後輪ハブの分解、組み立て

スポークを外して単体にしているハブは勉強も兼ねて分解掃除します。ベアリングも取り換えるようにしています。

 

ベアリングの取り換えは難しそうに見えますがハブの構造は単純ですので慣れると楽しく作業ができます。機械は分解するときが楽しいものです。

 

いつも使いますノバテックのハブは5mmの6角レンチ2本を使ってばらします。

片方のキャップを外して、次に10㎜のレンチと5mmのレンチでもう片方のキャップを回して両キャップ取り外します。

 

フリーは引き抜きます。回しながら行えば簡単にフリーを抜き取れます。

ハブは単純な構造です。

パーツを順番に並べておけば組み立ては楽にできます。外した順番通りにもとに戻せばいいわけです。

プレス機で圧入します

ハブ単体状態でのメンテナンスにはこのプレスを使っています。ベアリングの圧入は簡単です。古いベアリングを使って新しいベアリングの後ろから押し込むのですがこのプレス機を使えば芯出しを心配することなく圧入出来ます。

スポークがある場合使えないのでほとんど稼働しない道具です。単体ハブのメンテナンス作業は楽にでき、精度の高さを考えますと便利な道具だと思っています。道具好きに向いています。

前輪ハブのベアリングを取り換えました

シマノハブはカップアンドコーンですので雨の影響を受けやすいので割とまめにグリスアップを行っています。シールドベアリングの場合はすべて取り換えです。

頻繁ではありませんが取り換えるとホイールは新品状態に戻せますのでベアリング取り換えを行っています。シールドベアリングは1個300円ほどで手に入ります。前輪なら2個取り換えで新しいホイールになります。

スライドハンマーを使うのが手軽です

初めてベアリングを取り換えたときは勇気がいりました。失敗したらどうしようと思ったものでした。失敗は杞憂に終わりました。とても簡単です。

特殊な道具なしでもできますがスライドハンマーがあればとても楽にできます。私は自動車工具を置いている店で購入しました。先につけるアタッチメントは前輪には8mm用があればいいです。めったに使う道具ではありませんが道具好きの方は揃えておかれても良いかなと思います。ただし価格が本当にまちまちでよく調べる必要があります。

アンカーボルトでたたき出す方法もあります

スライドハンマーを使わない場合はポンチでたたき出す、もしくはアンカーボルトでたたき出す方法があります。8mm、16mmのアンカーボルトがあればベアリング取り出しはできます。

 

ベアリングの圧入には長ネジを使った道具が販売されていますが私はホームセンターで購入した6M120mmのねじをバイスに挟んでナットで圧入しています。

安価な汎用品で十分つかえます

必要な道具は

ベンチバイス

取り出した古いベアリング

6M120mm長ねじ、長ナット

ベアリングとほぼ同サイズのワッシャー

メガネレンチ

それに新しいベアリングを2個

これらを用意します。

 

先ずスライドハンマーでベアリングを引き抜きます。カンカンと2回ほどハンマーを振りますと簡単にベアリングは取れます。

6M120mmのねじをバイスに挟んで

写真のようにバイスの6M120mmの長ネジをセットして新しいボアリングを入れて後ろから取り出した古いベアリングとワッシャーで押し込むわけです。メガネレンチでナットを回してベアリングを圧入していきます。レンチを回して行けばすんなり入っていきます。

古いベアリングで後ろから押し込む
ベアリングの後ろはワッシャーを数枚かさねています

今まではたたいて入れていたのですがセンターを出して入れるのにコツがいりました。この方法ならゆっくりとベアリングの入り具合を観察できますので楽な感じがします。

叩いて圧入する方法は慣れればとても簡単

さて、慣れた人ならどんな方法でも簡単ですがゆっくり見ながら進めるということならこの方法が良いかもしれません。ハブの構造は非常にシンプルで特に前輪は何の心配もいりません。10分ほどで終わります。

シールドベアリングの良いところは取り換えたら新品になるということです。

ニップルにグリスを塗る

ニップルを保管する小瓶にはオイルを入れてニップルのオイル漬けで保管しています。

オイル漬けで保管している

使用するときは事前に必要な数を出して紙の上に出しておいて余分なオイルを取り除いて使うようにしています。ニップルはオイルでコーティングされています。ニップル面とリム面の摩擦を少なくできますので回転させやすく手間がかかりません。

