シクロレース用にアルミディスクホイールのご注文

このブログにご連絡いただきました。シクロレース用に使う計画されています。ライダーさんはFTP260でぐいぐいと行くタイプではなくどちらかと言えば耐久レース向きと言っておられます。

前輪722g スポークはWing21 ハブ REVOハブ
前輪スポークテンショングラフ  出来るだけ均一になるようにしています
後輪 869g スポークは左右コンペティション ハブ REVOハブ
後輪スポークテンショングラフ  出来るだけ均一になるようにしています

当初ホイールのプランは

リム 22mm高24mm幅 オフセットリム

ハブ TNI REVOハブ

スポーク 前後共に ピラーwing21

ニップル ブラス

剛性を意識してCXRAYよりは剛性の高いスポークで提案していました。しかしシクロレースとなりますともう少し剛性があったほうが良いと考え後輪をDTのコンペティションに変更していただきました。

シクロレースではロードレースとは違い高い頻度で瞬発力が要求されると伺っています。今回のホイールでは外周部は軽いリムを使って回転に対して反応しやすくし、後輪のみスポークを太くして剛性を上げています。

ホイールはスポークの選択で性格が変わります。ロングライドに使うのなら細いスポークで沢山使うほうが疲れにくいホイールに仕上がります。乗り方によってリム、スポークを選んで作る手組ホイールは奥が深いです。

1368g超軽量アルミホイールの作製

2年前にご注文いただき気に入っていただいたホイールですが交通事故のトラブルで使えなくなったということです。お気に入りホイールでしたので再度同じホイールをご発注いただきました。同じものがまた欲しい、とてもありがたいお話です。お客様からは6年ほど前にも定番ホイールのXR31T/RT 31mm高ホイールもご注文いただいています。これで3セット目のホイールです。

前輪574g、後輪794g、合計1368gの超軽量ホイールです。

前輪 574g
前輪スポークテンショングラフ
後輪 794g
後輪スポークテンショングラフ

ホイールの内容は次の通りです。

キンリン XR200 前輪20H 後輪24H

ハブ ノバテック 前輪A291SB  20H 後輪F482SB 24H

スポーク 前輪 サピム Laser 2.0/1.5/2.0mm

スポーク 後輪 サピム Race 2.0/1.8/2.0mm

ニップル ダブルスクエアニップル ブラス

XR200 371g
ノバテック A291SB 20H 78g
ノバテック F482SB 24H 242g

XR200リムはナローリムで400gを切る超軽量です。剛性も高いのでワイドリム全盛の今でも根強い人気があります。台湾の軽量ハブを使いますと1300g半ばで仕上げることが出来ます。

使用するタイヤは23c、25cに限定されますが超軽量ホイールで登りを試してみたい方にはおすすめです。

しかし何事もトレードオフの関係があります。このホイールは登りには力を発揮するホイールですが平地にはリム高が低いので空力の援護がありません。足を休めることなく常に回し続ける乗り方が必要です。したがってクルクル回す乗り方をされる方におすすめです。ただし注意点があります。剛性高いホイールですが軽量ですので体重が70kg以上の方にはおすすめできません。

波型リム使用カーボンディスクホイールのご注文

今までに31mm高アルミホイール、46mm高カーボンホイールと当ブログの定番ホイールをご注文いただきましたお客様よりご連絡いただきました。ディスクブレーキ用のフレームを注文したので今回も手組ホイールファンでホイールを注文したいとのことでした。これで3セット目です。

TNI REVOハブ 前輪用 133g
TNI REVOハブ 後輪用 247g

使用リムは当ブログでも定番化しつつある46.5mm高28mm幅の波型リムを使ってほしいとのこと。ハブは必要十分の性能を持つTNIのREVOハブ、スポークはサピムのCXRAYより少し剛性の高いピラーのwing21を提案しました。

サピムのCXRAYは万能スポークと言われていますが使い方によりましては万能ではありません。弾力があるスポークなので前輪には向きますが後輪をCXRAY24本で作りますと少し剛性が足りないと感じる方も多いようです。

