私の道具について⒂

 

スポークプレップ、ネジ緩み止め、固着防止について

 

アメリカのロードバイクレビューのフォーラムでスポークプレップについて考えあうフォーラムでPermatex Anti-seizeを使っているビルダーがいます。http://www.ergottwheels.com/  Ergottさんが使っていると書いています。有名なビルダーです。

いちばん小さいチューブ入り4gの製品を一度買ってみて試しました。百均で買った筆を使ってネジ部分に塗って使いました。スムーズにスポークテンションを上げることができます。しばらくこれを使おうと思います。

Permatex Anti-seize

 

Mike.Tさんは別にこんなことも書いています。http://www.miketechinfo.com/ この方は40年のベテランビルダーです。

 

十分なテンションで均等に張られしっかりストレスリリーブされていれば緩みません。どのような緩み止めでも使えます。ただし正確な作り、テクニックが必要ですと書いています。

ホイール作りの極意ですね。

私の道具について⒁

スポーク・プレップについて

 

写真のようにニップルの緩み止めに使われているのがこれです。アメリカのWheelsmithの製品です。こんなに小さいのに結構高いです。

スポーク・プレップ

なんで同じものが色違いであるのか、購入先でたずねられ最初わかりませんでした。

後輪のドライブサイドとノンドライブサイド、右側と左側とスポークの長さが違うので色を変えているのです。いかにもアメリカらしい発想ですね、と教えていただきました。

グリースを使う人もいます。これもよく使われる方法です。

シマノ グリース

 

クレの556をシュッと吹いてやっていますという人もいますね。

リンシード・オイルというのがいろんな海外のブログで出てきます。なんやろ、これ?と色々調べたら亜麻仁油なんですね。絵画の材料屋さんで販売しています。ボイルド・リンシード・オイルを言うオイルを買ってきて使ってみました。このオイルは空気中に長く置いておくと固まります。この性質を利用してプレップに使うのです。ホイールを完成した後時間がたつとこのオイルが固まりニップルの緩み止めとなります。

ボイルド・リンシード・オイル
時間が経つと固まってくる

 

これは安くて一缶あればもう買わなくていいくらい長くつかえます。ニップルにつけすぎると後が汚くなるので少量でいいです。私は精密オイラーにこのオイルを入れてニップル部分に注しています。ネジの部分とリムとニップルが接触する部分と1スポークに2ヶ所注していきます。

結局、オイルは何でもよくWheelfanatykのRicさんはオリーブオイルでもいいと言っています。

各スポークのテンションを均一に張っていれば緩みを防ぐことができます。オイルでニップルの固着を防ぎ滑らかに回すことができればいいということですね。売り物ホイールを作っているところはうちはこれ使ってますよとshow-offするためにも使いますが高いスポークプレップでなくてもよいということです。

パークツールTM-1を使うにあたって

 

パークツールのホームページにアップロードされているアプリケーション(wheel tension APP)は使えます。YouTubeで見られるパークツールTM-1の使い方を紹介するソフトですがホイール作りのビギナーにはよくできたソフトです。

 

私はホイール作りをネットで教えてくれるアメリカやイギリスのビルダーから学んだのですがどのビルダーもスポークテンションを均一にすることを最優先にしています。

 

振れ取をおこなうのに先ずタテ振れをとり、そして横振れ、また縦振れ横振れと繰り返しテンションを上げていくのです。

ストレス・リリーブを何度も行って縦横の振れがとれたところでほぼ完成ですがここからもう一歩追い込みます。

ビデオのようにスポークテンションを出来るだけ均一にしていきます。このスポークテンションを均一になるように前後のスポークを調整して行くことが大切です。習うより慣れろです。

赤字数字のところをチェック

スポーク・テンションを調整

パークツール テンションメーターTM-1

 

ホイールを作り始めてすぐにTM-1を購入しました。スポークテンションを換算表でテンションを測ることができます。

長い間この表を信頼していました。何も疑わずに目盛を見て100kgfとか読んでいました。

2年ほど前ですがアメリカのサイクリングフォーラムでスポークテンションを考えあうフォーラム記事を見つけ私のTM-1を疑うようになりました。

テンションメーターに記事をいろいろ調べキャリブレーションの事を考えました。

TM-1は正確ではありません

 

結論はこうです。

TM-1の計測数字と実際のテンションは大きく違っています。ただ絶対値でなく相対値であれば有効なメーターと言えます。

 

新しいホイールを購入されたときにすぐにテンションを測ります。次のテンションアップの時の参考にします。絶対値はわからないけれど購入時のスポークテンションに戻すのにとても有効です。

パークツールの代理店であるホーザンの係りの方に聞いた話では

 

