50mm高オフセットカーボンリム、Hopeハブでホイール作製

部品の持ち込みでディスクホイール作製依頼がありました。

Hope  Pro5 前輪用 140g
Hope  Rro5 24H

ハブは英国のHope ハブです。お送りいただきましたハブのフリーを回してみると音が小さく回転は滑らかです。ハブデータはホームページから手に入りますが数値には注意しないといけません。今回のハブデータはあってはいましたが違う製品のデータとなっていました。実測したほうが良いと思います。

50mm高リム 431gは軽量です
穴位置がオフセットしているリム

リムは50mm高のカーボンリムです。スポーク穴位置がオフセットしているリムで最近見受けるようになりました。カーボンリムもオフセットリムが手に入る時代となっています。オフセットリムはスポーク穴位置がわずかにずれていることで左右のスポークテンション差を是正することが出来ます。

スポークは体重や乗り手の力で決めますが、今回はCXRAYでは細すぎる。コンペティションでは太すぎて剛性が少しオーバーと、いろいろプランが出ました。最終的にはwing21で組むことになりました。

前輪720g
出来るだけスポークテンションを揃えています  出来るだけ振れがないように調整します
後輪864g
出来るだけスポークテンションを揃えています  出来るだけ振れがないように調整します

組み方はオーソドックスな左右2クロス組です。プルスポークが12本ある組み方は安心できます。おまけにオフセットしているリムを使っていますので左右のスポークテンション差はとても少ないホイールに仕上がっています。テンショングラフにしていますのでよくわかります。左右のテンション差が少ないので駆動ロスは軽減されるでしょう。50mm高ながら登りにも十分使えるホイールです。ご感想が楽しみです。

Rovalホイールは2度楽しめる

7月12日にRovalホイールの組み替えを記事にしています。

お客様よりご感想をいただきました。事前の了解を得ましたのでお知らせしたいと思います。

以下原文です。

早速近場30㎞程を試走致しましたので感想を送らせていただきます。

まずはダンシング時の反応が抜群に良く変わり一体感がましました。

後、今まで緩斜面の下りから登りに切り替わる時にペダリングをしても一歩遅れる感じがして違和感がありましたがダンシング同様ダイレクトに反応が良くなりした。 

今まではどちらかというと軽いヒルクライム特化ホイールのイメージでしたがリニアに反応する面白いホイールになったと思いますし、気にいっています。ありがとうございました。

後輪スポークは左右共にエアロライトでした。このスポークは1.5mmの丸スポークを扁平にしたスポークです。スチールは叩くと強くなりますので丸スポークの時よりはねばりがでて強化されます。これはサピムのCXRAYも同じです。Rovalホイールはこのエアロライトを左右で24本使われていました。ホイールはねばりがあるのですが力のある人には剛性が不足しています。踏み込んでも反応が鈍い訳です。

おそらくはRovalホイールを購入された時は軽いホイールなので気持ちよく使われていたと思います。しかしだんだん物足りなく感じておられました。いわゆるぬるいホイールだったのです。

このようなホイールの処方箋は一つです。スポークを太くすれば解決します。エアロライトからコンペティションに交換しました。スポークの重量は左右で40g増えたわけですがこれでホイールの剛性が増してインプレでお分かりのように踏み込んでも反応してくれるホイールに変身しました。

お客様はRovalホイールを購入されて2度楽しまれています。しかしエアロライトで組み上げたホイールでピッタリ相性が合っている乗り手さんもおられます。Rovalホイールはいつもヌルイわけではありません。しかし温いと感じておられるのならスポーク替えをお勧めします。

24mm高24mm幅アルミリム使用ディスクホイールの作製

新しいディスクフレームを手に入れられたお客様よりご連絡いただきました。ディスクホイールのご注文で、今回で2回目のご依頼です。ありがたいことです。

DTハブはこのような箱に入っています
DT350 後輪用 269g

後輪ハブはすでに手配されています。DT350ディスクタイプのハブです。前輪ハブとリムがまだ決まっていなかったのでご提案いたしました。

リムは24mmm幅24mm高で3.5mm穴位置がオフセットしているリムを提案しています。手組ホイールファンのオリジナルホイールを作ろうと計画していましたのでこのリムをご提案しましたらOKと了解いただきました。

