シマノのホイールから取り出したハブを使ってのホイール組をご依頼いただきました。ハブはシマノホイールWH-R501から取り出しています。ハブは前輪20h後輪24hのカップアンドコーンでシマノから一般には販売されていません。ホイールから取り出す必要があります。私はリムとスポークを提供します。驚きのアイデアです。一本取られた感があります。
話は少しそれますが、
シマノの低価格ホイールはびっくりの低価格ですがそこはシマノブランドです、他のメーカーではまねができません。よく考えられて作られています。
前回のブログ記事ではマイナス点ばかりを述べましたがよくできたホイールと思います。このホイールは長く楽しめます。分解しても楽しめるホイールはあまりないと思います。
個人的にはシマノの低下価格ホイールは中級、上級者のトレーニングホイールとして最高ではないかと思います。スポークのテンションを均一になるように調整してスポークテンションのアンバランスから生じる力が逃げにくくなるようにすれば練習用のホイールとして最適です。踏み込んだ力が正しく伝われば重いホイールはよく回ります。重いホイールで練習すれば本番の時の軽いホイールは驚くばかりのパフォーマンスを発揮できるでしょう。シマノの低価格ホイールは設計が良くても作りがすこし雑なので適切なスポークの調整が必要です。これさえやっておけば本当にコスパの良いホイールと思います。
違う考え方で、初心者の方には最初に重いホイールをつけて走ると負荷ばかり掛かり自転車とはこんなにしんどいものなのかと思わせてしまいます。初心者こそいいホイールで始めるべきだと思うのです。10万円の自転車でスタートしてもついているホイールは新品ですぐに売りに出すことです。そしてゾンダ、レー3を買って自転車を始めれば自転車の良さがよくわかると思うのです。タイヤ、ホイールは一番大切と考えます。
さて、本題です。
使うリムはキンリンのXR22T/RTです。24mm幅のワイドリムですチューブレスレディーリムですのでテープを貼り、チューブレスタイヤとバルブを用意すればチューブレスホイールとして使用できます。
このリムは440g前後の軽量リムです。剛性はしっかり確保でき、外周部を軽量化できる優秀なリムと思います。おまけにチューブレスレディーですのでこれからはこのリムでしょう。
ご依頼主の体重を伺いますと前輪20h後輪24hで対応できます。スポークは前輪をサピムのLaser、後輪左をLaser、後輪右をサピムのRaceにしています。
Laserはねじれ易いので扱いが難しいスポークですが性能は非常に優秀です。最強スポークといわれるCX-RAYスポークの扁平前のスポークがLaserですので強度は十分といえます。
後輪右ドライブ側にはスポークの太さを変えて剛性を高めています。
ホイールの剛性はリムの剛性+スポークの総面積に比例しますので右側のスポークを太くすることは有効な方法と思います。
後輪リムはオフセットリムです。ハブの11速化に対応するためにはとてもよい手法です。リムは3mm中心部より非ドライブ側(左側)に寄っていることで左側のスポークテンションが10%ほど上がります。後輪スポークの左右テンションバランスが良くなり駆動ロスが減じられます。
3mmずれることの効果は非常に大きいです。2:1組などの特殊な組み方をすることなく左テンションを上げることができます。おまけに24スポークの半分、12本がプルスポークとして働きますので有効です。デザイン的にはオーソドックスで地味な組み方ですが十分力を発揮します。
組みあがったスポークのテンション比率は66:100で左スポークは非常に高いテンションで組めています。比率は以前購入のゾンダより良い比率です。駆動ロスが少ない掛かりの良いホイールに仕上がりました。
前輪は862gから730gに、後輪は1118gから989gへ軽量化できています。
前後では1979gから1719gに260gの軽量化です。
ショックアブソーバーの働きをするLaserスポークを使ったホイールはチューブレスホイールとしても使えます。おまけにハブの重量は少しありますがシマノのカップアンドコーンハブです。丈夫さとメンテナンスが楽なのは過去のシマノハブで証明済です。デザインは地味ですが価格、性能を考えますと素晴らしい変身であることははっきり言えます。