前輪35mm高、後輪45mm高穴なしリムでチューブレスホイール作製

ご自分でハブとリムを手配された方からホイール作製依頼の連絡がありました。ロードバイクの製作はすべて出来るライダーさんですが、「餅は餅屋に」ということでホイールはお任せいただきました。

チューブレスリム、ハブを持ち込みされました
前輪 左右ウィング21スポーク使用
前輪スポークテンショングラフ 出来るだけ均一になるようにしています
後輪 左右ウィング21使用
後輪スポークテンショングラフ  出来るだけ均一になるようにしています

ご自分で用意されたリムとハブは次の通りです。

リム 前輪35mm高28mm幅 ディスク用チューブレスカーボンリム 

リム 後輪45mm高28mm幅 ディスク用チューブレスカーボンリム

ハブ Ryetディスクハブ 前輪24後輪24ストレートプルハブ

手組ホイールファンが用意するのはスポークとニップルです。

スポーク 前後共にピラー ウィング21黒 ストレイトプルスポーク

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

超軽量のRyetハブは前輪左2クロス組右ラジアル組です。後輪は左右2クロス組で組んでいます。このストレートプルハブを失敗なく使うには正しい計測が大切です。勿論Jベントのスポークもハブ計測が大切ですがストレートプルの場合ハブにスポークオフセットがありますので注意が必要です。

リムにニップル穴のないホイールは通常のホイール組と違って作製難易度は上がります。加えて、縦ブレ横ブレをとってからスポークテンションの均一化です。スポークテンションを揃えると駆動効率が上がりフレが出にくくなります。高価なホイールを調べますとスポークテンションが揃っています。時間をかけて調整している証拠です。

ホイールの剛性はリムとスポークの種類で大きく変わります。今回はピラー社のウィング21スポークで組んでいます。ホイールメーカーの宣伝文に最強のスポーク、サピムCXRAYを使っていますとよく書かれています。確かにCXRAYは良いスポークですがこと剛性となりますと話が違います。最強、万能スポークではありません。今回のウィング21もよいスポークですが乗り手によってはヌルイかもしれません。スポークは乗り手の力や好みで選びます。

暫く乗り込んでいただきヌルイ感じであればスポークを太くする処方があります。オーダーメイドのホイールはご希望に沿えるのが良いところです。ご感想が楽しみです。

50mm高32mm幅波型カーボンリムでホイール作製

何度もご注文いただいていますライダーさんの紹介でお客様よりご連絡いただきました。50mm高で今評判の波型リムを使ったホイールがご希望です。ハブはこちらの提案でいいとのことです。

長年ホイールを作っていまして感じることですがホイールの良さを決めるのはリムだと思います。部品の影響力は①リム②スポーク③ハブの順番だと感じています。美的な面ではありません。

リム 50mm高32mm幅 波型リム 24穴 チューブレス用穴なし

ハブ ノバテック ディスクハブ 24/24

スポーク 前後共にピラーwing21黒

ニップル SquorxPro ブラス黒

組み方は前後共に左右2クロス組です。片側ラジアル組の組み合わせもありますが標準的な左右クロス組で提案しています。

ホイール価格の話をします。ブランドホイールの半分~1/3以下の値段になります。時給1500円x時間数の工賃が手組ホイールファンの主な利益ですのでおのずと価格的には安価なホイールとなります。しかし性能ではブランドホイールと比較しましても負けてはいません。残念ながらラベルなしのホイールですのでホイールというものに正しい理解が必要です。

今までご注文いただきましたお客様のお話ではどちらのホイールですかと尋ねられることが多いようです。このためジワリジワリと口コミでお客様からご連絡いただいています。勇気ある方々が増えていますのはありがたいことです。

前輪 683g ノバテックディスクハブ 24穴
前輪の波型リム 50mm高のチューブレス仕様
後輪812g ノバテックディスクハブ使用 24穴
無印ながら波型リムは存在感があります

とても存在感のある軽量ホイールが出来上がりました。50mm高のホイールながら前輪683g、後輪812g、合計1495gです。これなら欲しいと思います。

小径車ホイールの作製依頼

小径車用ディスクホイールの作製依頼です。リム、ハブは持ち込みいただきました。

お送りいただきました部品は次の通りです。

DT ディスクリム U663 32H
前輪ハブ シマノHB-M8000 32H
後輪ハブ シマノFH-M8000 32H

リム T U663 32H ディスク専用
ハブ 前輪HB-M8000 32H
ハブ 後輪FH-M8000 32H

前輪 1000g
後輪 1164g

このリムではサイズが小さくバテッドスポークはなかなか手に入りません。特注になりますので取り扱いの商社さんは少ないです。しかし2mm径のストレートスポークならサイズは自由にできますので今回はスポークカットで対応します。

