廉価版の中華カーボンホイールのスポークは太い

勉強のためと言いたいのですがビックリするくらい安かったのでネット販売で中華カーボンを購入しました。先ずはスポークの状態を調べています。テンショングラフにしますとよくわかります。

50mm高中華カーボン 前輪664g
購入時の前輪スポークテンショングラフ  とても良く出来ています
50mm高中華カーボン 後輪842g 右14本左7本の2:1組
購入時の後輪スポークテンショングラフ  右ギア側のバラつきが大きい

予備スポークが1本ついていましたので重さを測りますと6.5gです。これは2mm径のスポークと同じ重さです。フレはほとんどありません。見た目はとても良く出来ています。しかしグラフを見ますとテンションのバラつきがあります。

ホイールの馴染みだしは終わっていますが手組ホイールファンで行っている方法で馴染みだしをもう一度やってみました。

再度スポークテンショングラフを取ってみますと次のようになりました。

前輪 一度なじみだしを行ってグラフにしました スポークテンションのバラつきが大きくなっています
後輪 一度なじみだしを行ってグラフにしました スポークテンションのバラつきが大きくなっています

テンションのバラつきは大きく出るようになっています。テンションのバラつきが大きいとスポークが折れやすくなります。

リムの強度はわかりませんが必要十分の強度はUCIのラベルが貼ってありますので大丈夫としています。ハブも良い回転しています。

購入しての感想です。

スポークが2㎜径のスポークと同じ重量のスポークを使っているので非常に剛性が高いホイールです。

このため乗った時の最初の印象はかかりが良いと感じると思います。しかし長い時間乗っていると疲れやすいでしょう。スポークが太いので地面からの衝撃が伝わりやすいのが理由です。スポークが細いとショックアブソーバーの働きをしてくれますので衝撃を吸収してくれます。太いスポークは衝撃を少なくしてくれません。ダイレクトに伝わります。

これはシマノの安価なアルミホイールと同じです。シマノ廉価版ホイールは太いスポークを使って剛性を上げています。ユーザーの範囲が広いためどうしても剛性は高めに作られて万人向けにしています。

シマノの安価なアルミホイールは初心者向けではなくパワーライダー向けのホイールと考えています。初心者に安価なホイールは走らないと思わせる戦略かもしれません。

今回購入したホイールは太いスポークを取り換えてロングライドにも適した細いスポークに取り換えて乗る予定です。遊びでいろいろホイールを取り換えることが出来る人ならこのような中華カーボンもいいでしょう。しかし安いホイールはリスクが高いように思います。見た目をよくして安くするために太いスポークを使っているのを知っておいた方が良いでしょう。

因みに同じメーカーの中華カーボンも高級スポークを使っているホイールは注目をひくための安価なホイールの倍の価格で販売しています。これは撒き餌戦略かもしれません。

XR31T/RTリム使用16:8組ホイールの調整

2019年にお納めしましたオーダーホイールの調整をして欲しいとご連絡いただきました。

前輪18穴リム使用 アルテグラハブ サピムCXRAY
アルテグラハブ HB-6700 18h ディスコンハブです 
18hラジアル組 
24穴リム 32穴ハブ 16:8で変則組
右ギア側16本 左8本
左が右より高いスポークテンション

お客様は長年にわたって年間1万キロメートルを走っておられる超ベテランのライダーさんです。自転車の組み立てはなんでも出来る方ですがホイールに関しては任せていただいています。

ホイールは当ブログでは定番のXR31T/RTリムを使っています。

前輪 XR31T 18H

前輪ハブ シマノ HB-6700 18H

前輪スポーク サピムCXRAY

後輪 XR31RT 24H 3mmオフセットリム

後輪ハブ DURAハブ FH-7700 32H

後輪スポーク サピムRace ドライブ側16本3クロス組 非ドライブ側 8本1クロス組

上記の部品で構成しています。

後輪は32穴ハブ、24穴リムで16:8の変則組です。

左側 1穴飛ばして1クロス組

このホイールの特徴は2:1組の変則組ですが、リムにオフセットリムを使っているところが面白いところです。オフセットしていない通常リムを使うとスポークテンション比率は78:100で仕上がります。3mmオフセットリムを使いますと左側100:右側97の比率になります。