その点このwing21ではCXRAYよりも少し剛性が高いので前輪24本、後輪24本の組み合わせでちょうど良い剛性です。FTPが300以上の方には少し物足りないかもしれませんが適度な剛性という評価をいただくことが多い組み合わせです。

ホイールの部品で評価し易いのはリムとスポークですが意外と知られていません。リム、スポークは性能がはっきり出る重要な部品と考えています。どうしても目立つハブに注目が行きますが、ハブは差異を評価するのは難しい部品です。一般にハブは値段の差がありすぎるのと手入れが難しいのが理由かもしれません。

リム重量 411g

今回のカーボンリムは体重制限ありますがオプションで約400g前後のリムと通常の450g前後のリムの2種類作られています。当然価格は軽量の方が高くなるのですがオプションの軽量リムのご注文が多いです。

波型リムは精悍です
前輪688g
後輪805g

前輪688g、後輪805g、前後1493gで仕上がりました。

今までに空力が良い、軽量で回しやすい、ワイドタイヤが良いなど高評価をいただいています今回のホイールですが、見た目はシンプルでとても精悍なスタイルのホイールです。よく似たブランドホイールが2倍、3倍で販売されているのを見ますといつも驚いています。ラベルのない無印ホイールですが逆に風格を感じます。

110kgのライダーさんにお勧めホイール

丘陵地帯でいつもライディングを楽しんでおられると伺いました。登り降りが頻繁にある地域で乗っておられる方よりご連絡いただきました。

坂の多い地域なのでダンシングで乗られることが多いそうです。お客様は身長もあり体重が110kgということでご自分の体格に合ったホイールがなかったと伺いました。

行きつけの自転車屋さんでは今販売されている完組ホイールにはお客様にピッタリのホイールはないとはっきり言われたそうです。それなら体に合うホイールを作ってあげたらいいのにと思うのですが、手組ホイールを作れない自転車屋さんのようです。最近はこのような自転車屋さんばかりです。自転車を販売するだけではどうかな?と思っていますがその方が楽なのでしょう。

お客様は仕方ないので不満ながらも最初から付属の鉄下駄ホイールで走っておられたようです。付属のホイールは一般には丈夫すぎるホイールですが残念ながら体重のあるお客様にはフィットしなかったようです。

このような環境では剛性高く作った手組ホイールしか解決方法はありません。お客様はいろいろネット検索された結果、手組ホイールファンにご連絡いただきました。

さて、お客様に提案しましたホイールは次のホイールです。

リム XR31T・RT 32H 後輪は3mmオフセットリム

ハブ 前輪シマノ HB-RS300 32H 後輪 シマノ FH-RS400 32h

スポーク 前後共に DTコンペティション 2.0/1.8/2.0mm

ニップル ダブルスクエアニップル ブラス

提案リムは31mm高24mm幅の高剛性リムです。今使っておられる鉄下駄ホイールがシマノであれば24mm高のリムと思います。

一定時間に荷重してリムがどのくらい変形するかを調べます

このリムなら荷重試験をしたことがあるので100kgの重量を駆けたときの歪のデータがあります。凹みのデータでは24mm高のリムは31mm高のリムと比べて約2倍近く歪んでいます。比べると剛性はそんなに高くありません。

ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。太いスポークを使えば剛性の高いホイールが出来上がるということです。

一般には鉄下駄ホイールは2mm径の丸スポークを使っています。前輪20本、後輪24本です。スポーク総面積を計算しますと138mm²です。方や、今回の提案ホイールではコンペティションですので中央部が1.8mm径です。前後の合計スポーク面積は163mm²で25mm²面積が増えます。これだけの面積増加で十分なホイール剛性を得られるのかという疑問が起こりますが心配いりません。バテッドスポークを使うと良い結果が出ます。

バテッドスポークは隣同士のスポークが協力しあって地面からの荷重に対して力を分散する働きをします。スポークがショックアブソーバーの働きをしますので荷重を分散することが出来るわけです。このスポーク理論はアメリカのNorthwestern University Matthew Ford博士の論文を読まれるとよくわかります。

