体重とホイールの関係について

ホイールを作る際体重を考えて作る必要があると考えています。ホイール作製の依頼を受けるときは必ず体重を伺っています。

 

ホイールの剛性はスポークの太さ、タイプでも違います。またリムの形状によっても違います。このためこのリムを使ってこのスポークでは体重がこの体重までというような厳格な分け方をしていません。現に完組ホイールメーカーでも分けていません。体重何kgまでということは決めているようです。柔なホイールでも人を乗せることはできます。

 

しかし大体の目安はいると思います。いろんな経験豊かなビルダーさんの意見をあつめて私なりの目安を決めています。

 

20/24h  75kg+少しの重量

24/28h  90㎏まで

28/32h  110㎏まで

32/32h  どなたでも

 

この指標を目安にスポークの太さで調整しています。

前後32hであればどなたでもOKです。こんな意味でも多スポークホイールの32hは乗る人を選ばないホイールです。

 

一例をあげますと、400g以下の軽量アルミリムで20/24hのハブを使い細いスポークで組み上げると1280g~1300g前後で組み上げることができます。

この軽量ホイールがどなたでも対応できるかといえば難しいと思います。90㎏の人でももちろん乗れることはできますが上り坂でぐいぐいとダンシングすれば剛性の面で、コーナーでのホイールの撓みなど強度面、耐久性で体重に合わない軽いホイールは危険と思います。

 

雑誌のサイクルスポーツでは『軽さは正義』と名を打ってロードバイクの軽量化の記事を載せていました。確かに理論的にも軽量ホイールは有利ですが剛性が伴っての軽量化と思います。

 

あるライダーに私の作ったホイールや、ユーラス、レーゼロなど5種類のホイールを乗り比べた実験をしていただきました。この方は73kの体重でFTPは300という強者です。この実験で32hの2000gを超えた手組ホイールが7%の登りで結構よい結果を出しています。

これに反してサピムCX-RAY でしっかり作ったつもりの私の軽量ホイールは7%の登りで32hのホイールにタイムで負けました。

 

これはホイールの剛性と乗り手の体重が影響していると考えています。重くても剛性と体重の関係がよければホイールは走ります。軽ければ軽いほどホイールはいいホイールという考えではなく乗る人の体重を考慮に入れて剛性を含んだ軽量化が必要と思います。体重の重い人がスポークの細い軽量ホイールに乗ってもホイールは撓んで力を逃がしてしまうに違いありませんし危険度が増します。軽さは重要なファクターですが軽いだけで選択するのは間違いと思います。

コーチに行きました③

ニップルシャッフラー種明かし

 

ニップルシャッフラーを持参しました。

どのように使うかを説明いたしました。ニップルをこの箱に入れてシャカシャカと振りますとこのように溝の中にはまり、あとは順番にヤスリのインサーターで突き刺しながら作業を進めるという方法です。

手早く仮組ができることは間違いありません。

この箱どうして作ったのですかと聞かれ種明かしをしました。

一合升と割りばしです。仕切る木の材料に手軽なものがないか探していましたら割りばしを思いつきました。升の内寸を正確に測り割りばしを切り接着剤で止めただけのものですが本当に役に立つ品物です。

一合升と割りばし

違うタイプの製品も販売されているようです。アサヒの通販でグランジ ニップルツールセットというのがあります。これを使っているショップの方のYouTubeを見たことあります。

ここまで紹介しましたがたくさんホイール作る人以外はいらないと思います。ただあれば非常に便利な品物です。

コーチに行きました②

ホイールの組み方のコーチに行きました話の続きです。

 

リムのバルブホールを起点にリムにマジックで番号を打つことを勧めました。

これは慣れればいりませんがスポークに番号を打つことでどの位置が緩い、左に寄っている、右に寄っている、縦ブレの位置の修正など場所が特定しやすいのです。

この番号をもとに表を作りテンションを測ります。

このテンション表をもとにどの場所を修正すればよいのかがわかりやすくなりますよとお勧めしました。これも慣れればいりません。

私はパソコンを横においてデータを入れてグラフにして逐次確認しながらホイールを作っているのですが、私のやり方が最良であるわけでないので個人にあった方法を見つけられたらいいと思います。

新品のパークツールのテンションメーターを出してこられこのメーターで測りました。

順番にスポークをチェックしてこういう風にしていきますと説明しました。

私も自分の使っているテンションメーターを持っていきましたので私のメーターでは数値70kgfを示しました。新品のパークツールのメーターと比べ数値は94kgfです。あまりの違いにびっくりされたようです。

私のメーターは校正していますので仮に誤差がありましても5%以内の誤差です。パークツールのメーターを信じて作業を終わると100kgfで作ったとしても実際は75kgf前後のテンションンになります。これではゆるゆるのスポークテンションといえます。

