チューブラーカーボンホイールの点検と後輪スポーク交換

アルミホイールをご注文いただいたことがあるクライマーのお客様より連絡いただきました。前後で1103gの決戦ホイールの点検をご依頼いただきました。

お預かり時点の前輪 468g
お預かり時点の前輪 良く調整出来ています
お預かり時点の後輪 635g とても軽量です
お預かり時点の後輪スポークテンションのバラつき度は高い ハイテンションで組まれている

手組ホイールでは名の通ったビルダーさんが組まれたホイールです。25mm高のチューブラーカーボンホイールで、ハブはDuraハブです。前輪18H後輪24Hで作られています。スポークはホイール前後共にサピムのCXRAYで組まれています。

お客様はCXRAYの選択には悩まれたそうです。結果的にはホイールはぬるいホイールだったようです。後輪剛性不足を補うためのスポーク替えということになりました。

ご依頼は次の通りです。

①スポークテンションを少し緩めて仕上げる。

②後輪スポークのギア側をDTコンペティション黒に取り換える。

この2点で作業を進めます。

ホイールをお預かりしますと先ずスポークテンションを計測します。グラフに示すようにとてもハイテンションで作られています。チューブラータイヤを使いますのでビードがありません。このためスポークのテンションダウンは起こりません。あまりのハイテンションで作られたホイールはリムの剛性が若干下がりますので120~130kgfで仕上げることを勧めるリムメーカーが多いようです。ホイールのスポークテンションを緩めることにしています。

後輪スポークはギア側のスポーク12本をCXRAYからコンペティション黒に変更します。15グラムほど増えるだけですが剛性は大きく変わります。ハイテンションで仕上げたから剛性が上がるということはありません。剛性を上げるにはスポークを太くすることで解決できます。

出来上がりました。

スポークテンションは少しさげています ハイテンションが良いとは言えません

前輪はニップルすべて1/4回転回して緩くしました。テンションメーターを使って確認し、あとは微調整で終わりました。テンションメーターは校正器を使って数値を確認しています。

ニップルとスポークの交換で38g増えましたが剛性が上がったのでプラス面の方が大きい
ギア側のスポークテンションは約130kgfでおさめています
ギア側はコンペティション黒にとりかえました  左非ギア側はそのままのCXRAYを使っています

後輪はギア側のスポークを取り換えです。ニップルはすべてブラスニップルに替えました。前輪と同様にテンションメーターを使って希望のスポークテンションで均一になるように仕上げます。この作業でスポーク折れや振れの発生を防ぐことが出来ます。

ホイールメーカーの説明書きにはサピムのCXRAYは最高のスポークと書かれていることが多いようです。確かにCXRAYは優秀スポークですが万能スポークではありません。今回のスポーク替えでご理解いただけると思います。結果が楽しみです。

アルミニップルは頭が飛びやすい

何度もご注文いただいていますお客様よりご連絡いただきました。

アレックスリムの後輪ホイールでスポーク1ヶ所、ニップル頭がとんだとのこと。

ニップルの頭が飛んでいます
スポークテンショングラフ  一ヶ所飛ぶとテンションはガタガタになります

アルミニップルの典型的なトラブルはこれです。頭が飛ぶ問題はスポークの長さが原因します。

リムの外側から覗いてみるとよくわかります。すり割り加工のニップルではスポークが突き抜けていないと頭が飛びやすいです。

最近のアルミニップルの場合、強度は増してはいますがブラスニップルの強度はありません。このため正しく使われていないと頭が飛ぶ恐れがあります。

ホイールの軽量化を図るにはアルミニップルはとても有効な方法ですが注意が必要です。安全を優先するならブラスニップルだと思っています。

ニップルすべて取り換えました
リムにひずみがでたのでスポークテンションの調整は難しくなりました

今回はニップルすべてブラスに取り換える注文を頂きました。正解だと思います。

手組ホイールファンでもアルミニップルを使っていたことがありました。しかし今は全く使っていません。スポークを長めにすればよいのですが余計なことをするよりも普通にスポーク長を出してブラスニップルにすればいいだけです。

