サビたマビックスポークの取り換え

当初振れ取りのご依頼でお預かりしましたマヴィックのコスミックカーボンですが簡単に済むと思っていました。しかし残念ながらそうとはいきませんでした。

腐食した前輪スポークです

ホイールを点検しますとスポークはざらついています。何の汚れかなと思っていました。きれいにしようとふき取っても取れません。よくよく見るとスポーク表面が腐食しているようです。

ご依頼は振れ取りなのでまずはニップルにオイルを注して回しやすくしてから作業に取り掛かりました。

運が悪かったのか第1本目のスポークのニップルを回したのですがカーンと大きな音が出てスポークが折れました。よく観察しますとスポークの根元、ねじ部分が赤茶色になっていましてさびが出ています。最初の一本目で折れるとは!  本当にがっかりしました。

マビックの製品はディーラー管理がしっかりしていますので細々とホイールを作っている手組ホイールファンのようなホイール屋には部品をわけてくれません。マヴィックホイールを買って部品どりするしかありません。

お客様に正直にこの状況をお話しましたところお客様は錆のことはご存知でした。折れた理由を説明し、結果的には手に入るスポークを使って取り換えることになりました。

分解には特殊な道具が必要です

マビックのハブは簡単に分解できます。ただ特殊な道具が必要です。写真のハブレンチはホイールについているものです。中古品を買った場合はついていないかもしれません。おまけに取り換えの部品は正規で買っていないとディーラーさんは出してくれません。この点が一番困るところです。

お客様はこのマビックホイールを中古で買われたのでディーラー登録されていないホイールでした。今回はこれで困りました。ホイールの弁償を申し出たのですがお客様もそこまでしなくて良いと言っていただきました。スポークは市販のスポーク交換でいいということになりました。

マビックのホームページを調べますと製品の構造など詳しい情報を知ることが出来ます。ホームページからの情報では271mmのスポークでしたがハブ、リムのERDを計測しスポーク長を出しますと必要なスポークは269mmでした。ちょうど中間の値で作ることにしています。スポークは270mmのDTエアロコンプを用意しました。

純正のスポークより12g重い

純正のマビックスポークは超扁平スポークです。見た目のアピール度が高いスポークと思います。残念ながら市販スポークでは同等品は手に入りません。

用意しましたエアロコンプとマビックスポークの重量を比べますと見た目はマビックが重そうに見えますが細めのエアロコンプの方が12g重いので驚きます。剛性は上がります。スポークが細くなりましたがやはりホイールの存在感はあります。さすがにフランスのホイールは見栄えがいいです。購入者の気持ちにぐっと入り込む作りをしています。

スポークをエアロコンプに取り換えました 分解には専用の道具が必要です
スポークを取り換え後のスポークテンション
テンション調整のみ行った後輪
お預かり時点のスポークテンション状態 少しバラつきがありますがしっかり乗れます
出来るだけスポークテンションを揃えています

ここで注意点があります。専用道具がないとメンテが出来ないようになっているマビックホイールなので中古品を買う場合には覚悟が必要です。

直せる力がある人、面倒見てくれる人が近くにおられる人でないと安いからとか見た目がいいとかで気軽に買うホイールではないと思います。正規品でないと部品が手に入らないブティックブランドのホイールは礼儀正しく正規ルートでお求めなるのが賢明です。

お客様はこのホイールは中古品として売るつもりはないと仰っています。スポークが純正でなくてもいいと了解いただきました。ありがたいことです。結果的にはホイールは蘇りました。

シティーサイクル用のホイール、評価いただきました

ホイールをお届しましてすぐに乗っていただきました。ご感想いただきましたので報告したいと思います。ありがたいことに良いホイールという評価をいただきました。ホイールの内容は11月15日に記事にしています。

手組ホイールファンのホイールを正しく評価していただくにはいろんな方からの判断を集めていくしかありません。今回も参考になると思います。

36穴リムで作っています

以下原文インプレです。

とりあえず20キロほど乗ってきましました。
以下インプレッションになります


フレーム
中華ミキスト 鉄
コンポ
4700 フロントシングル
タイヤ
無印グランプリ 28C
チューブ
RAIR

直進安定性が良いですね。振動吸収と路面追従も最高です。
それにペダリングが楽、
踏んでも回しても気持ち良いです。
途中知人の所に寄り乗ってもらいました。
(速い!)と驚いてました。
楽で楽しくおまけに速い。

