キシリウムホイール エリートのスポーク調整

リピートでご注文いただいているお客様よりキシリウム エリートの後輪ホイールの調整依頼でお送りいただきました。

キシリウム エリート 後輪877g

このキシリウムはスポークが1本折れたので購入されたショップに持ち込まれて修理を依頼されたそうです。ホイールは一応直ったのですが乗り味が変わってしまい再調整を手組ホイールファンに依頼されたという曰くのホイールです。

10本で84g、エリートのスポークは意外と重いスポークでした

お客様よりスポークの予備も一緒にお送りいただきました。このスポークが役立ちました。キシリウムのスポークを持っていなかったのでこのスポークでテンションデータを取れます。

スポークテンションを校正器で事前に確認しておくとわかりやすい

スポークは2mm丸スポークを元にした少し重めの扁平スポークでした。少スポークで作られたキシリウムホイールは剛性の高いスポークを使わないと成果が出ない構造です。事前にドライブ側を130kgf前後で仕上げるにはテンションメーターの示す数値を知っておけば作業能率が上がります。

お預かり時のホイールセンターは左に約1mmも寄っている仕上がりでした。縦ブレも大きく振れていました。おまけにドライブ側スポークテンションは約150kgf前後のハイテンションで作られていました。預けられたショップの振れ取り台が安物なのかセンターゲージを当てていなかったのか、よくわかりませんが驚きです。リムを左に寄せているのでドライブ側はハイテンションでした。1mmも左に寄せると右側のスポークテンションは当然高くなってしまいます。どうしてこんなことをするのか理由が分かりません。

左側を緩めてスポークテンションを全体にスポークテンションを落としてからドライブ側を約130kgfに揃えることが出来ました。事前にスポークのテンションデータを知ることが良かったです。縦ブレ、横ブレを出来るだけ最小になるように調整すること、スポークテンションを出来るだけ均一になるようにすることを同時に行います。コツが分かれば簡単ですが会得するまでには経験が必要です。

マビックのスポークプラグには2種類あります

テンション調整のプラグは2種類あります。5.5mm径と6.4mm径があります。このホイールは取り換えたスポークには5.5mmのプラグ、ほかのスポークは6.4mmのプラグが使われていました。2種類のスポークレンチを持っていましたので対処出来たのですが、こんなことも勉強になったホイールです。ホイールは見た目ででは分からないという典型的は一例でした。

スポークは0.29の目盛りで約130kgfとなり、この値で調整しています

古いホイールはあきらめてもらって新品ホイールを買ってもらいたいショップと気に入っているホイールを大切に使いたいユーザーのやり取りの軍配はユーザーに上がりました。これはだめです、直りませんの言葉を鵜呑みにすることなく一呼吸置くのも大切なようです。

レーシング3を36mm高カーボンホイールに組み替え

リピーターのお客様よりご連絡いただきました。

スポークを曲げられて使っていないレーシング3をカーボンホイールに組み替えするというご注文です。

レーシング3前輪654g
レーシング3後輪884g

使用しますリムは当ブログでは定番の36mm高28mm幅のリムです。いつもお願いしているメーカーの係の方に特注リムを注文して作り替えします。このような組み替えは何度も行っていますので発注の打ち合わせに関してもわりとすんなりと進みます。ただ特注なので出来上がり時間は通常よりも掛かりました。部品の内容は以下の通りです。

リム 36mm高28mm幅 穴ナシリム リムは特注穴あけ

ハブ フルクラム レーシング3ハブより転用

スポーク ピラー Wing21 黒

ニップル DT SquorxPro ブラス 黒

傷んでいるスポークがありましたのでスポークカットが出来ません。結局使いますのはハブだけになったのですがとてもいい感じに仕上がっています。リムは前輪のみオプションでブレーキ面を強化加工しています。穴ナシリムはテープがいらないので運用面ではとても楽です。36mm高は空力も期待でき、軽量リムなので用途の広いホイールに仕上がります。

体重がある人にはスポーク数が少ないので剛性不足を感じるかもしれません。しかし同じタイプのゾンダ改造版を持っていますので乗り味などの内容はよくわかります。

やはりカーボンリムは剛性がありますので少スポークでもリムが真円を保つ力が強いのでしょう、よく進むと思います。

カーボンリムはアルミリムと違いつなぎ目がありません。このため真円の状態を維持しやすいと思います。値段はアルミリムの何倍もするだけのことはあると思います。

見た目もオリジナルでフルクラムの新型ホイールかな?と思ってしまいます
前輪667g
後輪853g
リム柄がオリジナルです
2:1組です

ホイール作製においてリムが均質なので各スポークへ均等に力を加えれば振れも出にくいホイールに仕上げることが出来ます。別注ホイールは決して安くはありませんが値段が3倍のブランドホイールとは違ったオリジナル感たっぷりの2:1組ホイールが出来上がります。剛性不足を感じる場合は少しスポークを太くすればよいだけで応用が利くのも良い点だと思います。

