波型リム使用カーボンホイールの印象記

8月30日のブログ記事にインダストリー9ハブと波型カーボンリムを使ったホイールのご注文を記事にしています。

前輪731g  インダストリー9ハブ  wing21  左右2クロス組
後輪877g インダストリー9ハブ wing21 左右3クロス組
前輪 2クロス組
後輪 3クロス組

お客様はこのホイールで1000kmブルべに挑戦することを計画されていました。今回のホイールは2セット目です。最初のホイールも好印象のようでしたが、最初からブルべに使うことを考えてホイールのプランを立てておられます。ホイール作製のお手伝いが出来ましてうれしく思っています。

1000kmブルべを完走され、その時のホイールの感想をお送りいただきました。いつものことですがこのブログの宣伝に使わせていただきます。勿論お客様もご承知です。

ホイールは使っている方のお話を伺うのが一番です。自転車雑誌のホイールインプレ記事はバイアスがかかっていますので要注意です。その点今回のような素直に感想いただくのは作り手にも、また新しいホイールを考えておられる方にも参考になると思います。

以下お送りいただきました原文です。

8月に波型リムでホイール作製していただいた**です。

改めて、この度もありがとうございました。

何度か試走の後、10月Audax近畿さんの四国一周1000kmブルベで本格的に走りこんでみましたので、インプレッションお送りします。

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【念のためスペック】

・46.6mmハイト波型リム

・インダストリーナインtorchハブ(前後28H)

・pillar wing21 前輪左右2クロス、後輪左右3クロス

・前輪733g、後輪877g=計1610g

※1本目:

・45mmハイト軽量リム+TNIハブ(前後24h)

・前輪648g、後輪788g=計1436g

【主な用途】

ロングライド、ブルベ中心です。

【使用してみての印象】

28hの多スポーク、ハブも軽量とは言えずどちらかというとグラベルっぽい仕様で

登りは1本目のホイール以上のアドバンテージは感じませんでしたが、

波型リム・エアロなスポークも相まって何より平坦巡行がとても楽になりました。

1本目のホイールも良かったものの、より「負担なく・楽に巡行できる」という印象です。

1000kmブルベの初日、ほぼ24hぶっ通しで500kmほど走行して・グロス平均25.6kmと、

信号や峠以外はほぼ30~35km/hで無理なく回せました。

いつもなら400kmを超えたころから疲れてきて出力を上げられなくなるのですが、

このホイールは足への負担感が実感レベルで低かったです。

まさに狙っていた通り「ブルベ・ロングライドスペシャル」なホイールで、

早くも次のブルベが楽しみです!

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以上です。

このホイールのおかげで、1000kmブルベを楽しく完走できました。

また次もお世話になるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

とても体力がある方でびっくりしましたとメールしますとホイールが助けてくれましたとありがたいお返事いただきました。いつもお客様から励みになるご感想をいただきます。

ENVEホイールのスポーク、2度目のスポーク替え

8月31日の手組ホイールファンのブログ記事で分かりますが、ENVEホイールの調整とスポーク替えを行っています。

最初にお預かりしたホイールの状態です  DURAハブ ENVEリム CXRAY 

お客様からの直ぐのご感想では剛性が上がり乗り味が大きく変わって良くなったと連絡いただいています。

この3か月間1000kmほど走られての印象ではとても良くなったのですがぐっと踏み込んときの反応が今一つ足りないとのことでした。

このホイールですが一番最初の時点でのスポークテンションは次の仕上がりでした。

一番最初にお預かりしました時のホイールのスポークテンショングラフです これはびっくりします

ENVEリム

DURAハブ FH-9000 24穴

サピム CXRAY 左右 3クロス組

最初のスポーク組み替え後では次のスポークテンショングラフになりました。

wing21に変更してグラフにしました 上記グラフと比較して大きく前進した感じです 

スポーク wing21 左右 2クロス組です。

スポークの剛性を高めることで乗り味はシャープになりました。スポーク重量は約10g増えるのですが剛性は大幅にアップです。スポークテンションを揃えたのも大きな改善です。