スピードを求めるフレームではありませんが ロスなく進むのは気分が良いモノです。 

素晴らしいホイール 重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。

お客様には手組ホイールファンの宣伝になると思いますと正直なところを申し上げてインプレお願いしています。結果的に宣伝になっていますが感じたところを述べていただいて初めてわかるものです。アマゾンの星印と同じです。良い点数いただきました。うれしいです。

リムの荷重試験をお願いしました

ホイールのリムは常に地面に接しているところが凹んでいます。この凹みの連続で自転車は前に進みます。凹みといいましてもほんのわずかな凹みですので見た目にはわかりません。出来るだけ真円に近い状態を維持できるリムほど駆動ロスが少ないと考えています。

地面に接しているところのスポークテンションはこのように凹んでいます

ずっとこの歪を調べリムの剛性を知ることが出来ればロスの少ないホイールが作れると思っていました。重りをリムに載せて歪を測ればよいとわかるのですがどのようにして調べたらよいか分からなかったのですが大阪産業技術研究所という公的な機関で調べていただけることを知りお願いしました。

約3週間で荷重試験の報告書をいただきました。ただし、理事長の承認が必要なので詳しいことは公表出来ません。概要だけはお話できます。

荷重試験の報告書です

XR31T 505g
完組ホイールのS社リム538g

試験的に行いますので調べるリムはキンリンのXR31TリムとS社完組ホイールリム2点を調べていただくことにしました。

この2点を選びましたのは今までの作っているアルミホイールの中で一番成績の良いリムと一般的な完組アルミホイールから取り出したリムを比較することにしました。

荷重試験はリムの上から圧力をかけて一定の時間内で0kgから100kgに至るまでのリムの変化をグラフにしていただきました。

通常は試料をお渡しして結果の報告書をいただくということでしたが、初めてのことなので立ち会わせていただきました。残念なことですが現場の写真は撮らせていただきましたが発表は出来ません。どのような機械を使って調べるかということも発表できないという規則なのでできません。ただ、結果は予想していた通りで今までの疑問が解けて喜んでいます。

完組ホイールのS社リムとXR31Tの剛性は大きな違いがありました。キンリンのリムで作ったホイールはよく走ります。平地でも登りでもよく走るホイールです。特に平地では力を発揮します。

この理由は100㎏の荷重をかけてリムの変化の違いを比べてみましたところ約1.5倍の違いがあったことが分かりました。これから考えられることはXR31Tの方が走るときのリムの凹みが少なく真円を保つ力が高いということです。

リムの剛性とスポークの均一化が大きく影響するという考えていましたがこれは正しいようです。勿論ほかの理由もありますのでリムの剛性だけで決めつけることは早計ですが意味あることには違いありません。

XR31T/RTのリムは505g、完組ホイールS社リムは538gのリムです。重量は完組ホイールの方が重いので剛性はこちらの方が高いと思っていましたが今回の荷重試験では違っていました。この点も面白いと思います。

一般には軽いリムが好まれますが走るホイールは軽さだけではないと考えています。剛性が高いホイールがよく走ると考えます。アルミホイールよりカーボンホイールの方がよく走る理由はリムの剛性がアルミより高いからといえます。次回はカーボンリムで荷重試験をお願いしようと考えています。

シティーサイクルのホイールをアップグレード

シティーサイクルのホイールにということでご連絡いただきました。ハブ、26インチリムをお送りいただきましてスポークとニップルはこちらで提案するというプランです。

剛性が高そうなリムです 476g

リムは写真をご覧ください。ブランドはわかりません。内寸19mm、リムワイド24mm、リム高26mmです。重量は480gほどありますので剛性が高いです。

前輪用 178g
後輪用 431g

ハブはシマノハブでHB-TX500,FH-TX500のナット仕様です。フレームにはねじで固定しますのでホイール取り付けでは非常に安定します。ハブエンドは135mm幅なのでハブオフセット値が小さくできます。このため左右のスポークテンション比率はとても良好です。つまり左スポークテンションが高く取れます。これは駆動ロスを少なく出来るということです。ホイールを作るうえでのプラス面となります。2:1組などの組み方を工夫することなく良好なテンション比率を得ることが出来ます。難しいことをしないでシンプルに3クロスで組むだけで効率の高いホイールが出来上がります。実用度が高い、安くてよく回る優秀ハブです。良いハブを選択されたと思います。