左スポークテンションが右より少し高くなることはあまりない組み合わせですがこのホイールの組み方では左がほんの少し上回ります。ほぼ左右同じといっても良いくらいです。

通常後輪ホイールはハブに段数のあるギアを取り付けますのでスポークテンション比率は右100とすれば左は50前後に仕上がります。左側が緩いため駆動ロスが起こるわけです。

このロスを少なくするため出来るだけ左テンションが高くなるように2:1組で組むと左側が70:100くらいになります。左が大幅に上がるわけですが均等にはなりません。

左スポークテンションが右スポークテンションより高い仕上がり

ここでオフセットリムを使いますと左が大幅に上がり100:97と逆転します。数値では違いがあるのですが実際の使用ではほぼ左右テンションは同じと考えて良いかと思います。

スポークテンション差がないということでこれはピストホイールと同じような仕上がりです。

6年使われたホイールのスポーク調整はほとんど触ることがなくお返しいたしました。手前味噌になりますがとても良く出来ています。

今回のホイールを作るまでオフセットリムを使う方法は思いつきませんでした。体重、スポーク数など考慮すべき事柄がありますのでこのホイールでないといけないということはありません。オフセットリムで作られた2:1組ホイールは新しいアイデアと思います。長年使われてもスポークテンションのバラつきの少ないホイールが出来上がります。

シクロレース用前輪ホイールの作製

何回もご注文いただいていますお客様よりご連絡いただきました。シクロレースに使うということで10月にご注文いただきましたホイールの予備ホイールを再度ご依頼いただきました。

今回は前輪のみのご注文です。

前輪 AL22W シマノHB-RS400 コンペティション シルバー

スポークは同じコンペティションを使うのです今回はシルバーをご指定です。前回は黒スポークで作製しました。スポークの色を替えたのはタイヤの種別を替えたとき、見分けがつきやすくするためです。組み方は前回とおなじで3クロス組です。

リム TNI AL22W 

ハブ シマノHB-RS400 

スポーク コンペティション シルバー

ニップル SquorxPro ブラス シルバー

リムは軽量ですが剛性があります。ハブは150gと重いハブですが丈夫です。スポークは5gスポークですので剛性が高いです。リム、ハブ、スポークを組み合わせてホイールを作るのですが選ぶ部品でホイールの性能が変わります。

シクロレースは泥の中を走ったりして汚れがひどく洗車が必要なレースがよくあります。ホイールのメンテナンスも頻繁に行う必要があります。

ホイールのハブメンテナンスを考えますとシマノハブはメンテナンスが楽です。シールドベアリングを使ったハブはベアリングを取り換えれば新品に戻りますが取り替えとなりますと結構ハードルが高くなります。

ベアリング取り換えにはベアリング取り外しの道具がいるのと少しの勇気が必要です。シマノハブの場合特別な道具が不要です。ハブレンチと六角レンチがあれば作業は出来ますのでお勧めです。

定番XR31T/RTホイールのご注文

ホイールのアップグレードを考えておられたお客様よりご連絡いただきました。

お客様は手組ホイールファンブログをしっかり読んでいただいたようです。定番ホイールになっていますXR31T/RTリムを使うアルミホイールの見積もり依頼をいただきました。

ホイールの詳細です。

リム XR31T/RT 20・24H

ハブ ノバテックA291SB F482SB

この2点は変わりません。スポークの違いで2種類提案いたしました。

1案 TB2015 中央部が1.5mmのスポーク 後輪ギア側のみTB2018

2案 ウィング21 後輪ギア側のみTB2018

お客様が選ばれたのはWing21を使ったホイールです。後輪のギア側は剛性を上げるため中央部が1.8mmの丸スポークで作ります。ドライブ側スポークを太くして剛性を高めています。

Wingスポークと丸スポークの違いは空力の差です。風洞実験では数ワットの違いがあるのですがこの差異とスポークの値段の兼ね合いです。少しの差ならいい方を選ぶという方とそんなに差はないのだから安価なほうを選ぶ方、考え方で決まります。お客様はいい方をお選びなりました。折角オーダーするのですからということです。

XR31T/RTリムをお勧めしている理由はリムの剛性にあります。ブログ記事にも紹介していますがある公的機関で荷重試験をお願いしたことがあります。試験していただきましたリムの中で一番好成績だったリムはこのリムでした。

