31mm高24mm幅シルバーホイールのご注文

ご自分でもホイールを作ってクロモリフレームで楽しんでおられるベテランライダーさんよりシルバーホイールのご注文をいただきました。

お客様からのお話では「手組」にご注文いただいた理由は

職人的にパパッと組む感じではなく、測定器を使用した張力の確認やリムの荷重試験をしているということのようです。ありがたいことです。

メールのやりとりでハブは持ち込みされることとなりました。リムは荷重試験で好結果のXR31T・RTシルバーリムを使います。キンリンのシルバーリムはなかなか手に入りません。言わば貴重品です。以下詳細です。

31mm高24mm幅 496g
前輪HB5500
後輪ハブ FH6500 32H

リム XR31T・RT 前後ともに32H 後輪は穴位置が3mmオフセット

ハブ 持ち込み 前輪シマノHB5500 後輪FH6500 共に32H

スポーク 前輪 TB2015(2.2/1.5/2.0mm)シルバー

スポーク 後輪 左TB2015(2.2/1.5/2.0mm)右TB2018(2.2/1.8/2.0mm)シルバー

ニップル ダブルスクエアニップル シルバー

リムの剛性が高いのでとても組み上げやすいリムです。しかしスポークを均等にすることに注意を払っていますので振れ取りが主な作業ですが最終的にはフレかテンションか、どちらかを優先しないといかないことが起こります。こんな場合スポークテンションを優先していますのでセンターが0.1mm~0.2mmずれることがありますがほんのわずかなズレなのでOKとしています。無理にセンターをドンピシャにすることはありません。無理に一致させると後からずれてくることは必至です。素材に合わせることも必要です。

前輪842g
後輪1065g

出来るだけスポークテンションを揃えながら縦ブレ横ブレを取って仕上げています。前輪は110kgf前後、後輪ドライブ側は120kgfを目標値として仕上げました。

中央部が細いスポークは地面からの振動を吸収してくれます。いわばショックアブソーバーの働きをしてくれます。後輪ドライブ側には少し太いスポークを使って剛性を上げています。リムは500g前後と軽くはありませんが走るホイールは剛性の高いリムを使います。お客様には疲れにくくよく走るホイールを実感していただけると思っています。

ミニベロ用ディスクホイールのご依頼

ミニベロ用のホイールをご注文いただきましたお客様より再度ご注文いただきました。2回目のご注文です。

今度は同じアルミリムにストレートプルスポークを使ったハブでの作製依頼です。リムとハブは持ち込みされました。ミニベロハブはなかなか手に入らないハブのようです。うまく見つけられたと思います。

276g
前輪用ハブ 98g

スポークは2㎜径のスポークで作っています。流通量の差が理由と思うのですがストレートプルスポークはjベントと比べまして価格が高いです。メーカーの価格は変わらないと思うのですが商社の価格はとても高価です。しかし要るものは要るので仕方ありません。

どのホイールもいえることですがハブは正確な計測が必要です。ストレイトプルハブではスポークの穴位置の計測が難しいと思います。正しく測ることでスポーク長が決まります。

スポークが用意できれば順調に仕事が進みます。ハブにスポークを通せばリムの穴位置はすぐわかります。ニップルをねじ込んでいけば容易に仮組が終わります。

前輪ディスクホイール 534g

ミニベロホイールも作製手順は通常ホイールと同じです。出来るだけスポークのテンションを揃えることが肝心です。テンション値も通常リムと同じようにしています。 ミニベロホイールは流通量が少ないので部品集めが大変ですがミニベロといえども走りにこだわるならホイールが大切です。

ピスト用カーボンホイールのご注文

今回のホイールで3セット目のピストホイールをご注文いただきました。カーボンリムとハブはお客様より持ち込みです。

25mm幅25mm高リム 380g

リム 25mm高カーボンリム 前輪28穴 後輪32穴

ハブ シマノDuraハブ HB7710 28穴 FH7710 32穴

スポーク サピム CXRAY シルバー

ニップル DT SquorxPro シルバー ブラス

前輪の組み方はラジアル組、後輪は左右3クロス組で作ります。

後輪ハブはハブセンターのオフセット値2.75mmありますので左右のスポークテンションは前輪のように一致しません。理論値では左右のテンション比率は85:100です。このためセンターを出すには左側がほんの少し緩い作りになります。グラフにしますとよくわかります。