スポークはDTのレボリューションに決まりました。このスポークは中央部が1.5mmのスポークなので取り扱いは非常に難しいです。

完組ホイールで扁平スポークのCX-RAYが使われるのは最強のスポークのといわれる性能の良さもありますが組みやすいからです。効率よくホイール組が出来ます。レボリューション、Laserを使った完組ホイールは見かけません。取り扱いに手間がかかるのが理由です。このスポークは扱いが大変ですが手間をかければ高性能で安価にできます。多スポークの手組ホイールには最適です。

ニップルも大切な部品です。今回は前からも後ろからも締めることが出来るダブルスクエアを使います。とても使いやすいニップルでお勧めですが手に入れにくいのが難点です。

ホイールはスポークテンションを均一になるように仕上げます。これには熟練が必要と思います。

出来るだけ均一になるように調整する 
左スポークテンションが高い
出来上がり シティーサイクルのホイールですがレースに使えます
前輪866g ハブが重いのでこの重量ですがリム剛性が高いホイールです
後輪1106g ハブが重いのでこの重量ですがホイールはよく回る

出来上がりました。シティーサイクルのホイールですがレースに十分使えると思います。乗られた感想が楽しみです。

ピストホイールの作製依頼

2年前にピストホイールのご注文をいただきましたお客様から再度ピストホイールの注文をいただきました。リムとハブはお客様より持ち込みです。

リムはニップルとワッシャーがセットになっています 446g軽量です
前輪用193g
後輪用250g

スポークを選ぶ基準は体重と乗り方で太さを決めていきます。

今回のスポークは中央部が1.8㎜のバテッドスポークを選択しています。中央部が叩いてありますのでストレートスポークよりもねばりがあります。このねばりがショックアブソーバーの働きをしますのでよい選択です。

ハブはノバテックのトラックハブです。穴数は前輪20後輪24の一般的なロードホイールと変わりません。このためリムの選択肢は多いと思います。送られてきましたリムはDTのRR411リムです。このリムはジョイントが溶接でニップルとワッシャーがセットになっていますので割安感はあります。チューブレスホイールとしても使えますのでとても良いリムと思います。

前輪739g
前輪スポークテンショングラフ
後輪820g
後輪スポークテンショングラフ

前輪はラジアル組、後輪は左右2クロス組のJIS組です。今回のシングルフリーの場合後輪スポークは左右同じ長さなので左右のスポークは同じテンションです。左右差のないホイールは駆動ロスが少ないホイールが出来上がります。踏み込んだ力はロスが少なくダイレクトに伝わるホイールです。これがピストにはまり込んでしまうと止められない理由と伺っています。

お客様は自転車をすべてご自分で組み立てされます。ホイール組めるショップが沢山ありますがホイールは手組ホイールファンに任せようといっていただけるのが嬉しいです。

先にお納めしましたホイールは32Hのシルバーホイールで今回は前輪20後輪24の少スポークで作製しています。この2種類の乗り心地の違いを教えていただけますのがとても楽しみです。

フックレスリム使用36mm高カーボンホイールのインプレ

11月10日の記事にしています36mm高のフックレスリム使用のカーボンホイールのインプレをいただきました。熟練のライダーさんが感じられた印象記ですので細かいところも良く感じ取っていただいています。お客様より許可いただいていますので参考にしていただきたいと思います。

前輪 631g フックレスリム使用
36mm高フックレスリム使用 813g

以下原文です。

ホイールの感想です。

80km.1900m upのライドをしたファーストインプレッションです。

タイヤは「シュワルベプロ1TL 」

平坦 漕ぎ出しは完組と比べもっさり感あるものの、速度が上がればぐーーんと伸びる感じ。

30kmくらいの巡航はとても楽、手持ちの完組は尖った印象に対し、手組みは乗り味マイルド、踏み込みコシあり、よく転がりバランスがよい印象。

登坂 ぐいぐい登れる。踏むヒルクライムにはとても良いかも。手持ちの完組のヒラヒラ感とは違い、しっかり堅実に登る感じ。ホイール重量は手持ちの完組とほぼ同じですが、乗り心地の質の面でかなり違いを感じます、