・別注の穴ナシリムを注文する

・特別なスポーク長を計算

・ホイールを分解する

上記のように考えてみれば難易度の高いホイールです。しかし組み終わった時の達成感は格別で、また組みたいと思ってしまいます。

アメリカンクラシックハブでホイール作製

アメリカンクラシックのハブを持っておられる方よりご連絡いただきました。このハブは軽量で人気でした。

お客様のホイールプランをお聞かせいただきました。リムはTNIのAL22Wを使い、スポークは黒スポークを使うということでお任せいただきました。

Micro58
後輪224g

写真はお送りいただきましたハブです。前輪ハブは58g、後輪ハブはワイドフランジのナローハブで重量は225gという超軽量ハブセットです。欲しかったのですが高価なハブなので手に入れる機会がなく諦めたことを覚えています。

アメリカンクラシックハブがディスコンになって久しいですが、お送りいただきましたハブは新品の箱に入っています。ジップ303のリムにこのハブを使ったホイールに乗っていましたので懐かしいです。久しぶりのアメリカンクラシックのハブなので心躍る思いです。

閑話休題、

前輪24後輪24の組み合わせは一般にはあまり見かけません。20/24の組み合わせが多いのですが前輪24にするとコーナーでの安定感が増します。個人的には好きな組み合わせです。

スポークは前輪を中央部が1.5mmの細いスポークを使います。後輪は左側に細いスポーク右側には剛性を上げるために1.8mmのスポークで仕上げます。

ニップルは前からでも後ろからでも回せるダブルスクエアを使っています。最終の締め増しには後ろから回せるのは1/4、1/8、1/16回転と見ながら出来るので作業が楽でおススメです。

前輪656g リムシールははがしています
スポークテンションを出来るだけ均一にしています
後輪840 リムシールははがしています
ナローハブ、オフセットリム使用ということで左テンションが高いホイールに仕上がりました

仕上がりは前輪656g、後輪840g、合計1506gでした。後輪のワイドフランジが目を引きます。

AL22Wリムは24mm幅22mm高のチューブレスレディーリムなのでリムテープ、シーラントを使えばチューブレスで楽しめます。軽量ながらリム剛性が高いのでこのアメクラ軽量ハブ(昔はアメクラと呼んでいました)と組み合わせると用途の広いホイールとして使えると予想します。お客様のインプレが楽しみです。

バイテックスハブ、AL300リムで銀輪ホイール作製

銀輪リムとバイテックスハブをお送りいただきました。スポークとニップルは手組ホイールファンでご用意します。

SONY DSC

リム  AL300 前輪20H 後輪24H

前輪ハブ 87g 20H
後輪ハブ 222g 24H

ハブ  バイテックス シルバーハブ20/24H

ハブとリムをご自分で手配される方が最近増えています。ネット社会ですのでいろんな購買チャンネルがあります。ご自分でいろんな部品を集めて自転車を作り上げていくことはとても楽しいものです。

しかしホイールだけは経験が必要で、こんなことを申し上げるのはおこがましいのですがハードルが高いようです。ホイールは作れるが納得したものが出来ないとお考えの方が多いようです。ホイールは見た目では分かりません。2セット同じものがあり、どちらも振れがないホイールでも、試し乗りで比べてみると走りが全く違うということは多々あることです。

ハブとリムを個人で手配して、ホイール作りは専門に任せるというのも賢い選択と思います。難点は送料が重複することで、これも考えておかねばなりません。

今回のリムは使用するフレームに制約があり、ナローリムしか載せられないということでTNIのリムを選ばれました。30mm高あるこのリムは剛性が高いので少スポークホイールとして作ることが出来ます。勿論体重が大切な要因でありますので重量にあわせてスポーク数は考えなくてはなりません。今回は20/24の組み合わせです。

銀輪ホイールとしてシルバーハブは欠かせません。バイテックスハブはいろんな色のハブを作っています。ハブの入手では国内に代理店が無いので、海外から個人輸入されたようです。昔と違い今の情報社会では細かい部品も個人で手配出来る時代になりました。勿論失敗もあるでしょうが自分で部品を準備出来ればすべて納得できますので満足感は高いと思います。

