マビック キシリウムホイールの調整

何度もホイールのご注文いただきましたお客様よりキシリウムホイールの調整依頼を受けました。

前輪596g
後輪857g
ドライブ側スポークはラジアル組 反対側はクロス組

当初マビック製品の場合、手組ホイールファンは代理店ではありませんので部品調達がむずかしくホイール調整は出来ない旨お知らせしていました。しかし出来る範囲でOKということでしたのでお受けいたしました。

スポークテンションの調整とハブのグリスアップを行います。

フリーは引き抜けば容易に外せます きれいにしてグリスアップ行いました

キシリウムホイールはアルミスポークを使われています。スポークの剛性に関してアルミスポークはスチールのスポークとほぼ同じですが見た目が太くなりますのでとてもがっちりした印象です。この見た目にほれ込むユーザーが多いのも事実と思います。

お客様はキシリウムとわかるのが嫌でシールをはがし、写真のように一見普通のホイールのように見えますが現物は正真正銘のキシリウムです。

グラフのテンション数値はソフトと連動していませんのでバラつき度のみ確認しています
スポークテンションのバラつきがなくなるように調整しました

スポークの調整が終わりグラフにしました。グラフにしますと分かりやすいです。数値は高めですがタイヤをインストールしますと10~15%テンションが下がりますので数的にはいい数字かもしれません。

前輪ハブのフランジ幅は80mmと広いので横剛性が高い
前輪スポークの角度は8.2度あります  とても優秀で横剛性が高いホイールです

もともとの調整をお受けしましたお預かり時点の数値をもとに調整しています。スポークテンションのバラつきはなくなり均一化しています。

今回の調整ではアルミスポークを扱うのは難しいというのが印象です。何度か別のホイールでアルミスポークをポキンと折っていますのでアルミスポークの扱いは難しいと思います。

スポークの供回りを防ぐためにプライヤーなどの工具で押さえます。急に力を加えることなくゆっくりと行えば折れません。時間が掛かりますが急がば回れです。無理な力を加えなければスポークは折れません。時間は掛かりますが丁寧にするのがコツのようです。

スポーク替えしたICANホイールのインプレ

ご友人のホイールと乗り比べてみてあまりの違いだったのでご相談いただきました。お客様のホイールは剛性が強すぎたようです。ロングライドで帰るとくたくたに疲れておられました。剛性が強すぎると疲れ易いホイールになりますので剛性を下げるといいですよということでスポーク交換のご依頼をいただきました。詳細は5月30日、5月31日のブログ「ICANホイールのスポーク替え」で記事にしています。

ICANホイール 前輪
ICANホイール 後輪

この度、組み換え後の新しいホイールに乗られたご感想をいただきました。ご了解をいただきましたのでブログ記事にさせていただきました。今使っておられるホイールをよくするための参考になると思います。以下原文です。

休みが取れましたので、そこそこ長い距離(80kmほどですが)を作り替えていただいたホイールで走ってきました。その感想を申し上げたいと思います。

 乗り始めてすぐに気が付いたことは、乗り心地が凄く良くなっていることと、以前に比べてスムーズに転がることです。

いつもと同じ道、いつもと同じ幾分荒れたアスファルトで、タイヤとの間に薄いカーペットを一枚挟んだ感じと言いましょうか、タイヤの空気圧はいつもと同じはずなのに地面からの突き上げが半分以下になった感じです。

 そして一番驚いたことは、「剛性がありすぎるホイールは初心者には使いこなせない」という意味が自分なりに良く理解できたことです。

比喩的表現で判りづらいでしょうが、以前のホイールは鬼軍曹、現在のホイールは親身で優しい先生と言った感じです。

剛性が下がったおかげなのか、スポークを両側クロスで組んだおかげか、はたまたテンションがきっちり揃ったおかげなのか私には判別できませんが、どこで力をかければ一番進むのかをホイールが教えてくれる感じがします。

バネを効かせて前に飛び出す感覚と言うのでしょうか、そこを狙って踏んでそれ以外は無駄な力をかけないので、気が付けばいつもよりスピードが出ているのにほとんど疲れないのです。

