タイヤ優先で作ったチューブラーホイール

ホイールの良さを決める要素としてはいろいろありますが一番にタイヤ、2番にリム、3番にスポークが重要と考えています。ハブは意外と後ろのほうです。

ワイドリム使用32Hチューブラーホイール  細いスポークで乗り心地はとても良い

タイヤですがプロライダーはチューブラーを選ぶ人が多いようです。チューブラータイヤは対パンク性、ローリング、グリップなど乗り心地を決める性能が優秀なのが理由です。

ヴェロフレックス プロツアー28mm
1本321g

今回選んだタイヤはヴェロフレックスのプロツアー28mmです。

CX22  この赤いシールは剝がしています

リムはTNIのアルミリム、CX22を使いました。ワイドリムで手に入るアルミチューブラーリムはこのリムしかないと思います。チューブラーには根強いファンがいますので長く販売していただきたいものです。

シマノ RS470 前輪ハブ 163g
シマノ RS470 後輪ハブ 360g

ハブは安心のシマノハブです。ティアグラハブを使っています。カップアンドコーンで十分な回転性能です。外観はシンプルで高級感はありませんがよく回ります。ハブの回転性能にクラス分けすることは出来ません。このハブはとてもコスパが良いと思います。

スポークは中央部が1.5㎜の丸スポーク、DTのレボリューション黒で組みました。このスポークを叩いて扁平にしたスポークが高級スポークエアロライトです。価格は3倍違います。

丸スポークと扁平スポークではほんのわずかな空力差はあることはありますが、これには目をつぶり価格優先で採用しています。

チューブラータイヤの扱いは難しいと思う人が多いようです。これは自転車屋さんが面倒くさがるのが原因という話を聞いたことがあります。クリンチャーなら簡単に処理できるのでお客さんに勧めるめるのはクリンチャーばかりということです。そうかもしれません。本当はいいと思っていても本音とビジネスは違うということで残念です。

チューブラータイヤはタイヤの構造上リム打ちパンクがありません。釘のようなものが刺さってパンクするだけです。今の道路事情を考えますと道がきれいですのであまりパンクするということはありません。仮にパンクしても空気はクリンチャーのように一気に空気が抜けるということはありません。ゆっくり空気が抜けるので安全度は高いです。パンクしたときはタイヤをはがして新しいタイヤを貼りつけます。作業はそんなに長い時間かかるものではありません。

タイヤを決めてから作ったホイールです 乗り心地は最高です 直ぐに慣れてしまうのが残念です

出来上がりのホイールはリム剛性が高く外周部が軽いので登りにも強いです。細いスポークを使っていますのでショックアブソーバーの働きをしてくれます。地面からの振動を和らげてくれるのでロングライドでも疲れにくいホイールに仕上がります。

ホイールの価格ですが、タイヤとホイールがほぼ同額です。ホイール本体は意外と安価に仕上がります。良いタイヤで作るチューブラーホイールは良いことずくめです。タイヤ2本でライディングが変わるというのは言い過ぎかもしれませんが初めての方なら驚かれるのは間違いありません。

音を聞き分けてスポーク調整

テンションメーターを使ってホイール作製を行っています。メーターは校正器を使って出来るだけ正確にテンション値を測っています。パークツールのTM-1は相対値を測るにはいい道具ですが絶対値を出して精度の高いホイール作りには向いていないと思います。

スポークテンションですが一般にはハイテンションが良いと思われがちです。しかしあまりのハイテンションで調整しますとリムの強度が下がります。各スポークが中央に引っ張る力の度合いが高過ぎるのはリムによくありません。カーボンリムでしたら注意書きが張られていますが通常120~130kgfまででおさめるように指示されています。

スポークテンションを出来るだけ均一になるように調整しています  デルの古いパソコンを専用にしています
ホイール作りの最終段階ではギターピックを使って音で調整が楽です

ホイールは何度も繰り返してスポークテンションを調整しますが、最終の調整ではほとんどスポークの張りに変化がありません。この段階になりますとテンションメーターをあてるのが面倒になりますの音で聞き分けています。

ギターピックではじき、音が揃っているとほぼ同じスポークテンションということが分かります。

音の違うところだけスポークを調整すればいいのでとても簡単です。

しかしこの音で調整を最初から行うとなりますと大変です。出来る人もおれらるかもしれませんがこれは厄介と思っています。

テンションメーターとギターピックの併用で調整していますが時短で効率良くホイールを組み上げるにはお勧めです。

ERDは実測する

3年前にご注文いただきましたホイールを組み替えてほしいとご連絡いただきました。ホイールと新しいリムを一緒に送られてきました。

3年前に納品しましたホイールです 銀輪リムと一緒にお送りいただきました
グランジ レンジャーリム650 489g

新しいリムはグランジのレンジャーリム650という銀輪リムです。リムベッドにはERDのサイズまで印字されている剛性高いリムでした。

ERD 544.5mmと書かれています  実寸は553mmでした

リムの表示にはERDサイズが544.5と書かれています。

残念なことですがこの数値を信じてスポーク長を計算してホイールを作りますとスポークが約4mm短い数値となります。これでは組むことが出来ません。実際にERDを計測しますと553mmでした。