ホイールは地面に触れるところは凹んでいます

提案の31mm高リムは荷重に対しての剛性がありますので地面に接する部分は凹みにくいという利点があります。また、バテッドスポークを使うことでホイールの軽量化を図りながら荷重に対して分散することで重い体重に耐えることが出来るホイールに仕上げることができます。

ホイール作製に於いて各スポークは出来るだけテンションを揃えていますのでスポークにかかる力のバラつきは少ないと考えます。これはスポーク折れなどの防止につながりますのでホイール作りには必須と考えています。

このようなプランで提案しましたホイールが次のホイールです。

前輪 896g
前輪スポークテンショングラフ  均一にスポークを張ることでフレが出にくくなります

後輪 1114g
後輪スポークテンショングラフ  オフセットリムを使いますと左テンションが高くできます

前輪 896g 後輪 1114g 前後で2010g 重量はありますが剛性高いリムを使っていますので安心して使っていただけるホイールに仕上がっています。お客様のご感想が楽しみです。

波型リム使用カーボンホイールの印象記

8月30日のブログ記事にインダストリー9ハブと波型カーボンリムを使ったホイールのご注文を記事にしています。

前輪731g  インダストリー9ハブ  wing21  左右2クロス組
後輪877g インダストリー9ハブ wing21 左右3クロス組
前輪 2クロス組
後輪 3クロス組

お客様はこのホイールで1000kmブルべに挑戦することを計画されていました。今回のホイールは2セット目です。最初のホイールも好印象のようでしたが、最初からブルべに使うことを考えてホイールのプランを立てておられます。ホイール作製のお手伝いが出来ましてうれしく思っています。

1000kmブルべを完走され、その時のホイールの感想をお送りいただきました。いつものことですがこのブログの宣伝に使わせていただきます。勿論お客様もご承知です。

ホイールは使っている方のお話を伺うのが一番です。自転車雑誌のホイールインプレ記事はバイアスがかかっていますので要注意です。その点今回のような素直に感想いただくのは作り手にも、また新しいホイールを考えておられる方にも参考になると思います。

以下お送りいただきました原文です。

8月に波型リムでホイール作製していただいた**です。

改めて、この度もありがとうございました。

何度か試走の後、10月Audax近畿さんの四国一周1000kmブルベで本格的に走りこんでみましたので、インプレッションお送りします。

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【念のためスペック】

・46.6mmハイト波型リム

・インダストリーナインtorchハブ(前後28H)

・pillar wing21 前輪左右2クロス、後輪左右3クロス

・前輪733g、後輪877g=計1610g

※1本目:

・45mmハイト軽量リム+TNIハブ(前後24h)

・前輪648g、後輪788g=計1436g

【主な用途】

ロングライド、ブルベ中心です。

【使用してみての印象】

28hの多スポーク、ハブも軽量とは言えずどちらかというとグラベルっぽい仕様で

登りは1本目のホイール以上のアドバンテージは感じませんでしたが、

波型リム・エアロなスポークも相まって何より平坦巡行がとても楽になりました。

1本目のホイールも良かったものの、より「負担なく・楽に巡行できる」という印象です。

1000kmブルベの初日、ほぼ24hぶっ通しで500kmほど走行して・グロス平均25.6kmと、

信号や峠以外はほぼ30~35km/hで無理なく回せました。

いつもなら400kmを超えたころから疲れてきて出力を上げられなくなるのですが、

このホイールは足への負担感が実感レベルで低かったです。

まさに狙っていた通り「ブルベ・ロングライドスペシャル」なホイールで、

早くも次のブルベが楽しみです!

