リユースリムでMTBホイールの作製

MTBダートジャンプホイールの後輪をご注文いただきました。昨年10月31日の記事でご紹介しましたが前輪をご依頼いただいています。今回は後輪の作製です。

MTB用ハブ 32H 
テーブルに置くとピタッとしています 縦方向にひずみがあるリムでした

ハブとリムは前回と同様に持ち込みいただきました。後輪ハブのアクスルはねじ式で、フレームには付属ナットで取り付けします。650cのリムはリユースのリムでした。テーブルの上に置きますと大きな歪はなく前回同様に素直に組み立て出来ると考えました。

しかし今回はそのようにいきませんでした。縦方向のひずみがあり、仮組が終わってニップルを締めあげていくうえでどうしても縦ブレが取れません。スポークテンションを点検しながら組んでいくのですが縦ブレを出来るだけ小さくすると横ブレが大きくなります。

グラフにするとわかりやすいのでグラフにしますと次のようなグラフになっています。

歪の大きいリムで縦ブレ、横ブレを取るとこのようなグラフになってしまいます

歪の大きいリムは見た目では分かりません。一般には新品リムには大きな歪みは無いようですがリユースとなれば話が別です。前の使われていた状態が影響します。スポークテンションが揃っていないホイールは使っている間に振れが大きくなります。ホイールは自然と癖がつくわけです。このようなリムは再度使うとなりますと難しいです。特に縦ブレが大きく、縦ブレを取ろうとしますと横ブレが大きくなります。ある程度で納得が必要なホイールです。

結局は張り過ぎのスポークをするめ、緩いスポークの張りを上げることで調整し直しました。

スポークの張りの違い大きいと後から振れが出てきます。出来るだけスポークテンションが揃っていることが大切ですが、リムのひずみが大きいと修正が難しいという問題が起こります。

最終この状態で納品しました

最終的には次のグラフのような状態で妥協しました。勿論これまでの状況はお客様にお知らせしています。妥協案で了解いただきました。

リユースリムで作るのは難しい

お客様はご提示しました状態でもいいと了解いただきました。使用目的がダートジャンプ用としてのホイールでしたので使えると判断いただき良かったです。リユースの癖のついたホイールは難しいというのが感想です。

幸いにもお客様は今回の出来上がりにはご理解いただきました。確か8回目のホイールですのでまた新しくリムを手に入れたとき交換するということになりました。仕上がりには納得いただいたようです。

リユースのリムはそれまでの組み方の癖がついていますので再利用には注意が必要です。ホイールをうまく作れるかどうかはリム次第ということです。

ONYXハブでカーボンホイール作製

表題通り、リピートオーダーのお客様よりホイール作製の依頼がありONYXハブとカーボンリムをお送りいただきました。

100幅 前輪用ハブ 139g
135mm幅 後輪用ハブ 384g
38mm高リム 軽量です。

スポーク、ニップルはご指定です。Wing21黒、DTニップルのSquorxProをこちらでご用意いたします。部品持ち込みの場合、スポークは手組ホイールファンで準備するのが失敗しない方法と思います。

お預かりのONYXハブはよくできたハブです。しかしなかなか高価で手が出ません。決して軽いハブではありません。重量は結構あります。

一般には軽量ハブを求める方が多いのですが何事も一長一短で重いハブは丈夫です。丈夫さはとても大きなメリットです。このONYXハブはMTB用ですので強度を優先しているハブと感じました。

お預かりのカーボンリムは前輪24H、後輪28Hのオフセットリムです。カーボンリムもオフセットリムを作るメーカーは増えています。どちらのリムもクロス組で作ります。組み方はシマノ方式で組んでいます。