32穴リムですのでロングライドに適していると思います。細いスポーク作る多スポークホイールは疲れにくいホイールに仕上がります。お客様のご希望と合致したようです。

HB-RS470 32H

ハブはシマノのティアグラハブです。スポーク数は限定されていますがとても丈夫でよく回ります。決して軽いハブではありませんが価格もこなれていてお勧めします。

ハブが32穴ハブですのでスポークは細いスポークで組むのが良いと思います。細いスポークはショックアブソーバーの働きをしますので地面からの衝撃を吸収してくれます。このため長く乗られても衝撃で突かれるということが少なくなります。

安定感ある乗り心地を得ることが出来るホイールということで提案しました。

リム オリジナルリム

ハブ 前輪 シマノHBRS470

ハブ 後輪 DT350ディスクハブ クラシックタイプ

スポーク 前輪 TB2015

スポーク 後輪 左TB2015 右TB2018

ニップル ダブルスクエア

前輪 784g
後輪 920g

作り方はオーソドックスな3クロスで組み上げます。リムは3.5mm穴位置がオフセットしていますので左右のスポークテンション差が少ないホイールが出来上がります。後輪のドライブ側は1.8mmと少し太くして剛性を上げています。

スポークテンションを出来るだけ揃えるように、フレは最小になるようにして組み上げます。馴染みだしを繰り返すことによりフレの出にくいホイールが仕上がります。新しいフレームに組み合わせる今回のホイールはどのような印象になるのか楽しみです。

コリマホイールの組み替え依頼

有名ビルダーさんにオーダーメイドされたコリマチューブラーホイールのバルブ部分が割れたということでホイールの組み替え依頼がありました。理由は分かりませんが手組ホイールファンに任せてみようということです。

コリマ チューブラーホイール 714g バルブ部分が割れています

ソルダリングはやっていませんということを了解頂き送ってこられました。写真のようにきれいなソルダリングは存在感があります。

CXRAYスポークにソルダリング

しかしホイールを分解するときはスポークを切らないと出来ないので勿体ないことです。

スポークは切り取ってハブを取り出しました

スポークはサピムのCXRAYです。約600円しますので12本ということで7200円です。カットしないと分解できないのでしぶしぶ行いました。とても残念です。因みに手組ホイールファンではソルダリングはやっていません。

取り出した左5点は12mm標準タイプのニップル  右側1個はインターナルニップル 頭部が平らです

取り出しましたニップルはインターナルニップルと思っていましたら通常の12mmニップルでした。12mmニップルを逆さにすれば使えないことはありません。しかし正式なインターナルニップルな頭部が平らです。リムを傷つけないようにするには正式なインターナルニップルを使うほうがいいでしょう。見えないところは代用品でも良いというのは個人的にはいただけません。意味があってのインターナルニップルですのでこれはよくないと思います。

TNIエボリューションハブ  ノバテックのハブと同じ

ハブはTNIのエボリューションハブです。フリーはカンパ用でした。フリーを回すと音が大きいのでグリスを入れなおしています。このハブはノバテックのハブと同じなので5mmレンチ2本と10mmレンチがあれば容易に分解できます。フリーの爪音がカリカリと音が高くなればグリスアップをお勧めします。油汚れは油で取ります。難しくはありません。分解するときに少し勇気がいるだけです。ハブの構造はシンプルで壊れることはありません。取り外した部品をきれいに並べておいて、組み立てには逆戻りすればいいだけです。

コリマ32mmチューブラーリム

ホイールと一緒にお送りいただきましたリムはコリマの32mm高リムです。とても軽量です。使うニップルはインターナルニップルを使います。スポーク張りをハイテンションで仕上げるには外側から回すほうがよいということでインターナルニップルを使われてきました。最近のカーボンリムはインターナルニップルを使うリムは少ないようです。インターナルニップルの扱いは難しいですがとても見た目はシンプルですっきりしています。