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以上です。

このホイールのおかげで、1000kmブルベを楽しく完走できました。

また次もお世話になるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

とても体力がある方でびっくりしましたとメールしますとホイールが助けてくれましたとありがたいお返事いただきました。いつもお客様から励みになるご感想をいただきます。

ENVEホイールのスポーク、2度目のスポーク替え

8月31日の手組ホイールファンのブログ記事で分かりますが、ENVEホイールの調整とスポーク替えを行っています。

最初にお預かりしたホイールの状態です  DURAハブ ENVEリム CXRAY 

お客様からの直ぐのご感想では剛性が上がり乗り味が大きく変わって良くなったと連絡いただいています。

この3か月間1000kmほど走られての印象ではとても良くなったのですがぐっと踏み込んときの反応が今一つ足りないとのことでした。

このホイールですが一番最初の時点でのスポークテンションは次の仕上がりでした。

一番最初にお預かりしました時のホイールのスポークテンショングラフです これはびっくりします

ENVEリム

DURAハブ FH-9000 24穴

サピム CXRAY 左右 3クロス組

最初のスポーク組み替え後では次のスポークテンショングラフになりました。

wing21に変更してグラフにしました 上記グラフと比較して大きく前進した感じです 

スポーク wing21 左右 2クロス組です。

スポークの剛性を高めることで乗り味はシャープになりました。スポーク重量は約10g増えるのですが剛性は大幅にアップです。スポークテンションを揃えたのも大きな改善です。

2回目になる今回の組み替えではドライブ側のスポークだけを取り換えています。

ドライブ側スポーク wing21x12本の合計58.5g 
2回目取り換えるスポーク  コンペティションx12本  71g

次はwing21からコンペティション(2.0/1.8/2.0mm)に取り換えて12本で71gとなりました。グラム数で13gほどのアップです。2回目もこれだけの重量アップですが剛性は上がります。スポークの単価は下がっていますが剛性は上がっています。面白いものです。

お客様には失礼になるかもしれませんが、長い間、最初のCXRAY仕様で乗ってこられました。特別満足しないホイールでもこんなものだという感じでレースに出ておられたわけです。これはブランドの影響力かもしれません。ENVEリム、DURAハブ、CXRAYと自転車部品の一流品です。これを使っているのだから悪いはずはない、と思ってこられたと思います。

しかし普段からもっと早く走りたいという気持ちが強く勉強もされてきました。たまたまかもしれませんがご縁があってこのブログをお読みいただき、手組ホイールファンにホイールの再調整をご依頼いただきました。

前輪スポークの調整、後輪はスポーク替えでホイールは大きく変化することを勉強されたようです。

最初の組み替えをご依頼いただきました時から比べますとお客様のホイール知識は増えました。もともと選手として力も知識もある方です。いろいろご質問を頂き、出来るだけお答えしてきたことも良かったのかもしれません。

右側のみコンペティションに変更して剛性をあげています

今回の再度のスポーク替えに至るまでには約3か月です。手前味噌になりますがホイールのご理解が深くなられたようです。

今回のスポーク替えでどれだけ変わるか、お客様からのご感想が楽しみです。

シクロレース用としてアルミホイールをご注文いただきました

シクロレースに使うついうことでホイール作製依頼のご連絡いただきました。お客様は何度もオーダーいただいているリピーター様です。

今回のホイールはこのブログ記事を参考にしていただきリム、ハブを決められたようです。リムは剛性が高いTNIのワイドリムです。前輪はリムの高さが22mmのAL22W,後輪は31mm高のAL31Wです。ハブはシマノ・ソラハブを選択されています。ソラハブは本来10速用ですがスプロケットを選べば11速で使えます。10速ハブで11速が使える裏技は面白いです。

TNI AL22W 459g
前輪ハブ HB-RS300 28H 146g
TNI AL31W 509g
後輪ハブ FH-RS300 28H 372g

持ち込み部品は次の通りです。

リム 前輪 AL22W 28H

リム 後輪 AL31W 28H

ハブ 前輪 ソラ HB-RS300 28H

ハブ 後輪 ソラ FH-RS300 28H

手組ホイールファンでご用意するのはスポークとニップルです。

スポーク 前輪、後輪共に コンペティション黒 2.0/1.8/2.0mm

ニップル DT SquorxPro 黒

ハブの選択はホイールを作るときに悩むところです。お客様はソラハブを選ばれました。個人的にはとてもよい選び方と思っています。シマノ上位グレードのDuraハブと下位グレードのソラハブとの回転性能は金額に比例して違うものかと常々感じることがあります。