2回目になる今回の組み替えではドライブ側のスポークだけを取り換えています。

ドライブ側スポーク wing21x12本の合計58.5g 
2回目取り換えるスポーク  コンペティションx12本  71g

次はwing21からコンペティション(2.0/1.8/2.0mm)に取り換えて12本で71gとなりました。グラム数で13gほどのアップです。2回目もこれだけの重量アップですが剛性は上がります。スポークの単価は下がっていますが剛性は上がっています。面白いものです。

お客様には失礼になるかもしれませんが、長い間、最初のCXRAY仕様で乗ってこられました。特別満足しないホイールでもこんなものだという感じでレースに出ておられたわけです。これはブランドの影響力かもしれません。ENVEリム、DURAハブ、CXRAYと自転車部品の一流品です。これを使っているのだから悪いはずはない、と思ってこられたと思います。

しかし普段からもっと早く走りたいという気持ちが強く勉強もされてきました。たまたまかもしれませんがご縁があってこのブログをお読みいただき、手組ホイールファンにホイールの再調整をご依頼いただきました。

前輪スポークの調整、後輪はスポーク替えでホイールは大きく変化することを勉強されたようです。

最初の組み替えをご依頼いただきました時から比べますとお客様のホイール知識は増えました。もともと選手として力も知識もある方です。いろいろご質問を頂き、出来るだけお答えしてきたことも良かったのかもしれません。

右側のみコンペティションに変更して剛性をあげています

今回の再度のスポーク替えに至るまでには約3か月です。手前味噌になりますがホイールのご理解が深くなられたようです。

今回のスポーク替えでどれだけ変わるか、お客様からのご感想が楽しみです。

定番46mm高カーボンホイールのインプレいただきました

一月にご注文いただきました46mm高の定番カーボンのインプレをお送りいただきました。お客様は北海道の方で、1月末に納品いたしましたが屋外で乗れるのは4月からです。10月に感想をお送りいただきましたので約半年乗られました。雄大な大自然の中で楽しんでおられます。乗られる期間は短いと思いますが密度の濃い楽しみ方をされていると想像します。

ホイール内容は下記の通りです。

リム 28mm幅46mm高 穴ナシリム使用

ハブ ノバテック A291SB 20H F482SB 24H

スポーク wing21 黒

ニップル Squorxpro ブラス 黒

手組ホイールファンの宣伝になるのですがこのリム、ハブを使えばこのような乗り味になるのかという参考になると思います。お客様了解を得ています。以下インプレの全文です。