“うちではTM-1の校正は行っていません。数字に関しては正確かどうかわかりません。ホイールを買ったときの数値を知るためのものです。”

 

この様なことを話されました。まさにその通りです。正しくスポークテンションを知って使うものではないということです。

テンションメーターがなくてもホイールを作ることができます。しかしフロント100kgfリアを120kgfで作るにはキャリブレーションが必要です。

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センターゲージにデジタルメーターを

 

パークツールのセンターゲージを使っています。

長年そのままで使っていたのですがもっと正確にセンターを出したいと思いましてデジタルメーターを取り付けました。この前はアナログのメーターを取りつけていたのですがもっとはっきり数値化してセンター出しをしたいと思いましてデジタルに変更しました。

元の穴を使って取り付けていますのでデジタルメーターは簡単に取付けできます。

デジタル・センターゲージ

メーターを取り付けても計測する際はそのままでは距離が足りませんので延長の先端子を取り付けて計測しています。

フロント、リアをその都度取り替えています。唯一これが面倒です。

 

左右の距離を測って差を出します。

仮に右15.1㎜、左15.8㎜とします。差は0.7㎜、半分0.35mm寄せるとセンターがでます。

今度は振れ取台のメーターを見て0.35mm寄せるようにします。

バルブホールよりスタートします。各スポークのニップルをほんの少しだけ回転させて調子を見ます。各スポークを振れ取台のメーターを見ながらニップルを回し一周します。

数値を見ながら調整していますので楽にできます。

神の手を持っていないので道具に頼っています。

私の道具について⑿

テンションメーター

 

私はテンションメーターがいる派です。たくさんブログを拝見していらない派、いる派があるようです。

スポークを握って感じ取るのですとか言っている人がいるのです。

いらない人はいらないということにしておいて私は「いる派」ですので「いる派」の考えを述べたいと思います。

 

テンションメーターはあった方がよいがなくてもホイールは出来ます。ホイール製作で一番大切なことは振れを最小にスポークテンションは最大限一致させるということと考えます。適切なテンションでスポークを揃えるにはやはりテンションメーターがあった方がわかりやすいと思います。

 

メーターを使わずにスポークを弾いて、音を聞いてテンションを揃える方法があります。手慣れた人はこの方法を使っているようです。

スポークの音を聞いて揃えるのはいいのですが最初のキーの音を決めるのにやはりテンションメーターがあれば解かりやすいと思います。

 

私は今使っているテンションメーターはパークツールのTM-1とデジタルテンションメーター2台を使っています。

WiggleのH+SON手組ホイール感想

Wiggleで手組ホイールが販売されています。

 

H+SON ARCHETYPE 、アルテグラハブ、サピムRaceという内容です。しっかりと作られているのかずっと出品が続いている品物です。

今はどこを向いても同じようなホイールですのでリムデザインも洒落ています。オシャレなホイールとして人気あるのでしょう。完組ホイールにはないホイールです。

 

私は何度もこのリムで組んだ事があるのでわかるのですが、リム重量は490g前後あります。軽すぎず重すぎずの重量です。アルミリムの場合軽すぎるリムは前へ進む力が逃げるのか剛性が足りないと思います。その点このリムは剛性があるリムでよく進みます。

 

ハブはシマノのアルテグラを使っています。重量はあるのですがカップアンドコーンでグリスアップなどのメンテナンスをしっかりすれば本当に長く使える良いハブです。

 

スポークはサピムのRaceです。サイズは2.0/1.8/2.0mmでDTのコンペティションと同等品です。いわゆる定番スポークを使い、組み方は前後共に3クロスで手組ホイールの基本中の基本的なつくりです。

時速40kmでぶっとばすにはスポークに対する空気抵抗が邪魔をしますが35kmまでくらいの巡行には最適なホイールです。いわゆる多スポークホイールですので空気抵抗には弱いのですが、地面からの振動を吸収する力があり長時間乗っていても振動による疲れが出にくいホイールです。ロングライドにピッタリです。

 

重量があるのはハブが重たいからで軽量ハブを使うともっと軽量化を計れますがメンテナンス性などの事を考えると一長一短です。

ホイールを選ぶのに重量は大切なファクターですが使う目的でいろんな選択肢があります。

 

レースには出ないが良く回るホイールに乗りたい。メンテナンスフリーで手間がかからなく新しいワイドタイヤにも対応したホイールを探しておられる方にピッタリの製品です。

価格は現在66335円で日本にはいるときに2000円ほど関税はかかりますが送料は無料です。レーティング・サマリーは4.5/5で★4.5の高評価です。

性能が良くみんなと違うホイールという事で良く売れているみたいです。長く続いているということはそういう事でしょう。

 

ここからが私の本題です。

自分で作ればどうなるか?

