ENVEホイールのスポーク、2度目のスポーク替え

8月31日の手組ホイールファンのブログ記事で分かりますが、ENVEホイールの調整とスポーク替えを行っています。

最初にお預かりしたホイールの状態です  DURAハブ ENVEリム CXRAY 

お客様からの直ぐのご感想では剛性が上がり乗り味が大きく変わって良くなったと連絡いただいています。

この3か月間1000kmほど走られての印象ではとても良くなったのですがぐっと踏み込んときの反応が今一つ足りないとのことでした。

このホイールですが一番最初の時点でのスポークテンションは次の仕上がりでした。

一番最初にお預かりしました時のホイールのスポークテンショングラフです これはびっくりします

ENVEリム

DURAハブ FH-9000 24穴

サピム CXRAY 左右 3クロス組

最初のスポーク組み替え後では次のスポークテンショングラフになりました。

wing21に変更してグラフにしました 上記グラフと比較して大きく前進した感じです 

スポーク wing21 左右 2クロス組です。

スポークの剛性を高めることで乗り味はシャープになりました。スポーク重量は約10g増えるのですが剛性は大幅にアップです。スポークテンションを揃えたのも大きな改善です。

2回目になる今回の組み替えではドライブ側のスポークだけを取り換えています。

ドライブ側スポーク wing21x12本の合計58.5g 
2回目取り換えるスポーク  コンペティションx12本  71g

次はwing21からコンペティション(2.0/1.8/2.0mm)に取り換えて12本で71gとなりました。グラム数で13gほどのアップです。2回目もこれだけの重量アップですが剛性は上がります。スポークの単価は下がっていますが剛性は上がっています。面白いものです。

お客様には失礼になるかもしれませんが、長い間、最初のCXRAY仕様で乗ってこられました。特別満足しないホイールでもこんなものだという感じでレースに出ておられたわけです。これはブランドの影響力かもしれません。ENVEリム、DURAハブ、CXRAYと自転車部品の一流品です。これを使っているのだから悪いはずはない、と思ってこられたと思います。

しかし普段からもっと早く走りたいという気持ちが強く勉強もされてきました。たまたまかもしれませんがご縁があってこのブログをお読みいただき、手組ホイールファンにホイールの再調整をご依頼いただきました。

前輪スポークの調整、後輪はスポーク替えでホイールは大きく変化することを勉強されたようです。

最初の組み替えをご依頼いただきました時から比べますとお客様のホイール知識は増えました。もともと選手として力も知識もある方です。いろいろご質問を頂き、出来るだけお答えしてきたことも良かったのかもしれません。

右側のみコンペティションに変更して剛性をあげています

今回の再度のスポーク替えに至るまでには約3か月です。手前味噌になりますがホイールのご理解が深くなられたようです。

今回のスポーク替えでどれだけ変わるか、お客様からのご感想が楽しみです。

シクロレース用としてアルミホイールをご注文いただきました

シクロレースに使うついうことでホイール作製依頼のご連絡いただきました。お客様は何度もオーダーいただいているリピーター様です。

今回のホイールはこのブログ記事を参考にしていただきリム、ハブを決められたようです。リムは剛性が高いTNIのワイドリムです。前輪はリムの高さが22mmのAL22W,後輪は31mm高のAL31Wです。ハブはシマノ・ソラハブを選択されています。ソラハブは本来10速用ですがスプロケットを選べば11速で使えます。10速ハブで11速が使える裏技は面白いです。

TNI AL22W 459g
前輪ハブ HB-RS300 28H 146g
TNI AL31W 509g
後輪ハブ FH-RS300 28H 372g

持ち込み部品は次の通りです。

リム 前輪 AL22W 28H

リム 後輪 AL31W 28H

ハブ 前輪 ソラ HB-RS300 28H

ハブ 後輪 ソラ FH-RS300 28H

手組ホイールファンでご用意するのはスポークとニップルです。

スポーク 前輪、後輪共に コンペティション黒 2.0/1.8/2.0mm

ニップル DT SquorxPro 黒

ハブの選択はホイールを作るときに悩むところです。お客様はソラハブを選ばれました。個人的にはとてもよい選び方と思っています。シマノ上位グレードのDuraハブと下位グレードのソラハブとの回転性能は金額に比例して違うものかと常々感じることがあります。