オフセットリムです 穴位置がセンターからずれています スポークテンション是正のためです

オフセットリムはホイールの左右のスポークテンションを均一化するにはいい方法と思います。穴位置が片方に寄っていますので使用には向きに注意が必要です。

使用するスポークがwing21の場合CXRAYと比較して剛性が少し高いのでCXRAYで作ったホイールよりも剛性を高くできます。

CXRAYが最高のスポークと考えておられる方には水を差す話ですがホイールにはいろいろスポークの選択で乗り味が変わりますので使っているホイールがCXRAYを使われていて少し剛性面で不満な方(ぬるいと感じられている方)はスポークを取り換えることをお勧めします。

前輪 687g
前輪スポークテンショングラフ
後輪 927g
後輪スポークテンショングラフ

出来るだけスポークテンションが均一になりように仕上げました。今回のホイールで4セット目です。ホイールは手組ホイールファンにと何度もご注文いただけるのはありがたいです。

ダイナモホイールを新しいダイナモホイールに組み替え

今回のダイナモホイールも前回記事のお客様からのご注文です。リムが傷んだダイナモホイールを新しく作り替えます。

このホイールからハブを取り出して新しいダイナモホイールを作ります
平らなテーブルにリムを置くと歪がよくわかります

リムが落車で歪んでしまったホイールはH+SONのAT25 36穴リムでした。国内セラーが販売しているリムは32穴までで36穴リムはなかなか手に入りません。

検索しますとキンリン社のXR-19Wというクリンチャーリムに36穴が販売されていますのでハブを再利用しまして新しいダイナモホイールを作製します。

XR-19W 439g

リムを計測しますとAT25のERDとXR-19WのERDは2mm違いました。スポーク長は2mm長いスポークが必要です。本来ならスポークを新しく用意するのですがAT25リムには12mmのスタンダードのニップルを使っていることから14mmのダブルスクエアを使うことにしてスポークをそのまま使うことにしました。

試してみてスポークが短すぎてうまくいかない場合は新しくスポークを用意するということで組んでみましたが、うまくスポーク長は対応できました。ニップルだけを取り換えることでそのまま移行でき、余分な出費を押さえることが出来ました。このようにニップルで調整することもできますので正確に計測することは大切です。

リムを取り換えたダイナモホイールです

お客様はダイナモホイールの便利さを十分ご存知です。往復の送料代金がかかってもいいということで遠方より部材をお送りいただきました。信頼にこたえられるように作らせていただきました。良いホイールが出来上がりよかったです。

自転車を洗う

ご近所のお兄ちゃんが大学に進学されたのでお祝いにタイヤ交換と自転車の洗いをプレゼントしました。進学のことは聞いていたのですが何かお祝いしたいと思っていまして、結局これにしようと決めました。

関西では自転車洗いの専門店が豊中にあります。手組ホイールファンのお客様にも毎月洗っていただいている方がおられます。

プロレースではメカニックさんは自転車を洗うことが整備の基本となります。自転車を洗うことで傷んでいるところなど不具合がよく分かるわけです。

以下、20年ほど前にあるメカニックさんに教えてもらった方法です。

ホイールを外して後輪部分はチェーンホルダーを使ってチェーンを緩まないようにします。

チェーンホルダー、チェーンレスト、ダミーハブ、チェーンキーパーといろんな呼び名がついていますがこのチェーンをピンと張る道具があれば洗いはとてもしやすいです。高価なものではありませんので一つ持っておかれるのが良いかと思います。

自動車のフィルタークリーナーをコップに1cmほどの少量をいれて刷毛を使ってチェーン、ディレーラー部分などの油汚れがあるところに塗っていきます。しばらくおいてからシャワーホースで洗い流します。これで大方の油汚れは取れてしまいます。あとは中性洗剤をたっぷり泡立ててスポンジを使って洗います。スポンジで洗えばフレームが傷つくこともありません。気兼ねなく洗えばいいです。あとは水で洗い流せばきれいになります。洗い終わればそのまま乾くまで置いておけばいいわけです。急ぐ場合はコンプレッサーを使って空気で水気を吹き飛ばすのですが時間があるなら乾くのを待つだけです。