前輪649g
後輪832g

出来上がりましたホイールです。前輪649g、後輪832g、前後1481gと軽量ホイールです。リムに剛性がありますので走りに裏切られることはありません。

前後1481g

銀輪ホイールは根強い人気があります。クロモリフレームにはシルバーのホイールがよく似合います。姿はクラシックですが内容はモダンなホイールです。最近では骨太スタイルのロードバイクが多い中で異彩を放つことだと思います。

マビックリムA1022でディスクホイール作製

お客様からリム、ハブをお送りいただきスポークはこちらでご用意するというご注文です。

リム 前後ともに マビックA1022 Disc 32H

484g マビック A1022Disc 32H 

ハブ 前輪 シャッタープレシジョンPL―7 シルバー 32h

シャッタープレシジョン ダイナモハブ

ハブ 後輪 ホワイトインダストリー CLD シルバー 32H

272g ホワイトインダストリー後輪ハブ

とても豪華な部品をお送りいただきました。

スポークはピラーのトリプルバテッドTB2015(2.2/1.5/2.0mm)、ニップルはダブルスクエアを提案しました。

前輪ハブはダイナモハブ、後輪はホワイトインダストリーのCLDハブと通常なかなか思いつかない組み合わせです。リムはマビックのディスクリムA1022を使います。

A1022ディスクリムはフックレスでオフセットリムです

この小さな印がオフセットリムということを示しています アイレットでスポーク穴を強化されています

最初は気が付かなかったのですがこのディスクリムはフックレスです。アルミリムのフックレスは初めてで驚きました。チューブレスタイヤ用として作られています。マビックのホームページを見てからリムをじっくりと観察しました。重量は470gの軽量リム(実際は重量483g)でした。各スポーク穴にはシングルアイレットがあり穴を強化されています。ホームページには書かれていなかったのですがリムはオフセットリムです。リム穴の位置がセンターではありません。これには注意が必要です。一ヶ所リムには小さくディスクの向きがマークされています。これがオフセットですよということを知らせています。慣れたビルダーさんなら何の問題もありませんが見落とすと正しくホイールを組み上げることが出来ません。やはり基本的なこととして穴位置を正確に観察することが大切です。

バテッドスポークを使うことでスポークの持つ弾力性がホイールの軽量化と剛性を補完してくれます。太いスポークを使わないでもバテッドスポークのばね性が力を逃がしてくれます。軽くて強度の高いホイールを組み上げる方法として有効です。

ホイールを作りだした頃は2mmの丸スポークを使っていました。このほうが剛性は上がると思っていましたが中央部が細いバテッドスポークを使っても強度は維持出来るということが分かりどんどん使うスポークが細くなりました。今では1.5㎜のスポークがメインになっています。このスポークはねじれ易いので扱いが難しいのですが、軽量化という得るものも大きいのでお勧めです。難点は価格です。CX-RAYほどの高価なスポークではありませんがストレートスポークよりは高価です。しかしCX-RAYの1/3の価格ですので細いバテッドスポークは有益です。

シャッタープレシジョンのダイナモハブは軽量ながら出力は大きいにので大きなライトが使えます。配線に工夫をすればライトを増やすことも可能です。手前味噌ですがこのハブは使っているので利点がよくわかります。

後輪ハブはホワイトインダストリーのCLDハブです。とても美しいハブです。ハブのセンターオフセット値が小さいので構造的にも左スポークテンションが高いホイールを作ることが出来ます。長く使えるものとして購入されるのは良いかと思います。

マビック A1022リム使用 前後ともに32H
前輪 1067g ダイナモハブ使用
後輪952g ホワイトインダストリーCLDハブ

出来上がりましたホイールです。中心部がシルバーで存在感たっぷりです。各スポークのテンションを出来るだけ均一になるように作っています。前輪がダイナモハブなので電池を気にしなくてもライトがつき、細いスポークが32本あるので乗り味は柔らかいホイールです。ロングライドにぴったりです。レース用とは違った方向のホイールとして素晴らしいと思います。ご注文いただきましたお客様に拍手!です。

再生チューブレスバルブを検証

5月12日の記事で再生バルブのことを記事にしました。このバルブは使えるかと空気漏れを時間かけて調べていました。パンクしたブチルチューブのバルブ部分を切り取ってホームセンターのねじを販売しているコーナーで見つけたゴムワッシャーを入れた再生バルブです。

新しく廃棄チューブから作ったバルブ ゴムワッシャーを入れるだけです

キンリンのアルミリムに使っていますがこのバルブはとても具合がいいバルブです。パンクで使い道のないチューブが再利用できることは経済的で時代の流れにも合致しています。