感想を少しですが書きましたので送ります。

まず外見ですが迫力ある見かけで満足です。スポークワッシャがワンポイントで、走ると金色の輪に見えます。

タイヤはGP5000の25Cで600kPa入れたときの外幅は27.5mmでリム外幅と同じくらいになります。

ちなみに他のホイールでもタイヤとチューブは同じ銘柄です。

使用する前にハブを分解しグリースを追加しました。

分解説明をホームページにアップしていただいており、ありがたかったです。

フリーの爪を立てるスプリングがゾンダの倍くらい太く、折れの心配は当分不要と思いました

46mmホイール走行開始は5月6日で、4月はゾンダで冬眠からのリハビリ走に当てておりました。

乗り出し最初期の感想は以下です。

ブレーキはよく効きまったく問題ない。

横風あおられ具合は想定内。これ以上だと怖いかな。

しっかりした真円のものが転がっている感じがある。かといって硬質な振動が多いことはない。

走り出しの重さは普通。重くも軽くもなく上りの不利は感じない。

ダンシングすると予想より自転車が前に出るので体の動きを調節する必要あり。

肝心の空力ですが、自分にはそんな気がする程度しか感じられませんでした。

キシリウム・プロはこの46mmホイールよりいくらか軽いのですが、軽さはすぐ感じることができますから、ものの感じかたは難しいと思った次第です。

そんなことで自分の鈍感さに落胆しつつ乗っていたのですが、一方、普段走る区間の記録は更新していきました。

途中2回キシリウムプロに変えましたが、今まで5か月間3000kmちょっと使用して、空力に関しては別の感想を持つようになりました。

自分が思うよりずっと低速から恩恵があり、それが連続的かつ変化点がないので判りにくいのだと考えています。

向かい風やライド終盤でチカラが残っていないなど条件が悪いときほど違いがわかります。

こんなとき他のホイールだと失速感が強く、前に進むのを手伝ってくれません。

もう一つは、例えば下りの勢いを殺さないよう重くなるペダルに逆らって上りを越えて行くような状況で、このホイールはとても踏み心地がいい、パワーをかけて行けます。かかりがいいと表現されることかもしれません。

今年も来月には乗れない季節になりますが、こんな感じで楽しんでおり、本ホイールを入手したことに満足しています。

手組様が長くホイール作りを続けられるよう願っています。

ありがたい感想文をお送りいただきました。

ENVEホイールの調整とスポーク組み替え

このブログに興味を持っていただきました方より連絡いただきました。

レースに使っているENVEホイールの調整とスポークの組み替え依頼です。

長年付き合いのあるショップに手組依頼されたホイールです。

前輪 700g 2クロス ハブはTNIのセラミックベアリング使用ハブ
後輪 893g DURAハブ CXRAY 

ホイールの詳細は次の通りです。

リム ENVE SES 前輪20H後輪24H

ハブ 前輪 TNI セラミックハブ 後輪 シマノDuraハブ FH9000 24H

スポーク 前後共にサピム CXRAY シルバー

     前輪2クロス組 後輪3クロス組

ニップル インターナルニップル ブラス

お預かりしますとスポークの状態を調べるます。グラフにしますと分かりやすいのでお客様にはこんな状態ですと連絡できますので組替えなどのプランを説明するのに役立ちます。

前輪 ハイテンションで組まれています 
後輪 グラフになっていないとところは緩すぎてグラフにできないということです

お預かりホイールの前輪は2クロス組、後輪は左右3クロス組で組まれています。一般には24穴の場合3クロス組で組むことはありません。理由はスポークがオーバーラップするからです。

オーバーラップとはこんな状態です 24穴で3クロス組しますとこのようになります まあ、好みです

ハブフランジのところでスポークが重なることを意味します。スポークがゆがむと折れの原因になったり、スポークを取り換えるときにも容易に取り換えることは出来ません。メンテナンス性が悪くなります。しかしこれも好みなのでこれがいい人にはこれが良いと思います。手組ホイールファンでは24穴3クロス組は行いません。

グラフにしましたスポークテンションには驚きました。前輪は超ハイテンション、後輪はゆるゆるのテンションで組まれています。お客様には申し訳ないですがとてもひどい組み方をするショップさんでした。長年の付き合いがあってもよく考えておかなくてはいけません。

登りで踏み込んでもかからないホイールだと伺いました。理由が分かり納得されました。高価な部品を使っています。よく走りますよと言われると信じてしまうものです。しかし客観的に見ますとよくわかります。

バルブ穴位置が気になる 長年の付き合いのショップには文句は言いにくい

前輪はスポークの調整を行います。バルブ穴を見ますと一穴ずれています。気にする人は気にします。手組ホイールファンでは出来るだけ注意をしていますが、個人的にはあまり気にしません。今回は組み直しをしませんのでそのままですが一般にはこの組み方はしません。バルブが扱いやすいように組むのが一般的です。

後輪はスポークをwing21で組みますので剛性が上がります。理由はwing21の方が5gスポークで、CXRAYは4gスポークです。ほんのわずかな重量差ですが剛性は大きく影響します。