チェーンオイルを注し、前後ディレーラー、ブレーキなどオイル注しが必要な部分に適宜行います。

写真のフィルタークリーナーはWAKOの製品ですが大分前に廃番となっています。以前工具屋さんで廃番と聞いたので3本ばかり買い置きしました。使う量が少ないので長く使えています。エーゼットなどで代替の品物が販売されていますので心配は要りません。

自転車の整備の基本は洗いからといいます。とても簡単な作業ですので晴れた日にはお勧めします。こまめに洗うと自転車は長持ちします。特にチェーンには有効です。チェーンがきれいと駆動効率が数ワット上がると聞きました。グランツールでは毎日メカニックさんがチェーンを洗っていますのでこれは本当だと思います。

洗いの専門店さんではプロのやる作業ですから細かいところまで気を配っているのは確かでしょう。でもやることは同じなので洗う場所があるのであれば自転車洗いはお勧めしたいと思います。きれいな自転車は気持ちがいいです。

シルバーのダイナモホイールをご注文いただきました

22年8月に作らせていただきましたホイールですが落車でリムが傷みました。見てほしいとお送りいただきました。リムが曲がってしまいリムを回転させますとプラスマイナス10mm以上の歪です。ゆらゆらと回転する状態でした。

真上から見るとリムが歪んでいるのがよくわかります これは直せません

これではスポークを引っ張って直すこともできないので正直に直せませんとお知らせいたしました。

リムは台湾のH+SON社のリムでAT25の36穴です。残念ながら今国内のセラーさんでは32穴しか手に入らないことをお知らせしました。

ホイールはとても気に入っておられたようで、最終的には新しく32穴リム、ハブを用意してお作りすることになりました。

新しく前輪を32穴で作り直しています 

余った36穴のダイナモハブは新しくキンリン社の36穴リムを用意してもう一つダイナモホイールを作るというご注文をいただきました。

先ずはH+SONのAT25リムを使ったシルバーホイールです。32Hリムで新しく作り直しています。

スポークはピラーのTB2015(2.2/1.5/2.0mm)トリプルバテッドスポークを使います。ニップルはダブルスクエアニップルです。細いスポークはねじれ易いので扱いは難しいですが乗り心地はとてもいいです。多スポークで作りますととても疲れにくいホイールに仕上がります。

36Hリムから32Hリムに作り直しです

組んでみるとよくわかるのですがリムの剛性はとても高いので縦ブレが取りやすいリムです。リムジョイントが溶接ですので安価なリムではありませんが剛性が高いのでとてもよく走ります。お勧めリムです。

リムの仕上げは鏡面仕上げなのでピカピカです。シルバーホイールはクラシック感がたっぷりですが今回のホイールにはモダンなイメージがあります。クロモリのフレームに取り付けますとクラシック自転車ではありますが新しい感覚がたっぷりの自転車に変身します。

ダイナモホイールは手組ホイールファンでも使っています。ロングライドに、通勤に使えば電池を気にしなくてもよいのでこのホイールの便利さがよくわかります。700cのダイナモホイールは実用ホイールとしてお勧めです。

ビンテージホイールのスポーク修正依頼

ビンテージホイールの前輪を調整してほしいとご連絡いただきました。このホイールの後輪はすでにスポークを替えて修理したことがあります。1970年代に作られたホイールです。

ビンテージホイールの調整です

リムはマビックのGL330、スポークはSマークがあるバテッドスポーク、ハブはDuraハブです。

スポークのSマークはイタリアのSacchetti製です

スポークメーカーが分からなかったので調べたところイタリアのSacchettiというメーカーでした。

約50年前のDuraハブ

ハブはシマノのDuraハブです。品番はわかりませんがシマノのDuraAceの刻印があります。とても滑らかに回ります。約50年経過していますが現役で使えます。本当に素晴らしいと思います。リムはきれいな状態です。大切に保管されていたようです。

スポークテンションは驚くばかりのゆるゆる状態でした。テンションメーターも使われていないと思います。スポークを握って強く張って振れがなければヨシとしたのかもしれません。