グランジ レンジャーリム

ある自転車部品を販売するホームページを見ましたところ同じリムが販売されています。同じようにERDの表示がありました。このホームページでは550.5と書かれています。輸入された時のロットがこの表示だったようです。リムによって輸入時点でサイズが違うようです。

ERD ニップルの頭~ニップルの頭までの距離

もともとリムの有効サイズは実測するものですのでホイールを自分で組む方には注意が必要です。実寸が記入されていても信頼は出来ません。ERDはご自分で測ってみるのがとても大切です。

中華カーボンホイール前輪の分解とスポーク替え

乗り味を柔らかくするために太いスポークを細いスポークに取り換えます。通常はこのような面倒なことは要りませんが硬いホイールは疲れますので柔らかくすることにしました。ほんの少しホイール重量は軽くなるだけですがスポークを替えると違いははっきりします。

TOKENホイールと同じ構造しています

今回のハブはベアリングが大きい珍しいハブです。じっくり観察しますとTOKENホイールと同じハブでした。

エンドキャップを外して軸棒を抜き取ってからスポークを取り出します

①分解するにはハブ軸を抜き取り必要があります。

ハブ軸棒 エンドキャップは外せるほうと固定されている方があります

②エンドキャップを引っ張り、ハブ軸棒を抜き取りますとスポークが外せます。片方のキャップは軸棒に固定されています。外せるほうのキャップを取り外し、反対側を引き抜けばうまくはずせます。キャップを外した軸棒を押し出してもいいです。

③軸棒を抜き取らない限りスポークは外せません。

取り出した太いスポーク 18本115g
新しく交換するスポーク 18本89g 26gの軽量化 これだけで乗り味は変わります

④使われているニップルは16mmブラスニップルです。ブラスなので再利用出来ます。

16mmブラスニップルが使われています

⑤新しくニップルを用意する場合、14mmニップルを使うのであればスポークは1mmほど長くした方が良いと思います。今回は取り出した同じ長さのスポークです。ニップルは15mmのSquorxProを使っています。

⑥ハブにスポークを通して通常の組み立てでホイールは完成します。

出来るだけスポークテンションを均一になるようにします

⑦難しい点はハブ構造の理解です。

ハブをじっくり観察しました。ストレートプルスポークを使うハブはスポークの頭部分の止め方に工夫されています。DTハブやノバテックハブは簡単にスポークを抜き取りことが出来ますが今回のハブのように軸棒を抜かないとスポークを外すことが出来ないハブがあります。この点が難しいと言えば難しいところです。現物を見てこの文章を読むとすぐに理解できると思います。

太いスポークを使っているホイールで長時間乗られても疲れないライダーさんはパワーがあります。スポーク交換などいりません。長年同じものを使っていてホイールとはこんなものと思っておられる方にはホイールの硬い、柔らかいの違いは分かりません。何事も比較して、真似をして、はは~んなるほどと分かります。試乗会などに行かれたら良いかと思います。

スポークを休ませるとスポークテンション値は下がる

リピーターのお客様よりシクロレースに使うホイールをご注文いただきました。      ホイールはほぼ完成しています。

仕上げ段階のホイール

仕上げの段階でスポークテンションを測ってみます。この時のテンショングラフがこの図表です。

左81.6kgf 右123kgf

出来上がりましてから3時間ほど作業場を離れました。

続きの作業する場合、一度確認のためにテンションを測ってみます。

左79.7kgf  右119.4kgf  3時間ほっておいてスポークのテンションは下がっている

仕上げ前のテンショングラフと比べますと全体に少し数値が下がっています。このようにスポークに休み時間を与えるとテンションは下がります。

このブログ記事で何度もホイール出来上がり後は1日ほど時間をあけて再調整すると書いていますが3時間でもよくわかる結果が出ています。

手組ホイールファンではオーダーホイールを作っていますので馴染みだしは時間をあけて何度も行っています。緩んだテンションを元に戻してしばらく時間をあける。また緩むので元に戻すの繰り返しを何度か行うと変化がなくなります。これで初めて出来上がりです。