結論を言いますと大きな差はないと思っています。勿論ハブ内部の仕上げのグレード差はありますが、カップアンドコーンの玉あたりの調整を上手く行えば、下位グレードハブでも上位グレードに負けない回転性能を得ることが出来ます。自動車レースの回転数とは比較にならない低速度の回転数ですので大きな差はないというのが理由です。

勿論外見は違います。見た目が大きく違いますのでシマノ下位グレードではすこし見劣りがします。しかし実質本位でホイール作りをやってみるならこの下位グレードハブはお勧めです。ディスコンになったDuraハブを探す必要はありません。現行ハブを使えばいい訳です。勿論穴数には28穴、32穴に限定されますが乗り心地の良い多スポークホイールを作ると考えますと適材と考えます。

お客様は前輪を軽くするためにリムは22mm高を、後輪にはより剛性の高い31mm高リムを選択されています。駆動ロスを少なく出来るリムとして選ばれています。よく考えられていると思います。

ホイールの重量はけっして軽いホイールではありません。これはハブが重いことが理由です。しかし重いということは悪いことではありません。重いということは丈夫ということで、重さがあると歪を減らせるので駆動ロスが軽減できるという利点があります。何事もトレードオフということです。

前輪 833g
後輪1102g
前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

出来上がりです。スポークテンションを出来るだけ均一に仕上げ、出来るだけ振れをとって仕上げています。比較的低価格で出来上がる今回のホイールです。気兼ねなくレースに使ってもらえそうです。

MTB用ホイールの作製依頼

25年前のMTBを作り直しているということで新しいホイール作製のご依頼いただきました。

リムは新しいリムを用意され、ハブはMTBからとりだしたハブで作るというお考えです。

シマノ HB-M570  152g
シマノ FH-M570 366g
アレックスリム DM18 562g

ハブとリムをお送りいただきました。

リム アレックスリム DM18

ハブ シマノ HB-M570 FH-M570 共に32H

スポークは手組ホイールファンでご用意いたします。

スポーク DT コンペティション黒 

ニップル 12mm ブラス

リムベッドは浅いのでニップルの選択には注意がいる

リムベッドを見ますと浅いリムなのでニップルの後部が長いニップルでは突き出ます。SquorxProやダブルスクエアニップルは扱い易いのですが今回のリムでは昔から使われている12mmのニップルでないとリムテープが使えません。リムによって使えるニップルが違いますのでニップル選択には注意が必要です。

ホイールのスポークテンションは前輪を100~110kgfに、後輪はギア側を120~130kgf前後で仕上げています。

このスポークテンションはこの値でないといけないという決まりはありません。確かなことはわかりませんが昔からのビルダーさんたちの経験から得られる暗黙知のようです。一番パフォーマンスが良いテンション値を集めると上記のスポークテンションあたりがいいということのようです。

いろんなリムメーカーが出しているリムに張り付けてあるシールを見るとスポークテンションは120kgfまでと書かれていることが多いです。これは面白い発見です。

ホイールは先ず縦ブレをしっかりとりそれから横ブレにかかります。一度緩めに仕上げてしまい、それからゆっくりスポークテンションを上げていくのが良い方法です。一度に仕上げてしまうよりこちらの方がいい結果が出ると思います。ビルダーさんのやり方にはいろいろありますのでいい方法を考えていくのが良いでしょう。

自転車は組めるがホイールは出来ないという方がたくさんおられます。一応組めるのだが精度の高いホイールは出来ないという方も結構おられるようです。やはりホイールは専門のビルダーに任せるのが一番コスパがいいのかもしれません。