以前のホイールはどこを踏んでも同じで、それ故に常に力をかけている感じで、きっと踏まなくていい所でも踏んでいたからすぐに疲れていたのではないかと思いました。

きっとテンション、スポーク、組み方すべてのバランスが取れているからだと思いますが、走り終えた後の疲労度も全然違います。大変気に入りました。

 今更ながら思うことは、知らないということは恐ろしいことだと言うことです。

ブログを拝見していなかったら、きっと私は「これが普通だ」と信じて転がらない疲れるホイールで必死に漕いでいたのでしょうね。

良い機会を得られたこと、良い職人さんに出会えたことを感謝します。

ちなみに、費用対効果は私の物差しでは抜群に良いと思いました。

ありがたいご感想をいただきました。良いホイールになってよかったと思います。過分な評価を頂き感謝しています。

ホイールはカメラのレンズとよく似ています。解像度が素晴らしいレンズを使っていて、もうこれで十分と思っていても違うレンズで撮影するとまた違った好きな画像に出会うことがあります。比べるとよくわかります。好きなレンズに出会うには比べるしかありません。ホイールも全く同じで比べたらわかります。お金を出せばいいものに出会える確率は高くなりますが誰もが出来ることではありません。レンズ沼、ホイール沼にはまり込むとなかなか抜け出せないのも事実です。しっかりと足元を見据えながら沼を渡っていきたいものです。

波型亀甲柄カーボンリムでホイール作製

3度目のカーボンホイールをご注文いただきました。

波型亀甲柄のオーダーリム使用

今回は波型リムで亀甲柄を指定されました。リムブレーキ用で前輪ブレーキ面は強化タイプです。オプションで特殊加工されたブレーキ面はブレーキがよく効きます。

前輪 ブレーキ面は強化加工をしています 方向性があります

リムブレーキ用のカーボンホイールはブレーキが心配という人が多いようです。これは慣れの問題ですがオプションで強化しますと心配は少なくなります。ディスクブレーキにしなくても充分使えるという人が多いです。慣れたフレームを変える必要がないのでファンが増えています。

亀甲柄で特注しています 後輪用のブレーキ面は通常のブレーキ面です

リムは柄が亀甲柄で写真のように波型です。波型にすると空力が良くなると言われています。最近のトレンドのようでいろんなメーカーから発売されています。実際手組ホイールファンにも問い合わせが増えています。

ハブ、スポークはお任せいただきましたのでノバテックハブとwingスポークで組んでいます。

ノバテックハブは台湾の量産ハブです。高級ブランドハブではありませんがフリーなどの部品が容易に入手できます。摺動性も必要十分の性能です。

スポークはピラーのwing21スポークです。サピムのCXRAYやDTのエアロライトよりは剛性が高いスポークです。空力はウィングスポークの方が少し勝っていると言われています。この差が理解できる人はなかなかいないと思いますが良いといわれると気持ちとしてはいいものです。

スポークの剛性がCXRAYよりも高いのでCXRAYを使われたホイールではヌルイと感じる方には良い選択と思います。高級スポークだからよく走るというのではなく、乗る人の力や体重にあわせて選択するのが本筋と考えています。

前輪 620g
後輪832g

スポーツテンションを出来るだけ均一になるように、出来るだけ振れを少なくして仕上げています。お客様の評価が楽しみです。

優勝したとメールをいただきました

調整して頂いたロバールのホイールをつけて地元のローカルのヒルクライム大会「上州藤岡ライドandヒル」という大会で40代1位になれました

調整して頂いた凄く回るホイールのおかげです

6月9日に開催されました

チャレンジサイクリングフェスタ2024 第13回上州藤岡ライド&ヒル

40歳代部門で優勝され、お客様より上記(原文)のご連絡いただきました。試合後すぐにいただきました。

ホイールが助けてくれたとご一報いただきましたが、やはり日頃のトレーニングが実を結びました。好成績に終わられて本当に良かったです。お手伝いと言うほどではありませんがとてもうれしいお話です。

ホイールは乗り手との相性があります。いくら高価なブランドホイールでも乗り手の力とあっていなければヌルク感じたり、反応はいいのだがすぐに疲れてしまうということがあります。

スポークを取り換え剛性を強化したRovalホイール

これらはスポークの選択でよくなることが多いです。ぬるい場合はスポークを太くする。剛性が強過ぎる場合はスポークを細くする。このように乗り手が持っておられる力に応じた剛性がいいと思います。詳細は1月15日の記事「Rovalホイールの剛性アップ」で分かります。