小径車ではスポークテンションの均一化ができればいいのですが短すぎるのでなかなかできません。僭越ですが手組ホイールファンでは出来るだけテンションの均一化は行っています。ただしテンションメーターが使えないときがあります。こんな場合はスポークを弾く音で聞き分けています。スポークを弾いて音で調整する場合はキリがないのである程度で切り上げるのが良いと思います。

なお、小径車ではニップルは回しにくいのでリムの外側から回せるダブルスクエアニップルやDTのSquorxProニップルを使うほうが調整は楽なのでお勧めです。

MTBホイールのスポーク替え

ピストホイールをご注文いただきましたお客様から再度ご連絡いただきました。MTBホイールのスポーク替えのご注文です。後輪ハブも取り換えということでお送りいただきました。

前輪 800g
前輪スポークテンショングラフ
後輪 980g
後輪スポークテンショングラフ

お送りいただきましたホイールはいつもスポークテンションを調べてから作業に取り掛かります。ホイールはこんな状態でした。グラフにしますとよくわかります。

ホイールは振れがないので見た目はいいのですが各スポークテンションは揃っていません。駆動ロスにつながります。スポークは1.8mmのストレートスポークでした。バテッドスポークを使ったほうが強度、弾力が勝ります。

今回はスポークをDTのコンペティション(2.0・1.8・2.0mm)で組み替えました。後輪ハブは組み替えますので新しいハブのサイズ計測が必要です。

取り換えるハブです
ハブサイズを計測します

前輪は同じハブを使いますのでスポークも同じ長さです。後輪は新しくスポーク長の計算が必要です。

前輪 845g
シルバーのスポークで印象が変わりました
前輪スポークテンショングラフ
後輪 994g
後輪 JIS組
後輪スポークテンショングラフ

用意しましたスポークで組み上げます。前輪は逆イタリアン、後輪はJIS組です。各スポークテンションを出来るだけ均一になるように作り上げます。ホイールはスポークの選択で性能、印象が変わります。何度も馴染みだしを繰り返すことで振れの出にくいホイールに仕上がります。お客様には喜んでいただけると思います。

リム高37.5mm波型カーボンリムでホイール作製

今回で3セット目のホイールです。リムを37.5mm高の波型リムでホイール作製のご依頼です。

スターラチェット方式のハブをご希望でしたので、eBayなどで容易に手に入るRyetのディスクハブを使っています。前回のホイールもこのハブを使いました。

スターラチェット方式 後輪ハブ 164g 軽量です
37.5mm高28mm幅 443g
波型リム

リム 37.5mm高28mm幅 波型カーボンリム

ハブ Ryet ディスクハブ 24・24 スターラチェット方式

スポーク 前輪 wing21 ストレイトプルスポーク

スポーク 後輪 右ギア側 サピム CX-Sprint

スポーク 後輪 左側 wing21

ニップル DT SquorxPro ブラス

ストレイトプルスポークを使うホイールの場合正確なハブの計測が大切です。勿論jベントハブでも正確さが必要なのは同じことですが、ストレイトプルスポークを使うハブはスポークの穴部分にオフセット値があることが多いので特に注意が必要です。

リムは最近注目されている波型のリムです。リム穴はバルブ穴1個だけのチューブレス仕様です。バルブ穴からニップルを入れて組み上げていきます。組み立ての難易度は高いです。

リムベッドにはニップル穴がありません リムテープが不要です

リム内側にはニップル穴がありません。どのくらい強度が増すのかは調べたことがありませんが通常のニップル穴があいたリムよりは強度があるのは確かです。おまけにリムテープがいりません。プラス面ばかりのリムです。唯一マイナス面はホイール作製の作業が難しいということです。ユーザーさんにはとても良いリムと思います。

スポークは空力が良いwing21を使っています。剛性を高めるために後輪ギア側にはサピムのCX-Sprintを使っています。

前輪 673g
前輪スポークテンショングラフ
後輪763g
後輪スポークテンショングラフ
前輪 左ブレーキ側 2クロス組 右ラジアル組
後輪 左右2クロス組
波型リム使用 チューブレスホイール