前輪 941g
後輪 1152g

出来上がりました。リムテープを巻いて納品いたします。何度も馴染みだしを行っていますので振れは出にくい仕上がりです。お客様のご感想が楽しみです。

スポークを休ませるとスポークテンション値は下がる

リピーターのお客様よりシクロレースに使うホイールをご注文いただきました。      ホイールはほぼ完成しています。

仕上げ段階のホイール

仕上げの段階でスポークテンションを測ってみます。この時のテンショングラフがこの図表です。

左81.6kgf 右123kgf

出来上がりましてから3時間ほど作業場を離れました。

続きの作業する場合、一度確認のためにテンションを測ってみます。

左79.7kgf  右119.4kgf  3時間ほっておいてスポークのテンションは下がっている

仕上げ前のテンショングラフと比べますと全体に少し数値が下がっています。このようにスポークに休み時間を与えるとテンションは下がります。

このブログ記事で何度もホイール出来上がり後は1日ほど時間をあけて再調整すると書いていますが3時間でもよくわかる結果が出ています。

手組ホイールファンではオーダーホイールを作っていますので馴染みだしは時間をあけて何度も行っています。緩んだテンションを元に戻してしばらく時間をあける。また緩むので元に戻すの繰り返しを何度か行うと変化がなくなります。これで初めて出来上がりです。

こんな面倒なことを省くのはどうしたらいいのでしょう。答えはこれです、一度タイヤをはめて乗ってみることです。それで再調整を行うといいホイールが出来上がります。

手組ホイールファンでは発送作業があります。このためこの一度乗ってみる作業は出来ません。何度も馴染みだしを繰り返す必要があります。面倒な作業ですが馴染みだしを上下のプレス式で行っている完組ホイールではできない作業と思っています。

26mm高24mm幅 銀輪ホイールのご注文

クロモリで乗っておられるお客様より新しいホイールを探しているとご連絡いただきました。

クロモリと伺いましたので銀輪のホイールはいかがですか?クラシックなフレームには非常に合いますと提案いたしました。

お客様はまさか銀輪ホイールの提案とは考えておられなかったようです。大変気に入っていただきお話はとんとん拍子に進みました。

XR26T/RT 32H 前後セット 
XR26T・RT  450g前後で軽量です
後輪用 XR26RT 32H 穴位置が3mmずれています

銀輪ホイールには何か特別感があります。ナローリムでは手に入りますがワイド仕様の銀輪リムはなかなか手に入りませんでした。昔からの競輪用のリムは手に入ります。しかし残念なことに競輪リムは一般道では走れない仕様です。今回のワイド銀輪リムは後輪用に3mmオフセットリムが用意されていますのでモダン銀輪ホイールとしてお勧めいたしました。

お客様は150kmほどのロングライドを楽しんでおられるようです。このためスポークは中央部が1.5mmの細いスポークを選択しています。1.5mmの細い部分は地面からの衝撃を吸収してくれますのでショックアブソーバーの働きをします。細いスポークでは剛性不足が心配ですがスポーク32本のリムですので剛性不足はスポーク数で補っています。心配は要りません。

後輪リムは3mmオフセットリムです。通常の穴位置がセンターのリムと比べて約10%左右のスポークテンション比率を改善できます。ハブのセンターオフセット値が大きいと左右のスポークテンション差は大きくなります。45:100くらいのテンション比率で仕上がりますので右ハイテンションで仕上げても左は緩いというホイールの仕上がりになってしまいます。

左スポークが緩いとスポーク折れが発生する率が高くなります。各スポークテンションが揃っていればスポーク折れは少ないですが、スポークテンションが不揃いの場合、スポーク折れの発生確率は非常に高く注意が必要です。このためにもリム穴が3mmオフセットしていますと左テンションが改善されますのでトラブルが起きにくいホイールが出来るわけです。

ホイールの仕様は次の通りです。

リム キンリンXR26T/RT 前後共に32H

ハブ 前輪 シマノ HB-RS400 32H シルバー

ハブ 後輪 シマノ FH-RS400 32H シルバー

スポーク 前輪TB2015 2.2/1.5/2.0mm

スポーク 後輪左TB2015 2.2/1.5/2.0mm 

スポーク 後輪右TB2018 2.2/1.8/2.0mm

前輪 805g  ハブが重いのでこの重量ですが外周部は軽い
後輪 1033g  ハブが重いのでこの重量ですが外周部は軽い
銀輪ホイールは特別感が強い

ニップル DT SquorxPro ブラス シルバー ホイールの仕上がりは特別感があり美しいと思っています。各スポークのテンションを均一になるように張り、出来るだけ振れを最小になるように仕上げています。クロモリフレームにはやはり銀輪ホイールです。お客様には喜んでいただけると思います。