追記:お客様より新しく連絡いただきました。ホイールの感想です。

この大会に向けて練習した成果と回るホイールのウェートもかなり大きなアドバンテージになったのは間違いありません

二カ所下りがあるので一気にスピードを上げられましたし、登りでもスピードが下がりずらくペダルのパワーがホイールにちゃんと乗っかり進む感じがしました

スポークを変えたことで力が逃げないで進ませてくれるのがよく分かりました

Rovalホイールも乗り手の力に合っていなければホイールの性能が発揮できません。Rovalはヌルイと言われているのをよく聞きます。理由はスポークがCXRAY、エアロライトと細いスポークだけで仕上げているからです。高級スポークは万能ではありません。しかし朗報です。高価なホイールを買ってがっかりしている人にはスポーク交換という手があります。

後輪カーボンホイールの点検、再調整のご依頼

5月20日の記事で前輪のスポーク替えを行いましたホイールですが、既に15000kmほど走っておられるようです。今回は後輪をスポーク調整とハブメンテナンスの依頼がありました。

ホイールは46mm高のリムブレーキホイールです。ブレーキ面はオプションで強化加工を行っていますのでブレーキはとても良く効きます。ディスクに変更する必要はないと伺っています。

今回のハブはミケハブです。ハブの分解は5mm六角レンチを2本用意します。シールドベアリングを使ったハブは慣れた人なら容易に分解できますが、ビギナーさんには少々面倒でハードルは高いと思います。

5mmレンチ2本で分解します

プロに任せるのではなくご自分でされるのであれば別のハブを用意して分解してみるのも良いのではないかと思います。事前に練習してハブの構造が分かれば簡単にできます。しかし一番簡単な方法は専門の人に任せることです。時間と技術をお金で引き換える方法は納得できる方法です。

ハブをきれいにすることで整備が始まります
油汚れは油で落とす

ハブの調整はしっかりと汚れを取ることから始まります。油汚れは油で落とすといいますが先ず汚れを拭きとり新しいグリスをつけてまた拭き取ります。何度も繰り返せばきれいになります。汚れを取り除きますと8割は終わったようなものです。最終的には新しいグリスを塗って元通りに組み立てれば終わります。

ホイールはもともとしっかりと馴染みだしを行っていますのであまり修正するところはありません。数か所修正して終わります。ハブのメンテも1万から1.5万kmでグリスアップしておけば長く使えます。自転車は買った日からメンテは始まります。自分でやる、人に任せるは自由ですが定期的にメンテをすれば長く使えます。

ICANホイールα40,α55のスポーク替え

前回記事の続きです。

分解しましたICANホイールを仕上げます。ウィング21と丸スポークを使った2種類見積もりしましたところ、お客様はウィング21を選ばれました。

簡単に説明しますとリッチマン・スポークSA1423で作られた剛性がありすぎるホイールのスポークを取り換えて少し剛性をさげています。後輪は組み方を替えました。当初ドライブ側は2クロス、左側はラジアル組です。これを左右共に2クロスに変更しました。

お預かり時点では右ドライブ側2クロス組、左側はラジアル組です

当初プルスポークは右の6本でしたが左右12本のスポークをプルスポークとして働いてもらったらいかがですかと提案しました。

左右共に2クロス組に変更しました

了解頂き出来るだけスポークテンションを揃え、出来るだけ振れを少なくすることに注意して仕上げました。

前輪スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

ホイールはスポークの選択で乗り味が変わります。今回のご注文ではホイールの剛性を下げました。そして適切なスポークテンションに仕上げています。これで乗り味は大きく変わります。細いスポークに交換しますと適度に地面からの衝撃を吸収してくれます。新しく変身したホイールのご感想が楽しみです。

ICANホイールα40,α55を分解しました

ICANのホームページから直接お求めになったホイールの再調整のご依頼いただきホイール分解する機会を得ました。このホイールはとても興味深いホイールです。

前輪α40 668g
後輪α55 905g

ホイールの印象としましてはとても良くできたカッコイイホイールです。価格も手ごろで安価に仕上げるための企業努力を感じます。

前輪用40mm高  464g
後輪用 55mm高  509g

前輪Alpha40,後輪Alpha55のスポークはピラーのSA1423というスポークを使われています。スポークのマークはピラーのPマークではありません。ピラースポークの中にリッチマンというブランドがあります。ピラーなのにRマークなのでなんとなく可笑しいです。

リッチマン SA1423

このリッチマン・スポークのSA1423は扁平スポークですが扁平部分が2.3/1.5mmというサイズでほとんど丸スポークのような印象を受けます。このスポークはとても剛性が高いスポークで2mmの丸スポークを叩いて扁平にしたようです。このスポークがホイールにプラス面マイナス面で大きく影響していると思います。

