ホイールの剛性について論じた記事について

SheldonBrownさんのホームページを昔から参考にしていました。この方はすでに亡くなられているのですがご家族が意志を継がれてホームページを続けておられます。

スポーク長の計算でよく使う計算ソフトもこのホームページから得ることができました。いろいろホイール作りに関して参考になることが多いのでお勧めいたします。

興味深い記事が沢山あるのですが何度も読み返しています記事を紹介したいと思います。

https://www.sheldonbrown.com/rinard/wheel_index.html

ホイールの剛性は次の要素で決まるということがよくわかります。

スポーク数

スポークの太さ

リム重量

ハブフランジ幅

リムの高さ

ホイールに興味がある方にお勧めサイトです。

読者さんよりご連絡いただきました

ブログを読んでいただいています読者さんよりご連絡いただきました。

和歌山のロードバイクチームにおいてボランティアでメカニックを引き受けておられます。40年以上の自転車経験がある方です。

ホイール作りではスポークテンションが最優先ということに賛同していただいています。もちろんテンションメーターの校正器も自作されています。スポークテンションは正確に測ることが必要と道具の写真をお送りいただきました。タイヤの空気圧もポンプに正確に測れるメーターを取り付けておられます。

手作りの校正器です  ホイール作りには欠かせません
スポークを取り付ける金具がオリジナル
テンションメーターは校正器を併用しておられますので精度は安心です
正確な空気圧は大切です

スポークを握ればわかる人がおられるかもしれませんが人の感覚はいい加減なところもあるものです。この方も数値で示すことが出来るならできるだけ数字で話をするのがいいといっておられます。

このブログはほとんどがホイールの話題です。宣伝じみた記事もあるのですがブログに共感するところがあるとご連絡いただきました。ありがたいなと思います。

チューブレスタイヤの難点

暫く使わずに置いてあったカーボンホイールに空気を入れようとしましたところ空気が入りません。調べてみますとビードがすこし外れていました。

カーボンホイールのリムとタイヤは相性があります。簡単にビードが上がる場合があると思えば少しずれ気味というか空気は入るのですが時間が経つと外れ気味という組み合わせもあるようです。ただこれは私の意見であってそうは思われない方もおられるかもしれません。

いずれにしましてもタイヤに空気を入れることにしました。

先ずタイヤを外してシーラントを除去します。こびりついたシーラントが残っているとビードは残念ながら上がりません。タイヤの縁にこびりついたシーラントをきれいに取り除くことから始まります。こびりついたシーラントは結構厄介で布切れでは取れません。ワイヤブラシを使ったことがありますがタイヤを傷つけると思いブラシはやめています。結局は爪を使ってこそげ取っています。

こびりついていたシーラント滓を爪でこそげとりました  なにかいい道具はないでしょうか?

左右の縁にこびりついているシーラント滓を取り除くのに15分くらいかかったと思います。

兎に角、新品状態に戻さないと空気は入りません。ビードが上がらないことは必至です。

チューブレスタイヤを使い始めたころはこれが分からなく苦労しました。何度もやり直して今の方法にたどり着いたわけです。これはベテランであろうとビギナーさんであろうと一緒です。誰でも最初はビギナーです。

写真を見ていただきますとわかりますがタイヤにこびりついたシーラント滓です。これだけタイヤについていたので空気漏れを起こすわけです。

チューブレスタイヤはコンプレッサーがあればとても楽です

コンプレッサーを持っておられる方は自転車屋さんでない限りあまりおられないと思いますがタイヤをきれいにしましたら一気に空気を入れるとすんなりビードは上がります。

ブースター付きポンプでもよいが1万円くらいします  コンプレッサーは約3万円、悩むところです

ブースター付きのポンプでもうまくいきますが成功率から考えますとコンプレッサーのほうが楽です。

確かにチューブレスタイヤは乗り心地が良く構造的にもよくできたタイヤだと思います。これからはフックレスタイヤが普及していくと思います。しかしタイヤメーカーはメンテナンスでこんなにややこしくて面倒な作業があることは一言も説明書きに書いていません。メーカーにとってこの作業は当たりまえのことなのかもしれません。使う立場から一言いいますと不親切だなと思うのです。

私には30分ほどの作業ですが初めての方にはどうしていいのか分からなく途方に暮れてしまうことになります。もちろん自転車屋さんにいけばよい話ですが、そもそも自転車さんもハイどうぞとタイヤを渡してくれるだけで詳しくデメリットを教えてはくれません。文句を言えばそんなこと当たり前のことでしょうと怪訝な顔をされます。