初めてスポークを触る人にはメーターで100kgfと示されたらこれは100kgfと信じてしまいます。いやこれは少し緩いとわかる人はまずいないと思います。

 

今回のコーチングでテンションメーターが言葉は悪いですが新品でもあてにならないということをわかっていただいたようです。

 

このメーターではスポークテンションを揃えるには有効ですが絶対値を知ることはできないということです。

 

私は売り物のホイールを作っていますのでしっかりテンションの管理をしないといけませんが自分用のホイールでなら別にテンションが揃っていなくてもいいわけです。振れ取りができていればいいのです。緩んで振れが出てきたらまた直したらいいだけです。そんなに気にしなくてもいい話です。

ただしっかりとスポークテンションを適正な値まで上げて揃えることがスポークの寿命を延ばしスポーク折れなどのトラブルを少なくする方法であることは間違いありません。

 

コーチに行きました

ホイールをお買い上げいただいた方より連絡がありました。

 

ご自分でホイールを作りたいとのこと、私のブログを参考にしていただきました。

参考書をたずねられたのでwheelproのe-bookをお勧めしました。

リム、ハブ、道具などすべて揃えて組み立てを始められたのですが、どうしても組み立てができないということで援軍以来のメールが入り本日コーチに行ってきました。

天気も良く庭で組み立てを行いました。私が組み立てながら説明しました。実際組み立てを見ていただいてわかっていただいたようです。ユーチューブなどいろんなビデオを見られたのですがやはり実際に体験されてよくわかっていただいたようです。

 

私もこんなことは初めてなので恥ずかしいことですが何度も失敗をしてしまいました。いつもなら20分くらいで仮組が終わるところ、すべて前輪を組むのに2時間もかかってしまいちょっと情けないことでした。今回は80%くらいの仕上がりで後のテンションアップはご自分でやっていただくことでコーチングは終わりました。

 

今回の説明で喜んでいただいたことは組み立てができたことですが、加えて

 

ニップルインサーター

手作りのニップルシャッフラー

を持って行ったことのようです。

このブログから私の使っている道具を知っておられたのですが実際どのように使っているかを見て理解していただいたようです。

特にニップルシャッフラーの使い方ですが便利に使っているのを見られて驚いていただきました。時短できているのにあっけにとられたようです。

一合升を加工しているのですがちょっとした工夫で便利に使えます。

 

ニップルインサーターにやすヤスリを使うことも意外だったようです。

 

前にお納めしたDT411のリムを使ったホイールから意外な展開となりました。

後輪がうまくできたと連絡をいただくのが楽しみです。

 

ちょっとうれしい話を聞かせていただきました。お納めしたホイールでヒルクライムのレースに出られ、前回の記録から3分タイムが上がったと聞かせていただきました。日頃の練習でタイムが伸びたとは思いますが私の納めたホイールでタイムが伸びたと聞きうれしくなりました。

凄腕メカニックさんと話しました

久しぶりに凄腕のオーナーメカニックさんと話しました。一部の知識は私のほうがよく知っていることもあるのですが総合的にはこの人がはるかに経験豊かですのでこの方との話はためになります。

30分ほどですが今回もいろいろ教えていただきました。

チューブレスタイヤが流行りだしているのですがやはり扱いが楽なクリンチャーに戻る人もたくさんおられるようです。チューブレスのシーラントはどの方も厄介と思われるようです。このためクリンチャーに戻るそうですね。

ホイールの軽量化はどうですか?と尋ねましたらチューブラーが一番やねとのことでした。この意見には私も同感です。もっと32hのチューブラーホイールの良さを知ってほしいですねといいますと、その通りなんやけどいまは無理やなとのこと。しかしレースに出るんやったらチューブラーやでということでいったん話は終わりました。

 

クリンチャーですがソーヨーのラテックスチューブを勧められました。私は使ったことがないので何とも言えないのですが乗り味はガラッと柔らかく感じるそうです。

とても高価で1本3000円近くするのと空気を毎回入れないといけない不便さがあるがいいですよと勧めていただきました。アマゾンのレビュウーでは賛否両論のチューブのようです。それだけ使い方が難しいようですが一度試そうかと思います。だけど高いですね。

 

前にもハンドルのことをブログに書いたのですが今回もハンドルのことを聞いてきました。

エアロタイプのハンドルはワットを稼ぐとのこと。ハンドルで空力がよくなるから大事ですよといわれました。別の方からもアドバイスいただいたことを思い出します。ハンドルは相性で自分に合ったハンドルに出会うまで何度も取り換えたとのことです。

 

ハンドルにチューブ、ホイールといくらお金をつぎ込んだらいいのか、自転車はお金がかかります。まあ好きなことですから仕方ないですが。

XR31RT後輪ホイール作製プラン②

ホイール作製プランを実行、作り終えました。

スポーク長は計算データ通りにしました。

左 コンペティション2.0/1.8/2.0mm 282mm

右 星スターブライト2.0mm    264mm

 