結論を言いますと大きな差はないと思っています。勿論ハブ内部の仕上げのグレード差はありますが、カップアンドコーンの玉あたりの調整を上手く行えば、下位グレードハブでも上位グレードに負けない回転性能を得ることが出来ます。自動車レースの回転数とは比較にならない低速度の回転数ですので大きな差はないというのが理由です。

勿論外見は違います。見た目が大きく違いますのでシマノ下位グレードではすこし見劣りがします。しかし実質本位でホイール作りをやってみるならこの下位グレードハブはお勧めです。ディスコンになったDuraハブを探す必要はありません。現行ハブを使えばいい訳です。勿論穴数には28穴、32穴に限定されますが乗り心地の良い多スポークホイールを作ると考えますと適材と考えます。

お客様は前輪を軽くするためにリムは22mm高を、後輪にはより剛性の高い31mm高リムを選択されています。駆動ロスを少なく出来るリムとして選ばれています。よく考えられていると思います。

ホイールの重量はけっして軽いホイールではありません。これはハブが重いことが理由です。しかし重いということは悪いことではありません。重いということは丈夫ということで、重さがあると歪を減らせるので駆動ロスが軽減できるという利点があります。何事もトレードオフということです。

前輪 833g
後輪1102g
前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

出来上がりです。スポークテンションを出来るだけ均一に仕上げ、出来るだけ振れをとって仕上げています。比較的低価格で出来上がる今回のホイールです。気兼ねなくレースに使ってもらえそうです。

MTB用ホイールの作製依頼

25年前のMTBを作り直しているということで新しいホイール作製のご依頼いただきました。

リムは新しいリムを用意され、ハブはMTBからとりだしたハブで作るというお考えです。

シマノ HB-M570  152g
シマノ FH-M570 366g
アレックスリム DM18 562g

ハブとリムをお送りいただきました。

リム アレックスリム DM18

ハブ シマノ HB-M570 FH-M570 共に32H

スポークは手組ホイールファンでご用意いたします。

スポーク DT コンペティション黒 

ニップル 12mm ブラス

リムベッドは浅いのでニップルの選択には注意がいる

リムベッドを見ますと浅いリムなのでニップルの後部が長いニップルでは突き出ます。SquorxProやダブルスクエアニップルは扱い易いのですが今回のリムでは昔から使われている12mmのニップルでないとリムテープが使えません。リムによって使えるニップルが違いますのでニップル選択には注意が必要です。

ホイールのスポークテンションは前輪を100~110kgfに、後輪はギア側を120~130kgf前後で仕上げています。

このスポークテンションはこの値でないといけないという決まりはありません。確かなことはわかりませんが昔からのビルダーさんたちの経験から得られる暗黙知のようです。一番パフォーマンスが良いテンション値を集めると上記のスポークテンションあたりがいいということのようです。

いろんなリムメーカーが出しているリムに張り付けてあるシールを見るとスポークテンションは120kgfまでと書かれていることが多いです。これは面白い発見です。

ホイールは先ず縦ブレをしっかりとりそれから横ブレにかかります。一度緩めに仕上げてしまい、それからゆっくりスポークテンションを上げていくのが良い方法です。一度に仕上げてしまうよりこちらの方がいい結果が出ると思います。ビルダーさんのやり方にはいろいろありますのでいい方法を考えていくのが良いでしょう。

自転車は組めるがホイールは出来ないという方がたくさんおられます。一応組めるのだが精度の高いホイールは出来ないという方も結構おられるようです。やはりホイールは専門のビルダーに任せるのが一番コスパがいいのかもしれません。

