

体重とホイールの関係について

ホイールを作る際体重を考えて作る必要があると考えています。ホイール作製の依頼を受けるときは必ず体重を伺っています。

 

ホイールの剛性はスポークの太さ、タイプでも違います。またリムの形状によっても違います。このためこのリムを使ってこのスポークでは体重がこの体重までというような厳格な分け方をしていません。現に完組ホイールメーカーでも分けていません。体重何kgまでということは決めているようです。柔なホイールでも人を乗せることはできます。

 

しかし大体の目安はいると思います。いろんな経験豊かなビルダーさんの意見をあつめて私なりの目安を決めています。

 

20/24h  75kg+少しの重量

24/28h  90㎏まで

28/32h  110㎏まで

32/32h  どなたでも

 

この指標を目安にスポークの太さで調整しています。

前後32hであればどなたでもOKです。こんな意味でも多スポークホイールの32hは乗る人を選ばないホイールです。

 

一例をあげますと、400g以下の軽量アルミリムで20/24hのハブを使い細いスポークで組み上げると1280g~1300g前後で組み上げることができます。

この軽量ホイールがどなたでも対応できるかといえば難しいと思います。90㎏の人でももちろん乗れることはできますが上り坂でぐいぐいとダンシングすれば剛性の面で、コーナーでのホイールの撓みなど強度面、耐久性で体重に合わない軽いホイールは危険と思います。

 

雑誌のサイクルスポーツでは『軽さは正義』と名を打ってロードバイクの軽量化の記事を載せていました。確かに理論的にも軽量ホイールは有利ですが剛性が伴っての軽量化と思います。

 

あるライダーに私の作ったホイールや、ユーラス、レーゼロなど5種類のホイールを乗り比べた実験をしていただきました。この方は73kの体重でFTPは300という強者です。この実験で32hの2000gを超えた手組ホイールが7%の登りで結構よい結果を出しています。

これに反してサピムCX-RAY でしっかり作ったつもりの私の軽量ホイールは7%の登りで32hのホイールにタイムで負けました。

 

これはホイールの剛性と乗り手の体重が影響していると考えています。重くても剛性と体重の関係がよければホイールは走ります。軽ければ軽いほどホイールはいいホイールという考えではなく乗る人の体重を考慮に入れて剛性を含んだ軽量化が必要と思います。体重の重い人がスポークの細い軽量ホイールに乗ってもホイールは撓んで力を逃がしてしまうに違いありませんし危険度が増します。軽さは重要なファクターですが軽いだけで選択するのは間違いと思います。