定番カーボンホイールの点検依頼

約3年前にご注文いただきました定番の36mm高カーボンホイールの点検依頼がありました。

手前味噌になりますがホイールのフレはほとんどありません。後輪ホイールの3カ所ニップルを1/4回転回すだけでした。馴染みだしをしっかり行っているから振れが出にくいのでしょう。

フリーはハブ軸に固着していました 手で引っ張り抜くことが出来なかったのですこし工夫が必要です

前輪ハブはきれいに回っています。新品の状態と変わりません。後輪はホイールを持って回してみてわずかにゴリ感を感じます。ベアリングを替えるほどではありませんので今回は清掃して新しくグリスを入れるだけにしています。

フリーを抜いてハブシェル内をきれいにしています

両手でハブを持って回してみるとよくわかります。回転が滑らかに回らなくゴリゴリ感が出ている場合はベアリング交換の時期だと思います。

きれいにしたフリーにグリスを塗りました

今回のグリスアップではフリーを外さないといけません。両側のキャップを取ってフリーを抜き取るわけですが手で簡単には抜けません。手組ホイールファンではゴム板を切った手作りの道具を使って引き抜いています。

油汚れは油で取るようにしています。大まかに汚れを取ってからはグリスをつけて汚れを取って行きます。数回繰り返すときれいになります。最後は新しいグリスを塗って終わりです。

お客様は約15000km走られて整備依頼をいただきました。ベアリング交換までの疲労はない状態で点検、清掃だけで終わっています。定期的にハブ、スポークの点検を行いますと安心です。お勧めします。

XR31T/RTリムで1:2組ホイールの作製

定番ホイールになっていますキンリンのXR31T/RTリムを使ってホイールを試作しました。

前輪724g
後輪883g

ハブはブランドホイールに使われている既視感のあるハブで前輪20H後輪24Hで作ります。後輪ハブは8:16でスターラチェット方式のハブです。

後輪左8右16 243g スターラチェット方式
前輪113g
前輪ハブを分解しました ベアリングが大きいので安定しています

1:1組の場合スポークは右、左、右、左という形でリム穴に通します。1:2組の場合スポークは左、右、右、左、右という流れでスポークを通します。リムのスポーク穴が左右に振れて穴があいている場合は1:2組で組む場合には適しません。

幸いにも今回のXR31T/RTリムの穴はリムの中心にあけられていますので1:2組の組み方をしてもリム穴位置に問題なく進めることが出来ます。他のリムで作る場合はこの穴位置を確認しておく必要があります。

ホイール作りに於いてハブの計測はとても大切です。特にストレイトプルスポークのハブの場合スポークオフセットがありますので注意が必要です。

リムは荷重テストで一番成績が良かったXR31T/RTを使います。ハブは1:2組用ハブ、スポークは前輪にサピムのLaser、後輪にピラーのwing21という組み合わせです。

テンションの左右差が大きいと過重によるひずみが生じやすくなります。これは駆動ロスにつながります。組み方を1:2組にすることで左右のスポークテンション比率は左右ほぼ同じに仕上がっています。

前輪20本ラジアル組 
スターラチェット方式のハブ 左8本ラジアル組 右16本3クロス組
XR31RT 24H 8:16

今までのブログ記事で紹介していますがXR31T/RT28穴リムを使ったホイールでゾンダと走行比較をしたことがあります。結果はリム剛性の高いXR31T/RTホイールが勝っていました。今回のホイールは進化版のホイールです。お金の話で恐縮ですがゾンダ価格より約2万円以上お安く出来ますのでブランドにこだわらないライダーさんにはおススメです。

スターラチェット方式のハブ

今持っているスターラチェットハブの写真です。

4点すべてスターラチェット方式のハブです  一つ分解しています

4点すべてスターラチェット方式のハブです。手持ちの種類も少しずつ増えてきました。元々スターラチェット方式のハブはDT Swissの製品ですが、製法特許の期限が切れてからはいろんなメーカーから販売されるようになっています。

工学的にはスターラチェット方式の方が爪式より優れているようです。しかし今までは特許がありましたので他社は作ることができませんでした。DTのホームページを見ますと特許に守られていたDTハブも最近では進化版が出ています。しかし基本的な構造は変わらないので通常のスターラチェットタイプで十分な性能を得るのではないかと感じています。