あるときタイヤ管理でいい解決方法をお客様より教えていただきました。

半日くらい乗るのならシーラントなしでも乗れるのでチューブレスホイールにはシーラントを入れません。この方法だとなるほど面倒な作業はなくなります。チューブレスでもリムテープが必要なホイールはクリンチャータイヤで乗ることにする。つまりチューブで乗ればいいのです。とてもいいアイデアと思いますが今のところシーラントを使っています。

いろんな媒体を読むとチューブレスタイヤは乗り心地よく、いいことばかり書かれています。実際、初めて乗ると軽やかな乗り心地には驚きます。まあ、これはすぐに慣れてしまうのですが。しかしいいばかりではありません。メンテは大変です。これも慣れれば済むことですが、この山は結構厳しいと覚悟が必要です。シーラント滓を取るのが本当に面倒です。

ホイール組み替えのご依頼

ホイールを今までに3セットご注文いただきましたリピーターのお客様よりメールをいただきました。

内容は次のとおりです。

アレックスリムズのRXD 3というホイールをギャップでフロントホイールのリムを曲げてしまわれたようです。購入された店でリムを取り寄せて、修理を依頼されたのですが、技術的に修理出来なかったようです。どうしてもスポークが折れるとかで仕上げることができません。仕方なく別の店に持っていかれて組み直しをされました。しかし出来上がったホイールはすぐにフレが出るそうです。このようなことから手組ホイールファンでもう一度直してほしいとのことでした。

お送りいただきましたホイールはもともと黒のスポークでしたがこれしかできないということでシルバーのスポークに交換されています。

前輪752g スポークはサピムRaceシルバー変更されています
後輪832g 軽量です
前後ともにオフセットリムを使っています

このアレックスリムのホイールは2つのお店を経て私のところにやってきました。

いつものようにホイールを点検しました。スポークテンションを測りますとホイールの状態がよくわかります。グラフにしますと作り手の腕前がはっきりします。

前輪 ブレーキ側が非常にハイテンションです 強弱強弱とばらつき度が高く均一に組めていない
後輪 メーカーの組んだ状態です

ホイールは横ブレが出ていますが縦ブレは少ないホイールでした。残念ながらスポークテンションは強弱強弱と均一ではありません。この状態のホイールは暫く使うと必ず横ブレが出てきます。またスポークテンションは非常にハイテンションで張られています。極度のハイテンションはリムやハブを傷め、スポークが折れる原因となります。

お客様は詳しいことを仰いませんがどちらの店主もメカニックとしてとても有名だそうです。今は完組ホイールが全盛なのでまともな手組ホイールが出来るショップはとても少ないということがこのことでもよくわかります。リムブレーキからディスクブレーキと覚えることがたくさんあります。ホイール組などしなくても十分ビジネスは出来るのが現実です。新しいホイールを買ってもらえばよいということでしょう。

さて、お客様と打ち合わせの結果、前輪スポークをピラーのwing21黒に交換しました。後輪はそのままでスポークテンションの調整を行います。

組み上げましたが一度強い圧力がかかったリムは歪んでいることが多く非常に組みにくいことが多々あります。今回も強く当たって凹んだリムなので歪んでいる部分がどうしても調整しにくく、スポークの均一化を行うと凹み部分に大きな振れが生じてしまいます。

結構難しいのでこんな場合は少しぐらい振れが残ってもスポークテンションを優先したほうがいいです。このほうが後で狂いが少ないです。無理すれば振れは取れますがスポークテンションが揃っていないとあとあと狂いが必ず出てきます。少々の振れよりテンションを優先するほうが良いかと思います。そうはいっても今回の振れ取りはよくできたと思います。

スポークを緩める、強く張るの繰り返しで調整していきます。2回目のベテランメカニックさんが組んだ結果が上記のグラフのようになったのは仕方のないところもあるのですが時間をかけて振れとテンションのバランスを取りました。まあ簡単に言いますと少し妥協することです。

前輪752gから727gに変わりました  25g軽量化です
スポークテンションを揃えることが第一です  預かった時とかわりました
後輪はスポークテンションの調整のみ行いました
左6番目のスポークの場所に小さな凹みがありましたので難しい調整です

リムにひずみがありますので今回の妥協点はバラつき度5%前後です。通常のホイールでは3%以上になるように仕上げています。DURAホイールが5%前後なのでこれ以上を目標にしているのが理由です。細かくテンションメーターでチェックすることで何とか左右のバラつき度を5%以内に仕上げることが出来ました。