スポークはドライブ側にコンペティション2.0/1,8/2.0mm、反対側にはレボリューション2.0/1.5/2.0mmの組み合わせです。1.5mmのスポークを扁平にしたのがCXRAYやエアロライトです。お預かり時点ではドライブ側にコンペティション、反対側にCXRAYという組み合わせでしたのでスポークの剛性では同じです。

コリマ32mmチューブラー 731g
右ドライブ側にコンペティション 左側にレボリューション

出来るだけスポークテンションを揃え、出来るだけ振れが少なくなるように仕上げました。馴染みだしは何回も行います。後輪731gとても軽量です。8月のヒルクライムに出られるようで間に合ってよかったです。

Rovalホイールのスポーク替え

1月にRovalホイールのスポーク替えでホイールの剛性アップが出来た記事を書いています。このお客様はあるヒルクライムレースで優勝されました。日頃のトレーニングの賜物ですが剛性アップのホイールも一役を担ったようです。

今回のお客様もこのブログ記事を読まれたようでご連絡いただきました。Rovalホイールの剛性を上げてほしいとご依頼いただきました。

お預かり時のホイール リムテープ有 737g

ホイールはRovalのアルピニストCLで、使われているスポークはDTのエアロライトです。後輪左右スポークがエアロライトでは力のあるライダーさんではぬるいと思います。

お預かり時点のスポークテンション バラつきがなくよくできています

お預かりしましたらいつもスポークの状態を調べます。少し振れはありましたがスポークテンションは均一に張ってありとても良くできています。若干スポークテンション値は低めですがとても良く揃っていました。高価なホイールだけあってよくできています。

ハブはDT350のストレートプルスポークのハブです。Rovalというシールがリムに貼られていますがいわゆる手組ホイールです。カーボンリム、DT350、エアロライトという組み合わせですので手組ホイールファンでも作れる仕様です。最近の規格では特殊なハブを使ったりしていますが基本的な内容は手組ホイールです。

一般的な手組ホイールと同じですので特殊なスポーク、ハブは使われていません。スポーク替えは難しくありません。

ホイールを分解しました。

ドライブ側エアロライト12本で55g
スポークをコンペティションに交換します 12本で75g

スポークの重量を計測しますとドライブ側のエアロライト12本は55gです。これをコンペティションに交換します。コンペティション12本で75gです。左右交換しますので約40g増えます。これだけのことで温いホイールがシャキッと変身します。

もともと完組のホイールは乗り手にあわせて作られたオーダーメイドではありません。乗り手の力にあわせてホイールを作ってあれば今回のようなスポーク替えは不要です。ホイールに対する不満は後から出ますが完組ホイールではどうしても仕方ないことです。

ホイールメーカーの宣伝文を読みますとサピムのCXRAY、DTのエアロライトがよく出てきます。最強のスポークと書かれることが多いのですが一般にはこのように書かれるといいスポークが使われている上等なホイールと思ってしまいます。実際スポークは高価なスポークです。しかし高級スポークは万能ではありません。

ホイールの剛性は使われているスポークの総面積に比例します。太いスポークで作られたホイールは剛性が高いということです。細くて強いスポークでも総面積が少ないとホイールの剛性は落ちます。お客様にはRovalホイールはヌルかったのですがこれは乗る人によって違います。とても走りやすいという人もおられますのでそれぞれ違います。Rovalホイールはぬるいと一概には言えません。軽くて素晴らしいと感じるライダーさんも沢山おられます。

ドライブ側を約130kgf反対側を約70kgfです  お預かり時点より高く仕上げています

今回は細くて軽いエアロライトから太いコンペティションに交換しました。重量は40g増えました。ホイールの剛性が高まり乗り味は大きく変わることでしょう。ダンシングで登ってもよれることなく登っていくと思います。ご感想が楽しみです。

ミニベロ後輪ホイールは難しい

普段通勤にも使っておられるミニベロのホイールを10速で走りたいとのご希望でご連絡いただきました。ミニベロホイール後輪のご注文です。今回は手に入るハブの関係で後輪だけ作りました。

