ホイールの調整依頼が続いています。
シマノのアルテグラクラスWH6800チューブレスホイールを調整する機会を得ました。
ホイールは結構使い込んでおられ黒いスポークですが黒が剥げてシルバー色が出てきています。オーナーさんはパンクすればチューブを使って帰るという方法を取られていますのでリム内部はとてもきれいなホイールです。
いつものように現状を把握します。各スポークテンションを測りグラフにするとわかりやすいです。グラフで確認するとどの部分を修正すればよいか一目瞭然です。
シマノホイールはホームページから製品の構造図を容易得ることが出来ます。このホイールは特殊なニップルを使っています。一般に販売されているニップルレンチは使えません。サイズが合わないです。シマノより販売されているレンチを使うしかないようです。残念ながらパークツールではこのホイールに使えるニップルレンチは販売されていません。
この専用レンチはとても使いにくいレンチです。しっかりと固められたニップルをこのレンチで回すのはなかなか難しく力が必要です。あまりに硬いのでこれで回すのを諦めました。自作のニップルレンチで回すことにしています。
WH7850、WH6800と一昔前のホイールは中古でよく販売されていますがこのホイールはばらして再利用はなかなかできないホイールです。通常はハブ側にスポークを通してリムにニップルをねじ込むという構造ですがこれらのホイールはハブ側にスポークのねじ部分がとおり、リム側には特殊なニップルを使ってテンションを上げていくという構造です。専用のニップルが使われていましてとても取り扱いが難しいです。
おまけにもう一つ頭を切り替えなければなりません。このホイールではニップルレンチを時計周りに回しますとスポークは緩みます。反時計回りでスポークは締まります。これはリム側に特殊なニップルが使われているからですが通常のニップルと思って回しますと考えていることの反対になりますのでホイールはぐちゃぐちゃになってしまいます。
以前DURAホイールを持ち込まれた方がおられますがこの方もニップルの回転を間違われました。リムセンターが大きくずれてしまってどうにも出来なくなりました。通常のニップルと勘違いされたのが理由ですがこれに気付く人はなかなかおられないと思います。
再調整ができました。このホイール調整の勘所はニップルレンチにあります。皆さんそれぞれやり方がありますので一概には言えませんが回しやすいニップルレンチを用意すること、回転は通常ニップルの逆ということが一番のポイントと思います。
分解して再利用ができないようにしていると疑ってしまう難しいホイールでした。しかしホイール、ハブを分解できないことはありませんのでこのハブを利用することはできます。このハブを使ってほしいと自転車さんに依頼するとびっくりする工賃を請求されるのは間違いありません。玉あたりなどの調整はとても簡単で使い良いハブですがスポーク交換が難しいハブです。結論として、このホイールはややこしいです。
誰でも再利用できるホイールならいいのですがリユースできない製品は残念なことです。このハブを使って新しいホイールを作るのは誰でも出来ることではありません。しかしこのホイールは中古は沢山出回っています。スポークの両側をねじ切りしたスポークを用意して魔改造ホイールとして楽しめそうです。挑戦してみたいホイールです。ジャンクのホイールを見つけようと思っています。
淡々と書かれてますが、完組ホイールはメンテナンスや再利用が難しいんですね。趣味で乗ってる人たちにはこれは重要な内容ですよね。
手組ホイール、もっと競技志向でないホビーライダーに評価されて良いと思うんですけどね。