CXRAYで剛性が丁度いい人もおられるので一概にはこれがいいということは出来ません。注意点としましてCXRAYは万能スポークではないということです。坂で踏み込んでも反応がヌルイ場合は剛性不足です。しかしくるくる回して走る方にはCXRAYで良いかもしれません。

後輪は3クロスをやめて2クロスで組みました
24穴ハブの場合2クロスで組みますとスポークは重なりません
後輪スポークテンショングラフ 

完成しました。前輪は少しスポークテンションを下げました。後輪は出来るだけスポークテンションを揃え、振れを最小になるように仕上げています。

グラフを見比べてみますとどれだけ変わったかよくわかります。あとはお客様のご意見を伺うだけです。楽しみです。

Rovalホイールのスポーク替え

1月にRovalホイールのスポーク替えでホイールの剛性アップが出来た記事を書いています。このお客様はあるヒルクライムレースで優勝されました。日頃のトレーニングの賜物ですが剛性アップのホイールも一役を担ったようです。

今回のお客様もこのブログ記事を読まれたようでご連絡いただきました。Rovalホイールの剛性を上げてほしいとご依頼いただきました。

お預かり時のホイール リムテープ有 737g

ホイールはRovalのアルピニストCLで、使われているスポークはDTのエアロライトです。後輪左右スポークがエアロライトでは力のあるライダーさんではぬるいと思います。

お預かり時点のスポークテンション バラつきがなくよくできています

お預かりしましたらいつもスポークの状態を調べます。少し振れはありましたがスポークテンションは均一に張ってありとても良くできています。若干スポークテンション値は低めですがとても良く揃っていました。高価なホイールだけあってよくできています。

ハブはDT350のストレートプルスポークのハブです。Rovalというシールがリムに貼られていますがいわゆる手組ホイールです。カーボンリム、DT350、エアロライトという組み合わせですので手組ホイールファンでも作れる仕様です。最近の規格では特殊なハブを使ったりしていますが基本的な内容は手組ホイールです。

一般的な手組ホイールと同じですので特殊なスポーク、ハブは使われていません。スポーク替えは難しくありません。

ホイールを分解しました。

ドライブ側エアロライト12本で55g
スポークをコンペティションに交換します 12本で75g

スポークの重量を計測しますとドライブ側のエアロライト12本は55gです。これをコンペティションに交換します。コンペティション12本で75gです。左右交換しますので約40g増えます。これだけのことで温いホイールがシャキッと変身します。

もともと完組のホイールは乗り手にあわせて作られたオーダーメイドではありません。乗り手の力にあわせてホイールを作ってあれば今回のようなスポーク替えは不要です。ホイールに対する不満は後から出ますが完組ホイールではどうしても仕方ないことです。

ホイールメーカーの宣伝文を読みますとサピムのCXRAY、DTのエアロライトがよく出てきます。最強のスポークと書かれることが多いのですが一般にはこのように書かれるといいスポークが使われている上等なホイールと思ってしまいます。実際スポークは高価なスポークです。しかし高級スポークは万能ではありません。

ホイールの剛性は使われているスポークの総面積に比例します。太いスポークで作られたホイールは剛性が高いということです。細くて強いスポークでも総面積が少ないとホイールの剛性は落ちます。お客様にはRovalホイールはヌルかったのですがこれは乗る人によって違います。とても走りやすいという人もおられますのでそれぞれ違います。Rovalホイールはぬるいと一概には言えません。軽くて素晴らしいと感じるライダーさんも沢山おられます。

ドライブ側を約130kgf反対側を約70kgfです  お預かり時点より高く仕上げています

今回は細くて軽いエアロライトから太いコンペティションに交換しました。重量は40g増えました。ホイールの剛性が高まり乗り味は大きく変わることでしょう。ダンシングで登ってもよれることなく登っていくと思います。ご感想が楽しみです。