自転車が前に進む際ホイールが地面に触れている部分はほんの少しですが体重で凹んでいます。この凹みの連続で前に進んでいますが、凹みが少ないホイールは駆動ロスが少ないと言えます。カンパやシマノの高級アルミホイールのリムも調べていただきましたが成績の良かったリムはこのXR31T/RTでした。この理由でお勧めするわけです。

しかしホイールは乗り手との相性がありますので重いリムのホイールより軽いリムでくるくる回すほうが乗りやすいという方もおられます。

剛性が高いという理由だけでこれが一番いいということは言えません。ただ、このリムは空力の援護がありますので走りやすく足を休めることが出来るホイールに仕上がります。ラベルがないノーブランドのホイールですがとても良く回るホイールです。

さて、ホイールを作る作業時間ですが組み上げるのはすぐにできますが組み上がってから出来上がるまでには時間をかけています。ホイールが組み終わってからの作業に時間をかけます。馴染みだしを行ってはひと休みし、時間をあけてまた馴染みだしを行います。これを繰り返すことで振れの出にくいホイールに仕上がります。

一般には完組のホイールはプレス式の馴染みだしを行っています。機械で押し込んで馴染みだしを行うのですが何回も繰り返して行ってはいません。ましてや日をあけて再度行うということはやってはいません。この辺りが違うところと思います。

前輪 706g Wing21 2クロス組
前輪 2クロス組
後輪 901g ドライブ側TB2018 左側Wing21 左右2クロス組
後輪 左右2クロス組

出来上がりました。お客様には喜んでいただけるように出来るだけスポークテンションを揃えています。また出来るだけ振れが少なくなるように調整しました。ご感想が楽しみです。

TOKENホイールのスポーク調整

このブログに興味を持っていただいた方よりご連絡いただきました。ホイール再調整のご依頼です。新しいホイール購入の検討もされているようですが先ずは調整をやってからということです。賢明な選択と思います。

お送りいただきましたホイールの写真です。スポークテンションの状態を調べてグラフにしています。ホイールの使用感想を下記のようにとても詳しくお知らせいただきました。

前輪586g
お預か時のスポークテンション 約90kgf もう少し高い方が良い
後輪813g
お預かり時の後輪スポークテンショングラフ 緩めでバラつきが大きい


〇所有ホイールについて
 フロント TOKEN ventous 36mm リムブレーキ
 リア TOKEN konaxpro 52mm リムブレーキ
 駆け出しのもっさり感がある(ダイレクト感が足りない)、30㎞以上でのころ狩りが若干重たい。落差15m程度、距離1km程度の長さの坂で下っていても50㎞以上に上がっていかない。スポークテンションが極端に異なるところがある。購入から2年1万2000km程度は走っていると思います。

乗って温いと感じるホイールは剛性が不足しています。スポークを取り換えることで大きく変化しますのでとても良い方法です。

TOKENのホームページを見ますと使用スポークはサピムのCXRAYです。前輪18本、後輪21本、共にCXRAYですので体重があり、パワーのある方には踏み込んだ時の剛性が不足と感じるのは当然かもしれません。CXRAYは優秀スポークですが万能スポークではないということです。

今回は後輪スポークをCXRAYからCX-SPRINTに変更を提案しています。グラム数で言いますと4gスポークから5gスポークに交換します。

CXRAYスポーク14本 60.5g
CXーSPRINT 14本 74.5g
調整後の後輪スポークテンショングラフ バラつきがなくなりました

実際重量を量りますと60.5gから74.5gになりました。14gの増加です。このスポークで温い場合はサピムのRace(2.0/1.8/2.0mm)に取り換えです。スポークの値段は下がりますが剛性は上がります。面白いです。

お預かり時よりスポークテンションを約110kgfに引き上げました

前輪のスポークテンションを再調整しました。スポークテンションはお預かり時点では左右約90kgfで張られていましたが約110kgfに引き上げています。高過ぎず低すぎずのテンションです。ハブはゴリ感がありましたのでベアリングの打ち直しをしました。

