アルミニップルの扱いは難しい

2年前にお買い上げいただきましたホイールです。振れが出たのでご自分で調整されましたがうまくいかないのでご連絡いただきました。

調整を兼ねてニップル交換をお勧めしました。アルミニップルからブラスに交換です。

振れ取り+ニップル交換のご依頼となりました。

2年前のデータは残しています。

ホイールの仕様は以下の通りです。

リム AL31W フロント28hリア32h

ハブ シマノティアグラハブ 28・32h

スポーク 前後輪ともにサピム Laser 2.0・1.5・2.0mm

ニップル DT アルミ12mmシルバー

割れたニップルはスポークを切るしかない

アルミニップルが4か所割れていました。やはりアルミニップルの取り扱いは難しいです。ニップルが割れてしまいますとうまく取り外すことが出来ません。スポークは切って取り外します。スポークを4本取り換えました。

サピムのLaserは中央部が1.5mmです。このスポークは優秀なスポークですがねじれやすいのでとても取り扱いが難しいスポークです。ねじれを防ぎながらニップルを回すのですがサピムのホームページにも扱いが難しいと書かれています。

くびれているところがTCS

スポークにはTorsionControlSqueresといわれるスポークの根元が角ばっているところがありますがこの部分をうまく使ってねじれを防ぎながらニップルを回すのがコツといえばコツです。自転車屋さんが秘密にしているところです。

アルミニップルは正しく使えば丈夫で軽量化にもなります。しかし十分注意が必要です。ブラスニップルのほうが取り扱いは楽で安心です。下処理なしのスポークはニップルに固着しやすいのでスポークにはプレップを塗ったほうが良いでしょう。ニップルはリム面に当たる部分にグリスを塗るのが良いかと思います。回しやすいです。

最近、ニップルはDTならSquorxPro、ピラーならDSNニップルを使うことが多いです。理由はリム面からニップルを回すのが楽ということです。ニップルをなめて潰すことがなくなります。

左パークツールの2面式ニップルレンチ

特にパークツールのような2面のニップルレンチではニップルをつぶしてしまうことが多いです。ニップルの後ろから回すとこのようなことが防げます。このニップルの難点は手に入れにくいこと、高価な点です。通常のニップル値段と比べて倍はしますがその価値はあると思います。

DTのリムに付属していますSquorxProニップル

DTのアルミリムを購入しますとアルミのSquorxProニップルが一緒についています。単体でSquorxProニップルを購入しますと非常に高価ですがアルミリムにつけて販売するのはどういう目的なのかいつも考えます。ちなみにDTのアルミシルバーSquorxProニップルは一個88円で販売されています。手組ホイールが廃れていくのが分かります。

まあ、余計なことですが…

アルミニップルからブラスニップルに取り換えましたがこれはアルミニップルがいけないということではありません。アルミニップルは扱いが難しいということです。良質のニップルレンチがいります。2面式のレンチではニップルを痛めることがありますので注意が必要です。

リムテープを巻きまして納品です

ホイールは完成しました。いつものようにスポークテンションを揃えています。安心して乗っていただけます。

困った円安

最近の円安進行には驚いています。こんなに急に円が安くなってしまってこの先どうなるかと心配しています。

自転車の部品はほとんど海外からの輸入品です。国内で生産している部品に何があるのかと考えてしまいます。

シマノの部品もよく見ればマレーシヤや中国など海外生産です。115円から今は125円で10円上がっています。10%上がりました。これは大きいです。最近の国内通販価格も連動しているようで値上がりしています。以前に輸入していた部品も値上げしているのが目立ちます。

定番のカーボンホイールを昨年は8万円前半で販売しています。今年の初めは8万円後半です。今は9万円前後となっています。一気に値上がりしています。新聞の情報ではこれからもっと円安に動くとか、150円になるかもしれません。どうしようもないことなのであきらめるしかありません。

当方のホイールには定価はありません。部品代金+工賃です。ホイール価格は為替と連動しています。私の工賃は変わっていませんが為替次第で値段は変わります。

ノーブランドというブランド

お客様からご連絡いただきました。ホイールのご注文です。お客様は以前納品しましたお客様から紹介されたということです。いわゆる口コミです。

通常ブログをお読みいただきご注文のメールをいただくことが多いのです。しかしそれ以上に手組ホイールファンはいいよ、と以前お納めしましたお客様よりご紹介していただいて新規にご連絡いただくことはビルダー冥利に尽きます。

お客様にご提案しましたホイールは当ブログの定番ホイールです。28mm幅46mm高のカーボンホイールです。ディスクとリムタイプと2タイプありますが今回はリムブレーキでご注文いただきました。

ホイールは今まで何度も紹介していますが念のためご説明いたします。

46mm高 前輪661g
46mm高 後輪844g

リム28mm幅46mm高カーボンリム 20・24h

ハブ ノバテックA291SB20H F482SB24h

スポーク ピラーウィングス21 BL

ニップル ブラスニップル BL

値段はスポークの種類に左右しますが8~9万円前後の価格です。ホイールの価格は部品代+工賃です。時給1500円で計算しています。通常6時間分請求しています。

高いか安いか値段はお客様がホイールの性能から判断されています。

高いと思う人には高い、安いと思う人には安いのです。今のところいいホイールと思っていただく人が多いです。高価なブティックブランドホイールなら1セットしか買えないがリム高を変えて3セット買えるといっていただいています。

ホイールの出来不出来の判断は乗ってみないとよくわかりません。しかし乗られる前にできることは十分行っています。

●部材の出来具合で性能の良し悪しが出るのですが一番いい状態にするには先ずテンションの均一化です。 スポークのテンションを出来るだけ揃えて振れを最小にしています。

●乗り手の体重、乗り方の好みに合わせてスポーク数を考えます。

リム、ハブ、スポーク、ニップルこの4つの部品の組み合わせですがいろんな組み方ができますのでバラエティーに富んでいます。お客様の好みに合うように作り上げていくのが手組ホイールです。

しかしこちらも沢山組んできましたので組み合わせは沢山ありますがご提案は数種類で提案しています。経験からの判断です。

このようなことで今回のホイールを作り上げました。

振れは最小に、スポークテンションはできるだけ均一に仕上げています
スポークテンションはできるだけ均一に仕上げています

スポークテンションは上のグラフでよくわかります。テンションが均一ですので駆動ロスは少ないです。

ノーブランドホイールですがブティックブランドホイールに負けないように作っています。