リム2本 15000円

ハブ アルテグラセット 16000円

スポーク、ニップル 64本 7000円

合計38000円

シマノハブはとても良いハブです。下位グレードも性能が良いと思います。しかしDura以外はほぼ同じと思っています。そこでティアグラのRS400で組みますとハブが6000円ですので10000円安くなって性能はほぼ同じ。28000円です。

Wiggleの手間代は約30000円です。この金額は職人さんの手間賃が入っていますから妥当と思います。いろんな海外のビルダーの出している価格を検討してもまあまあと思います。

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ERD計測スポーク

 

スポーク長を計算するときに必要な数値です。リムの内径を測ってニップル2個分を足した寸法がERDですがもっとわかりやすい方法があります。いろんなブログで紹介されていますが私にはこれが一番わかりやすい方法です。

 

  • スポークを2本用意します
  • ネジの部分から正確に200mmの寸法でカットします。カット面はやすりで削り

200mmちょうどに調整します。

200mm正確にカットしたスポーク
  • このスポークに使用するニップルをしっかり最後までねじ込んで下準備が終わりです。
  • リム穴にこの200mmのスポークを通します。ちょうど反対側にもう一本通します。しっかりとスポークの下にノートなどをはさみ高さを合わせます。そしてスポークとスポークの間の距離を測ります。

    スポークホールに通す
  • このリムの場合199mmとなっています。スポークの長さが200+200+199でこのリムのERDは599mmです。

    200+200+199  ERD599mm
  • 念のため位置を変えて測り、平均値を出します。
  • ワッシャーを使用するときはワッシャーをセットして同様の方法で測ります。

    ワッシャーをセットして測る
  • リムのカタログにERDが表示されていますが全てご自分で測ることが大切です。実測が肝要です。カタログ値は当てになりません

 

余談ですが10年ほど前の事です。メカニックを売りにしている方にホイールを依頼しました。キンリンXR300のリムで作っていただきました。このメカニックさんERDの測り方を知らなかったようです。リムを持ち込んで作製依頼したのですがカタログからのERDでスポーク長を計算されたようで出来上がったホイールはスポークのネジの部分が見えているホイールでした。少しスポークが短い仕上がりでしたがこの時はビギナーでしたので喜んで帰りました。

私もそれからすこし賢くなりましてこのメカニックさんにERDの測り方をおしえてあげました。

私はメカニックですとホームページで謳っている人も結構知らないことがあるものです。なんでも勉強ですね。

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皮手袋でストレスリリーブ

 

ホイールを組み上げて最終に必要なことはいわゆるなじみだしです。ストレスリリーブと呼ばれています。

 

ホイールを作り始めたころは床に置いてぐいぐい押たり踏んでなじみだしをすると思っていました。バイクショップの人に聞いてもこの様に行うと教えてもらいました。しかしこれはやらない方がよいとあとでわかりました。

 

リムを痛めたりハブを損ねたりします。スリーブジョイントのリムには特に危険です。ジョイント部分を損傷します。踏んでなじみだしを行ったことがあります。案の定リムを痛めてしまいました。ジョイント部分が少しずれたのです。止めた方がいいと思います。

皮手袋か軍手を2~3枚重ねる
スポークをグッと握る

 

皮手袋、または軍手を2~3枚重ねてスポークをぐっと握ります。両手を使って各スポークを力いっぱい握ってホイール一周します。これを何周も繰り返します。仮に100kgfのテンションで組み上げたホイールもこのストレスリリーブを繰り返すと80kgfくらいに緩みます。またスポークレンチで少しずつテンションを上げていきます。こうして何度もスポークを握ってスポークテンションを上げていきますと落ち着いてきます。この状態まで続けて完成です。

私の道具について⑼

コーワ・スポークカッター

あるショップを訪問したときに見せてもらいました。

スポークカッターです。とても高価な道具です。

コーワ・スポークカッター

今まではスポーク長を計算して、スポークを発注、長さを間違えればまた発注を繰り返していましたのでこのカッターを見せてもらって時はすぐにこれっ欲しいと思いました。

しかしすぐに買える品物ではありません。いろいろ悩みましたが買ってしまいました。

私にはロードバイクを買い替えるよりもこのスポークカッターの方が欲しい品物でした。

ショップの人は驚いていました。どうするんですか?自転車屋さんを始めるのですか?と聞かれたものです。

このカッターのおかげで失敗した余分なスポークは無くなりました。昔の自転車屋さんには大量のスポーク在庫があったそうです。今のショップは完組ばかりの販売でこの様な道具は必要ないのかも知れません。しかしプロショップと呼ばれるにはこのカッターは必要な道具ですね。