DTハブはメンテの仕方をホームページで公開しています。このようなフォローがあればユーザーは安心します。信頼できるメーカーだと大いに感じています。

残念ながら昨年の7月より日本ではDT製品をヨーロッパのセラーから購入することは出来なくなっています。日本の正規代理店から購入すればいい話なのでDT製品が買えないという訳ではありません。但しDTハブはとても高価です。

一杯のコーヒーが300円の時代に店のメニューに高いがうまい!と書かれた一杯1000円のコーヒーを出す店が心斎橋にありました。これは試さないといけないと飲んでみました。果して味音痴なのか味の違いがわかりませんでした。

最近増えたスターラチェット方式のハブは300円のコーヒーかなと個人的には思っています。高くなくても300円のコーヒーはそれなりにおいしいコーヒーです。

後輪ハブキャップは簡単には外せません

前回の記事はMTBホイールの作製でした。使うハブはシマノのハブです。

前輪用HB-TC500-15-B 32H  左右キャップは簡単に引き抜けます
後輪用FH-TC500-HM-B 32H  矢印部分 左ハブスパナが使えるように加工されています 右は何もなし

前輪用HB-TC500-15-B 32H  後輪用FH-TC500-HM-B 32H

ハブのメンテを考えてハブ構造は知っておく必要があります。こんな時はシマノのホームページで検索するのが一番です。手入れの仕方など必要な情報は簡単に得られます。ハブのサイズを調べるときにもよく使います。

下の図はシマノのホームページから得ました。ハブを分解するにはハブキャップを外さないといけません。

シマノのホームページより

前輪用ハブの左右キャップはねじ式ではありません。引き抜けば簡単に外れました。

後輪用ハブではフリー側のキャップには何の加工もなくストレートの筒状態です。左側のキャップにはハブスパナを使うように切込みが入っています。

ホームページの説明では

右キャップおよびフリーユニットをハブ軸に対して真っ直ぐに引き、取外します。

このように書かれていますが残念ですが手では簡単には引き抜くことは出来ません。

通常ハブは5mmのレンチとハブスパナがあればキャップは外せる場合が多いのですがキャップに何も加工がされていない場合は引き抜くことで外します。

真っ直ぐ引き、取り外しますと書かれていますが残念ですが手では無理で抜けません。誰も教えてくれないと思います。自分で考えるしかないです。

MTBホイールの作製

このブログをお読みいただきホイール作製のご連絡をいただきました。

リム、ハブの持ち込みでMTBホイールのご依頼です。お送りいただきましたリム、ハブは次の製品です。

SUNringle DUROC SD42 27.5インチ 32H
HB-TC500-15-B 32H  ベアリングはカップアンドコーン式ではありません 
FH-TC500-HM-B 32H  ベアリングはカップアンドコーンではありません

前後リム SUNringle DUROC SD42 27.5インチ 32H
前ハブ  SHIMANO HB-TC500-15-B 32H
後ハブ  SHIMANO FH-TC500-HM-B 32H

スポーク、ニップルはこちらから提案いたします。

提案スポークは中央部が1.8mmのバテッドスポーク、ピラーTB2018(2.2/1.8/2.0mm)を使います。

お客様はホイールの軽さよりも剛性を希望されています。このため2mm径のスポークを使い少しくらいスポークが太くなっても良いというお考えでした。しかし提案では1.8mmのバテッドスポークを使うので意外であったようです。

バテッドスポークの効用を利用すれば強度を維持できて軽量化を図れます。

バテッドスポークのばね性が体重による荷重を分散するので2mm径のスポークを使わなくても必要な剛性を得ることが出来ることを提案しました。

勿論、ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。剛性が足りなければスポークを太くすればいい訳です。先ずは提案のスポークで作ることに了解を得ました。

今回のリムは初めてのリムですが剛性が高そうです。剛性が高いリムは組みやすいです。ニップルを回しても均質に締め上がっていきます。とてもいいリムでした。

前輪1050g
前輪スポークテンショングラフ
後輪1347g
後輪スポークテンショングラフ

スポークテンションを出来るだけ均一になるように組み上げました。お客様のご感想が楽しみです。

定番アルミホイールのインプレお送りいただきました

2年前にご注文いただきましたXR31T・RTホイールの印象記をお送りいただきました。

2年以上乗っていただきました。お納めしました定番ホイールは他のお持ちホイールを駆逐!?したようです。

お客様はブランドにこだわりないようで良いものには正しく評価していただいています。しかしホイールは乗り手との相性がありますのでブランドホイールの方がいいという方も沢山おられます。