今まで完組でないと走らないと先入観がありましたが、手組み、首折れスポークがここまで走るとは驚きです。今後のホイール選択に手組みも入ってきました。

趣味ライドで十分気持ちよくライドできます。

手組ホイールは走らないと思っておられたそうです。しかし実際はよく走ってくれているようです。良い印象で安心しました。優良可で点数つけますと優の下、良の上というところだと思います。気に入っていただきましてよかったです。

ホワイトインダストリーハブで46mm高ディスクホイールの作製

もう何度もご注文いただいていますリピーターのお客様よりホワイトインダストリーのハブを手に入れたので奥様用のホイールを作ってほしいと連絡いただきました。

リムは定番ホイールの46mm高リムを使います。スポークはどうしましょ?とお尋ねしましたら丸スポークがいいということでした。ドライブ側を1.8mm、非ドライブ側には1.5mmのスポークを提案しました。DTのコンペティション黒とレボリューション黒でお作りすることになりました。

前輪752g
前輪スポークテンショングラフ
後輪863g
後輪スポークテンショングラフ
穴なしリム テープがいらないリムです
ホワイトインダストリー 左右2クロス組
ホワイトインダストリー 左右2クロス組

オーダーホイールはこんなところが良いところです。スポークを選んで作り込んでいきます。スポークはとても大切な部品です。スポークの選択次第で乗り味が変わりますので実力、好みに応じたホイールを作り上げることが出来ます。

ご自分でホイール作りに挑戦したい方は高価なスポークですが扁平スポークで作ることをお勧めします。丸スポークは難しいです。特に1.5mmのスポークはねじれ易いので難しいです。理由はテンションを上げるときにスポークにねじれが生じます。これを防ぎながらテンションを130kgfまで上げるには技術が必要です。

扁平スポークなら容易にねじれを防止できますので簡単という訳です。これを考えますと性能が良くなると扁平スポークをしつこく勧めるショップには要注意かもしれません。Laserで組んでほしいと注文するとビルダーの腕前が分かります。

ハブの寸法データはホームページから得ることが出来ますが実寸を測るのがいいと思います。往々にしてホームページのデータは違っています。2度手間にならないようにするには正確に測ることです。

スポーク長の計算ソフトはいろいろあります。今の計算ソフトはスポークの伸びまで考慮してスポーク長を出すソフトまでありますのでいろいろ試されたら良いと思います。

リムは穴ナシリムを使いチューブレス仕様のホイールです。作るのは難しいホイールですがリムテープがいらないので取り扱いはとても楽なホイールが出来上がります。テープがいらないホイールの良さを知りますとなかなかリムテープ運用のホイールには戻れないとよく伺います。

前輪752g後輪863g軽量ホイールが出来上がりました。時間をかけて馴染みだしを行っています。ご夫婦で走ると伺っています。楽しいライドのお手伝いができまして喜んでいます。

フックレスカーボンリムで36mm高ホイール作製

CADEX36リムブレーキホイールの購入を考えておられた方よりご連絡いただきました。

手組ホイールファンの定番カーボンホイールが考慮中のホイールと似ていることからご連絡いただきました。

お好みのホイールを伺い、提案しましたホイールが次の仕様です。

リム 36mm高28mm幅フックレス 前輪20H・後輪24H

ハブ スターラチェット方式の台湾製軽量ハブ

スポーク 前輪 wing21

スポーク 後輪 左wing21 右CX-SPRINT

ニップル SquorxPro ブラス

フックレスタイプのリムです

リムはフックレスタイプの穴なしリムを使ってチューブレスホイールに仕上げます。ブレーキ面はオプションで強化タイプがあります。

サードパーティーのスターラチェット方式ハブ

ハブは台湾製のスターラチェット方式ハブです。DTの特許期限が過ぎ手数料を支払わなくてもよくなったのが増えてきた理由です。高価なDTハブでなくサードパーティーから手に入るようになりました。