ピストホイールを2セットご注文

お客様はこれまでに何度もご注文いただいた方です。ピストフレームの組み立てなどすべて出来る方ですがホイールは手組ホイールファンを気に入っていただいたのか注文いただいています。

ハブ、リムはすべて持ち込みでスポークはこちらでご用意するという形です。

ヴェロシティ エルロン 32H 471g
マビック カーボンリム 32H

今回は

①ベロシティのアルミリム エルロン シルバーリム32穴

②マビックカーボンリム 32穴

③フィルウッズ ラージフランジ トラックハブ 

④カンパニョーロ スモールフランジ トラックハブ

この部品をお預けいただきました。

スポークはすべてサピムLaserシルバーで組みます。ニップルはDTのSquorxProシルバーです。

マビックカーボンリム カンパニョーロ トラックハブ サピムLaser
マビックカーボンリム カンパニョーロ トラックハブ サピムLaser
ヴェロシティ エルロン 32H フィルウッズ ラージフランジハブ サピムLaser

ヴェロシティ エルロン 32H フィルウッズ ラージフランジハブ サピムLaser

アルミホイールとカーボンホイールの2セットお作りするわけですがスポークはサピムのLaserを使用しています。Laserを扱うには注意が必要です。スポークの中央部が1.5mmと細いのでニップルを回すとスポークがねじれます。このねじれを防ぎながらスポークテンションを上げていかないといけません。扱いが難しいスポークですので言わばビルダー泣かせのスポークですがうまく扱うとスポークがショックアブソーバーの働きをしますので疲れにくいホイールに仕上がります。

アルミリムもカーボンリムも前輪はラジアル組、後輪は3クロス組で仕上げています。ホイールの仕上げはしっかりと馴染みだしを行うことです。一番簡単に行える馴染みだしはタイヤをはめて一度乗ってみることです。ご自分でホイールを作る方はこの方法が一番良いと思います。しかしプロが作るホイールはこのようなことは出来ません。長く乗られて振れが出ないようにすることが必要です。

ホイール以外は何でもできるお客様とはこれからも長いお付き合いとなりそうです。

定番46mm高カーボンホイールのインプレいただきました

一月にご注文いただきました46mm高の定番カーボンのインプレをお送りいただきました。お客様は北海道の方で、1月末に納品いたしましたが屋外で乗れるのは4月からです。10月に感想をお送りいただきましたので約半年乗られました。雄大な大自然の中で楽しんでおられます。乗られる期間は短いと思いますが密度の濃い楽しみ方をされていると想像します。

ホイール内容は下記の通りです。

リム 28mm幅46mm高 穴ナシリム使用

ハブ ノバテック A291SB 20H F482SB 24H

スポーク wing21 黒

ニップル Squorxpro ブラス 黒

手組ホイールファンの宣伝になるのですがこのリム、ハブを使えばこのような乗り味になるのかという参考になると思います。お客様了解を得ています。以下インプレの全文です。