非常にスポークテンションが緩い状態です

先ずはホイールの状態を調べました。グラフにしますとよくわかります。スポークテンションはとても緩いのでどの程度ニップルを回せばよいのかグラフからわかります。

ニップルは3.4mmのレンチを使いました。ニップルレンチは沢山持っていますが場面に応じて使い分けるようにしています。通常は3.2mm用と3.4mm用の2種類あればいいのですがスポークの状態でニップルレンチを使い分けると作業がし易いです。ニップルレンチはそれぞれ特徴があります。早く回したい時や、1/4回転。1/8回転、と細かく調整するときに適したレンチがあります。大工さんが沢山道具を使い分けているような感覚です。これは経験で見つけるしかないようです。

ニップルを回していきますとスポークも一緒に共回りしますのでこれを防ぎながらスポークテンションを上げていきます。特に丸スポークの場合ニップルと一緒にスポークも回りますのでねじれが生じますので扱いが難しいです。その点扁平スポークはスポークホルダーを使えばいいので扱いが楽です。

サピムのホームページで細いLaserスポークの説明にこのように書かれています。

 You may have to use pliers to hold the spoke to prevent the spokes from winding up. Only experienced wheel builders should mount up wheels with this spoke.

スポークのねじれを防ぎながらテンションを上げる方法が述べられています。

スポークテンションを出来るだけ均一になるように調整し、振れを最小になるように調整しました。

出来るだけスポークテンションを揃えています

リムのセンターを出すのも大切です。しかしリムセンターを真ん中になるように調整することは必要ですが無理にセンターを出す必要はないと考えています。勿論センターはきっちり出すほうが良いのはその通りです。しかしスポークテンションの均一化を崩してまでセンターを出さなくても良いと思います。無理やりセンターを出すとスポークの張り方の違いから使っている間に狂いが生じやすいからです。ブレーキ側で調整すればいいと思います。

馴染みだしを何度も行いその都度スポークを調整して完成です。ゆるゆるスポークの状態からピンと張ったホイールに仕上がりました。約50年前のホイールが蘇りました。

ゴキソハブでカーボンホイール作製依頼

これで3セット目のホイールご依頼です。ENVEホイールからハブのゴキソハブを取り出してお送りいただきましたカーボンリムに移設です。

組み替え前のENVEホイール後輪
ゴキソハブ 前輪用 254g 重いが良く回る
後輪 450g 重いがよく回る

ENVEホイールを先ず分解しました。ホイールはインターナルニップルを使われています。特殊なニップルなので分解も専用のニップル回しが必要です。

インターナルニップルとニップル回しパークツールSW-16.3 SW-17なら使える

ENVEホイールはサピムのCXRAYで組まれていました。前輪は20H後輪は24Hです。使われていましたスポークはすべてCXRAYでした。後輪も前後ともにすべてCXRAYで組まれたENVEホイールです。

お客様にお尋ねしました。ホイールの剛性不足を感じましたか?と伺いましたら漕ぎ出の反応は温く、シュータッチがあったというお返事でした。スポーク、リム、ハブどれも一流の製品ですが、組み合わせによっては良いパフォーマンスを引き出すことが出来ないということです。ENVEホイールには多少はご不満があったようです。

一流の部品を使うのは先ずは安心ということでとても良いことですが乗り手の力にあわせて最良の組み合わせが必要です。ビルダーさんはスポークをもう少し剛性の高いスポークで提案すべきでした。 一律にCXRAYで組めばいいホイールが出来るというものではありません。

今回のゴキソホイールは前輪20Hをクロス組で組んでいます。通常ではラジアル組ですがお客様はクロス組をご希望されました。前回お納めしましたホイールがクロス組でしたので乗り味が気に入られたようです。前輪20Hのクロス組は一般的にはあまり行いませんがシクロレーサーではよく使われるようです。クロス組により地面からのショックを和らげます。