刷毛でニップルにグリスを塗っています

違う方法も行っています。穴なしカーボンリムではニップルとリム面の摩擦なく回転させるにはニップルにグリスを塗るのが良い方法です。スポーク穴部分にオイルを注せばよいのですが売り物のホイールですのでできるだけきれいに仕上げたいものです。そのためにニップルにグリスを塗りながら使用するのが良い方法です。

 

自分用のホイールなら簡単にオイルをひと注しすればいいのですが販売用のホイールにはできません。オイルがリム面に漏れ出します。ごく少量でもリム面にはオイルが出てきます。きれいにホイールは仕上がりません。このため一個ずつニップルにはグリスを塗りながら、つまりニップルをスポークに通す前にほんの少しグリスを刷毛で塗っています。この方法が一番良いと思います。ひと手間でニップル回転は回しやすくなりますのでホイール作製の精度が上がります。

 

ゾンダ・ホイールを調べる

ゾンダはホイールのベンチマークになるくらいのホイールです。どんな自転車屋さんでもゾンダ、レーシング3を買っておけば大丈夫といわれています。

それだけで実績があり安心できるホイールです。これ1本で大丈夫ともいわれています。

 

ゾンダ 旧製品21mm幅リム

最近アルミホイールの雄であるゾンダホイールを調べる機会を得ました。

 

最初にお断りです。本ホイールは譲っていただいたホイールです。このホイールを調べ上げてあれこれと意見を述べるのはいただいた方に対して申し訳ない感じがします。

しかしこんな事例もあるということを知っていただくことが大切と思い今回の記事にいたしました。以前にもゾンダ購入の記事を書いています。これも参考になるかと思います。

後輪リムベッドにひび割れが入り危険

残念なことにこのホイールは後輪リムベッドにひび割れが入り危険で使うことができません。スポークのテンションを調べてみました。果たしてテンショングラフにしますと驚くことが分かりました。びっくりのハイテンションで作られています。

前輪 661g
前輪スポークテンショングラフ よく揃って適度なテンションです。
後輪 927g
右ドライブ側が非常に高い

後輪ホイールは21本のスポークを使われています。右ドライブ側14本左非ドライブ側7本、2:1組の代表的なホイールです。スポークテンショングラフで見ますと前輪は平均約120kgfで張られてばらつきもなく優秀です。

後輪はドライブ側が驚くばかりのハイテンションで仕上がっています。私のテンションメーターでは約140kgf前後でスポークは張られています。使用のデジタルテンションメーターは校正していますので大きく狂いはありません。

 

ホイールは2万kmほど走っておられますので新品ホイールとは違います。そんな使い込んだホイールのスポークテンションが140kgfですので新品の時はもう少し高いと思われます。正直後輪は高いテンションです。

 

ではホイールのスポークテンションどのくらいが正解値なのでしょう。

 

正解は必要十分なスポークテンションであればよいというのが正解のようです。きっちり**kgfにするべきですという正解値があればいいのですがそうではありません。とてもあいまいです。いわば正解というものがありません。

 

しかしながら私はおおよその数値は決めています。前輪は110kgf~120kgfで仕上げます。後輪は120~130kgfで仕上げています。

 

この辺りで仕上げるのが経験からでた数値です。つまりホイールの強度やスポーク数によって決めていますのである程度の幅があります。一律ではありません。

スポーク数が多い32hのクラシックなホイールでは前輪は70kgf前後、後輪100kgfで十分という人もおられます。

 

各ホイールメーカーにはスポークテンションの推奨値があります。ある程度の範囲内で作っているということですがこのゾンダはどうも推奨値の最上限で作られたようです。

 

ゆるゆるのテンションでは力が伝わりませんがスポークテンションを高くして剛性を上げるということは間違いです。スポークテンションはホイールの剛性には関係ありません。ホイールの剛性はリムの剛性とスポークの総面積で決まります。スポークが太いと剛性が上がります。ホイールの剛性はスポークの総面積に比例するといわれています。

 

リムの疲労はスポークのハイテンションで起こりやすくなりますが、このゾンダはもう少しスポークテンションが低い作りであったらリムのひび割れは起こらなかったと思いますのでとても残念です。せっかくのゾンダが使えなくなるのは悲しい話です。

 

では予防策はないのでしょうか?