感想を少しですが書きましたので送ります。

まず外見ですが迫力ある見かけで満足です。スポークワッシャがワンポイントで、走ると金色の輪に見えます。

タイヤはGP5000の25Cで600kPa入れたときの外幅は27.5mmでリム外幅と同じくらいになります。

ちなみに他のホイールでもタイヤとチューブは同じ銘柄です。

使用する前にハブを分解しグリースを追加しました。

分解説明をホームページにアップしていただいており、ありがたかったです。

フリーの爪を立てるスプリングがゾンダの倍くらい太く、折れの心配は当分不要と思いました

46mmホイール走行開始は5月6日で、4月はゾンダで冬眠からのリハビリ走に当てておりました。

乗り出し最初期の感想は以下です。

ブレーキはよく効きまったく問題ない。

横風あおられ具合は想定内。これ以上だと怖いかな。

しっかりした真円のものが転がっている感じがある。かといって硬質な振動が多いことはない。

走り出しの重さは普通。重くも軽くもなく上りの不利は感じない。

ダンシングすると予想より自転車が前に出るので体の動きを調節する必要あり。

肝心の空力ですが、自分にはそんな気がする程度しか感じられませんでした。

キシリウム・プロはこの46mmホイールよりいくらか軽いのですが、軽さはすぐ感じることができますから、ものの感じかたは難しいと思った次第です。

そんなことで自分の鈍感さに落胆しつつ乗っていたのですが、一方、普段走る区間の記録は更新していきました。

途中2回キシリウムプロに変えましたが、今まで5か月間3000kmちょっと使用して、空力に関しては別の感想を持つようになりました。

自分が思うよりずっと低速から恩恵があり、それが連続的かつ変化点がないので判りにくいのだと考えています。

向かい風やライド終盤でチカラが残っていないなど条件が悪いときほど違いがわかります。

こんなとき他のホイールだと失速感が強く、前に進むのを手伝ってくれません。

もう一つは、例えば下りの勢いを殺さないよう重くなるペダルに逆らって上りを越えて行くような状況で、このホイールはとても踏み心地がいい、パワーをかけて行けます。かかりがいいと表現されることかもしれません。

今年も来月には乗れない季節になりますが、こんな感じで楽しんでおり、本ホイールを入手したことに満足しています。

手組様が長くホイール作りを続けられるよう願っています。

ありがたい感想文をお送りいただきました。

レイノルズ32カーボンホイールの調整と組み替え

軽量チューブラーホイールの前輪調整と後輪をピストホイールに組み替えをご依頼いただきました。お客様はピストクリテリウムのレースに出ておられる方です。

レイノルズ32 前輪483g
お預かり時の前輪スポークテンション
前輪スポークテンション調整後のテンショングラフ
レイノルズ32 チューブラーカーボンリム266g
Brotures トラックハブ 267g

32mm高のチューブラーリムは266gと超軽量です。前輪はテンション調整を、後輪はBroturesというショップのオリジナルハブを使ってピストホイールを作製します。

リムはインターナルニップルを使います。最近のリムではインターナルニップルを使うリムはあまり見受けることがありません。おそらく風洞実験で通常のニップルを使うリムと性能の違いがないことからインターナルニップルを使うリムが少なくなったようです。

インターナルニップルを使うリムの注意点は正確なリムERDの計測にあります。あとはスポークの伸びとかを考えてスポーク長を出します。ニップルからスポークが突き抜けないような長さに決定するにはやはり経験が必要と思います。

リム穴の後ろからニップルを回します。ドライバー式のニップル回しでは何回転まわしたか分かりにくいのでインターナルニップルの扱いは難しいです。しかし結局は慣れの問題です。

ハブは両切りハブなので左右のスポークテンションは同じになるように仕上げますとセンターは出ます。前輪と同じです。

後輪スポークはDTのコンペティションを使っています。中央部が1.8mmのスポークで作りましたので剛性は上がりました。お客様には高価な扁平スポークでなくても良いということで丸スポークを提案しています。スポークの代金が安くなった分、タイヤにお金をかけると良いでしょう。

後輪 638g 左右2クロス組
後輪スポークテンショングラフ

前輪のスポーク調整と後輪ハブの交換でピストホイールが出来上がりました。ご感想が楽しみです。

定番ホイールXR31T/RTホイールのご感想

手組ホイールファンのアルミホイールの中では定番的なホイールをご注文いただきました。

お客様の最初のご希望はAL22のような超軽量リムを使ったホイールをご希望でしたが丘陵地帯を走るのならリム剛性の高いXR31T/RTで作られたらいかがですかと提案いたしました。