出来るだけスポークテンションを揃えて出来るだけ振れが小さくなるように作製しています。このホイールで3セットになります。ご注文いただきましたカーボンホイールはそれぞれ性格が違います。ホイールは奥が深いです。

TNIのREVOハブフリーを取り換える

手組ホイールファンではTNIのREVOハブをよく使っています。使用頻度の高いハブですがTNIではメンテ用のフリー部品は別売されていません。残念です。

TNIのREVOハブ

トラブルの起こりやすいフリーを新品で入手できないのが難点でした。しかしフリーを取り外してグリスアップしていれば使うことが出来ていましたので特別問題ではありませんでした。ハブメンテが出来る人には特別問題ではないのですが、フリーが手に入ればメンテは一層楽になることは確かです。

左フリーはREVOハブのフリー  右フリーは今回購入したフリーです

最近ですが、ハブメーカーの情報を得ることが出来たのでフリーの部品だけを注文してみました。フリーは10日ほどで届きました。

新しいフリーにはスペーサー、キャップが付属しています。このスペーサーはREVOハブ付属のスペーサーより少し長めですのでREVOハブについている部品をそのまま使います。手持ちのREVOハブのフリーを外して届いたフリーを差し込みました。

新しいフリーをREVOハブに取り付けています  下フリーはREVOハブのフリーです

新しいフリーはハブシェルにぴったりと収まりました。これで安心です。

これはシクロレースをやられている方には朗報です。どうしても泥だらけになるレースですので普通のロードバイクよりハブのメンテ頻度は高いと思います。

シマノハブの場合ユーザーさんがメンテしやすいように情報を公開しています。シールドベアリングを使ったハブの場合、本来ならメンテフリーですが実際はそんな訳には行きません。結構敷居が高いものです。フリーを外して爪にグリスを塗ったりすることが必要です。フリーを取り換えた方がいい場合もでてきます。今回のようにフリーの取り換えが出来る選択肢が増えたのはとてもいいことです。

定番カーボンホイールの点検依頼

約3年前にご注文いただきました定番の36mm高カーボンホイールの点検依頼がありました。

手前味噌になりますがホイールのフレはほとんどありません。後輪ホイールの3カ所ニップルを1/4回転回すだけでした。馴染みだしをしっかり行っているから振れが出にくいのでしょう。

フリーはハブ軸に固着していました 手で引っ張り抜くことが出来なかったのですこし工夫が必要です

前輪ハブはきれいに回っています。新品の状態と変わりません。後輪はホイールを持って回してみてわずかにゴリ感を感じます。ベアリングを替えるほどではありませんので今回は清掃して新しくグリスを入れるだけにしています。

フリーを抜いてハブシェル内をきれいにしています

両手でハブを持って回してみるとよくわかります。回転が滑らかに回らなくゴリゴリ感が出ている場合はベアリング交換の時期だと思います。

きれいにしたフリーにグリスを塗りました

今回のグリスアップではフリーを外さないといけません。両側のキャップを取ってフリーを抜き取るわけですが手で簡単には抜けません。手組ホイールファンではゴム板を切った手作りの道具を使って引き抜いています。

油汚れは油で取るようにしています。大まかに汚れを取ってからはグリスをつけて汚れを取って行きます。数回繰り返すときれいになります。最後は新しいグリスを塗って終わりです。

お客様は約15000km走られて整備依頼をいただきました。ベアリング交換までの疲労はない状態で点検、清掃だけで終わっています。定期的にハブ、スポークの点検を行いますと安心です。お勧めします。

XR31T/RTリムで1:2組ホイールの作製

定番ホイールになっていますキンリンのXR31T/RTリムを使ってホイールを試作しました。

前輪724g
後輪883g

ハブはブランドホイールに使われている既視感のあるハブで前輪20H後輪24Hで作ります。後輪ハブは8:16でスターラチェット方式のハブです。

後輪左8右16 243g スターラチェット方式
前輪113g
前輪ハブを分解しました ベアリングが大きいので安定しています

1:1組の場合スポークは右、左、右、左という形でリム穴に通します。1:2組の場合スポークは左、右、右、左、右という流れでスポークを通します。リムのスポーク穴が左右に振れて穴があいている場合は1:2組で組む場合には適しません。