 

結果的には購入時点で調べて少し下げるしかありませんがそんなサービスをしてくれるところ、正確なテンションメーターを持っているショップは少ないと思います。

やはり残念ですが運に任せるしかないのかもしれません。当たりが悪かったというしかありません。人為的な問題なので解決はできるのですが…

このアイデアがあった

振れ取り台にはメーターを取り付けると格段の作業効率が上がり精度が増します。

私は振れ取り台を2台使っていますが主にメインはパークツールの製品です。

 

サブにこの振れ取り台があります。通販で格安だったので購入したのですがメーターがついていないのでほとんど飾っておくだけでした。

自動車の工具屋さんでマグネットベースとメーターを見つけてこれを使えばいいと思って購入しました。もちろん通販で容易に手に入ります。うまく使えるようにしたのですがこの状態です。

取り付けにステンレス板をホームセンターで買ってきてこのように使っていました。

これはこれで使い勝手が良かったのですがお客様より写真を送っていただきました。

マグネットベースの取り付け位置ですがいいところについています。

送っていただいた写真です

今まで思いつかなかったアイデアです。

振れ取り台のアームの裏側に取り付ければうまくいきます。

この位置は考えつかなかった。頭が固い証拠です。これなら余計なことをしなくてもいいわけです。

アームの裏側に取付ました

メーターにはローラー測定子がついています。この測定子はミツトヨの測定子ですがキーワードに測定子と打てばネットで購入できます。こんなものが意外と高価です。静かに作業をしたいのでつけています。メーターの先に爪楊枝でもつけておけば静かに測れるかもしれません。お客様に教えていただいたアイデアです。

超軽量カーボンホイールのレビューをいただきました

超軽量ディスクカーボンホイールのご注文いただきました記事を書きましたがレビューをいただきました。生の声をお聞かせいただきました。お客様よりブログ掲載の許可を得ました。とても参考になると思います。

 

お客様とは何度もメールでやりとりを行いました。沢山ご質問をいただきました。こういう疑問があるのかと私もお調べすることで知識を深めることができたと思います。言わばお客様との合作ホイールです。お互いに意見を出し合って組み立てましたホイールです。

以下インプレ内容です。

ようやく、試走出来ましたので感想をご連絡できます。

重量

シマノ6穴のディスクアダプターを着けまして同じ条件で比較したところ、これまでのアルミとほぼ同じ重量です。アダプターを他社の軽いモノにすれば、少しばかり軽くなるかなといったところです。

タイヤはチューブレス25ですので、23のクリンチャーとほぼ同じ重さです。

重量では、重くならないことがターゲットでしたので、成功です。

ハブはバイテックスの方が、重いので合計の回転モーメントは軽くかなったことになります。

 

マウント

チューブレスは初めてで心配でしたが、リムテープ無しで、キツキツなくらいでしたので、普通のポンプでやさしくビードが乗りました。この恩恵は、整備性の面で大きなことだと思います。

25のコンチネンタルグランプリ5000TLをはめて、微かにリム幅がはみ出る感じです、105%にちかいと思います。

 

ハブの品位

ディスクブレーキハブは、メーカーでは違いがありえるので、キャリパー位置調整が必要と思いましたが、これまでのノバテックハブの位置で差し障りなくばっちりでした。

ホイールを入れ替えるごとにキャリパーを動かすわけにはいきません。

 

フロントのスペーサーの、構造がすぐ抜けて、外れてしまうのは正直に嫌です。フロントはよく外しますので余計に。

ただ、12スルーとのコンバージョンを考えるといた仕方ないかなと思います。

リアフリーは齧り防止が施してあり、良いです。

ラチェットもかっちりしています。

 

走行感

タイヤの、空気圧は荷重に、合わせて前4.5後ろ5.5です。

ほどほどの柔らかさと、抵抗の、バランスです。まだ下げられるかもです。

 

走り出しが軽いです。

片足を地面から離しただけで転がりはじめるような、感じのうえ、踏んだ分にきっちり反応して加速度を感じます。

28スポーク、コンペ、カーボンが全て協力していると思います。

今まで、バイク本来の能力を封印してしまっていたのか、悔やまれるくらいです。

 

平坦では、25キロ位はただ足を回しているだけで、意識して漕がずでも維持できる感じですし、少し踏めば、楽に35キロくらい維持できます。

乗った速度は落ちません。きんとん雲に乗った気分です。

 

立ち漕ぎは、以前ですとロスが大きくてやる気にならなかったですが、こちらは漕いだ分加速しますので、立ち漕ぎが楽しいです。やはり、ロスがあるのは体で感じるものですね。

 

ハンドリング

フレームの要素が大きいですが、以前のクリンチャーアルミがふらふらですが、それより少しばかり安定しましたがそれほど変わりません。

初めてなので驚きは横風にかなり煽られることです。油断禁止です。

 