DA16 329g
シマノハブ FHTX500 32H

リムはアレックスリムのDA16、ハブはシマノFHTX500、32穴です。スポークは短いスポークでも手に入りやすい星のスターブライトを使っています。

本来ならバテッドスポークを使いたいところですがなかなかこの短いスポークに対応できるセラーはありません。

各スポークの間隔が狭いのでニップルレンチが使いにくい

このようなミニベロのスポーク間隔は32穴ありますととても幅が狭いです。通常の12㎜のニップルではスポークとスポークの間が狭すぎてニップルレンチを回すのに手間がかかります。ではどうすればいいのか?ということですがニップルは後ろから回せるニップルを使えばうまくできます。

ホイール作りの作業としては全く普通のホイールと同じですが12mmの通常ニップルでは時間が掛かると思います。慣れた人なら出来るのかもしれませんがミニベロは難しいと思います。

理由は次の通りです。

①ニップルが普通のレンチでは回しにくい

②テンションメーターはスポーク長が短いので使いにくい。使えないときもある。

③テンションメーターがない場合は、使えない場合はスポークを弾いて音で聞き分けスポークテンションを揃えます。しかしこれもまた難しいです。音でやる場合キリがないのでなかなか終わりがありません。

今回は右側左側、各16本で8ペアのスポークで組んでいます。幸いにも1ペアの片側にはテンションメーターをあてることが出来ました。2,4,6,8と8本のスポークにはテンションメーターをあてることが出来ていますのでこれで先ず8本のテンションを揃えることにしています。あとはペアの片方スポークを弾いて音で聞き比べて揃えるという方法を取っています。

いつもの大きいホイールならメーターをあてることが出来るのでスポークテンションばらつき度は5%以上にできますが今回はそこまで出来ていないと思います。しかしスポークが短いので振れは出にくいと思います。

19cmほどのスポーク長です 3クロスで組んでいます 綾も取りました

今回のホイールは小さい径ですがスポークはしっかりと綾を取りました。本来は綾まで必要ありませんが見た目重視にしています。

B5のノートを後ろに置きました 大きさがわかります

納品後にご連絡いただきました。10速に出来て喜ばれているようです。ホントに良かったです。

ヨーロッパのセラーからDT製品が買えなくなりました

7月からDTSwissの製品をヨーロッパのセラーから購入できなくなりました。今月のはじめですがDTのスポークを購入しようとヨーロッパのセラーに注文したのですが購入できません。理由を尋ねたところこのような返事がありました。

残念ながらヨーロッパのセラーからは日本に発送出来なくなっています

Unfortunately DT Swiss started a “selective distribution network” the last week, which doesn’t allow European retailers to ship to most countries outside of the EU anymore. There is unfortunately no exception possible. We’re really sorry for that. 

選択的流通ネットワークという方式が始まったようです。理由はよくわかりませんがDTさんが、いいよ、いいよと大人(たいじん)ではいられなくなったような気がします。勿論DTさんは日本の商社さんと契約していますので全く買えないという訳ではありません。残念ながら製品はヨーロッパの価格では購入できなくなりました。日本の商社さんにとっては取り扱いが絞られたのですから喜ばれているかもしれません。DTさんも販売商社を絞ることで扱い高を増やそうと考えているのかもしれません。

この選択的流通ネットワークという方式はヨーロッパのメーカーはよく使います。ブランド戦略がとても成功している筆頭にローレックスや宝飾ブランドなどあります。どのメーカーも生産数量を絞って消費者の持ちたい意欲をあおっています。しかしもともとの製品に魅力があることが一番です。

では何故DTSwissさんは日本の消費者を締めだしたのか?間口をぐっと絞ったのかをこの一週間考えました。DTのハブはスターラチェット方式で爪方式のハブよりも構造的には優れています。ずっとこの優れた方式で優位を保って大いに儲けてきたわけですがハブの特許が切れました。

最近はスターラチェット方式のハブが中国の通販会社で沢山見受けます。まるで雨後の筍のような感じです。性能もしっかりしています。そりゃそうでしょう、DTさんの特許があって販売が出来なかったのが、辛抱していた縛りがなくなったのですから自由に売ることが出来ます。まるでアジアの逆襲のような感じです。

ホイールは購入した時点からメンテが始まります。スポークが折れたら取り換えないといけません。ハブの修理も必要です。勿論日本では販売店で修理はできますが今までのように自由に部品が手に入らないので一般店では扱わなくなるかもしれません。部品を扱える店はとてもメリットがありますが部品入手が面倒な製品は取り扱い店が減ることも予想されます。ヨーロッパに押さえ込まれるのか、アジアが逆襲するのか、さてこれからどうなるのでしょう?