最近また新しく廃棄のチューブが出ました。いらないゴム部分を切り取って再生バルブとして使うことにしています。

チューブラータイヤにシーラントをいれてみた

チューブラーホイールが好きです。理由はタイヤ交換が楽、乗り心地がよい、軽量化が図れるというのが主な理由です。

ヴェロフレックスのタイヤを使っています

高価なヴェロフレックスのタイヤと安価なコンチネンタルのジロを場面で使い分けています。タイヤはハンドリングに影響しますので前輪だけを高級タイヤというちょっとけち臭い使い方をすることもあります。やはり高級タイヤは乗り心地が柔らかく軽快です。

一般には高価なタイヤに使われているラテックスチューブは半日経つと空気圧が低下します。一日経つと空気圧が大きく減っています。これで普通のことなので長年不便を感じたことはありません。

安価なチューブラータイヤにはブチルチューブがつかわれていますのでチューブの空気が自然に漏れる率が低いのですがラテックスチューブは漏れる程度が高いのが一般に知られています。対策には昔からシーラントが有効といわれてきました。パンクにも効果があります。

ただ、シーラントを使えば重量を増やすことでもあり、せっかくの軽量タイヤを使う意味でも逆方向に進んでいるという思いでシーラントは長年使っていませんでした。しかしほんの気まぐれからシーラントを入れたらどうなるのか試してみようと思いつきました。

これはブログのおかげです。ホイールについて気になることを試すことが多くなりました。ボケ防止にぴったりです。

昨晩シーラントを約25cc前後タイヤに入れて空気圧6気圧で置いてあったのですがタイヤはぺちゃんこになっていません。いつもなら完璧に減っているのですが大丈夫のようです。しばらくはこの状態で続けてみようと思います。意外と有効です。

シーラントを入れるのに注射スポイトは楽です

シーラントを入れるのにはこの注射スポイトを使っています。百均で買ったのですが注射スポイトのキーワードでネットでも出てきました。このスポイトは何かと便利でオイル注しにも使っている優れものです。安価に使えるので予備は沢山買ってあります。

センターゲージにデジタルメーターを取り付る

ミノウラのセンターゲージを購入したのですが折り畳みが出来る手軽なものでした。こんなもので大丈夫かなと思ったのですが結構使えると思います。普段はパークツールのセンターゲージを使っていますのでミノウラは薄っぺらく軽すぎて物足りないという感じがしますがホイールのセンターが出ているかを見るのなら十分です。

常用のパークツールのセンターゲージにはデジタルのダイヤル計を取り付けています。

長く使っているパークツールのセンターゲージ デジタルメーターをつけています

数値で見るととても楽で左右差が数値化できますのでわかりやすいです。左右差の数値を2で割ると必要な数値が分かりますので振れ取り台のメーターを見ながらニップルを調整すれば容易にセンターを出すことが出来ます。

デジタル計に測定子を付け替えました

普段パークツールのセンターゲージになれていますので新しいミノウラにもデジタル計をつけることにしました。取り付けは簡単です。ホームセンターでばら売りのねじを1セット買って取り付けました。デジタル計には新しい測定子を取り付けています。

使ってみるとちょっと軽い感じがしますが数値で見ることが出来るのでわかりやすいと思います。

Elitewheel のスポーク替えと調整

最近Elitewheelというブランドをよく聞きます。お客様より連絡があり、スポーク替えと調整の依頼を受けました。

前輪756g お預かり時点でのホイール
後輪 893g 2:1組 左8本右16本 
ピラーPA1423 20本 127g ホイールに使われていたスポークです
wing21 20本 98g このスポークに取り換えます

お預かりのElitewheeはピラーのPA1423という太いスポークを使っています。このスポークはピラーのホームページを見ますと2.0/2.3/1.5mmの扁平スポークです。260mmで6.5gのとても太いスポークです。この重量は2mm径の丸スポークと同じ重量ですので2㎜径スポークを叩いて扁平にしたスポークといえます。カーボンホイールとしては剛性がありすぎる感じです。リムが割れないかと心配してしまいます。

手組ホイールファンのカーボンホイールではこの太さのスポークは使っていません。リムメーカーが禁止しています。スポークの剛性がありすぎてリムが割れる恐れがあるというのが理由ですがこの辺りことはよくわかりません。メーカーの指示に従っています。太いスポークを使う場合は相談してほしいとメーカーのホームページにかかれています。しかしElitewheelでは現に使われていますので心配ないのかもしれません。