前輪ハブ ベアリング6802 大きいベアリングを使っているハブです

ベアリング6802のベアリングを使っているハブです。一般には小さめの699ベアリングを使ったハブが多いのですがこのハブのように大きいベアリングを使ったハブは回転に安定感があります。ハブ径が約40mmと大きく、ハブ幅が80mmありますのでスポークは広く角度をつけることが出来ます。当然横剛性が上がります。18本と少ないスポークですが必要な剛性を得ることが出来るこの前輪ハブは気に入りました。

今回のTOKENホイールは非常に高価なホイールです。個々のパーツはよく吟味された高級パーツです。しかし乗り手の力に合っていない場合はせっかくのホイールも性能を引き出すことが出来ません。今回の修正でどのように変化するのかお客様から伺うのが楽しみです。

シクロレース用にアルミディスクホイールのご注文

このブログにご連絡いただきました。シクロレース用に使う計画されています。ライダーさんはFTP260でぐいぐいと行くタイプではなくどちらかと言えば耐久レース向きと言っておられます。

前輪722g スポークはWing21 ハブ REVOハブ
前輪スポークテンショングラフ  出来るだけ均一になるようにしています
後輪 869g スポークは左右コンペティション ハブ REVOハブ
後輪スポークテンショングラフ  出来るだけ均一になるようにしています

当初ホイールのプランは

リム 22mm高24mm幅 オフセットリム

ハブ TNI REVOハブ

スポーク 前後共に ピラーwing21

ニップル ブラス

剛性を意識してCXRAYよりは剛性の高いスポークで提案していました。しかしシクロレースとなりますともう少し剛性があったほうが良いと考え後輪をDTのコンペティションに変更していただきました。

シクロレースではロードレースとは違い高い頻度で瞬発力が要求されると伺っています。今回のホイールでは外周部は軽いリムを使って回転に対して反応しやすくし、後輪のみスポークを太くして剛性を上げています。

ホイールはスポークの選択で性格が変わります。ロングライドに使うのなら細いスポークで沢山使うほうが疲れにくいホイールに仕上がります。乗り方によってリム、スポークを選んで作る手組ホイールは奥が深いです。

1368g超軽量アルミホイールの作製

2年前にご注文いただき気に入っていただいたホイールですが交通事故のトラブルで使えなくなったということです。お気に入りホイールでしたので再度同じホイールをご発注いただきました。同じものがまた欲しい、とてもありがたいお話です。お客様からは6年ほど前にも定番ホイールのXR31T/RT 31mm高ホイールもご注文いただいています。これで3セット目のホイールです。

前輪574g、後輪794g、合計1368gの超軽量ホイールです。

前輪 574g
前輪スポークテンショングラフ
後輪 794g
後輪スポークテンショングラフ

ホイールの内容は次の通りです。

キンリン XR200 前輪20H 後輪24H

ハブ ノバテック 前輪A291SB  20H 後輪F482SB 24H

スポーク 前輪 サピム Laser 2.0/1.5/2.0mm

スポーク 後輪 サピム Race 2.0/1.8/2.0mm

ニップル ダブルスクエアニップル ブラス

XR200 371g
ノバテック A291SB 20H 78g
ノバテック F482SB 24H 242g

XR200リムはナローリムで400gを切る超軽量です。剛性も高いのでワイドリム全盛の今でも根強い人気があります。台湾の軽量ハブを使いますと1300g半ばで仕上げることが出来ます。

使用するタイヤは23c、25cに限定されますが超軽量ホイールで登りを試してみたい方にはおすすめです。

しかし何事もトレードオフの関係があります。このホイールは登りには力を発揮するホイールですが平地にはリム高が低いので空力の援護がありません。足を休めることなく常に回し続ける乗り方が必要です。したがってクルクル回す乗り方をされる方におすすめです。ただし注意点があります。剛性高いホイールですが軽量ですので体重が70kg以上の方にはおすすめできません。

波型リム使用カーボンディスクホイールのご注文

今までに31mm高アルミホイール、46mm高カーボンホイールと当ブログの定番ホイールをご注文いただきましたお客様よりご連絡いただきました。ディスクブレーキ用のフレームを注文したので今回も手組ホイールファンでホイールを注文したいとのことでした。これで3セット目です。