グランボア650ホイールのスポーク替え

ランドナーで有名な京都のグランボアホイールのスポーク替えをご依頼いただきました。グランボアのホイールは初めての出会いです。部品がグランボアということで、ビルダーさんがグランボアかどうかは確かでありません。

お預かり時のホイールです ハブ、リムはまだきれいに出来ていません
ドライブ側 4クロスで組まれています 少しオーバーラップしています
4クロスで組まれています オーバーラップしています

さて、お預かりしましたホイールはスポークが1本折れていました。ご依頼はスポークをすべて新しく交換です。

いつもホイールをお預かりしますとルーティン作業としてスポークテンションを調べますが今回は各スポークが緩んだり締めすぎたりでホイールになっていないのでテンション調べはやめています。分解前にハブの部分を見たのですがスポークは36H4クロス(8本どり)で組んでいます。

オーバーラップはトラブルの元になる

36Hハブの場合は4クロスで組むと考えがちですがこの組み方ではスポークがハブの部分でオーバーラップします。勿論スポークがオーバーラップしても使えないわけではありません。しかしスポークが重なると不要な曲がりが起こりますのでトラブルの元になりやすいです。また、重なり下のスポークを取り出すには2本緩めないと取り出すことが出来ません。このようにスポークの重なりは何かと面倒です。

スポークがオーバーラップするかどうかはDTのスポーク計算ソフトやエクセルを使うスポカルクでは分かりません。オーバーラップを計算できるソフトの研究が必要です。

シングルウオールのリムはスポークが長いとリムテープが巻けない
スポークがニップルから突き出ていませんのでリムテープは巻けます

グランボアの650リム内部はシングルウオールでした。あまり見かけることがないとても珍しいリムといえます。新しく組み直しましたが意外と剛性が高いリムでした。

リムがシングルウオールなのでスポーク長はニップルから突き出ない長さでないとリムテープが巻けません。ピッタリの長さになるようにスポークの長さには注意が必要です。使用スポークは取り出したスポークとほぼ同じ径のTB2015で組んでいます。

3クロスで組むとオーバーラップしません
スポークテンションのバラつきを出来るだけ少なくします

今回のようなスポーク折れの原因は主にスポークテンションを揃えていないことが多いです。勿論金属疲労で折れるのですが疲労の元になるのはテンションの不揃いからです。出来るだけスポークテンションを揃え、出来るだけ振れを取ることに注意して仕上げました。

マビック キシリウムホイールの調整

何度もホイールのご注文いただきましたお客様よりキシリウムホイールの調整依頼を受けました。

前輪596g
後輪857g
ドライブ側スポークはラジアル組 反対側はクロス組

当初マビック製品の場合、手組ホイールファンは代理店ではありませんので部品調達がむずかしくホイール調整は出来ない旨お知らせしていました。しかし出来る範囲でOKということでしたのでお受けいたしました。

スポークテンションの調整とハブのグリスアップを行います。

フリーは引き抜けば容易に外せます きれいにしてグリスアップ行いました

キシリウムホイールはアルミスポークを使われています。スポークの剛性に関してアルミスポークはスチールのスポークとほぼ同じですが見た目が太くなりますのでとてもがっちりした印象です。この見た目にほれ込むユーザーが多いのも事実と思います。

お客様はキシリウムとわかるのが嫌でシールをはがし、写真のように一見普通のホイールのように見えますが現物は正真正銘のキシリウムです。

グラフのテンション数値はソフトと連動していませんのでバラつき度のみ確認しています
スポークテンションのバラつきがなくなるように調整しました

スポークの調整が終わりグラフにしました。グラフにしますと分かりやすいです。数値は高めですがタイヤをインストールしますと10~15%テンションが下がりますので数的にはいい数字かもしれません。