ハブは手組ホイールファンでもよく使うノバテックのA291SB,F482SBです。軽量で修理部品が容易に手に入ります。摺動性などハブの性能は必要十分なものを持っています。実用ハブとして価格も安価で、台湾ハブのある意味銘品と思います。

ノバテックA291SB 60g
ノバテックF482SB 232g

他のホイールと比較して感じるポイントはスポークの選択と考えます。このα40、α55のイメージはシマノホイールの低価格アルミホイールがぴったりと感じました。これは決して悪い意味ではありません。

一般にはシマノWH-RS100のような低価格ホイールは2mmの丸スポークを使っています。入門者用の印象ですが、実は知る人ぞ知る、上級者好みのとてもよく走るホイールです。価格が安価なので完成車に付属するホイールです。

剛性の高すぎるホイールは脚力のない人には使いこなす力がありません。本当はとてもよく走るホイールなのに乗り手とのミスマッチで、重くて走らないという評判が先だってしまいます。実際は剛性が高過ぎるのが理由ですのでとても残念です。

このα40、α55ホイールも全く同じと思います。使われているリッチマンSA1423スポークは扁平スポークですがとても太く2mm丸スポークとほぼ同じです。太いスポーク使われていますので剛性がとても高いホイールです。カーボンリムを使ったシマノRS100という感じです。

このホイールは安価でよく走るでしょう。但し乗り手を選びます。FTP300Wの人なら容易にじゃじゃ馬ホイールを乗りこなせますがビギナーさんではすぐに疲れてしまうのでは?と感じました。乗ってみて最初はいいと感じていてもロングライドには向かないホイールです。

お客様から伺ったお話では予想通りですぐに疲れてしまうホイールでした。解決策を考えようと思います。

DTのRR411リムで多スポークホイール作製

手組ホイールを検討されていたお客様よりご連絡いただきました。シマノハブの持ち込みでホイール作製のご依頼いただきました。

お送りいただきましたハブ 前輪用157g
お送りいただきましたハブ後輪用FH5800 32H  重いハブは丈夫ということです
前輪用428g
後輪用455g  後輪用は少し前輪より重い
後輪リム 穴位置が左側にずれています

ホイールの詳細です。

リム DT RR411 前後共に32H 後輪リムはオフセットリム

ハブ シマノ HB-5800 FH-5800 共に32H 持ち込み

スポーク 前輪 TB2015(2.0/1.5/2.0mm)シルバー

スポーク 後輪左 TB2015(2.0/1.5/2.0mm)シルバー

スポーク 後輪右 コンペティション シルバー

ニップル SquorxPro ブラス シルバー

リムにはアルミニップル(SquorxPro)シルバー、ワッシャーが付属します。手組ホイールファンではブラスニップルをお勧めしていますのでブラスのSquorxProを使用しています。勿論スポークの長さを注意すればアルミニップルも強度では心配いりませんが、より丈夫なブラスでお作りすることになりました。

左アルミニップル(リムに付属しています) 右ブラスニップル(これを使っています)
付属ワッシャー リム穴周辺を強化します

ワッシャーはリムに付属していますのでそのまま使用しています。ワッシャーはリム穴周辺を強化します。ハイテンションでスポークを引っ張ってもリム穴周辺は変形しにくくなります。

前輪スポークは中央部が1.5mmの細いスポークを使っています。スポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますので地面からの衝撃を吸収してくれます。このためロングライドに適しています。長時間のライドでも疲れにくいホイールとなります。

後輪左も同じスポークですが右側を中央部が1.8mmのスポークにして太くしています。太くすることで剛性を高めています。ほんのわずかな差ですが剛性が高まっていわゆる掛かりの良いホイールとなります。この手法はよく使われる方法です。

スポークテンションは出来るだけ均等になるように組み上げます。チェーンから伝わる力はハブから各スポークに伝わりますがこの時スポークの張りが不揃いなら伝わる力は減じます。駆動ロスが起こる原因にスポークの不揃いがあります。

前輪791g
前輪スポークテンショングラフ
後輪1052g
後輪スポークテンショングラフ

スポークテンションを揃えて駆動ロスが少ないホイールに仕上げます。

ロングライドに適した多スポークホイールはとても優秀です。輪行にも適しています。チューブレスタイヤ、バルブ、シーラントを用意すればチューブレスホイールとして使えます。お客様のご感想が楽しみです。

