アルミホイールをご注文いただいたことがあるクライマーのお客様より連絡いただきました。前後で1103gの決戦ホイールの点検をご依頼いただきました。
手組ホイールでは名の通ったビルダーさんが組まれたホイールです。25mm高のチューブラーカーボンホイールで、ハブはDuraハブです。前輪18H後輪24Hで作られています。スポークはホイール前後共にサピムのCXRAYで組まれています。
お客様はCXRAYの選択には悩まれたそうです。結果的にはホイールはぬるいホイールだったようです。後輪剛性不足を補うためのスポーク替えということになりました。
ご依頼は次の通りです。
①スポークテンションを少し緩めて仕上げる。
②後輪スポークのギア側をDTコンペティション黒に取り換える。
この2点で作業を進めます。
ホイールをお預かりしますと先ずスポークテンションを計測します。グラフに示すようにとてもハイテンションで作られています。チューブラータイヤを使いますのでビードがありません。このためスポークのテンションダウンは起こりません。あまりのハイテンションで作られたホイールはリムの剛性が若干下がりますので120~130kgfで仕上げることを勧めるリムメーカーが多いようです。ホイールのスポークテンションを緩めることにしています。
後輪スポークはギア側のスポーク12本をCXRAYからコンペティション黒に変更します。15グラムほど増えるだけですが剛性は大きく変わります。ハイテンションで仕上げたから剛性が上がるということはありません。剛性を上げるにはスポークを太くすることで解決できます。
出来上がりました。
前輪はニップルすべて1/4回転回して緩くしました。テンションメーターを使って確認し、あとは微調整で終わりました。テンションメーターは校正器を使って数値を確認しています。
後輪はギア側のスポークを取り換えです。ニップルはすべてブラスニップルに替えました。前輪と同様にテンションメーターを使って希望のスポークテンションで均一になるように仕上げます。この作業でスポーク折れや振れの発生を防ぐことが出来ます。
ホイールメーカーの説明書きにはサピムのCXRAYは最高のスポークと書かれていることが多いようです。確かにCXRAYは優秀スポークですが万能スポークではありません。今回のスポーク替えでご理解いただけると思います。結果が楽しみです。