こんな面倒なことを省くのはどうしたらいいのでしょう。答えはこれです、一度タイヤをはめて乗ってみることです。それで再調整を行うといいホイールが出来上がります。

手組ホイールファンでは発送作業があります。このためこの一度乗ってみる作業は出来ません。何度も馴染みだしを繰り返す必要があります。面倒な作業ですが馴染みだしを上下のプレス式で行っている完組ホイールではできない作業と思っています。

EQUALリム、ハブを使ってホイールを作るときの注意点

ご縁がありましてEQUALリムとハブをお送りいただきました。ホイールは手前味噌になりますがよくできています。ご感想が届くのを楽しみにしています。

前輪647g
後輪727g

さて今回ハブとリムを点検することが出来ましたのでこの部品を使うときの注意点を述べたいと思います。

①ハブは分解する手順をグロータックさんがYOU TUBEに上げておられますので参考にされたら良いかと思います。定期的なグリスアップは必要です。

穴位置が2.5mmずれています

②リムは2.5mmのオフセットリムですので方向性があります。この点を注意しないとゆるゆるのスポークテンションになってしまうこともあります。

③リムのERDが発表されています。今回の作製でERDを出しましたら4mm違っていました。使用するニップルでERDは変わります。実寸を計測してスポーク長を出すことをお勧めします。

④グロータックさんは部品屋さんなのでホイールの性能には直接影響しません。走る走らないは作られるビルダーさんの腕次第です。これは重要なポイントです。

⑤うまく作ればブランドホイールの約半額でホイールが手に入ります。これはとても楽しみです。

⑥グロータックさんのホイールキットはCXRAYのスポークを使われています。CXRAYスポークは万能スポークではないのでキットで購入はよく考えられた方が良いと思います。

強化ゴムを使ってハブキャップを外す

ハブ両サイドのキャップを外すとき、ねじ式とはめ込方式があります。自分のハブなら傷がついても問題ないのですが人様の預かり品の場合傷をつけないように注意が必要です。

ねじ式の場合はバイスに六角レンチを取り付けて外しています。はめ込み式の場合布切れなどで養生してバイスに挟んでポンと引き抜いていたのですが、いつもいい方法がないかなと思っていました。

専用道具 便利ですが安くはない

勿論バイスを使って挟む道具がパークツールで販売しているのですがとても高価です。いまでも困っていないのでわざわざ購入するまでもないと思っていました。

最近整備の為ハブキャップを外すことがありまして手軽にキャップを傷つけないようにする方法を考えていました。強化ゴムで養生すればいいのでは?とアイデアというほどではありませんがピンと浮かびました。

数百円の強化ゴム 半分にカットするとバイスにぴったりセットできます

数百円の安価な強化ゴム100x100x10mmをネットで見つけたのでこれを半分にカットしてバイスに挟むことにしました。バイスにのせるのに100x50x10mmはピッタリのサイズです。

100x50x10mmサイズの強化ゴムで挟みます
キャップを傷つけることなく簡単に外せます

この強化ゴムを使ってハブキャップを挟むととても具合がいいです。簡単にポンと引き抜くことが出来ます。ゴムとゴムの間に挟んで引き抜きますのでキャップには傷がつくことはありません。高価な道具を使わなくてもハブの整備は出来ます。

Rovalホイールは2度楽しめる

7月12日にRovalホイールの組み替えを記事にしています。

お客様よりご感想をいただきました。事前の了解を得ましたのでお知らせしたいと思います。

以下原文です。

早速近場30㎞程を試走致しましたので感想を送らせていただきます。

まずはダンシング時の反応が抜群に良く変わり一体感がましました。

後、今まで緩斜面の下りから登りに切り替わる時にペダリングをしても一歩遅れる感じがして違和感がありましたがダンシング同様ダイレクトに反応が良くなりした。 

今まではどちらかというと軽いヒルクライム特化ホイールのイメージでしたがリニアに反応する面白いホイールになったと思いますし、気にいっています。ありがとうございました。

後輪スポークは左右共にエアロライトでした。このスポークは1.5mmの丸スポークを扁平にしたスポークです。スチールは叩くと強くなりますので丸スポークの時よりはねばりがでて強化されます。これはサピムのCXRAYも同じです。Rovalホイールはこのエアロライトを左右で24本使われていました。ホイールはねばりがあるのですが力のある人には剛性が不足しています。踏み込んでも反応が鈍い訳です。

おそらくはRovalホイールを購入された時は軽いホイールなので気持ちよく使われていたと思います。しかしだんだん物足りなく感じておられました。いわゆるぬるいホイールだったのです。

このようなホイールの処方箋は一つです。スポークを太くすれば解決します。エアロライトからコンペティションに交換しました。スポークの重量は左右で40g増えたわけですがこれでホイールの剛性が増してインプレでお分かりのように踏み込んでも反応してくれるホイールに変身しました。