後輪用CXRAY 約100g
後輪用 ウィング21 約120g

後輪は通常の左右2クロス組です。スポークはウィング21で組みますのでCXRAYで組まれたENVEホイールと比べますと少し剛性が上がります。CXRAYで組みますと重量は約100g、ウィング21で組みますと120gです。約20g重量が増えます。たった20gですがホイールの剛性は上がります。

ウィング21とCXRAYではウィング21の方が価格は少し安価ですが剛性が上がり乗り味はしゃんとした乗り心地になります。価格は品質を知るための要因になりますが決して価格だけではありません。場面に応じて決めるべきです。

前輪20H 左右2クロス組
後輪1081g 左右2クロス組
ゴキソハブ使用 前輪20H後輪24H 前後ともに2クロス組

今回は前輪後輪ともに2クロス組です。シルバーのスポークが存在感を高めています。スポークテンションを出来るだけ均一に張っています。フレは最小になるようにしました。ゴキソハブは本当によく回ります。空で回しますといつまでも回っていますのでついつい見入ってしまします。客様のご感想が楽しみです。

アルミチューブラーホイールのご注文②

ホイールを取りに来られました。お客様はいつも車で来られるのですが今回は自転車です。

あいにく雨でしたが後輪部分に自作の金具を取り付けて持って帰られます。

フレームは自作品です
荷物台の特殊金具でリムを左右に分けて取り付けています

荷物台に左右に分けて取り付けるようになっています。うまく工夫されました。因みに乗ってこられた自転車は自作フレームです。これは驚きました。フレーム自作される人には初めて会いました。

ホイールも作ったらどうですか?と伺いますと、作れますがやはり上手な人にお願いしたほうがいいと思いました、ということでした。フレーム作るのとホイール作るのとは少し違うようです。このお話はホイール屋としてとてもうれしい話です。餅は餅屋のようです。

お渡ししましたチューブラーホイールは多スポークホイールで疲れにくいですよといいますとそりゃいいですね、と喜んでおられました。

チューブラーホイールは構造上ビードがありません。このためリムを締め付けるということはありませんのでスポークのテンションはタイヤをはめても変わりません。

クリンチャーの場合、ビードがリムを締め付けるので柔らかいリムならスポークテンションが15%くらい下がってしまいます。このテンションダウンがチューブラーホイールの場合ないのでホイールの性能はタイヤインストール後でも同じです。性能が変化しないというのがいいです。こういうところがプロに歓迎されるのかもしれません。

アルミチューブラーホイールのご注文

昨年キシリウムホイールとアルテグラホイールの2ホイールを調整依頼いただきましたお客様よりチューブラーホイールのご注文をいただきました。

以下ホイールの詳細です。

TNI cx22 421g
前輪 HB-RS400 151g
後輪 FH-RS400 366g

リム TNI cx22 前輪28穴 後輪32穴

ハブ 前輪 シマノ HB-RS400 28H 2クロス組

ハブ 後輪 シマノ FH-RS400 32H 3クロス組

スポーク 前輪 TB2015 シルバー

スポーク 後輪 左TB2015 シルバー

スポーク 後輪 右TB2018 シルバー

ニップル ダブルスクエアニップル シルバー ブラス

チューブラーホイールはリムの形状がクリンチャーリムと比べてシンプルな作りなので軽量にできます。タイヤも選択肢は限られていますが軽量且つ転がり抵抗が少ない優秀タイヤが多いためプロやハイアマチュアの方々が今のクリンチャー、チューブレスの時代に関わらず愛用される人が多いです。リムとタイヤを併せてホイールの外周部が軽くできるメリットがあります。決戦用にはチューブラーという人が多いのも事実です。

高価なカーボンホイールでなくても今回のご注文ホイールのように外周部がとても軽量に仕上がるため、アルミチューブラーでヒルクライムに挑戦される方もおられます。おススメします。