前輪ハブのフランジ幅は80mmと広いので横剛性が高い
前輪スポークの角度は8.2度あります  とても優秀で横剛性が高いホイールです

もともとの調整をお受けしましたお預かり時点の数値をもとに調整しています。スポークテンションのバラつきはなくなり均一化しています。

今回の調整ではアルミスポークを扱うのは難しいというのが印象です。何度か別のホイールでアルミスポークをポキンと折っていますのでアルミスポークの扱いは難しいと思います。

スポークの供回りを防ぐためにプライヤーなどの工具で押さえます。急に力を加えることなくゆっくりと行えば折れません。時間が掛かりますが急がば回れです。無理な力を加えなければスポークは折れません。時間は掛かりますが丁寧にするのがコツのようです。

スポーク替えしたICANホイールのインプレ

ご友人のホイールと乗り比べてみてあまりの違いだったのでご相談いただきました。お客様のホイールは剛性が強すぎたようです。ロングライドで帰るとくたくたに疲れておられました。剛性が強すぎると疲れ易いホイールになりますので剛性を下げるといいですよということでスポーク交換のご依頼をいただきました。詳細は5月30日、5月31日のブログ「ICANホイールのスポーク替え」で記事にしています。

ICANホイール 前輪
ICANホイール 後輪

この度、組み換え後の新しいホイールに乗られたご感想をいただきました。ご了解をいただきましたのでブログ記事にさせていただきました。今使っておられるホイールをよくするための参考になると思います。以下原文です。

休みが取れましたので、そこそこ長い距離(80kmほどですが)を作り替えていただいたホイールで走ってきました。その感想を申し上げたいと思います。

 乗り始めてすぐに気が付いたことは、乗り心地が凄く良くなっていることと、以前に比べてスムーズに転がることです。

いつもと同じ道、いつもと同じ幾分荒れたアスファルトで、タイヤとの間に薄いカーペットを一枚挟んだ感じと言いましょうか、タイヤの空気圧はいつもと同じはずなのに地面からの突き上げが半分以下になった感じです。

 そして一番驚いたことは、「剛性がありすぎるホイールは初心者には使いこなせない」という意味が自分なりに良く理解できたことです。

比喩的表現で判りづらいでしょうが、以前のホイールは鬼軍曹、現在のホイールは親身で優しい先生と言った感じです。

剛性が下がったおかげなのか、スポークを両側クロスで組んだおかげか、はたまたテンションがきっちり揃ったおかげなのか私には判別できませんが、どこで力をかければ一番進むのかをホイールが教えてくれる感じがします。

バネを効かせて前に飛び出す感覚と言うのでしょうか、そこを狙って踏んでそれ以外は無駄な力をかけないので、気が付けばいつもよりスピードが出ているのにほとんど疲れないのです。

以前のホイールはどこを踏んでも同じで、それ故に常に力をかけている感じで、きっと踏まなくていい所でも踏んでいたからすぐに疲れていたのではないかと思いました。

きっとテンション、スポーク、組み方すべてのバランスが取れているからだと思いますが、走り終えた後の疲労度も全然違います。大変気に入りました。

 今更ながら思うことは、知らないということは恐ろしいことだと言うことです。

ブログを拝見していなかったら、きっと私は「これが普通だ」と信じて転がらない疲れるホイールで必死に漕いでいたのでしょうね。

良い機会を得られたこと、良い職人さんに出会えたことを感謝します。

ちなみに、費用対効果は私の物差しでは抜群に良いと思いました。

ありがたいご感想をいただきました。良いホイールになってよかったと思います。過分な評価を頂き感謝しています。

ホイールはカメラのレンズとよく似ています。解像度が素晴らしいレンズを使っていて、もうこれで十分と思っていても違うレンズで撮影するとまた違った好きな画像に出会うことがあります。比べるとよくわかります。好きなレンズに出会うには比べるしかありません。ホイールも全く同じで比べたらわかります。お金を出せばいいものに出会える確率は高くなりますが誰もが出来ることではありません。レンズ沼、ホイール沼にはまり込むとなかなか抜け出せないのも事実です。しっかりと足元を見据えながら沼を渡っていきたいものです。