ニップルがとんでスポークトラブルが起こりますとリムにひずみが出ます。特にアルミリムの場合はひずみが大きいです。これがとても問題です。修理して振れ取りだけなら簡単にできるのですが各スポークテンションを揃える調整はなかなかできません。どうしてもスポークが折れた部分の調整が難しくなります。

完組ホイールの場合ニップルまではわかりませんので選択の使用がありませんが、ニップルはブラスですか?アルミですか?と聞いてみるのは良いかと思います。

ICANホイール AERO40のスポーク替え

中華ホイールのスポーク替えをご依頼いただきました。お客様は2回目のご注文です。前回もぬるいICANホイールのスポーク調整でした。

前輪 575g
お預かり時点の前輪スポークテンショングラフ
後輪 763g 
お預かり時点の後輪スポークテンショングラフ
ドライブ側 ラジアル組 非ドライブ側 2クロス組

今まで何度も中華カーボンホイールの調整を行ってきましたがどのホイールも組付けが問題でした。中華カーボンは安価で価格訴求のあるホイールです。使われている部品も確かなものばかりで悪くはありません。必要なのはスポークの調整です。ホイールは乗り手に合っていないといけません。

高級ホイールの3分の1で買える中華カーボンホイールはとても魅力的です。しかしホイールを安価に仕上げるためには時短で作っています。ゆっくり調整する時間がもったいないという感じです。時間を節約するために今回のホイールのようにラジアル組で作る部分が多いようです。クロス組をしないので組み立ては簡単です。簡単に組める構造にして組み立て時間を節約しています。具体的に言いますと振れ取りだけを行っています。振れがなければOKという考えのようです。

このため調整不足のホイールは特定のスポークに負担がかかり、スポーク折れや振れが出たりするわけです。しっかりとスポーク調整を行えばとても良いホイールと思います。

お客様は中華カーボンの特徴をシッカリと理解されています。今回はハブ交換とスポーク替えをご希望でホイールを送ってこられました。安価なホイールを適切に手を加えれば工賃が掛かっても充分元が取れるという訳です。

ホイール性能はリムが7割他の部品で3割と考えています。今の中華カーボンはとてもしっかりとしたリムを使っていますので安心です。正しく組みつけすればビッグブランドの負けないホイールが手に入ります。名より実を取られる方にはおすすめです。

分解しましたリム 40mm高415g
お預かりホイール 前輪ハブ

今回のホイールはパワーのあるお客様にはとてもぬるいホイールでした。前後共にすべてスポークはCXRAYを使われていましたのが理由です。いくら高級スポークを使っていても乗り手に合っていなければダメホイールとなります。

前後ホイール共にcxスプリントに組み替えて剛性アップをはかる提案をしました。多分大丈夫と思いますがこれで温い場合はドライブ側をもう少し太くすることが考えられます。

ノバテック ストレイトプルハブ 225g
前輪 お預かり時点と同じ姿ですがスポークは太くなっています
組み替え後の前輪スポークテンショングラフ
スポーク組み替え後のホイール ハブも交換しています
後輪スポークテンショングラフ
ハブ交換しました スポークは左右2クロス組です

組み替え終わったホイールです。後輪ハブも交換しました。左右共に2クロスです。この組み方にすることでプルスポークは12本となりました。スポークの負担は軽減されると考えます。ご感想が楽しみです。

38mm高の中華カーボンホイールを購入しました

安価な中華カーボンホイールを勉強のために買ってみました。勉強と思えば安いものです。部品をばらして再利用もできます。

前輪 650g
前輪 ラジアル組 スポークが太いので剛性は高い
後輪 844g スポークが太いので剛性は高い 
後輪24H  右ギア側12本は2クロス組 左非ギア側12本はラジアル組 