以下お送りいただきましたインプレ記です。お客様には承諾を得ています。

2022年11月にこのホイールを組んでいただいた****です。感想をお送りすると申し上げておきながらすっかり時間が経ってしまいました。遅ればせながらホイールの印象をお送りします。

使用環境等:
タイヤ→23C、ブチルチューブで運用
バイク→トレック Emonda SL5 2015年式・リムブレーキ

第一印象:
このホイールを使うまではトレックの標準装備品、ゾンダ、50ミリの中華カーボン、自作の前20本、後24本のアルミホイールを使ってきました。いずれも前輪はラジアル組みです。これらに比べると細い多スポークのもたらすサスペンション効果は走り始めて200mでわかりました。一旦止まって空気が抜けていないか確認したくらい乗り心地がソフトで、本当に驚きました。私は概して鈍感でタイヤをGP5000に換えてもチェーンをデュラに換えても正直違いは感じないのですが、このホイールの違いだけはバッチリ感じられました。

平坦路:
巡行が楽になったかといわれると正直違いは感じていません。中華カーボン以外のホイールも大体30ミリくらいのハイトなので、おそらく顕著な違いは無いのだと思います。

登り:
それほどタフなヒルクライムには挑戦していませんが、特に重さを感じる事はありませんでした。ダンシングはやるにはやりますが脚力が貧弱なので柔らかくてダメといったことはまったく感じません。

下り:
特に問題無し。アルミなので好きなだけブレーキを使えます。この安心感は何物にも代えがたいです。

長距離:
150キロ以上走る体力は無いのですが、この範囲で問題を感じる事はありません。

加速:
ホイールもタイヤも重いので加速性能は低いのだと思いますが重くてだるいなと思う事はありません。もう慣れてしまったせいもあるのでしょうけど。

メンテナンス性:
ティアグラハブなのでとても良いです。距離に関わらず半年に一度グリスを交換していますがほとんど汚れないです。最近105のハブをバラしましたがティアグラのハブのほうが見えている通りにバラせるのでメンテナンス性はいいですね。

注意を要する点:
私はエーゼットの黄色いディグリーザーを使ってチェーン、スプロケを洗っていますがある日青い方を使ったところリムのブラックアルマイトの表面を傷めてしまいました。黄色い方は無頓着でいられたのですが青い方は十分に水洗いしないとダメです。

総合評価:
とても気に入っています。他のホイールは使わなくなり、リセールバリューが残っていたゾンダは売ってしまいました。

ホイールを組んでいただく時に使い方や体重などはご説明し、疑問点は質問しましたが、どんな仕様にするかは極力プロフェッショナルの見立て通りにしようと思っていました。結果は大正解だったと思います。


P.S.
2年前に興味本位で中古のタイヤ付きチューブラーホイールをメルカリで購入し、ビットリアの新品タイヤも準備したものの勇気が湧かず放置していたのですが、最近クロモリのフレームを購入し、乗らなくなっていたアルミのジャイアントからコンポ一式を移植したので、コイツをチューブラーホイールで運用することにしました。今頃チューブラー入門とは我ながら奇特なことです。

色々ネットで情報収集して考えた結果、タイヤはウルトラ多用途SUプレミアムソフトという接着剤で貼ることにして、スペアタイヤとして持ち歩くTUFOには手組ホイールファンで取り上げておられた100均テープを使うことに決めました。その理由は中古ホイールの前輪に貼られていたビットリアのケーシングはコットンで、張り付いたテープをはがすのがとても大変だった一方で、後輪のTUFOではケーシングはゴムっぽい素材で比較的楽にテープを除去できたからです。(実はビットリアの両面テープは剥がす途中で掌の皮が破けて挫折中です。)