XR31T/RTリムを使ってホイール作製

最初はレーシングゼロの調整依頼が始まりです。最初はお客様には部品の調達が出来ないのでお断りしたのですが、再度新しいホイールの見積もり依頼をいただきました。

何故見積り依頼をいただいたかと言いますとキンリンXR31T・RTで作りましたホイールはレーゼロに負けないことをお知らせしたからだと思います。

このブログを始めたころ2019年にシクロ選手によるホイールの乗り比べをやっていただいたことがあります。レーゼロ、ユーラス、XR31T/RTのホイール、AL22で作った有名ショップの手組ホイール、ライダーさん行きつけショップの手組ホイールの5セットを緩い下り坂、3%の登り、7%の登りの場面に分けて、一定距離を一定の力(270W)で走ってタイムを計るというテストです。

この時のXR31T・RTのスポークは前後共にCX-RAYでした。結果を言いますと下り坂で一番早かったのはXR31T・RTです。登りでは剛性不足の為レーゼロに負けています。

結果から考えましたことはスポークの剛性不足だと判断しています。あとでスポークの太さを替えて剛性を高めました。成績はとても良くなりレーゼロに負けないホイールに変化しています。

お客様はこの話に乗っていただきました。提案のホイール作製プランは次の通りです。当初2種類の提案をしています。通常の丸スポーク案と扁平スポーク案で価格は少し違います。お客様は扁平スポーク案を選ばれたました。

リム XR31T・RT 前輪24H後輪28H 後輪リムはオフセットリム

ハブ ノバテック A291SB24H F482SB28H

スポーク 前後共に ウィング21 シルバー

ニップル ダブルスクエア シルバー

ホイールはとても奥が深いもので軽いだけが良いという訳ではありません。乗り手の体重、好みや走力でいろいろと選択肢が増えます。

今回のアルミリムは500gほどの重量があり軽いリムではありません。しかし力のある人は軽さでなく剛性を求めます。空力がよく剛性が高いリムを使いました。スポークはCXRAYより剛性の高いウィング21です。

出来上がりは走りでは負けない無印ホイールです。負けているのはブランド力だけで高級ホイールに乗っているという自慢はできません。しかし価格はブランドホイールの半額以下で高い性能を得ることが出来ます。

要点を整理しました。

*荷重試験で好成績のリムを使う。

*CXRAYは良いスポークですが万能スポークではありません。

*体重、乗り方でスポークの選択を行う。

*安価なハブでも摺動性は悪くない

最初はレーゼロの修理依頼から始まり、ホイールのご注文に至っています。

前輪729g
前輪スポークテンショングラフ
後輪917g
後輪スポークテンショングラフ
後輪リムは3mmオフセットリムです

バルブ、シーラントを使えばチューブレスホイールとしても使えます。ノーブランドというブランドで楽しく乗れるホイールです。ご感想が楽しみです。

カーボンホイールのスポーク2本取り替え

グループライドで仲間の後輪とご自分の前輪がハスってスポーク2本歪んだので取り換えてほしいと連絡ありました。

お客様は高速ライダーさんで普段は軽く35km巡行で淀川サイクリングロードを走っておられます。昨年お納めしました46mm高のカーボンホイールはとても調子が良いということで気に入っていただいています。

お預かり時点のホイールです 見た目ではほとんどわかりません
歪んだスポークです
見た目ではわかりませんがホイールの状態がよくわかります

スポークは見た目ほとんど歪んでいるかはわかりません。しかしスポークテンションを調べてみますと傷んでいるのがよくわかります。

リムは穴ナシリムです。先ずはスポークの取り外しからですがニップルはぽとりとリム内に落ちてしまいます。これを一つだけあいているバルブ穴からリムを振って取り出します。運が良ければすぐに出てくるときもありますが5分振り続けても出てこないときもあります。まさに運しだいですが中にあるニップルが1個、2個と少ない場合ほど出にくいです。結構時間が掛かります。

リムメーカーはスポークテンション値を指定しています。前輪の場合100~110kgfです。テンションメーター校正器を用意して110kgfはメーターの何目盛りなのかを見ておくと正確に直せます。

厳密にすることは要りませんが指定値範囲内に納めることがリムを長く使えることになります。きれいに回って振れがなくても各スポークのテンションが不揃いの場合はトラブルの元になります。テンションが凸凹状態では緩いスポークが折れやすいので出来るだけスポークテンションを揃えることが大切です。

ホイール作りの肝は「スポークテンションを揃えること」と言い切っても良いくらい大切です。これは見た目では全く分かりません。

出来上がりました。仕上がりがこの状態です。きれいに組み直しできました。