走行音

薄い作りのカーボンだけにかなりします、速度が高いとゴーゴーいいますが、玄人になった気分になります。

 

見た目

ファットチューブの、フレームに合わさって、黒艶でキマッタって感じです。

プロリムの塗装ではない仕上がりが活きています。

 

ご相談できて材料の選択から、スポーク、穴、ハブ色々と、検討でき、組み立ても安心してお任せすることが出来ました。

まさにイメージ通り、希望通りの、大変満足なホイールを得ることができました。

 

以上がお送りいただきましたインプレです。過分なお褒めのお言葉をいただきましたので少しこそばゆい感じがいたします。でもありがたいことです。

今回使用しましたリムはいつも使いますカーボンリムよりはワンランク上のリムを使っています。95㎏までの方という使用制限がありますが通常では問題ありません。軽量化を図るにはとても有効なリムです。少しお高くなりますがグレードの高いホイールを得ることができます。

WH-R501ハブでホイールを組む

シマノのホイールから取り出したハブを使ってのホイール組をご依頼いただきました。ハブはシマノホイールWH-R501から取り出しています。ハブは前輪20h後輪24hのカップアンドコーンでシマノから一般には販売されていません。ホイールから取り出す必要があります。私はリムとスポークを提供します。驚きのアイデアです。一本取られた感があります。

取り出した後輪ハブ 366g
取り出した前輪ハブ 144g

話は少しそれますが、

シマノの低価格ホイールはびっくりの低価格ですがそこはシマノブランドです、他のメーカーではまねができません。よく考えられて作られています。

前回のブログ記事ではマイナス点ばかりを述べましたがよくできたホイールと思います。このホイールは長く楽しめます。分解しても楽しめるホイールはあまりないと思います。

WH-R501 後輪1118g
スポークテンションのばらつきが目立ちます

個人的にはシマノの低下価格ホイールは中級、上級者のトレーニングホイールとして最高ではないかと思います。スポークのテンションを均一になるように調整してスポークテンションのアンバランスから生じる力が逃げにくくなるようにすれば練習用のホイールとして最適です。踏み込んだ力が正しく伝われば重いホイールはよく回ります。重いホイールで練習すれば本番の時の軽いホイールは驚くばかりのパフォーマンスを発揮できるでしょう。シマノの低価格ホイールは設計が良くても作りがすこし雑なので適切なスポークの調整が必要です。これさえやっておけば本当にコスパの良いホイールと思います。

WH-R501前輪861g
スポークテンションのバラつきが目立ちます

違う考え方で、初心者の方には最初に重いホイールをつけて走ると負荷ばかり掛かり自転車とはこんなにしんどいものなのかと思わせてしまいます。初心者こそいいホイールで始めるべきだと思うのです。10万円の自転車でスタートしてもついているホイールは新品ですぐに売りに出すことです。そしてゾンダ、レー3を買って自転車を始めれば自転車の良さがよくわかると思うのです。タイヤ、ホイールは一番大切と考えます。

さて、本題です。

使うリムはキンリンのXR22T/RTです。24mm幅のワイドリムですチューブレスレディーリムですのでテープを貼り、チューブレスタイヤとバルブを用意すればチューブレスホイールとして使用できます。

組みあがり後 後輪989g
右Race左Laser 2クロス組
スポークテンションが均一です
前輪組みあがり730g
Laserスポークをラジアル組で
スポークテンションが均一です

このリムは440g前後の軽量リムです。剛性はしっかり確保でき、外周部を軽量化できる優秀なリムと思います。おまけにチューブレスレディーですのでこれからはこのリムでしょう。

ご依頼主の体重を伺いますと前輪20h後輪24hで対応できます。スポークは前輪をサピムのLaser、後輪左をLaser、後輪右をサピムのRaceにしています。

Laserはねじれ易いので扱いが難しいスポークですが性能は非常に優秀です。最強スポークといわれるCX-RAYスポークの扁平前のスポークがLaserですので強度は十分といえます。

後輪右ドライブ側にはスポークの太さを変えて剛性を高めています。

ホイールの剛性はリムの剛性+スポークの総面積に比例しますので右側のスポークを太くすることは有効な方法と思います。

後輪リムはオフセットリムです。ハブの11速化に対応するためにはとてもよい手法です。リムは3mm中心部より非ドライブ側(左側)に寄っていることで左側のスポークテンションが10%ほど上がります。後輪スポークの左右テンションバランスが良くなり駆動ロスが減じられます。