リムは前後で約1万円、ハブは前後で約9000円の安価なシマノティアグラハブを使います。今ティアグラ、ソラなどシマノハブは昨年来一気に価格が上がりました。しかし上がったといいましてもブティックブランドのハブと比べますととても低価格なので使いやすいです。しかも性能は優秀です。

シマノハブのメンテは個人でも出来るように作ってあります。こまめにグリスアップを行えば20年でも30年でも使えます。ハブのメンテナンスを考えますとシールドベアリングを使った台湾ハブよりもメンテナンスはシマノハブの方がやりやすいかもしれません。

シールドベアリングを使ったハブはベアリングを取り換えれば新品に戻ります。シールドベアリングはメンテがいらないと言いながらもメンテは必要です。メンテするにはフリーを取り外してきれいに掃除後グリスを塗ります。ベアリングのグリスアップは不要です。ベアリング取り換えが必要ならそっくり取り換えですがその取り換えはとても面倒です。ハブのメンテナンスを二者択一で考えるのでしたらシマノハブの方に軍配が上がりそうです。

スポークですが、前輪は中央部が1.5mmの細いスポークを使っています。後輪は左が1.5mm、右が1.8mmにして剛性をあげています。

全体としましては細いスポークを沢山使って地面からの衝撃を吸収して乗り心地を和らげています。多スポークホイールの良いところはここにあります。

前輪721g
スポークテンションが均一です
後輪1005g
スポークテンションが均一です

前輪721g、後輪1005g前後で1726gと多スポークホイールの割には軽量で仕上がっています。 タイヤを取り付けましてもチューブラーの場合とても軽量にできます。ホイールの外周部がとても軽くなりますので漕ぎ出しはとても軽いです。通勤のストップアンドゴーを繰り返す乗り方ならば最適なホイールといえます。お客様のインプレが楽しみです。

31mm高24mm幅シルバーホイールのご注文

ご自分でもホイールを作ってクロモリフレームで楽しんでおられるベテランライダーさんよりシルバーホイールのご注文をいただきました。

お客様からのお話では「手組」にご注文いただいた理由は

職人的にパパッと組む感じではなく、測定器を使用した張力の確認やリムの荷重試験をしているということのようです。ありがたいことです。

メールのやりとりでハブは持ち込みされることとなりました。リムは荷重試験で好結果のXR31T・RTシルバーリムを使います。キンリンのシルバーリムはなかなか手に入りません。言わば貴重品です。以下詳細です。

31mm高24mm幅 496g
前輪HB5500
後輪ハブ FH6500 32H

リム XR31T・RT 前後ともに32H 後輪は穴位置が3mmオフセット

ハブ 持ち込み 前輪シマノHB5500 後輪FH6500 共に32H

スポーク 前輪 TB2015(2.2/1.5/2.0mm)シルバー

スポーク 後輪 左TB2015(2.2/1.5/2.0mm)右TB2018(2.2/1.8/2.0mm)シルバー

ニップル ダブルスクエアニップル シルバー

リムの剛性が高いのでとても組み上げやすいリムです。しかしスポークを均等にすることに注意を払っていますので振れ取りが主な作業ですが最終的にはフレかテンションか、どちらかを優先しないといかないことが起こります。こんな場合スポークテンションを優先していますのでセンターが0.1mm~0.2mmずれることがありますがほんのわずかなズレなのでOKとしています。無理にセンターをドンピシャにすることはありません。無理に一致させると後からずれてくることは必至です。素材に合わせることも必要です。

前輪842g
後輪1065g

出来るだけスポークテンションを揃えながら縦ブレ横ブレを取って仕上げています。前輪は110kgf前後、後輪ドライブ側は120kgfを目標値として仕上げました。

中央部が細いスポークは地面からの振動を吸収してくれます。いわばショックアブソーバーの働きをしてくれます。後輪ドライブ側には少し太いスポークを使って剛性を上げています。リムは500g前後と軽くはありませんが走るホイールは剛性の高いリムを使います。お客様には疲れにくくよく走るホイールを実感していただけると思っています。