本日新品のビットリアを貼る前に練習と思い、100均テープでTUFOを貼ってみました。裏紙がある状態で空気を入れるとタイヤは勝手にセンターに寄ってくれるのですね。こりゃいいわと、ほくそ笑んだのも束の間、裏紙剥がしには難儀しました。3、4回ちぎれてその都度タイヤをずらして末端を引きずり出し直して何とか除去できました。出先で作業できる自信は未だ持てませんが何とかできるかなー程度の経験にはなりました。

まだ半月は花粉オフなので、次はTUFOを剥がして本番用のビットリアを貼り付けます。

ダイナモハブでホイール作製

シマノのダイナモハブを使ってホイール作れますか?とお問い合わせがありました。お客様は通勤用に使われる予定のようです。

手組ホイールファンでもクロスバイクにダイナモハブで作ったホイールを取り付けています。

シャッタープレシジョンのダイナモハブを使っています リムXR31T 32H スポークはCXRAY

このダイナモハブのホイールはとても便利で気に入っています。電池を使ったライトでいいのでは?という方もおられますがこの気軽さ、便利さを知ってしまうとなかなか元に戻れません。

確かにハブの回転は手で回すと重くて大丈夫かな?と心配するのですがレースに出るとかでない限り摩擦の問題はないと思います。ブルべ・レースに出ておられる方から教えていたのですが、電池を気にしなくていいのがいいとのことです。ダイナモホイールは携帯充電にも使えるようです。

シマノ ダイナモハブ DH-S501 32H

お客様からのご指定で使用するハブはシマノGH-S501です。ディスク仕様のQRタイプです。リム、スポークはお任せとなりました。

リムはキンリンのXR26RTを使います。24mm幅26mm高で3mmオフセットしています。3mmオフセットがない場合スポークテンション比率は100:75%です。

リムにはオフセットリムを使いますので計算値では左右のスポークテンションは100:94%です。

スポーク長はほぼ同じですが左右のスポークテンションはほんの少し違いますのでホイール作製には注意が必要です。

スポークはサピムのLaserを使います。細いスポークを使った多スポークホイールは乗り味が柔らかく疲れにくいホイールに仕上がります。

ダイナモハブ使用 ディスクブレーキタイプ 32H

ホイールは出来るだけスポークテンションが均一になるように作ります。このフレーズは毎回の記事に出ていますので、またか!になりますがとても重要です。前輪ではテンションの均一なホイールと均一でないホイールの差異はほぼ感じることはありません。しかし長く使われると振れが出やすくなったり、スポーク折れが出たりとトラブルの原因になります。安心安全の上ではとても大切です。

電池のことを気にしなくて昼間でもライトをつけっ放しで走る。これがいいです。実際使っているので便利さがよくわかります。おススメです。

スズエのトラック用ハブで後輪ホイールのご依頼

2月にスズエの36穴ハブと24穴リムでピストホイールのご依頼がありました。今回はこの続きのご注文をいただきました。

スズエのベロマックス28穴ハブ

スズエの28穴ハブはカップアンドコーンで新品でした。ハブはすでにディスコンですが上手に手に入れられました。最近ではシールドベアリングタイプが手に入ります。メンテナンスフリーのシールドベアリンタイプですがお好きな方はカップアンドコーンを探されるようです。

リム重量503g  軽くはありませんが剛性が高いリムです  使ってみれば走るリムだと分かります

リムはXR31Tリムを使用します。24mm幅31mm高で重量は500g前後と重いのですが剛性が高いリムです。重いリムだと敬遠しがちですがプラス面の方が多いお勧めリムだと思います。

スポークは前回のホイールと同じサピムのRaceスポークを提案しています。

サピムのホームページからの引用ですがThe Race provides a better shock absorption thanks to a thinner middle section than the one of a non-butted spokes. Dealers say about this traditional spoke: “Never change a winning team…”

とても扱いやすく価格もこなれています。いいスポークだと思います。

ニップルはダブルスクエアニップルを使っています。標準タイプのニップルよりは少し割高ですが前からでも後ろからでも回せますのでおススメです。難点は手に入れにくいことです。

ハブが両切りですのでJIS組で組み上げました。スポークテンションのバラつき度を出来るだけ小さくなるようにスポーク調整を行っています。時間をあけて何度も馴染みだしを繰り返すことで振れが出にくいホイールに仕上がります。

オーソドックスな組み方です スポークはサピムのRaceを使っています
28穴3クロスJIS組み
出来るだけスポークテンションが均一になるように仕上げています

前輪は36穴ハブで24穴リムを使って変則組をしています。今回の後輪は通常の28穴3クロス組です。これで前後セット完了です。ご感想が楽しみです。

クリスキングハブ使用ミニベロカーボンホイールの作製②

テンションメーターが使えないという条件で正確にギア側120kgfのスポークテンションで作り上がるにはどうすればいいのか?