3mmずれることの効果は非常に大きいです。2:1組などの特殊な組み方をすることなく左テンションを上げることができます。おまけに24スポークの半分、12本がプルスポークとして働きますので有効です。デザイン的にはオーソドックスで地味な組み方ですが十分力を発揮します。

組みあがったスポークのテンション比率は66:100で左スポークは非常に高いテンションで組めています。比率は以前購入のゾンダより良い比率です。駆動ロスが少ない掛かりの良いホイールに仕上がりました。

前輪は862gから730gに、後輪は1118gから989gへ軽量化できています。

前後では1979gから1719gに260gの軽量化です。

ショックアブソーバーの働きをするLaserスポークを使ったホイールはチューブレスホイールとしても使えます。おまけにハブの重量は少しありますがシマノのカップアンドコーンハブです。丈夫さとメンテナンスが楽なのは過去のシマノハブで証明済です。デザインは地味ですが価格、性能を考えますと素晴らしい変身であることははっきり言えます。

前輪46mm高、後輪56mm高カーボンホイールのご注文

アルミリムホイールXR31T・RT、24・28hホイールをお使い頂いていましたお客様よりカーボンホイールのご注文をいただきました。リピートオーダーのお客様です。

前輪46mm高 456g 穴なし
後輪56mm高 489g 穴なし

ご指定いただきましたリム高リム幅は前輪が46mm高20h、後輪は56mm高24hで2:1組です。前輪後輪の高さを変えて乗り心地と空力の配慮をされた組み合わせです。

ハブもよく考えておられます。前輪はミケハブの20hです。台湾ハブよりは少し重いのですがベアリングが6001と大きいので安定感があります。ベアリング取り換えも楽なハブです。何より頑丈なところがいいです。

後輪はBITEXハブのBX301を使います。2:1組専用の24hハブでストレイトプルスポークが必要です。フリーの爪は6個ありアンチバイトガードがついていますのでスプロケットのかみつきを防止できます。価格も値ごろ感のある良いハブです。

 

リム、ハブをご指定されての作製です。言わば黒帯の方よりご注文いただきました。

きれいで存在感あります

カーボンリムは一般的なUD仕上げではありません。カーボンの網目がはっきりわかり存在感は驚くばかりです。白色のシールもご指定です。どこのメーカーなのだろうと目立つことは必至です。

 

ホイール作製に於きましてはスポークのテンション均一化を十分行い振れを最小にします。8:16の後輪はスポークの長さを決めるのにjベントのハブよりも長さの決定には注意が必要です。

どちらのハブもサイズの計測はしっかりと行わないといけないのですがストレイトプルスポークではスポークオフセットの数値がどのくらいあるのかを正しく測らないと正しい数値は出ません。スポークの伸びも計算の中に入れる必要があります。

前輪 702g
前輪スポークテンショングラフ
ミケハブ CXRAY使用

前輪

リム 46mm高28mm幅 460g

スポーク サピムCXRAY

ニップル DT SqourxPro ブラス黒

ハブ ミケ 20h

重量 702g

後輪 889g
後輪 スポークテンショングラフ
8:16組 コンペティション黒

後輪

リム 56mm高30mm幅 490g

スポークDTコンペティション ストレイトプルスポーク黒

ニップル DT SqourxPro ブラス黒

ハブ BITEX BX301 8:16組専用

重量 889g

 

出来上がりましたホイールは前後1591gです。乗り手よし、見た目よし、走りよし、三方よしで最高です。

シマノホイールWH-R501を分解

シマノWH-R501ホイールを調べる機会を得ました。安価で販売されています。正直驚くばかりの価格です。どうしてこんな価格で販売できるのか不思議です。

前輪20h 861g
後輪24h 1118g

前輪861g後輪1118gです。合計1979gです。振れ取り台にのせて回転を見ますと目視では振れは全く見受けられません。ダイヤルゲージでもプラスマイナス0.1~0.2mmを前後するとても優秀な振れ取りです。正直、見た目はよくできています。

次にホイールのスポークテンションを調べました。下記のグラフです。

前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

非常にハイテンションで仕上げています。残念ですが振れ取り重視です。見た目を追いかけて中身は悪いという印象です。まあ値段が値段だけに念入った調整はできないのでしょう。時間優先です。少しでも多く数をこなす必要があるということです。