ホイールを購入しますと先ずはスポークテンションを調べます。

結果は次のグラフ状態で分かります。

前輪は振れがない出来上がりですが、スポークテンションのバラつき度は約10%でした。使われているスポークは6.5gの扁平スポークですのでとても硬い乗り味になります。このスポークは2㎜径の丸スポークと同じものです。

後輪も大きいフレはありません。しかしスポークテンションを調べますと驚きました。テンションのバラつきはとても大きくアマチュアのビルダーが作ったホイールのようです。

やはり安価なホイールは驚くばかりのグラフとなります。メーカーは短い時間で少しでも沢山作るということで仕事をしています。部品自体は悪くないのですが仕上げに時間をかけていません。振れさえなければ良いという見た目重視の考えです。

安価な中華カーボンホイールはコストダウンを図るため安価な太いスポークを使われています。これは剛性が高いホイールに仕上がりますので特別悪いことではありません。しかし一般的な日曜ライダーさんには高負担で疲れやすいホイールとなります。

このホイールはスポークテンションの調整に問題があります。スポークが強弱強弱と張られていて、グラフを見ればよくわかりますがこの仕上がりではお勧めできません。駆動効率が悪くスピードは踏み込んでも伸びません。スポーク折れの心配もあります。後輪スポークテンションが緩くて不揃いでは偏ったスポークに負担がきますので折れやすいです。

手組ホイールファンではこのホイールを分解してスポークを細くしたいと思っています。太いスポークなので剛性がありすぎるのでもう少し柔らかくします。じゃじゃ馬ホイールを手なずけるには先ずはスポーク替えです。スポークテンションを出来るだけ均一になるようにして振れが出にくいホイールに仕上げるつもりです。

この中華カーボンホイールは振れ取りやスポーク調整を自分で出来る人なら、もしくは調整をやってくれるショップのメカニックさんを知っている人ならよいホイールと思います。

廉価版の中華カーボンホイールのスポークは太い

勉強のためと言いたいのですがビックリするくらい安かったのでネット販売で中華カーボンを購入しました。先ずはスポークの状態を調べています。テンショングラフにしますとよくわかります。

50mm高中華カーボン 前輪664g
購入時の前輪スポークテンショングラフ  とても良く出来ています
50mm高中華カーボン 後輪842g 右14本左7本の2:1組
購入時の後輪スポークテンショングラフ  右ギア側のバラつきが大きい

予備スポークが1本ついていましたので重さを測りますと6.5gです。これは2mm径のスポークと同じ重さです。フレはほとんどありません。見た目はとても良く出来ています。しかしグラフを見ますとテンションのバラつきがあります。

ホイールの馴染みだしは終わっていますが手組ホイールファンで行っている方法で馴染みだしをもう一度やってみました。

再度スポークテンショングラフを取ってみますと次のようになりました。

前輪 一度なじみだしを行ってグラフにしました スポークテンションのバラつきが大きくなっています
後輪 一度なじみだしを行ってグラフにしました スポークテンションのバラつきが大きくなっています

テンションのバラつきは大きく出るようになっています。テンションのバラつきが大きいとスポークが折れやすくなります。

リムの強度はわかりませんが必要十分の強度はUCIのラベルが貼ってありますので大丈夫としています。ハブも良い回転しています。

購入しての感想です。

スポークが2㎜径のスポークと同じ重量のスポークを使っているので非常に剛性が高いホイールです。

このため乗った時の最初の印象はかかりが良いと感じると思います。しかし長い時間乗っていると疲れやすいでしょう。スポークが太いので地面からの衝撃が伝わりやすいのが理由です。スポークが細いとショックアブソーバーの働きをしてくれますので衝撃を吸収してくれます。太いスポークは衝撃を少なくしてくれません。ダイレクトに伝わります。

これはシマノの安価なアルミホイールと同じです。シマノ廉価版ホイールは太いスポークを使って剛性を上げています。ユーザーの範囲が広いためどうしても剛性は高めに作られて万人向けにしています。