XR31T/RT32hリムでホイール作製

15年と長く乗られたクロスバイクのホイールを交換したいとご連絡いただきました。お客様はこのブログを楽しんでお読みいただいたようです。XR31T/RTのリムを使ったホイールに興味を持っていただきました。今回はシマノハブをお送りいただいてのご注文です。このリムで作るホイール注文が続きます。

ハブは持ち込みです  一緒にホイールを作っていく感覚です

手組ホイールファンではお持ち込みは大歓迎です。ある意味共同作業的な感覚で、ご一緒にホイールを作っていきます。

リムは500g前後です 軽くはありませんが剛性面ではとても優秀です

ホイールの内容は次の通りです。

リム キンリンXR31T/RT 前後共に32H

ハブ 前輪 シマノ HB-RS400 32H

ハブ 後輪 シマノ FH-RS300  32H

スポーク 前輪 TB2015

スポーク 後輪 左TB2015

スポーク 後輪 右TB2018

ニップル ダブルスクエア

後輪ハブは10速ハブです。使えるギア数は1枚少ないハブですがハブのセンターオフセット値は11速ハブよりも小さいので左右のスポークテンション比率はとても良いホイールに仕上がります。8~10枚とスプロケットのギア数は少ないホイールですがスポークのテンション比率でみると効率の良いホイールが出来上がります。おまけにリムの穴位置が3mm寄っているリムを使いますのでリムでテンション比率は約10%改善できます。スポークのテンション比率を計算上では約70:100の比率に仕上げることが出来ます。

スポーク長計算ソフトでスポークテンション比率がわかります

リムの重量は約500g、ハブの重量は前後で約510gと重いホイールですが駆動比率でホイールの性能を見ますととても優秀なホイールに仕上がります。

一般には軽いホイールを求める人が多いです。しかし力のあるライダーさんは剛性を求めます。軽くて剛性があるのがなお良いと考えますが価格面で難しいと思います。

前輪867g
後輪1102g

コスパを考えますと今回のシマノハブとXR31T/RTリムで作られた多スポークホイールはとても良い組み合わせです。性能と価格を組み合わせた評価では最高の得点を取るホイールではないかと考えています。

出来上がりのホイールは前後で1969gといわゆる文鎮ホイールですが走りの良さは驚かれると思います。ホイールの走りは重量だけで決まるものではありません。

今回のホイールをお勧めする理由はリムの剛性です。ホイールの良さは7割がリムで決まると考えています。当ホイールのリムは31mm高ありますが重量は約500gです。リム高があるので空力の援護を得ることが出来ます。軽くて剛性のあるカーボンリムには及びませんがリム価格は1/4です。コスパよくライドを楽しむにはうってつけのリムと思います。おススメします。

XR31T/RTリム、シマノハブでホイールのご注文

ご自分でも自転車のホイールを組める方よりご注文いただきました。オートバイのホイールも組める超ベテランのライダーさんからのご注文です。普段通り組めばいいのですが今回のご注文にはちょっと張り切ってしまいます。

シマノホイールから取り出した20Hハブ
シマノホイールから取り出した24Hハブ

ハブはシマノホイールWH-R501から取り外した前輪20H後輪24Hハブです。シマノハブは通常28H、32Hと多スポーク用のハブしか販売されていません。今回の20・24Hのシマノハブはこのブログを読まれてヒントにされたそうです。

ご注文の内容は以下の通りです。

リム XR31T/RT 20・24H

ハブ シマノハブ 20・24H お送りいただきました

スポーク 前輪 ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm

スポーク 後輪 ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm

スポーク 後輪 ピラーTB2018 2.2/1.8/2.0mm

ニップル ダブルスクエア ブラス

見積もりを出しましたところダブルスクエアのニップルについて問い合わせがありました。ニップル重量が重いのではないかとご心配されました。

12mmニップルの場合、重量は10個で9.5gです。ダブルスクエアの場合10個で12.5gということで64個での差は約19gですので、前からも後ろからも調整出来る利点は大きいですとご説明しますと了承いただきました。