スポークは空力の良いwing21を使い、後輪右は剛性を上げるためにCX-SPRINTにしています。

SquorxProニップルは高価なニップルですが固着防止剤が中に入っています

ニップルは高価なニップルですが内部に固着防止剤の入ったDTのSquorxProブラスニップルを選んでいます。

部品はお客様と相談しながら決めていきます。スポークテンションが揃ったオーダーメイドのホイールですのでご納得いただけると思います。仕上げは馴染みだしをシッカリと回数重ねていますので振れが出にくい仕上がりです。

後輪813g
後輪 グラフにするとわかりやすい
前輪631g
前輪 グラフにするとわかりやすい

今は円安で輸入部品の価格は値上がりしていますが完組のブランドホイールと比べると価格競争力はあります。理屈がわかる人が選ばれる、飾り気のない実質本位のホイールと思っています。後ほどインプレを送るといっていただきました。楽しみです。

ピストホイール再調整のご依頼

2年前にピストホイールをご注文いただきましたお客様のホイールの再調整の連絡をいただきました。

お送りいただきましたピストホイール ハブはDuraハブ スポークはLaser

先ずはホイールの状態を確認いたします。グラフにしますとよくわかります。次のグラフが今回の状態です。

スポークテンションのバラつき度が5%に上がっていますが大きな変化ではありません

納品時点のデータが残っていますので比較しますとよくわかります。

2年前納品時のスポークテンショングラフ

若干スポークテンション値は下がりましたが振れもほとんどありません。ピストホイールは左右テンションが前輪も後輪も同じスポークが寸法なので同じ値を示します。多少の差異はありましてもほぼ同じ値です。

スポークのテンションを揃えておきますと長く使われてもほとんど変わりません。これは振れが出にくいということになります。

数か所ニップルを回しました。この際スポークが供回りしないようにプライヤーレンチなどでしっかり押さえながらニップルを回します。

スポークテンションのバラつき度を改善しましたが大きな変化ではありません

出来上がりました。もとの状態が良く、大きな変化がなかったということで再調整の依頼を受けまして安心しました。

ジップ303後輪ホイールの調整依頼

2010年ころの古いジップ303後輪の調整依頼がありました。

シルバースポーク、シルバーハブは珍しい
後輪641g 軽量です
右ドライブ側はラジアル組 左非ドライブ側はクロス組

届きましたホイールがこのホイールです。昔この303を持っていましたので懐かしいです。

ハブ、スポークがシルバーです。今では別誂えのホイールでないと手に入れることが出来ないスタイルです。お客様もこのスタイルがお気に入りでクロモリフレームに取り付けておられるようです。

お預かり時点のスポークテンショングラフ

ホイールはいつも現状を確かめます。グラフにするとわかりやすいので一番にグラフで確認いたします。現状はスポークテンションのばらつきが大きく目立ちます。

組み方は右ドライブ側がラジアル組、左非ドライブ側はクロス組と変則組で仕上げています。この組み方で組むと左右クロス組よりも2~3%ほど左右比が改善できます。しかし右のラジアル組は駆動には参加しませんのでプルスポークが6本、プッシュスポークが6本ということになります。この組み方だから非常に駆動効率の良いホイールが出来上がるということはわかりません。今では珍しい組み方です。

リムについてですが、現在手に入るカーボンリムとこの13年前のリムと比べますと強度的には大きく変わっています。このリムではドライブ側のスポークテンションが100kgfありません。今のリムとは違いますのでこのテンションよりも大きくテンションアップをはかることは危険なのでやめました。

幸いにもこのリムはチューブラーリムなのでタイヤインストール後のスポークテンションは変わりません。クリンチャーリムならスポークテンションは大きく変わりますがこれについては心配は要りません。

左右のスポークテンション比率は約60:100を得られていますのでテンションアップは考えず、均一になるように調整を行いました。

調整後のスポークテンショングラフ

調整後のグラフを示します。これなら一目瞭然です。乗り味は大きく変わらないと思いますが安心度は増しました。

技術料+送料が往復かかりますが安心して乗れるということは大きなメリットと思っています。