シマノの安価なアルミホイールは初心者向けではなくパワーライダー向けのホイールと考えています。初心者に安価なホイールは走らないと思わせる戦略かもしれません。

今回購入したホイールは太いスポークを取り換えてロングライドにも適した細いスポークに取り換えて乗る予定です。遊びでいろいろホイールを取り換えることが出来る人ならこのような中華カーボンもいいでしょう。しかし安いホイールはリスクが高いように思います。見た目をよくして安くするために太いスポークを使っているのを知っておいた方が良いでしょう。

因みに同じメーカーの中華カーボンも高級スポークを使っているホイールは注目をひくための安価なホイールの倍の価格で販売しています。これは撒き餌戦略かもしれません。

XR31T/RTリム使用16:8組ホイールの調整

2019年にお納めしましたオーダーホイールの調整をして欲しいとご連絡いただきました。

前輪18穴リム使用 アルテグラハブ サピムCXRAY
アルテグラハブ HB-6700 18h ディスコンハブです 
18hラジアル組 
24穴リム 32穴ハブ 16:8で変則組
右ギア側16本 左8本
左が右より高いスポークテンション

お客様は長年にわたって年間1万キロメートルを走っておられる超ベテランのライダーさんです。自転車の組み立てはなんでも出来る方ですがホイールに関しては任せていただいています。

ホイールは当ブログでは定番のXR31T/RTリムを使っています。

前輪 XR31T 18H

前輪ハブ シマノ HB-6700 18H

前輪スポーク サピムCXRAY

後輪 XR31RT 24H 3mmオフセットリム

後輪ハブ DURAハブ FH-7700 32H

後輪スポーク サピムRace ドライブ側16本3クロス組 非ドライブ側 8本1クロス組

上記の部品で構成しています。

後輪は32穴ハブ、24穴リムで16:8の変則組です。

左側 1穴飛ばして1クロス組

このホイールの特徴は2:1組の変則組ですが、リムにオフセットリムを使っているところが面白いところです。オフセットしていない通常リムを使うとスポークテンション比率は78:100で仕上がります。3mmオフセットリムを使いますと左側100:右側97の比率になります。

左スポークテンションが右より少し高くなることはあまりない組み合わせですがこのホイールの組み方では左がほんの少し上回ります。ほぼ左右同じといっても良いくらいです。

通常後輪ホイールはハブに段数のあるギアを取り付けますのでスポークテンション比率は右100とすれば左は50前後に仕上がります。左側が緩いため駆動ロスが起こるわけです。

このロスを少なくするため出来るだけ左テンションが高くなるように2:1組で組むと左側が70:100くらいになります。左が大幅に上がるわけですが均等にはなりません。

左スポークテンションが右スポークテンションより高い仕上がり

ここでオフセットリムを使いますと左が大幅に上がり100:97と逆転します。数値では違いがあるのですが実際の使用ではほぼ左右テンションは同じと考えて良いかと思います。

スポークテンション差がないということでこれはピストホイールと同じような仕上がりです。

6年使われたホイールのスポーク調整はほとんど触ることがなくお返しいたしました。手前味噌になりますがとても良く出来ています。

今回のホイールを作るまでオフセットリムを使う方法は思いつきませんでした。体重、スポーク数など考慮すべき事柄がありますのでこのホイールでないといけないということはありません。オフセットリムで作られた2:1組ホイールは新しいアイデアと思います。長年使われてもスポークテンションのバラつきの少ないホイールが出来上がります。

TOKENホイールのスポーク調整

このブログに興味を持っていただいた方よりご連絡いただきました。ホイール再調整のご依頼です。新しいホイール購入の検討もされているようですが先ずは調整をやってからということです。賢明な選択と思います。