Elitewheelのホームページを見ますとスポークをアップグレードできると書かれていますので価格を抑えるための仕様と思います。このスポークではホイールの乗り味はとても硬いと思います。スポーク替えを希望されたのは当然かもしれません。

いつも事前にスポークテンションを調べるのですがPA1423スポークは珍しいスポークなので在庫に持ってなくスポークデータがありません。今回はスポークを取り換えるということなのでまずは1本スポークを取り出しました。取り出したスポークをテンションメーター校正器でデータを取って一覧できるようにしています。例をあげますとテンションメーターの0.29目盛りが110kgfを示していましたのでこのスポークデータを使って調整します。

テンションメーター校正器を使ってPA1423のデータをとりました

お客様のご希望は前輪スポークをwing21に交換です。ニップルはアルミニップルのダブルスクエアでした。アルミニップルの再利用は避けることにしていますのでDTのSquorxProブラスを使いました。リムは穴アリリムなのでニップルは前からでも後ろからでも回せますので比較的楽に仕上げることが出来ます。ただしかかる時間はそんなに変わりません。

後輪はスポークの再調整だけです。

今回の後輪ハブに驚きました。ホイールは8:16のハブでほとんど左右テンション差がありません。カンパの2:1組ハブで組んだホイールでは2:1組といえど左右のスポークテンション差はそれなりにあります。1:1組よりも左右のテンション比率はいい状態ですがカンパでは左右差はあります。

前輪wing21に交換しました 取り換え後のスポークテンショングラフです
測定値は0.29なので実際のテンションは約110kgfで張っています 左右がほぼ同じです

驚きましたのはこのハブでは左右のテンション差がほとんどないホイールに仕上がっています。11速ハブなら通常は左右差があります。2:1組で組んだカンパ、フルクラムでは左右差があって当たり前なのに、このElitewheelでは左右のテンション差がなくほぼ同じです。ハブの構造を工夫して左右差がなくなるように設計されているようです。

お客様は後輪の剛性を残すというプランですのでスポークは太いままです。前輪はスポークを細くされましたので乗り味は柔らかくなると思います。後輪は硬い乗り味と予想します。

どんなホイールも一長一短です。価格面でメリットがあってもスポークの選択、調整に不満が出ることが多々あるものです。いままで出会った高価なホイールは価格だけのことはあって調整の良さが光っていました。高価なホイールはよく調整されています。高い理由は作製に時間が掛かっているということかも知れません。

今回のお客様はうまくプランを立てられました。スポークを交換し、テンション調整もやり直しを依頼されました。構造がいいハブを使い、スポークテンションを揃え、スポーク剛性を見直しされました。結果は高級ホイールに大変身です。グッドアイデアと思います。

魔改造ホイール、後輪が完成しました

シマノDURAホイールを改造するなら使ってくださいと頂戴しましたホイールですが後輪も完成しました。魔改造と大げさに言ってしまいましたが難しいホイール組みでした。

後輪865g
スポークを通す穴の処理が難しい
上スポークはオリジナル 下スポークは新しいスポーク スペーサーを使いました

後輪ハブは実際にハブを触ってみると構造がよくわかるのですが不思議なハブです。シマノといえばカップアンドコーンハブなので回転部分は理解できるのですがスポークの取り付け部分が難しい構造です。このハブならコピーはされないと思います。

ハブ側にスペーサーを入れてぐらつきをなくしました

ストレートプルスポークを使っていますがもともと特殊な構造のプラグという名前の取り付け金具でリムとスポークをつないでいます。これを普通のストレートプルスポークに取り換えるので問題が生じています。単純にハブにスポークを通すだけではハブの穴に強度が担保されているのか心配です。十分かどうかはわかりませんがスペーサーをハブの穴に取り付けて強度を保つようにしました。内部にネジは切っていませんがオリジナルのようなスペーサーを使うことでスポークのぐらつきをなくしました。

ハブはストレートプルスポークハブなのでスポークオフセット値を間違わなければスポーク長は正しく出ます。ハブ側でのスポーク処理をうまくできましたので通常のハブと同じです。

cx-sprint 10本
コンペティション 10本

リムは定番の36mm高リムを使っています。スポークは左がcx-sprint、右ドライブ側にコンペティションを使いました。少しドライブ側が重いです。

組み立ては全く順調にできました。スポークテンションを出来るだけ均一にして、縦ブレ横ブレを最小になるように調整しました。

リムの入荷に約一ヶ月かかりましたが完成です。大げさなタイトルをつけましたが難しいホイールに挑戦できました。ホイールを頂戴しましたお客様に感謝です。