優勝したとメールをいただきました

調整して頂いたロバールのホイールをつけて地元のローカルのヒルクライム大会「上州藤岡ライドandヒル」という大会で40代1位になれました

調整して頂いた凄く回るホイールのおかげです

6月9日に開催されました

チャレンジサイクリングフェスタ2024 第13回上州藤岡ライド&ヒル

40歳代部門で優勝され、お客様より上記(原文)のご連絡いただきました。試合後すぐにいただきました。

ホイールが助けてくれたとご一報いただきましたが、やはり日頃のトレーニングが実を結びました。好成績に終わられて本当に良かったです。お手伝いと言うほどではありませんがとてもうれしいお話です。

ホイールは乗り手との相性があります。いくら高価なブランドホイールでも乗り手の力とあっていなければヌルク感じたり、反応はいいのだがすぐに疲れてしまうということがあります。

スポークを取り換え剛性を強化したRovalホイール

これらはスポークの選択でよくなることが多いです。ぬるい場合はスポークを太くする。剛性が強過ぎる場合はスポークを細くする。このように乗り手が持っておられる力に応じた剛性がいいと思います。詳細は1月15日の記事「Rovalホイールの剛性アップ」で分かります。

追記:お客様より新しく連絡いただきました。ホイールの感想です。

この大会に向けて練習した成果と回るホイールのウェートもかなり大きなアドバンテージになったのは間違いありません

二カ所下りがあるので一気にスピードを上げられましたし、登りでもスピードが下がりずらくペダルのパワーがホイールにちゃんと乗っかり進む感じがしました

スポークを変えたことで力が逃げないで進ませてくれるのがよく分かりました

Rovalホイールも乗り手の力に合っていなければホイールの性能が発揮できません。Rovalはヌルイと言われているのをよく聞きます。理由はスポークがCXRAY、エアロライトと細いスポークだけで仕上げているからです。高級スポークは万能ではありません。しかし朗報です。高価なホイールを買ってがっかりしている人にはスポーク交換という手があります。

後輪カーボンホイールの点検、再調整のご依頼

5月20日の記事で前輪のスポーク替えを行いましたホイールですが、既に15000kmほど走っておられるようです。今回は後輪をスポーク調整とハブメンテナンスの依頼がありました。

ホイールは46mm高のリムブレーキホイールです。ブレーキ面はオプションで強化加工を行っていますのでブレーキはとても良く効きます。ディスクに変更する必要はないと伺っています。

今回のハブはミケハブです。ハブの分解は5mm六角レンチを2本用意します。シールドベアリングを使ったハブは慣れた人なら容易に分解できますが、ビギナーさんには少々面倒でハードルは高いと思います。

5mmレンチ2本で分解します

プロに任せるのではなくご自分でされるのであれば別のハブを用意して分解してみるのも良いのではないかと思います。事前に練習してハブの構造が分かれば簡単にできます。しかし一番簡単な方法は専門の人に任せることです。時間と技術をお金で引き換える方法は納得できる方法です。

ハブをきれいにすることで整備が始まります
油汚れは油で落とす

ハブの調整はしっかりと汚れを取ることから始まります。油汚れは油で落とすといいますが先ず汚れを拭きとり新しいグリスをつけてまた拭き取ります。何度も繰り返せばきれいになります。汚れを取り除きますと8割は終わったようなものです。最終的には新しいグリスを塗って元通りに組み立てれば終わります。

ホイールはもともとしっかりと馴染みだしを行っていますのであまり修正するところはありません。数か所修正して終わります。ハブのメンテも1万から1.5万kmでグリスアップしておけば長く使えます。自転車は買った日からメンテは始まります。自分でやる、人に任せるは自由ですが定期的にメンテをすれば長く使えます。