お送りいただきましたホイールの写真です。スポークテンションの状態を調べてグラフにしています。ホイールの使用感想を下記のようにとても詳しくお知らせいただきました。

前輪586g
お預か時のスポークテンション 約90kgf もう少し高い方が良い
後輪813g
お預かり時の後輪スポークテンショングラフ 緩めでバラつきが大きい


〇所有ホイールについて
 フロント TOKEN ventous 36mm リムブレーキ
 リア TOKEN konaxpro 52mm リムブレーキ
 駆け出しのもっさり感がある(ダイレクト感が足りない)、30㎞以上でのころ狩りが若干重たい。落差15m程度、距離1km程度の長さの坂で下っていても50㎞以上に上がっていかない。スポークテンションが極端に異なるところがある。購入から2年1万2000km程度は走っていると思います。

乗って温いと感じるホイールは剛性が不足しています。スポークを取り換えることで大きく変化しますのでとても良い方法です。

TOKENのホームページを見ますと使用スポークはサピムのCXRAYです。前輪18本、後輪21本、共にCXRAYですので体重があり、パワーのある方には踏み込んだ時の剛性が不足と感じるのは当然かもしれません。CXRAYは優秀スポークですが万能スポークではないということです。

今回は後輪スポークをCXRAYからCX-SPRINTに変更を提案しています。グラム数で言いますと4gスポークから5gスポークに交換します。

CXRAYスポーク14本 60.5g
CXーSPRINT 14本 74.5g
調整後の後輪スポークテンショングラフ バラつきがなくなりました

実際重量を量りますと60.5gから74.5gになりました。14gの増加です。このスポークで温い場合はサピムのRace(2.0/1.8/2.0mm)に取り換えです。スポークの値段は下がりますが剛性は上がります。面白いです。

お預かり時よりスポークテンションを約110kgfに引き上げました

前輪のスポークテンションを再調整しました。スポークテンションはお預かり時点では左右約90kgfで張られていましたが約110kgfに引き上げています。高過ぎず低すぎずのテンションです。ハブはゴリ感がありましたのでベアリングの打ち直しをしました。

前輪ハブ ベアリング6802 大きいベアリングを使っているハブです

ベアリング6802のベアリングを使っているハブです。一般には小さめの699ベアリングを使ったハブが多いのですがこのハブのように大きいベアリングを使ったハブは回転に安定感があります。ハブ径が約40mmと大きく、ハブ幅が80mmありますのでスポークは広く角度をつけることが出来ます。当然横剛性が上がります。18本と少ないスポークですが必要な剛性を得ることが出来るこの前輪ハブは気に入りました。

今回のTOKENホイールは非常に高価なホイールです。個々のパーツはよく吟味された高級パーツです。しかし乗り手の力に合っていない場合はせっかくのホイールも性能を引き出すことが出来ません。今回の修正でどのように変化するのかお客様から伺うのが楽しみです。

波型リム使用カーボンホイールの印象記

8月30日のブログ記事にインダストリー9ハブと波型カーボンリムを使ったホイールのご注文を記事にしています。

前輪731g  インダストリー9ハブ  wing21  左右2クロス組
後輪877g インダストリー9ハブ wing21 左右3クロス組
前輪 2クロス組
後輪 3クロス組

お客様はこのホイールで1000kmブルべに挑戦することを計画されていました。今回のホイールは2セット目です。最初のホイールも好印象のようでしたが、最初からブルべに使うことを考えてホイールのプランを立てておられます。ホイール作製のお手伝いが出来ましてうれしく思っています。

1000kmブルべを完走され、その時のホイールの感想をお送りいただきました。いつものことですがこのブログの宣伝に使わせていただきます。勿論お客様もご承知です。

ホイールは使っている方のお話を伺うのが一番です。自転車雑誌のホイールインプレ記事はバイアスがかかっていますので要注意です。その点今回のような素直に感想いただくのは作り手にも、また新しいホイールを考えておられる方にも参考になると思います。