前輪、なじみだしを行いました
後輪、なじみだしを行いました

ホイールにはプレス式のなじみだしを行われていますがこのホイールに私のなじみだしを行いますと上図のようになります。グラフを参照ください。

スポークテンションは大きく下がります。振れも出ています。こうして見ますといつも値段が値段だけにという枕詞がついてしまいます。

前輪リム 538g
前輪20本144g 1本7g

リムはピンジョイントで重量は538gでした。軽くありません。前輪はエアロスポーク的なスポークで2.0/1.6/2.2/2.0mmと実測ですが扁平スポークです。1本7gありますので2mmのスポークを叩いたスポークのようです。エアロ効果は期待できません。見た目だけです。後輪リムはオフセットリムではありません。通常のセンターホールリムです。これが悪いというわけではありませんがオフセットリムを使えば左スポークテンションは改善できます。オフセットリムでないのが残念です。値段が値段だけにということばかりです。

しかし残念なことばかりのホイールですが一つだけこれはいい!という点がありました。

前輪20hカップアンドコーン144g
後輪24hカップアンドコーン366g

ハブがカップアンドコーンの20・24hです。いま流通しているハブで手に入れやすいカップアンドコーンのハブはシマノしかありません。しかしシマノは20h・24hは販売していません。28h、32h、36hだけです。

カップアンドコーンハブなら自分で調整出来てまめにグリスアップを行えば非常に安定して長い間使えます。

個人的な偏った意見ですがホイールはがっかりしますがハブはいいと思います。このハブを使って手組するなら良いと思います。ただ少し重いのですが中心部の重量ですし何事もトレードオフで重いハブということは丈夫なハブということです。

ロングライドに適した32hホイールのご注文

ブルべ200kmなどロングライドの大会に参加される方よりご依頼いただきました。オーナー様は重量にはこだわらないので安心安全のホイールをご希望でした。

リム、ハブはお持ち込みです。リムはアラヤのAR713、ハブはシマノのティアグラハブです。ともに32穴用です。スポーク、ニップルは私が提案しました。

部品お持ち込み
アラヤ AR713

 

ロングライドになりますと安心安全のホイールが必要です。スポークがトラブルで折れても無事に帰れるホイールです。また疲れにくいホイールということも必要です。

 

ホイールは地面からの振動を伝えます。ダイレクトにハンドルへ振動が伝わりますと長時間乗っている間に手がだるくなりハンドリングにも影響してきます。

 

このようなマイナス要因を避けるにはホイールを選択することで疲れを防ぐことができます。ご意見はいろいろとあると思いますが一般的にはスポークが多いとスポークが地面からの振動を吸収してくれます。おまけにホイールは長持ちします。

スポークテンションを下げて調整するということではありません。スポークテンションはしっかりと100kgfはキープする必要があります。

 

ショックアブソーバーの役割として最適なスポークは中心部の細いスポークです。サピムでは1.5mmのLaser、DTではレボリューションの2点があげられます。2mmのストーレートになりますと剛性が高くなりすぎて少し不向きと思われます。中間の1.8mmスポーク、サピムRaceやDTコンペティションはオールマイティのスポークとしてお勧めです。ねじれにくく扱いやすいスポークです。

今回はLaserを提案いたしました。オーナー様の体重は60㎏台ですので32本のスポークは細くても十分対応できます。

 

お客様に前輪左右はLaser、後輪は左にLaser右にコンペティションと右側のドライブ側に剛性を上げる目的でコンペティションをお勧めいたしました。

提案をご了解いただきまして完成しましたのが写真の通りです。各スポークテンションはできるだけ均一になるようにして振れは最小にしています。完璧に納めることはできませんができるだけ近づくようにしています。ホイール仕上げのコツはこの2点が要です。

他にもいろいろと細かいお作法がありますがこの2つを押さえればいいのです。

 

あるお客様が「ホイール組初心者には希望を与え、ホイール組経験者には絶望を与えるチャート」と言っていただいていますこのグラフを参考にしてください。

 

数をこなす経験が必要ですがホイール作りは楽しいです。性能、出来栄えには差がありますが出来上がればうれしいものです。道具や時間の節約にはご一報いただければ幸いです。

前輪836g
前輪スポークテンショングラフ
前輪 左右Laser 3クロス組
後輪1080g
後輪スポークテンショングラフ
左Laser右コンペティション 3クロス組

出来上がりました。お受け取り後のご連絡にはインプレ送りますとのことでした。

とても楽しみにしています。