前輪 941g
後輪 1152g

出来上がりました。リムテープを巻いて納品いたします。何度も馴染みだしを行っていますので振れは出にくい仕上がりです。お客様のご感想が楽しみです。

スポークを休ませるとスポークテンション値は下がる

リピーターのお客様よりシクロレースに使うホイールをご注文いただきました。      ホイールはほぼ完成しています。

仕上げ段階のホイール

仕上げの段階でスポークテンションを測ってみます。この時のテンショングラフがこの図表です。

左81.6kgf 右123kgf

出来上がりましてから3時間ほど作業場を離れました。

続きの作業する場合、一度確認のためにテンションを測ってみます。

左79.7kgf  右119.4kgf  3時間ほっておいてスポークのテンションは下がっている

仕上げ前のテンショングラフと比べますと全体に少し数値が下がっています。このようにスポークに休み時間を与えるとテンションは下がります。

このブログ記事で何度もホイール出来上がり後は1日ほど時間をあけて再調整すると書いていますが3時間でもよくわかる結果が出ています。

手組ホイールファンではオーダーホイールを作っていますので馴染みだしは時間をあけて何度も行っています。緩んだテンションを元に戻してしばらく時間をあける。また緩むので元に戻すの繰り返しを何度か行うと変化がなくなります。これで初めて出来上がりです。

こんな面倒なことを省くのはどうしたらいいのでしょう。答えはこれです、一度タイヤをはめて乗ってみることです。それで再調整を行うといいホイールが出来上がります。

手組ホイールファンでは発送作業があります。このためこの一度乗ってみる作業は出来ません。何度も馴染みだしを繰り返す必要があります。面倒な作業ですが馴染みだしを上下のプレス式で行っている完組ホイールではできない作業と思っています。

26mm高24mm幅 銀輪ホイールのご注文

クロモリで乗っておられるお客様より新しいホイールを探しているとご連絡いただきました。

クロモリと伺いましたので銀輪のホイールはいかがですか?クラシックなフレームには非常に合いますと提案いたしました。

お客様はまさか銀輪ホイールの提案とは考えておられなかったようです。大変気に入っていただきお話はとんとん拍子に進みました。

XR26T/RT 32H 前後セット 
XR26T・RT  450g前後で軽量です
後輪用 XR26RT 32H 穴位置が3mmずれています

銀輪ホイールには何か特別感があります。ナローリムでは手に入りますがワイド仕様の銀輪リムはなかなか手に入りませんでした。昔からの競輪用のリムは手に入ります。しかし残念なことに競輪リムは一般道では走れない仕様です。今回のワイド銀輪リムは後輪用に3mmオフセットリムが用意されていますのでモダン銀輪ホイールとしてお勧めいたしました。

お客様は150kmほどのロングライドを楽しんでおられるようです。このためスポークは中央部が1.5mmの細いスポークを選択しています。1.5mmの細い部分は地面からの衝撃を吸収してくれますのでショックアブソーバーの働きをします。細いスポークでは剛性不足が心配ですがスポーク32本のリムですので剛性不足はスポーク数で補っています。心配は要りません。

後輪リムは3mmオフセットリムです。通常の穴位置がセンターのリムと比べて約10%左右のスポークテンション比率を改善できます。ハブのセンターオフセット値が大きいと左右のスポークテンション差は大きくなります。45:100くらいのテンション比率で仕上がりますので右ハイテンションで仕上げても左は緩いというホイールの仕上がりになってしまいます。

左スポークが緩いとスポーク折れが発生する率が高くなります。各スポークテンションが揃っていればスポーク折れは少ないですが、スポークテンションが不揃いの場合、スポーク折れの発生確率は非常に高く注意が必要です。このためにもリム穴が3mmオフセットしていますと左テンションが改善されますのでトラブルが起きにくいホイールが出来るわけです。

ホイールの仕様は次の通りです。

リム キンリンXR26T/RT 前後共に32H

ハブ 前輪 シマノ HB-RS400 32H シルバー

ハブ 後輪 シマノ FH-RS400 32H シルバー

スポーク 前輪TB2015 2.2/1.5/2.0mm

スポーク 後輪左TB2015 2.2/1.5/2.0mm 

スポーク 後輪右TB2018 2.2/1.8/2.0mm

前輪 805g  ハブが重いのでこの重量ですが外周部は軽い
後輪 1033g  ハブが重いのでこの重量ですが外周部は軽い
銀輪ホイールは特別感が強い

ニップル DT SquorxPro ブラス シルバー ホイールの仕上がりは特別感があり美しいと思っています。各スポークのテンションを均一になるように張り、出来るだけ振れを最小になるように仕上げています。クロモリフレームにはやはり銀輪ホイールです。お客様には喜んでいただけると思います。