以下お送りいただきました原文です。

8月に波型リムでホイール作製していただいた**です。

改めて、この度もありがとうございました。

何度か試走の後、10月Audax近畿さんの四国一周1000kmブルベで本格的に走りこんでみましたので、インプレッションお送りします。

-----

【念のためスペック】

・46.6mmハイト波型リム

・インダストリーナインtorchハブ(前後28H)

・pillar wing21 前輪左右2クロス、後輪左右3クロス

・前輪733g、後輪877g=計1610g

※1本目:

・45mmハイト軽量リム+TNIハブ(前後24h)

・前輪648g、後輪788g=計1436g

【主な用途】

ロングライド、ブルベ中心です。

【使用してみての印象】

28hの多スポーク、ハブも軽量とは言えずどちらかというとグラベルっぽい仕様で

登りは1本目のホイール以上のアドバンテージは感じませんでしたが、

波型リム・エアロなスポークも相まって何より平坦巡行がとても楽になりました。

1本目のホイールも良かったものの、より「負担なく・楽に巡行できる」という印象です。

1000kmブルベの初日、ほぼ24hぶっ通しで500kmほど走行して・グロス平均25.6kmと、

信号や峠以外はほぼ30~35km/hで無理なく回せました。

いつもなら400kmを超えたころから疲れてきて出力を上げられなくなるのですが、

このホイールは足への負担感が実感レベルで低かったです。

まさに狙っていた通り「ブルベ・ロングライドスペシャル」なホイールで、

早くも次のブルベが楽しみです!

-----

以上です。

このホイールのおかげで、1000kmブルベを楽しく完走できました。

また次もお世話になるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

とても体力がある方でびっくりしましたとメールしますとホイールが助けてくれましたとありがたいお返事いただきました。いつもお客様から励みになるご感想をいただきます。

ENVEホイールのスポーク、2度目のスポーク替え

8月31日の手組ホイールファンのブログ記事で分かりますが、ENVEホイールの調整とスポーク替えを行っています。

最初にお預かりしたホイールの状態です  DURAハブ ENVEリム CXRAY 

お客様からの直ぐのご感想では剛性が上がり乗り味が大きく変わって良くなったと連絡いただいています。

この3か月間1000kmほど走られての印象ではとても良くなったのですがぐっと踏み込んときの反応が今一つ足りないとのことでした。

このホイールですが一番最初の時点でのスポークテンションは次の仕上がりでした。

一番最初にお預かりしました時のホイールのスポークテンショングラフです これはびっくりします

ENVEリム

DURAハブ FH-9000 24穴

サピム CXRAY 左右 3クロス組

最初のスポーク組み替え後では次のスポークテンショングラフになりました。

wing21に変更してグラフにしました 上記グラフと比較して大きく前進した感じです 

スポーク wing21 左右 2クロス組です。

スポークの剛性を高めることで乗り味はシャープになりました。スポーク重量は約10g増えるのですが剛性は大幅にアップです。スポークテンションを揃えたのも大きな改善です。

2回目になる今回の組み替えではドライブ側のスポークだけを取り換えています。

ドライブ側スポーク wing21x12本の合計58.5g 
2回目取り換えるスポーク  コンペティションx12本  71g

次はwing21からコンペティション(2.0/1.8/2.0mm)に取り換えて12本で71gとなりました。グラム数で13gほどのアップです。2回目もこれだけの重量アップですが剛性は上がります。スポークの単価は下がっていますが剛性は上がっています。面白いものです。

お客様には失礼になるかもしれませんが、長い間、最初のCXRAY仕様で乗ってこられました。特別満足しないホイールでもこんなものだという感じでレースに出ておられたわけです。これはブランドの影響力かもしれません。ENVEリム、DURAハブ、CXRAYと自転車部品の一流品です。これを使っているのだから悪いはずはない、と思ってこられたと思います。

しかし普段からもっと早く走りたいという気持ちが強く勉強もされてきました。たまたまかもしれませんがご縁があってこのブログをお読みいただき、手組ホイールファンにホイールの再調整をご依頼いただきました。