TNI REVOハブ 前輪用 133g
TNI REVOハブ 後輪用 247g

使用リムは当ブログでも定番化しつつある46.5mm高28mm幅の波型リムを使ってほしいとのこと。ハブは必要十分の性能を持つTNIのREVOハブ、スポークはサピムのCXRAYより少し剛性の高いピラーのwing21を提案しました。

サピムのCXRAYは万能スポークと言われていますが使い方によりましては万能ではありません。弾力があるスポークなので前輪には向きますが後輪をCXRAY24本で作りますと少し剛性が足りないと感じる方も多いようです。

その点このwing21ではCXRAYよりも少し剛性が高いので前輪24本、後輪24本の組み合わせでちょうど良い剛性です。FTPが300以上の方には少し物足りないかもしれませんが適度な剛性という評価をいただくことが多い組み合わせです。

ホイールの部品で評価し易いのはリムとスポークですが意外と知られていません。リム、スポークは性能がはっきり出る重要な部品と考えています。どうしても目立つハブに注目が行きますが、ハブは差異を評価するのは難しい部品です。一般にハブは値段の差がありすぎるのと手入れが難しいのが理由かもしれません。

リム重量 411g

今回のカーボンリムは体重制限ありますがオプションで約400g前後のリムと通常の450g前後のリムの2種類作られています。当然価格は軽量の方が高くなるのですがオプションの軽量リムのご注文が多いです。

波型リムは精悍です
前輪688g
後輪805g

前輪688g、後輪805g、前後1493gで仕上がりました。

今までに空力が良い、軽量で回しやすい、ワイドタイヤが良いなど高評価をいただいています今回のホイールですが、見た目はシンプルでとても精悍なスタイルのホイールです。よく似たブランドホイールが2倍、3倍で販売されているのを見ますといつも驚いています。ラベルのない無印ホイールですが逆に風格を感じます。

110kgのライダーさんにお勧めホイール

丘陵地帯でいつもライディングを楽しんでおられると伺いました。登り降りが頻繁にある地域で乗っておられる方よりご連絡いただきました。

坂の多い地域なのでダンシングで乗られることが多いそうです。お客様は身長もあり体重が110kgということでご自分の体格に合ったホイールがなかったと伺いました。

行きつけの自転車屋さんでは今販売されている完組ホイールにはお客様にピッタリのホイールはないとはっきり言われたそうです。それなら体に合うホイールを作ってあげたらいいのにと思うのですが、手組ホイールを作れない自転車屋さんのようです。最近はこのような自転車屋さんばかりです。自転車を販売するだけではどうかな?と思っていますがその方が楽なのでしょう。

お客様は仕方ないので不満ながらも最初から付属の鉄下駄ホイールで走っておられたようです。付属のホイールは一般には丈夫すぎるホイールですが残念ながら体重のあるお客様にはフィットしなかったようです。

このような環境では剛性高く作った手組ホイールしか解決方法はありません。お客様はいろいろネット検索された結果、手組ホイールファンにご連絡いただきました。

さて、お客様に提案しましたホイールは次のホイールです。

リム XR31T・RT 32H 後輪は3mmオフセットリム

ハブ 前輪シマノ HB-RS300 32H 後輪 シマノ FH-RS400 32h

スポーク 前後共に DTコンペティション 2.0/1.8/2.0mm

ニップル ダブルスクエアニップル ブラス

提案リムは31mm高24mm幅の高剛性リムです。今使っておられる鉄下駄ホイールがシマノであれば24mm高のリムと思います。

一定時間に荷重してリムがどのくらい変形するかを調べます

このリムなら荷重試験をしたことがあるので100kgの重量を駆けたときの歪のデータがあります。凹みのデータでは24mm高のリムは31mm高のリムと比べて約2倍近く歪んでいます。比べると剛性はそんなに高くありません。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。太いスポークを使えば剛性の高いホイールが出来上がるということです。

一般には鉄下駄ホイールは2mm径の丸スポークを使っています。前輪20本、後輪24本です。スポーク総面積を計算しますと138mm²です。方や、今回の提案ホイールではコンペティションですので中央部が1.8mm径です。前後の合計スポーク面積は163mm²で25mm²面積が増えます。これだけの面積増加で十分なホイール剛性を得られるのかという疑問が起こりますが心配いりません。バテッドスポークを使うと良い結果が出ます。