シルバースポークとシルバーハブがポイントになっています
前輪705g ラジアル組
後輪832g 左右3クロス組

何度も馴染みだしを行いスポークテンションは出来るだけ均一に組みます。シルバースポークとハブがうまくマッチしたホイールはとても存在感があります。

お客様は自転車の組み立てはご自分でされていますがホイールは「手組ホイールファン」にお任せいただいています。ありがたいことです。

追記

お客様より写真をお送りいただきました。このシンプルな機能美は素晴らしいと思います。

ノバテックハブを分解しました

ノバテックハブを分解しました。シールドベアリングを使ったハブの構造はとてもシンプルにできています。単純な構造だから故障も少なくて長く使えるのだと思います。ベアリングはハブシェルに2個、フリー側に2個使われています。

フリー側のベアリングは取り出しが難しい
NTNのベアリングを使っています

「手組ホイールファン」ではシールドベアリングを使ったハブならノバテックのハブを使うことが多いです。使われているベアリングは予備をいつも用意しています。フリーには6902規格、ハブシェルには6902と6802のベアリングが必要です。主にNTNのベアリングを使っています。安価なベアリングもありますが摺動性を高める要なのでブランド品に頼っています。ブランドの違いがはっきりしませんのでおまじないと思っています。

ベアリングの取り外しや、圧入するにはプレス機を使うことにしています。製品になっているホイールからベアリングを取り出すにはポンチでたたき出すとか、スライドハンマーを使うのですがハブ単体の場合はプレス機械を使って分解するのが簡単で失敗がない方法です。プレス機械を使っています。

ベアリングは比較的安価なものです。高価なセラミックベアリングもありますが安価なベアリングを定期的に取り換えて使うのは良い方法と思います。

シールドベアリングを使ったハブはベアリングを取り換えれば新品に戻ります。リユースの場合フランジのスポーク穴は使用した後がありますのでこのあとを追う形で再利用することが肝心です。穴位置を変えるとフランジが割れることもありますので注意しないといけません。

サピム スポークワッシャーを使った一例

スポークワッシャーを使う方法もフランジを守るということで良い方法と思います。

中古のハブもシールドベアリングの場合ベアリングを交換しますと回転は新品に戻ります。ベアリング交換はとても達成感がある面白い作業です。

46mm高リムブレーキ用 定番カーボンホイールのご注文

自転車の組み立てはすべてご自分でされるベテランのお客様よりご連絡いただきました。

カーボンホイールは「手組」に任した方がいいとご判断いただいたようです。

ホイールの内容はしっかりとこのブログから研究されていました。リムは46mm高の定番ホイールです。

ブレーキ面は強化リムをご指定されました。他の部品は通常の定番通りです。以下詳細です。

28mm幅46mm高 467g
オプションで強化されたブレーキ面 方向性があるので注意が必要です

リム 46mm高28mm幅リムブレーキ用 ブレーキ面は強化リム

   前輪20H 後輪24H

ハブ ノバテック A291SB 20H  F482SB 24H

スポーク 前輪、後輪ともにピラー wing21黒

ニップル DT SquorxPro ブラス 黒

スポークのウィング21はサピムのCXRAYよりも少し重量があります。前輪20H後輪24HではすべてCXRAYで作りますと乗り味の柔らかいホイールになるかもしれません。CXRAYでは少し剛性不足と感じるライダーさんにはぴったりのスポークです。剛性上げるためにはウィング21は適しています。

ホイールの選択には経験が必要です。沢山乗らないとわかりにくい事柄です。自転車仲間に聞くのも良いのですがアドバイスに偏りがあるかもしれません。結局は自分で決めるしかないようです。

強化ブレーキ面はオプションで注文しています。このブレーキ面にしますとブレーキはよく効きます。ディスクブレーキに変更しなくてもいいというお話をよく伺います。

リムは穴ナシリムを使います。リムテープがいらない便利さは使われたらよくわかります。経済的でもあります。

前輪650g
後輪857g

前輪650g後輪857g前後で1507gです。とても軽量です。

ホイールは出来るだけスポークテンションを揃えて馴染みだし何度も繰り返します。出来不出来はこれで決まります。お客様のご感想が楽しみです。

チューブラーホイールのリム替え②

チューブラーホイールの前輪も取り換えることにしました。

今回は後輪よりも手早く行うことが出来ています。普段ニップルの緩み止めにはリンシードオイルを使っています。オイルが固まるのに数日かかりますが手軽なので愛用です。

縦ブレ横ブレを取って組み上げ完成しますがスポークテンションのデータを取ってみました。この仮組出来上がり直ぐのデータ取りでよくわかります。振れ取りだけではテンションは揃っていません。