力のあるライダーさんは剛性を求めます。ホイールは軽さも必要ですが一番大切なところはリム剛性であることをご説明いたしました。

XR31T 20H 696g
XR31RT 24H 892g

今回のホイールは提案通り気に入っていただいたようで、乗られたご感想をお送りいただきました。厚かましいことですが、このインプレは手組ホイールファンの宣伝に使わしていただいています。しかし手組ホイールのリム選択には参考になると思います。お客様には了解を得ていますので全文を掲載いたします。

ホイールの感想をお伝えします。

まず体感できたことは、ホイールの転がりの良さです。下りでは重力に任せて滑らかに転がり落ちていきます。

コーナリングでは、容易にイメージどおりのラインを通すことができました。コントロール性能が高いということでしょうか。

直進性能も高いと思いました。真っ直ぐ走るという当然のことが、とても快適に感じられました。すべてホイールの剛性の高さと精度の高さのおかげかと思っています。

手組ホイールをオーダーする過程で、軽さよりも空力や剛性のメリットを学びました。

以前使っていたホイールより100g以上重いホイールになりましたが、上りにおける重量増の影響は全く気にしなくなりました。ホイールの剛性の高さは強い推進力に繋がっていると思います。あとは私の技術の問題です。

稚拙な感想で申し訳ないですが、ホイールはとても気に入っております。

ずいぶん先になりますが、また制作をお願いできたらと思っています。

ホイールは乗る人との相性があります。良いホイールですよとお勧めしましても乗り手の力に合っていないときもあります。今回の場合ぴったりとお好みがあったようです。XR31T/RTリムで作りましたホイールが100%歓迎されるわけではありませんがかなりの確率で良いホイールという評価をいただいています。

ホイールの性能は7割リムで決まると言われています。残りの3割は組付けです。乗り方に合ったリムを選び、良い組付けで作り上げるホイールはとても楽しいライディングを得ることが出来ます。お客様と相性のあったホイールを納品できてとても喜んでいます。

XR31T/RTリム使用アルミホイールの作製

お客様よりご連絡いただきました時はAL22リムとノバテックハブを使った軽量ホイールをご希望でした。登りに特化したホイールとしてご指定いただいたのですがいろいろとメールのやりとりで今回のXR31T/RTリムでお作りすることになりました。

AL22リムは約380~390gの軽量リムです。剛性もありますのでこのリムのファンは結構おられます。ナローリムということでタイヤ選択は最近では限られてきました。外周部が軽いリムの特性上くるくるとクランクを回す乗り方のライダーには適しているようです。リム高が低いので空力の援護はありません。

方やXR31T/RTリムは24mm幅31mm高で、重量は500g前後ですが非常に剛性が高いリムです。今まで組んできましたホイールの中ではトップクラスの剛性を持つリムです。空力が良く平地や下りの走りでは足を休めることが出来るホイールとしてとても優秀リムとしてお勧めしています。

結論としましてお客様は重量が増えるのですが剛性の高いリムを選択されました。勿論ホイールは乗り手との相性があります。剛性があるといっても軽量ホイールの方を好まれる方もおられますのでXR31T/RTで作ったホイールが最良という訳ではありません。しかし力のある方にはおすすめ出来るホイールです。ゾンダ、レー3と乗り比べた方より良いホイールだと言っていたことがあります。

ホイールの内容は次の通りです。

リム XR31T/RT 前輪20H 後輪24H 後輪は3mmオフセットリム

ハブ ノバテック A291SB 20H F482SB 24H

スポーク 前輪 レボリューション黒 2.0/1.5/2.0㎜

スポーク 後輪左 レボリューション黒 2.0/1.5/2.0㎜

スポーク 後輪右 コンペティション黒 2.0/1.8/2.0㎜

ニップル SquorxPro ブラス黒

ホイールの性能はリムが7割、残り3割で組付けやハブの性能が影響するといわれています。リム選択がとても重要ですが、組付けも忘れてはならない重要ポイントです。スポークの張り方によって駆動ロスを押さえることが出来るのでしっかりと組み付けが必要です。

前輪696g
後輪892g

出来上がりました。重量は前輪696g、後輪892g、前後1588gです。

当初は超軽量ホイールをご希望でしたが重量が増えても剛性の高いホイールを選びなおしていただきました。ご感想が楽しみです。