バテッドスポークは隣同士のスポークが協力しあって地面からの荷重に対して力を分散する働きをします。スポークがショックアブソーバーの働きをしますので荷重を分散することが出来るわけです。このスポーク理論はアメリカのNorthwestern University Matthew Ford博士の論文を読まれるとよくわかります。

ホイールは地面に触れるところは凹んでいます

提案の31mm高リムは荷重に対しての剛性がありますので地面に接する部分は凹みにくいという利点があります。また、バテッドスポークを使うことでホイールの軽量化を図りながら荷重に対して分散することで重い体重に耐えることが出来るホイールに仕上げることができます。

ホイール作製に於いて各スポークは出来るだけテンションを揃えていますのでスポークにかかる力のバラつきは少ないと考えます。これはスポーク折れなどの防止につながりますのでホイール作りには必須と考えています。

このようなプランで提案しましたホイールが次のホイールです。

前輪 896g
前輪スポークテンショングラフ  均一にスポークを張ることでフレが出にくくなります

後輪 1114g
後輪スポークテンショングラフ  オフセットリムを使いますと左テンションが高くできます

前輪 896g 後輪 1114g 前後で2010g 重量はありますが剛性高いリムを使っていますので安心して使っていただけるホイールに仕上がっています。お客様のご感想が楽しみです。

波型リム使用カーボンホイールの印象記

8月30日のブログ記事にインダストリー9ハブと波型カーボンリムを使ったホイールのご注文を記事にしています。

前輪731g  インダストリー9ハブ  wing21  左右2クロス組
後輪877g インダストリー9ハブ wing21 左右3クロス組
前輪 2クロス組
後輪 3クロス組

お客様はこのホイールで1000kmブルべに挑戦することを計画されていました。今回のホイールは2セット目です。最初のホイールも好印象のようでしたが、最初からブルべに使うことを考えてホイールのプランを立てておられます。ホイール作製のお手伝いが出来ましてうれしく思っています。

1000kmブルべを完走され、その時のホイールの感想をお送りいただきました。いつものことですがこのブログの宣伝に使わせていただきます。勿論お客様もご承知です。

ホイールは使っている方のお話を伺うのが一番です。自転車雑誌のホイールインプレ記事はバイアスがかかっていますので要注意です。その点今回のような素直に感想いただくのは作り手にも、また新しいホイールを考えておられる方にも参考になると思います。

以下お送りいただきました原文です。

8月に波型リムでホイール作製していただいた**です。

改めて、この度もありがとうございました。

何度か試走の後、10月Audax近畿さんの四国一周1000kmブルベで本格的に走りこんでみましたので、インプレッションお送りします。

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【念のためスペック】

・46.6mmハイト波型リム

・インダストリーナインtorchハブ(前後28H)

・pillar wing21 前輪左右2クロス、後輪左右3クロス

・前輪733g、後輪877g=計1610g

※1本目:

・45mmハイト軽量リム+TNIハブ(前後24h)

・前輪648g、後輪788g=計1436g

【主な用途】

ロングライド、ブルベ中心です。

【使用してみての印象】

28hの多スポーク、ハブも軽量とは言えずどちらかというとグラベルっぽい仕様で

登りは1本目のホイール以上のアドバンテージは感じませんでしたが、

波型リム・エアロなスポークも相まって何より平坦巡行がとても楽になりました。

1本目のホイールも良かったものの、より「負担なく・楽に巡行できる」という印象です。

1000kmブルベの初日、ほぼ24hぶっ通しで500kmほど走行して・グロス平均25.6kmと、

信号や峠以外はほぼ30~35km/hで無理なく回せました。

いつもなら400kmを超えたころから疲れてきて出力を上げられなくなるのですが、

このホイールは足への負担感が実感レベルで低かったです。

まさに狙っていた通り「ブルベ・ロングライドスペシャル」なホイールで、

早くも次のブルベが楽しみです!

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以上です。

このホイールのおかげで、1000kmブルベを楽しく完走できました。

また次もお世話になるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

とても体力がある方でびっくりしましたとメールしますとホイールが助けてくれましたとありがたいお返事いただきました。いつもお客様から励みになるご感想をいただきます。