お客様はRovalホイールを購入されて2度楽しまれています。しかしエアロライトで組み上げたホイールでピッタリ相性が合っている乗り手さんもおられます。Rovalホイールはいつもヌルイわけではありません。しかし温いと感じておられるのならスポーク替えをお勧めします。

ICANホイールのスポーク調整

5月30日、31日の記事にしていますお客様はもう1セットICANホイールを持っておられました。ご購入の時期はわかりませんが今販売されているICANホイールではありません。このホイールのスポーク調整をご依頼いただきました。2セット連続です。前回のスポークを組み替えしたホイールは調子が良かったので今回のホイールと比べてみるというお考えです。

前輪571g 軽量です
後輪733g  軽量です

お送りいただきましたホイールは40mm高のホイールで、前輪は18H、後輪は24Hでした。前後で1304g、とても軽量です。

右ドライブ側ラジアル組 左側クロス組

前輪はラジアル組、後輪はドライブ側がラジアル組、反対側がクロス組という組み方です。スポークはすべてCXRAYで組まれています。

ホイールメーカーの宣伝文ではよく最強のスポーク、CXRAYで組んでいるというのがウリのホイールをよく見かけます。CXRAYはとても優秀なスポークですがすべてCXRAYで組めば良いホイールが出来るのかというのも疑問です。CXRAYは万能スポークではないということも知っていただきたいと思います。

個人的には左右クロス組が好きな組み方です。いわゆるオーソドックスな組み方です。好きな理由はプルスポークが24本の場合12本あるので引っ張るスポークが多いのが理由です。左右の効率まではわかりませんが数が多いのが好きな理由です。

今回お預かりホイールでは右12本はラジアル組です。プルスポークではありませんので駆動には大きく影響しません。左側12本の6本がプルスポークです。この6本のスポークがギアからハブシェルを経由して来るトルクを伝えています。24本の内6本ですのでこれで十分なのかはわかりません。走れているので大丈夫と思うのですが個人的には左右クロス組の方が好きなのはこれが理由です。お客様には組み方については説明していますのでご理解いただいていると思います。

お預かり時点のスポークテンションをグラフにしています。

スポークテンションのバラつきがとても大きい センターが出ていない
スポークテンションのバラつきがとても大きい センターが出ていない

スポークテンションのバラつきが前後ホイール共に大きいです。ギアからくる力は均等にスポーク伝わるのですが力を受ける側のスポークがバラバラのテンションでは駆動ロスが大きいです。加えてセンターも出ていません。

処方箋としましては各スポークの張りを出来るだけ均一になるようにしてセンターが出るように調整します。文章にしますとこれだけです。約2時間かけて調整しました。

前輪 出来るだけスポークテンションを揃えてバラつきを少なくします
後輪 出来るだけスポークテンションを揃えてバラつきを少なくします

出来上がりのスポークテンションをグラフにしました。まずまずの仕上がりです。前回のホイールはスポークを取り換えて剛性を上げています。すべてCXRAYで組んである今回のホイールと乗り比べていただきます。どちらのホイールがお客様に合っているのか楽しみです。

チューブラーホイールのリム替え②

チューブラーホイールの前輪も取り換えることにしました。

今回は後輪よりも手早く行うことが出来ています。普段ニップルの緩み止めにはリンシードオイルを使っています。オイルが固まるのに数日かかりますが手軽なので愛用です。

縦ブレ横ブレを取って組み上げ完成しますがスポークテンションのデータを取ってみました。この仮組出来上がり直ぐのデータ取りでよくわかります。振れ取りだけではテンションは揃っていません。

スポークテンションが揃っていなくてもホイールの振れ取りはできます

何百ホイールを作っていますが、振れ取りだけの仕上がりは全くダメな出来上がりです。神の手は持てないということです。見た目では全くわかりませんがスポークのテンションが揃っていません。

余談になりますが、

オークションなどで売りにでている99%のホイールはスポークテンションが揃っていません。目視では振れはありませんというコメントがよくあります。それはその通りだと思います。しかし残念ながらスポークテンションは揃っていないのが現実です。この点を理解して購入を考えるべきです。中古は中古でそれ以上のものではありません。

話題を戻します。

スポークテンションを出来るだけ揃えています
TB25リムを取り換えまた新しいホイールが出来上がり 長く使えるホイールです

スポークのテンションを揃えることばかりやっていると今度は振れ取りが正しくできません。振れ取り+テンションを揃える、どちらも出来て初めて完成です。

ハブ、スポークは再利用ですが調整されたシマノハブはあたりが出ていますのでとても滑らかな回転です。クリンチャーホイールしか知らないライダーさんにはチューブラーホイールをお勧めします。外周部が軽いので今まで乗っておられたホイールとは違った良さを感じていただけると思います。試されるとよくわかります。