スポークテンションが揃っていなくてもホイールの振れ取りはできます

何百ホイールを作っていますが、振れ取りだけの仕上がりは全くダメな出来上がりです。神の手は持てないということです。見た目では全くわかりませんがスポークのテンションが揃っていません。

余談になりますが、

オークションなどで売りにでている99%のホイールはスポークテンションが揃っていません。目視では振れはありませんというコメントがよくあります。それはその通りだと思います。しかし残念ながらスポークテンションは揃っていないのが現実です。この点を理解して購入を考えるべきです。中古は中古でそれ以上のものではありません。

話題を戻します。

スポークテンションを出来るだけ揃えています
TB25リムを取り換えまた新しいホイールが出来上がり 長く使えるホイールです

スポークのテンションを揃えることばかりやっていると今度は振れ取りが正しくできません。振れ取り+テンションを揃える、どちらも出来て初めて完成です。

ハブ、スポークは再利用ですが調整されたシマノハブはあたりが出ていますのでとても滑らかな回転です。クリンチャーホイールしか知らないライダーさんにはチューブラーホイールをお勧めします。外周部が軽いので今まで乗っておられたホイールとは違った良さを感じていただけると思います。試されるとよくわかります。

トラックハブのベアリング圧入

ハブ軸が傷んだノバテックトラックハブの取り換え用ハブ軸が届きました。

写真上のハブ軸は傷んでいます 新しい軸棒とベアリングが揃いました

ベアリングはNTNの6000LLB C3/5Kを2個使っています。ベアリングは叩いて取り出していますので取り付けには新しいベアリングを使っています。ベアリングの取り付けは分解した時の逆を行います。

一つ目はプレス機で圧入していますがたたいて入れてもOKです

先ずはハブシェルにベアリングを一つ取り付けます。これにはプレス機で圧入しています。機械を使って押し込むだけですのでセンター出しは簡単です。勿論叩いて圧入でもよろしいです。

ベアリングを叩いて圧入するには簡単な道具が必要です
新しいベアリングを左の古いベアリングとDTの圧入道具を使って圧入します

次はハブ軸を差し込んで反対側のベアリングの圧入です。この時は叩いて取り付けています。すでに軸棒を通していますのでセンターを出す作業は楽です。真っ直ぐ上からたたけば簡単に入ります。古いベアリングを使うといいです。

新品に戻ったハブです 回転はすこぶる良好です

新しいベアリングに取り換えましたトラックハブです。ベアリングがいいので回転が前よりよくなったようです。シールドベアリングを使ったハブは取り換えると新品に戻ります。適切な道具と少しの勇気があればうまくできます。

チューブラーホイールのリム替え

36穴のチューブラーホイールのリム交換を行いました。チューブラーリムはキンリン社のTB25です。剛性の高いリムで、今現行で手に入るリムの中では数少ないリムの一つです。絶滅危惧種になるリムの一つかもしれません。

同じリムの穴位置合わせてリムを重ねて固定します
ニップルを順番に緩めて新しいリムに移動していきます

リムの交換はとても簡単にできます。写真のようにリムの穴位置を合わせて固定します。あとは順番にニップルを緩めてスポークを新しい方に付け替えていくだけです。

注意点として緩めたニップルをリムから取り外すときにポロっとリム内に落とさないようにすることがコツです。

後はニップルを締めて通常の組み方を進めるだけです。今回は後輪ですので右ドライブ側から仕上げて次に左非ドライブ側を締めていくという組み上げ方です。

同じリムを取り換えて長く使うことが出来る手組ホイール、お勧めです。

35mm高28mm幅 軽量ディスクホイールのご注文

軽量のディスクホイールをつくってほしいとご連絡いただきました。お客様からは2度目のご注文です。リピートオーダーはうれしいです。自慢げになりますが前のホイールが良かったから次のホイールも「手組」に注文しようと思っていただいたと理解しています。