前輪スポークの調整、後輪はスポーク替えでホイールは大きく変化することを勉強されたようです。

最初の組み替えをご依頼いただきました時から比べますとお客様のホイール知識は増えました。もともと選手として力も知識もある方です。いろいろご質問を頂き、出来るだけお答えしてきたことも良かったのかもしれません。

右側のみコンペティションに変更して剛性をあげています

今回の再度のスポーク替えに至るまでには約3か月です。手前味噌になりますがホイールのご理解が深くなられたようです。

今回のスポーク替えでどれだけ変わるか、お客様からのご感想が楽しみです。

定番46mm高カーボンホイールのインプレいただきました

一月にご注文いただきました46mm高の定番カーボンのインプレをお送りいただきました。お客様は北海道の方で、1月末に納品いたしましたが屋外で乗れるのは4月からです。10月に感想をお送りいただきましたので約半年乗られました。雄大な大自然の中で楽しんでおられます。乗られる期間は短いと思いますが密度の濃い楽しみ方をされていると想像します。

ホイール内容は下記の通りです。

リム 28mm幅46mm高 穴ナシリム使用

ハブ ノバテック A291SB 20H F482SB 24H

スポーク wing21 黒

ニップル Squorxpro ブラス 黒

手組ホイールファンの宣伝になるのですがこのリム、ハブを使えばこのような乗り味になるのかという参考になると思います。お客様了解を得ています。以下インプレの全文です。

感想を少しですが書きましたので送ります。

まず外見ですが迫力ある見かけで満足です。スポークワッシャがワンポイントで、走ると金色の輪に見えます。

タイヤはGP5000の25Cで600kPa入れたときの外幅は27.5mmでリム外幅と同じくらいになります。

ちなみに他のホイールでもタイヤとチューブは同じ銘柄です。

使用する前にハブを分解しグリースを追加しました。

分解説明をホームページにアップしていただいており、ありがたかったです。

フリーの爪を立てるスプリングがゾンダの倍くらい太く、折れの心配は当分不要と思いました

46mmホイール走行開始は5月6日で、4月はゾンダで冬眠からのリハビリ走に当てておりました。

乗り出し最初期の感想は以下です。

ブレーキはよく効きまったく問題ない。

横風あおられ具合は想定内。これ以上だと怖いかな。

しっかりした真円のものが転がっている感じがある。かといって硬質な振動が多いことはない。

走り出しの重さは普通。重くも軽くもなく上りの不利は感じない。

ダンシングすると予想より自転車が前に出るので体の動きを調節する必要あり。

肝心の空力ですが、自分にはそんな気がする程度しか感じられませんでした。

キシリウム・プロはこの46mmホイールよりいくらか軽いのですが、軽さはすぐ感じることができますから、ものの感じかたは難しいと思った次第です。

そんなことで自分の鈍感さに落胆しつつ乗っていたのですが、一方、普段走る区間の記録は更新していきました。

途中2回キシリウムプロに変えましたが、今まで5か月間3000kmちょっと使用して、空力に関しては別の感想を持つようになりました。

自分が思うよりずっと低速から恩恵があり、それが連続的かつ変化点がないので判りにくいのだと考えています。

向かい風やライド終盤でチカラが残っていないなど条件が悪いときほど違いがわかります。

こんなとき他のホイールだと失速感が強く、前に進むのを手伝ってくれません。

もう一つは、例えば下りの勢いを殺さないよう重くなるペダルに逆らって上りを越えて行くような状況で、このホイールはとても踏み心地がいい、パワーをかけて行けます。かかりがいいと表現されることかもしれません。

今年も来月には乗れない季節になりますが、こんな感じで楽しんでおり、本ホイールを入手したことに満足しています。

手組様が長くホイール作りを続けられるよう願っています。

ありがたい感想文をお送りいただきました。