以前手組ホイールをお買い上げいただきました方よりご連絡いただきました。
シマノDURAホイール7850―c24-TLをヤフオクで購入され2年乗られたのですが振れが目立って来たのでご自分で振れ取りされました。残念ながらうまく振れ取りできなかったので再調整のご依頼です。
私も駆け込み寺になれるほどの実力はないのですが一応お受けすることにしました。
当初簡単と思っていたのですが実際当たってみるとどうしたものかと悩むほどとても難しい仕事でした。
ヤフオクで購入された時にスポークテンションを測っておかれたのでその状態に戻されたそうです。テンションメーターを持っていると正確な数値は分からないですが元の状態に戻すことが出来ます。ヤフオクで購入時状態に戻してお送りいただきました。
ホイールの状態を戻してくださったのはよかったのですがもとのヤフオクで購入された時からすでにすごいハイテンションで変更されたホイールでありました。本当に驚きのテンションでした。
いつもホイールをお預かりしますと最初にスポークテンションを調べます。この時のスポークテンションが上図です。テンションが高すぎてグラフにできない数値でした。この時は本当に驚きました。この状態で乗っておられたのに驚きました。事故なく2年間乗れられたことはとても幸運と思います。
作業に取り掛かります。
各スポークのリム側に少量のオイルを注してゆっくり緩めることから始めました。ハイテンションなので硬くて回りません。あまりの硬さなので少し力を入れたらスポーク1本折ってしまいました。いきなりの失敗です。この時は気軽に引き受けたこと後悔しました。
人様の品物なので慌てました。最初は青くなりましたが落ち着いて考えますと部品はまだ手配できそうです。調べますとやはり手配ができます。先ず、折れたスポークの交換部品を手配してお客様に時間が掛かる旨連絡して了解を得ました。
取り換えスポークが届きましたので作業再開します。
折れたスポークの取り換え作業は簡単そうに見えますがなかなか元に戻せないものです。取り外しは簡単ですが復元は難しいものです。シマノの取り扱いマニュアルをしっかり読み込んでどのように組み立てているかを考えました。
マニュアルの項目順に進めていきますと躓づくところが必ず出てきます。どうしてうまくいかないのか考えて解決するしかありません。誰も教えてくれません。簡単ですよと言ってくれるだけです。
今回の解決方法は汚れ、ホコリを取り除いて徹底的にきれいにすることでした。新品状態に戻せば意外と簡単に進みます。
何とか無事に乗り越えることが出来ました。
シマノのマニュアルには推奨スポークテンションが書かれています。
今回のホイールでは右ドライブ側は117kgf~143kgf、左66kgf~92kgfと書かれています。
この数値は推奨値ですので間違いないのですが、通常ハブでは左テンションは右の約半分以下になります。仮に左を92kgfにしてセンターを出すなら逆算すると右は180kgf以上になることです。お預かり時のグラフでは左平均92kgfです。どおりでお預かりしたときのテンションが高いはずです。
調整が終わってテンションを測りました。今回のホイールは右ドライブ側を140kgf、左67kgfでほぼセンターが出ています。最初は慌てましたが何とか調整終えることが出来ました。
今回修理お受けして感じたことです。
●少し前の製品ならまだ修理備品の手配ができることがありますが古い製品をオークションで購入される場合は本当に注意が必要です。
●オークションに出ている品物は何らかの理由があります。説明には書かれていない理由があります。
●ホイール、自転車は買った時からメンテが始まります。自分で直せる人、直してくれる人が近くにいる人ならいいですがオークションなどでの購入は実力にあわせないと失敗することがあります。なかなか掘り出し物はないと心得たほうが良いと思います。
●大きい自転車屋さんも技術的にはいい加減な人が多いと聞きます。まずは腕の良い自転車屋さんを見つけて沢山買い物することで仲良くなることです。