このデータ通りスポークを用意し仮組しました。

右ドライブ側はヘッドイン 1クロス組、左は3クロス組です。

左3クロス組
右1クロス組

スポーク長で失敗しました。ヘッドインにしたために1mm短くてやり直しです。

265mmのスポークを再度用意し組みなおしました。左NDS側も1mm短いようです。ともにワッシャーを使っていますので1mm短かったです。

しかし一応使える状態ですので性能を調べて後日スポークのやり直しを行う予定です。組み上げたデータは次の製作のために残しています。

スポークテンショングラフを出してみます。

左88.8kgf 右127.0kgfです。比率でみると約70:100%で仕上がっています。

プランでwheelproの計算表では66:100%です。この違いは何故かちょっと考えました。4%の高くなるのはどうしてなのか考えました。

 

どうもドライブ側をヘッドインで組み上げたのが影響しているようです。

ヘッドインで組んだのでハブオフセット値が変わりました。

38.2/18.7で入力していましたが右側がヘッドインのため1mm広くなり19.7で入力します。

すると結果は69:100%のテンション比率が出ています。

 

通常こんなに計画通りに数値が出にくいのですが今回は出てくるデータもほぼ計画の数値です。

このホイールはスポークテンションに関しては11速ハブの欠点をカバーしているデータが出ています。

 

では次の写真は同じハブ、リムを使って左3クロス右2クロスです。

右2クロス組
左3クロス組

スポークは左コンペティション2.0/1.8/2.0mm右スターブライト2.0mm

スポークテンショングラフは以下の通りです。

テンションは左71.1kgf右123.0kgfでテンション比率は計画値には及びませんが 57.8%で高い比率です。

この2つのホイールを比較してリム、ハブは同じでもスポークの組み合わせで大きく変わってきます。

今回のこのホイールを実際に走ってみて調べてみたいと思います。

XR31RT後輪ホイール作製プラン

キンリンワイドリム、シマノハブを使って後輪ホイールを作る計画です。

 

キンリンXR31RT 28h 3mmオフセットリム 509gERD570mm

XR31RT  28h

シマノ FHrs400 28h 367g

shimano FH-RS400 28h

ハブデータをwheelproのソフトを使ってスポーク長を出します。データを入力しました。

スポークを左右3クロスで計算しました。スポークテンションレシオは62:100%で左スポークのテンションが高い値です。これは3mmオフセットが大きく寄与しています。

オフセットしていなかったらテンションレシオは49:100%です。

では左3クロス右2クロスで計算してみます。ヨンロク組と呼ばれている組み方です。スポークテンションレシオは64:100%です。2%上がっています。

次にスポークの太さを替えてみます。左CX-RAY 右コンペティションの組み方です。結果はスポークを替えても64:100%でテンションレシオは変わりません。

よくブログで書かれているのを見るのですがスポークの太さで右を太く左を細くすることによりテンションレシオを替えるように理解している人が多いのですがテンションは変わらないのです。

何が変わるのかとなると剛性が変わります。

引っ張り剛性はスポークの総面積に比例しますのでスポークの本数を増やしスポークを太くすれば剛性が高まるということです。面積を増やすと当然重くなります。トレードオフの関係で頃合いのいい組み合わせを考えることです。Wheelproの作者ロジャー・ムッセンさんはすべてDTコンペティションで作っているようです。右左の分けはないようです。私もこれでいいと思うのですがいろいろ考えてしまいます。時々分けて使い分けています。

次に左3クロス右1クロスで計算してみます。テンションレシオは66:100%です。この組み合わせには少し驚きました。

左3クロス右1クロス組

ドライブ側の1クロスですがスポークをすべてヘッドインにしてスポークのブレイシングアングル広げ横剛性を高めることも挑戦しようと思います。ただ気になるのはスポークを引っ張って前へ進む力は左フランジが主に働くと思うのでうまくいくのかなと思うのです。マビック、シマノでも右ドライブ側をラジアル組で作られたホイールを販売していましたので問題なく出来上がると思うのですが心配です。

今販売されているホイールで左ラジアル右2クロスもしくは3クロスのホイールがたくさん販売されているのでまあ問題なくいくと思うのですが…

テンションドロップについて③

お気に入りのチューブラーホイールですがしばらく使わずにおいていました。

タイヤも少しくたびれていましたので取りかえました。振れとテンションを点検しています。タイヤをインストールしてスポークテンションを調べました。

結果は、スポークテンションはほとんど変わりませんでした。コンチネンタルのコンペティションならインストールしにくいチューブラータイヤの中で最右翼と思いますのでスポークテンションは下がるかもしれません。ただコンペティションも慣らしのために空気を入れてしばらく置いておけば比較的はめやすくなります。