この幅ではテンションメーターは使えません
テンションメーター校正器に使用するLaserスポークを取り付けて120kgfまで引っ張ります
ギターピックでスポークを弾いて音を聞き、ホイールのスポークと同じ音になるようにする

答えは音で聞き分けて仕上げることにしました。テンションメーター校正器にサピムのLaserスポークを取り付けて120kgfで引っ張ります。この時のスポークをギターピックではじいて音を出し、この音をキーにしてスポークテンションを上げていくことにしました。ギターの弦を調整するのと同じです。

基本は120kgfで引っ張るとどんな音がするのかを知ることです。音を聞き分ける。慣れないと難しいことですがキーとなる音が分かりますと作業ははかどります。

各スポークが均一であればホイールの駆動効率がよくなりますが完璧を求める必要はありません。こだわり過ぎることは要りません。ホイールは振れ取りが出来ていれば十分使えます。すべてのスポークが同じ音色でないといけないということはありません。音がそろっているほうがいいという感じでよいと思います。

非ドライブ側はどうすればいいのか?

スポーク長を出すときにスポークの左右テンション比率が出ます。100:74という感じです。この比率をもとに非ギア側の予想テンションを出し、校正器のスポークテンションの音を聞き取ります。センターが出たホイールのスポークを予想テンションに近づける方法で最終の微調整を行って仕上げるという方法です。

前輪649g 
後輪865g

音を聞き分けてスポークテンションを揃える方法は手軽でいい方法です。しかし完璧を求めるとキリがないのである程度で切り上げると良いかと思います。十分いいホイールに仕上がっています。

クリスキングハブ使用ミニベロカーボンホイールの作製

2月18日の記事でクリスキングハブを使ったミニベロホイールを分解したことを書きました。

お預かり時点の前輪ホイール
お預かりの451規格 後輪ホイール

このハブを使ってカーボンホイールを作製します。

ホイールから取り出したクリスキングハブ 前輪用155g
ホイールから取り出したクリスキングハブ 後輪用 333g
クリスキングハブ 実測しています
451規格カーボンリム 32穴 352g

リムは451規格のカーボンリムです。穴数は32穴、ERDをシッカリと計測してスポーク長を出します。ハブの計測もホームページで発表されているデータではなく実測します。

サピム Laser 約180mmほどのスポーク長は別注になります

スポークはサピムのLaser黒をご希望です。ニップルは前からと後ろからの2方向で回せるニップルがよいと思います。各スポークの間隔はとても狭いので後ろから回せるニップルを使うほうがいいでしょう。ニップルはSquorxPro黒ブラスを使いました。

算出しましたスポーク長は手のひらサイズですので特注になります。2㎜径のスポークなら容易に手に入りますがバテッドスポークでは別注を受けてくれるセラーさんに注文しないといけません。入手には手間と時間が掛かるスポークです。

ホイール組み立ての作業として仮組まで結構難しいのですが超難関ということではありません。普通に組んでいけます。しかし組み上がってから問題が起こっています。

スポーク長が短いのでクロス組を行いますとテンションメーターをスポークにあてることが出来ません。テンションメーターなしの条件で、適切なスポークテンション範囲で組み上げる。しかもスポークテンションを出来るだけ均一にして組むという難題が持ち上ります。

お預かり時点の前輪スポークテンショングラフ
お預かり時点の後輪スポークテンショングラフ

分解する前のクリスキングハブで作られていたホイールのスポークテンションは驚くばかりのバラつきで組まれたホイールでした。お客様には申し訳ないのですが見た目だけのホイールでした。

何故このようなバラつきになるかと言いますとこのホイールビルダーさんは振れ取りだけできればいいという考えだったと思います。他所さんの仕事に文句を言いますのは行儀が悪いと思いますが、やはりビルダーとしては問題だと感じています。

ではどうすればいいか?手組ホイールファンではアナログ的な方法で解決しました。次回説明します。