幸いにも今回のXR31T/RTリムの穴はリムの中心にあけられていますので1:2組の組み方をしてもリム穴位置に問題なく進めることが出来ます。他のリムで作る場合はこの穴位置を確認しておく必要があります。

ホイール作りに於いてハブの計測はとても大切です。特にストレイトプルスポークのハブの場合スポークオフセットがありますので注意が必要です。

リムは荷重テストで一番成績が良かったXR31T/RTを使います。ハブは1:2組用ハブ、スポークは前輪にサピムのLaser、後輪にピラーのwing21という組み合わせです。

テンションの左右差が大きいと過重によるひずみが生じやすくなります。これは駆動ロスにつながります。組み方を1:2組にすることで左右のスポークテンション比率は左右ほぼ同じに仕上がっています。

前輪20本ラジアル組 
スターラチェット方式のハブ 左8本ラジアル組 右16本3クロス組
XR31RT 24H 8:16

今までのブログ記事で紹介していますがXR31T/RT28穴リムを使ったホイールでゾンダと走行比較をしたことがあります。結果はリム剛性の高いXR31T/RTホイールが勝っていました。今回のホイールは進化版のホイールです。お金の話で恐縮ですがゾンダ価格より約2万円以上お安く出来ますのでブランドにこだわらないライダーさんにはおススメです。

スターラチェット方式のハブ

今持っているスターラチェットハブの写真です。

4点すべてスターラチェット方式のハブです  一つ分解しています

4点すべてスターラチェット方式のハブです。手持ちの種類も少しずつ増えてきました。元々スターラチェット方式のハブはDT Swissの製品ですが、製法特許の期限が切れてからはいろんなメーカーから販売されるようになっています。

工学的にはスターラチェット方式の方が爪式より優れているようです。しかし今までは特許がありましたので他社は作ることができませんでした。DTのホームページを見ますと特許に守られていたDTハブも最近では進化版が出ています。しかし基本的な構造は変わらないので通常のスターラチェットタイプで十分な性能を得るのではないかと感じています。

DTハブはメンテの仕方をホームページで公開しています。このようなフォローがあればユーザーは安心します。信頼できるメーカーだと大いに感じています。

残念ながら昨年の7月より日本ではDT製品をヨーロッパのセラーから購入することは出来なくなっています。日本の正規代理店から購入すればいい話なのでDT製品が買えないという訳ではありません。但しDTハブはとても高価です。

一杯のコーヒーが300円の時代に店のメニューに高いがうまい!と書かれた一杯1000円のコーヒーを出す店が心斎橋にありました。これは試さないといけないと飲んでみました。果して味音痴なのか味の違いがわかりませんでした。

最近増えたスターラチェット方式のハブは300円のコーヒーかなと個人的には思っています。高くなくても300円のコーヒーはそれなりにおいしいコーヒーです。

後輪ハブキャップは簡単には外せません

前回の記事はMTBホイールの作製でした。使うハブはシマノのハブです。

前輪用HB-TC500-15-B 32H  左右キャップは簡単に引き抜けます
後輪用FH-TC500-HM-B 32H  矢印部分 左ハブスパナが使えるように加工されています 右は何もなし

前輪用HB-TC500-15-B 32H  後輪用FH-TC500-HM-B 32H

ハブのメンテを考えてハブ構造は知っておく必要があります。こんな時はシマノのホームページで検索するのが一番です。手入れの仕方など必要な情報は簡単に得られます。ハブのサイズを調べるときにもよく使います。

下の図はシマノのホームページから得ました。ハブを分解するにはハブキャップを外さないといけません。

シマノのホームページより

前輪用ハブの左右キャップはねじ式ではありません。引き抜けば簡単に外れました。

後輪用ハブではフリー側のキャップには何の加工もなくストレートの筒状態です。左側のキャップにはハブスパナを使うように切込みが入っています。

ホームページの説明では

右キャップおよびフリーユニットをハブ軸に対して真っ直ぐに引き、取外します。

このように書かれていますが残念ですが手では簡単には引き抜くことは出来ません。

通常ハブは5mmのレンチとハブスパナがあればキャップは外せる場合が多いのですがキャップに何も加工がされていない場合は引き抜くことで外します。

真っ直ぐ引き、取り外しますと書かれていますが残念ですが手では無理で抜けません。誰も教えてくれないと思います。自分で考えるしかないです。