リピートでご注文いただいているお客様よりキシリウム エリートの後輪ホイールの調整依頼でお送りいただきました。
このキシリウムはスポークが1本折れたので購入されたショップに持ち込まれて修理を依頼されたそうです。ホイールは一応直ったのですが乗り味が変わってしまい再調整を手組ホイールファンに依頼されたという曰くのホイールです。
お客様よりスポークの予備も一緒にお送りいただきました。このスポークが役立ちました。キシリウムのスポークを持っていなかったのでこのスポークでテンションデータを取れます。
スポークは2mm丸スポークを元にした少し重めの扁平スポークでした。少スポークで作られたキシリウムホイールは剛性の高いスポークを使わないと成果が出ない構造です。事前にドライブ側を130kgf前後で仕上げるにはテンションメーターの示す数値を知っておけば作業能率が上がります。
お預かり時のホイールセンターは左に約1mmも寄っている仕上がりでした。縦ブレも大きく振れていました。おまけにドライブ側スポークテンションは約150kgf前後のハイテンションで作られていました。預けられたショップの振れ取り台が安物なのかセンターゲージを当てていなかったのか、よくわかりませんが驚きです。リムを左に寄せているのでドライブ側はハイテンションでした。1mmも左に寄せると右側のスポークテンションは当然高くなってしまいます。どうしてこんなことをするのか理由が分かりません。
左側を緩めてスポークテンションを全体にスポークテンションを落としてからドライブ側を約130kgfに揃えることが出来ました。事前にスポークのテンションデータを知ることが良かったです。縦ブレ、横ブレを出来るだけ最小になるように調整すること、スポークテンションを出来るだけ均一になるようにすることを同時に行います。コツが分かれば簡単ですが会得するまでには経験が必要です。
テンション調整のプラグは2種類あります。5.5mm径と6.4mm径があります。このホイールは取り換えたスポークには5.5mmのプラグ、ほかのスポークは6.4mmのプラグが使われていました。2種類のスポークレンチを持っていましたので対処出来たのですが、こんなことも勉強になったホイールです。ホイールは見た目ででは分からないという典型的は一例でした。
古いホイールはあきらめてもらって新品ホイールを買ってもらいたいショップと気に入っているホイールを大切に使いたいユーザーのやり取りの軍配はユーザーに上がりました。これはだめです、直りませんの言葉を鵜呑みにすることなく一呼吸置くのも大切なようです。