前輪はスポーク20本ですので一般にはラジアル組ですが2クロス組をご希望されました。乗り味を柔らかくしたいとのことでした。スポークが長くなりますのでショックアブソーバーの働きは大きくなります。

今回のホイールは前後ともに2クロス組です。後輪スポークは左右の太さを変えています。右ドライブ側には中央部が1.8mmのスポークにして剛性を上げています。もともとリムに剛性がありますのでお伺いしました体重、乗り方から考えまして剛性が足りないことはないと思います。しかしホイールの剛性に関しては好みがありますので最終的には乗ってみないと分かりません。

スポークはとても大切な働きをします。完成されたホイールをチューニングできる部分はハブとスポークです。ハブの場合はベアリングの取り換えなど考えられますが走る時速を考えますとなかなか目に見えての改善は望めないように思います。スポークの場合はっきり変化を感じることが出来る部分です。しかしスポークの交換などなかなかできるものではありません。特に完組の場合キシリウムホイールのように特別なハブに特別なスポークですので交換は難しいです。しかしRovalのように手組を謳っているメーカーの場合スポークは汎用品を使っていますのでチューニングアップにスポーク交換は可能です。考えて見られるのも良いかと思います。

前輪766g 左右2クロス組 乗り味は柔らかくなる
後輪1019g 左右2クロス組
センターオフセット値が小さいハブと3mmオフセットリムで左右テンション比率はとても良い

何度も馴染みだしを行いホイールは完成しました。お客様は経験豊かなライダーさんです。道場破りの客人を迎える気持ちですがとても良いホイールが出い上がりました。ご感想が楽しみです。

グランボア650ホイールのスポーク替え

ランドナーで有名な京都のグランボアホイールのスポーク替えをご依頼いただきました。グランボアのホイールは初めての出会いです。部品がグランボアということで、ビルダーさんがグランボアかどうかは確かでありません。

お預かり時のホイールです ハブ、リムはまだきれいに出来ていません
ドライブ側 4クロスで組まれています 少しオーバーラップしています
4クロスで組まれています オーバーラップしています

さて、お預かりしましたホイールはスポークが1本折れていました。ご依頼はスポークをすべて新しく交換です。

いつもホイールをお預かりしますとルーティン作業としてスポークテンションを調べますが今回は各スポークが緩んだり締めすぎたりでホイールになっていないのでテンション調べはやめています。分解前にハブの部分を見たのですがスポークは36H4クロス(8本どり)で組んでいます。

オーバーラップはトラブルの元になる

36Hハブの場合は4クロスで組むと考えがちですがこの組み方ではスポークがハブの部分でオーバーラップします。勿論スポークがオーバーラップしても使えないわけではありません。しかしスポークが重なると不要な曲がりが起こりますのでトラブルの元になりやすいです。また、重なり下のスポークを取り出すには2本緩めないと取り出すことが出来ません。このようにスポークの重なりは何かと面倒です。

スポークがオーバーラップするかどうかはDTのスポーク計算ソフトやエクセルを使うスポカルクでは分かりません。オーバーラップを計算できるソフトの研究が必要です。

シングルウオールのリムはスポークが長いとリムテープが巻けない
スポークがニップルから突き出ていませんのでリムテープは巻けます

グランボアの650リム内部はシングルウオールでした。あまり見かけることがないとても珍しいリムといえます。新しく組み直しましたが意外と剛性が高いリムでした。

リムがシングルウオールなのでスポーク長はニップルから突き出ない長さでないとリムテープが巻けません。ピッタリの長さになるようにスポークの長さには注意が必要です。使用スポークは取り出したスポークとほぼ同じ径のTB2015で組んでいます。

3クロスで組むとオーバーラップしません
スポークテンションのバラつきを出来るだけ少なくします

今回のようなスポーク折れの原因は主にスポークテンションを揃えていないことが多いです。勿論金属疲労で折れるのですが疲労の元になるのはテンションの不揃いからです。出来るだけスポークテンションを揃え、出来るだけ振れを取ることに注意して仕上げました。