ホイールの提案は5案出しましたところ一番高価なプランを選んでいただきました。リムはこのブログにも何度も紹介しています一番高価な超軽量リムです。約360gの35mm高28mm幅のディスクリムですが剛性が伴ってこの重量なのでお勧めです。注意点は90kgまでの方という体重制限があります。お客様の体重では十分余裕がありますのでお勧めしています。

前輪664g
後輪786g

スポークは前後ともにピラーのウィング21です。5gスポークなのでサピムのCXRAYで作るよりは剛性が高いホイールに仕上がります。後輪が20本くらいの少スポークでしたら5gスポークでは少し剛性が不足すると思います。今回は24本で作りますので剛性は得られます。4本の違いは大きいということです。勿論FTPが300w以上の方には少し剛性が足りないかもしれません。いろいろユーザーの乗り方にあわせて作るオーダーメイドのホイールです。この点が気に入っていただいた理由と思っています。

ハブはノバテックのハブです。軽量でハブ性能は必要十分と思います。メンテナンス部品も入手しやすいのでお勧めです。

ニップルはDTのSquorxProブラスニップルです。カーボンリムにアルミニップルはガルバニック腐食の問題もありますのでブラスニップルをお勧めしています。「手組」のホイールはブラスニップルしか使わないのはこのガルバニック腐食があるからです。

前輪 スポークテンションを揃えることが大切です
後輪 スポークテンションを揃えることが大切です

ホイールのスポークテンションは校正した正確なメーターを使って計測しています。最適なスポークテンションで出来るだけ均一にすることがホイール作りには大切です。振れ取りだけの組み上げではスポークテンションは揃いません。振れ取り+スポークテンションの均一化、この2点が出来て駆動効率の良いホイールが出来上がります。

リムにラベルのないシンプルホイールですがこれも味になっています
リムは穴ナシリムなのでテープがいりません この便利さは使えばわかります

出来上がりのホイールです。ラベルも何もない超シンプルホイールですがこれも味になっていると自画自賛しています。お客様に出来上がりの写真をお送りしましたところ喜んでいただきました。

新しいディスクフレームをオーダーされた時にブティックブランドのホイールをご友人から勧められたのですが、お客様は敢えて「手組」にご注文いただきました。ありがたいことです。

ダイナモハブでMTB前輪ホイール作製

ダイナモホイールの作製依頼をいただきました。

お客様からのご注文はこれで3セット目のダイナモホイールです。今回は息子さんの通学用のホイールのようです。電池を気にすることなく大容量で明るく乗れるので安心安全です。

ダイナモホイールを使っているのでよくわかるのですが、これは本当に便利です。ロングライド、通勤用としてお勧めします。

アラヤMTBリム RM-17 460g
シマノ ダイナモハブHB-NX23 36H

リムとハブをお送りいただき、スポークはこちらで用意します。部品はリユースでリムにひずみがありました。歪のあるリムはスポークテンションの均一化には問題があります。フレかテンション優先かを選択することが必要です。

振れ取りを優先すると回り方がきれいので見た目はいいのですがしばらく乗っているうちに振れが出ることがあります。スポークテンションを優先しますと最初から振れが出ているホイールですが振れは現状維持が出来ます。一般には振れとりとスポークテンションの均一化はどちらも大切で両方を優先することが必要です。

今回は不本意ながら振れ取り優先で作ることにしました。やはり揺れ揺れのホイールでは見た目もよくありません。前輪ですので大きく振れが発生するとは思えませんので振れ取り優先で作りました。

スポーク36本のMTBホイールです。中央部が1.5㎜のスポークを使っています。細いスポークはショックアブソーバーの働きをしますので乗り味が柔らかくなります。MTB用のホイールは完組ホイールにはあまり無いようで、手組ホイールを選ぶライダーさんが多いと思います。

作製しましたホイールの詳細は

リム アラヤMTBリム RM-17

ハブ シマノ ダイナモハブHB-NX23

スポーク レボリューション シルバー 3クロス組

ニップル 12mmブラス

前輪1730g
リムの歪でテンションの均一化はできません

リム、ハブはリユースです。リムに歪があると振れ取りはできますがスポークテンションの均一化は難しくできませんでした。グラフにするとよくわかります。今回は前輪ということで駆動には大きく影響しませんのでご辛抱いただきました。

完成しましたホイールは高容量のライトを使え、毎日の通学に安心安全にお使いいただけます。販売していないものを作るのはビルダー冥利に尽きます。