いずれにしましてもチューブラーホイールではタイヤをインストールしましてもスポークテンションはほとんど変わらないということです。

 

今回のホイールの内容は

キンリン TB25 32h

ハブ 前輪シマノHB5500 32h

後輪シマノFH5700 32h

スポーク CNカラースポーク

ニップル アルミ

 

10速で乗っています。前輪ハブのほうが古いタイプです。

タイヤインストール前にテンション調整をやり直しです。最初に仕上げたときにしっかりとスポークテンションを均一にしていますので2,3か所さわるだけで調整は終わりました。

タイヤはコンチネンタルのGIROです。練習用のタイヤですがレースに出ないのでコスパの良いタイヤとして気に入っています。

 

ホイールを仕上げてタイヤをインストールしてもスポークのテンションがほとんど変わらないのはチューブラーホイールです。このことはタイヤによってホイールの性能が変わることがない、もしくは変わることが非常に少ないホイールいうことです。テンションドロップはほとんどしません。キンリンTB25リムを使えば安価に高性能のホイールができます。クリンチャー派の方も一考をお勧めします。

 

テンションドロップについて②

クリンチャーホイールの場合15%以上のスポークテンションドロップは避けられません。

このためスポークの寿命を縮めない程度にテンションを上げる必要があると思います。スポークテンションを100kgf以上保つためにテンションが下がることを逆算して120~130kgfになるように調整しています。

 

私はスポークを握ってわかるほどの熟練者ではありません。ホイールのフォーラムを読んでいますと意外とテンションメーターは使っていないベテランの方が多いようです。感覚派でなくテンションを数値化してホイール作りを行っていますのでテンションメーターが活躍しています。

一般的なパークツールのテンションメーターは今までキャリブレーションの依頼を受けました経験から15~20%くらい高めに出るようです。

 

後輪を作っていると仮定します。

キャリブレーションしていないテンションメーターで測りますと実際のテンションは左100kgfでもメーターは120kgf前後を示します。テンションメーターが120kgfを示したのでこれで完成とします。しかし実際は100kgfで張られていることになります。

ここでタイヤをインストールしますとスポークテンションは下がり80kgf、左は約この半分で40kgfになります。ゆるゆる状態です。スタートが本当のテンションではないのだから仕方ありません。

 

こんなことにならないようにするにはテンションメーターの校正、キャリブレーションしかありません。自分のテンション表作るしかないと思います。

ただ正確でないテンションメーターはテンションを揃えるだけの目的でしたら絶対値が分からなくても使えなくはありません。

手作りのテンション校正器

 

ネットであるフォーラムを読んでいましたら手作りのテンション校正器を作っている人がいました。これに使っている秤は意外と正確です。通販で調べると安価に出ています。

私はキャリブレーション用の機械をドイツから輸入しましたが使っている秤は中国製の秤でした。大丈夫かなと思い校正機関に秤の校正を依頼しましたところ正確に100kg、120kgを示すことが分かりました。スタート地点がはっきり分かったことで安心です。

数値は正確と証明いただきました
校正機関の証明書

以上、キャリブレーションされた正確に測れるテンションメーターがあればクリンチャーホイールのテンションドロップが大きくても無事クリアーできると思います。

テンションドロップについて

クリンチャーホイール、チューブレスホイールにタイヤをインストールしますとホイールのスポークテンションは大きく下がります。

一例をあげます。

このグラフのホイールですがキンリンのXR31RT28hのリムを使ったホイールです。

左70.2kgf/右119.7kgf

IRCのフォーミュラー・ライト25mmのチューブレスタイヤをインストールいたしました。

結果はこうです。

左56.4kgf/右98.1kgf

約2割弱テンションが下がります。もっと下がるリムもあります。リムの剛性と構造が影響すると考えられます。リムが柔いとビードの影響を受けやすいということです。

 

クリンチャーホイールはタイヤのビードがリムに影響してスポークのテンションダウンがおこります。このテンションダウンはどうしても避けられません。

 

ビードを伸ばしてなじんでからホイールにはめる方法は有効と思います。最初サブホイールにインストールしておいてタイヤがホイールになじむというかビードがある程度伸びてはめやすくなってから本命のホイールにはめなおすという方法もありと考えます。

 

今はホイールを仕上げるのにスポークテンションをできるだけ高く仕上るようにしています。しかしテンションの上げすぎはスポークの寿命を縮めることになりますので120~130kgf近くまでにしています。

 

これなら約20%下がっても100kgf前後をキープできます。

ただいつも考えるのですがスポークテンションに関して正解がないように思います。大体このぐらいで納める。いろんなメーカーのホイールを調べてみて推奨テンションは大体このくらい100kgf~120kgfです。これという数字はありません。