一般的には一人オーナーさんの自転車ショップは技術力があるのですがすべてに優れているショップは限られています。完組ホイールばかり販売している最近の自転車屋さんは自転車の整備技術はあるがホイールは組めないようです。組めても精度は低いです。やはりメカニックとホイールビルダーは違うので餅は餅屋がいいです。

TheBicycleWheelを読み直す

以前のブログ記事に書きましたがホイール作りに関して日本語で書かれた本はありません。海外では出版されていますが特に有名な本はこの本です。検索しますと何冊かヒットしますがやはり一番はこの本のようです。

海外のビルダーさんはこの本で勉強しているようです
発売当時定価24.99ドルでした 今はとても高価です

作者のJobstBrandtさんはスタンフォード大学の工学博士でポルシェやヒューレットパッカードのエンジニアをされた方です。第三版のこの本は中古で手に入れました。もう絶版ですが定価は25ドルです。値上がりしていまして倍近くで購入しました。新品はとても買えない値段となっています。

しかし不心得者がネットにアップしていますので記事内容はネットで見ることが出来ます。私も恥ずかしながら10年以上前にネットで読んだ一人ですがやはり紙ベースで見るのとは違います。

本になっていますとパラパラとめくっているだけで新しい発見があります。復習ができます。疑問点を書き込みできますのでこれもプラスになります。

面白い記事をご紹介したいと思います。

ソルダリングについて書いています
どのように計測したかを書いています

76ページのソルダリングについてです。昔からスポークのソルダリングについて議論されてきたようです。ブラントさんはソルダリングする前とソルダリングした後のホイール、同じホイールに同じ負荷をかけてホイールのひずみを計測した実験をしています。結果ではほとんど変化はなかったということです。結論としてどちらも同じとしています。

ソルダリング賛成派の人は自転車に乗った状態と置いて測るのとは条件が違うという意見が多いです。私は利点がわからない派でして違いがわかりません。してもしなくても私には同じですので飾りとしてソルダリングはします。手が込んだホイールに見えるので時々します。お客様のホイールにはハンダが下手なので行っていません。

そんなに英語は得意ではありませんが文学英語ではありませんのでとても分かりやすいです。買うと高価な本ですがネットで調べることはできますのでホイール好きの方にお勧めします。

シマノWH-RS100を分解しました

シマノホイールの低価格ホイールWH-RS100を分解しました。重いホイールですので登り用にはあまり期待できないホイールですが剛性が高いので普段使いには十分楽しめるホイールです。

前回の記事にも書きましたが分解してハブを取り出せばいろんなホイールに再利用できます。おまけにカップアンドコーンハブは育っていくハブなので使うほどに調子よく回るハブに変身します。勿論グリスアップは必要なので定期的な点検は必要です。

分解しました。各部品を量ってみます。

24hカップアンドコーンハブ 364g
559g オフセットリムです
24本で178g

ハブは369g、リムは559g、スポーク178gでした。

予想通りでしたがリムの重量には驚きました。このリムはオフセットリムなので少し通常のセンターに穴があるリムより重いのですが結構ありますね。

しかし重い=剛性が高いということなので全くのマイナス要因ではないと思います。丈夫ということはいいことで長持ちするということでもあります。

ハブは一般に販売されているハブとほぼ同じで重量です。24hのカップアンドコーンハブを安価に手に入れたわけです。

スポークは2mmのスポークでした。残念ながら私にはあまり興味がありません。

ニップルは3.4mm径の12mmブラスニップルでした。アジア圏で使われているニップルです。パークツールのニップルレンチは赤色を使います。

以上、いろいろ楽しめる2度おいしいホイールです。購入の参考になればと思います。

シマノWH―RS100後輪ホイールを購入

シマノの低価格ホイールWH-RS100後輪を試しに買ってみました。

とてもきれいなパッキングでした
後輪1143g 軽くありません

リムブレーキのこのホイール、ディスコンになる前に買っておこうと思っていました。はっきり言いまして今しかないと思います。自転車の流れはディスクブレーキに大きく動いていますので買うなら今です。もうすぐディスコンになると思っています。ハブ一つ買う値段でホイールが買えます。

価格的にはカップアンドコーン24Hハブをリムとスポーク付きで買うような感じです。クロスバイクなど普段履きで楽しんで、それからばらして新しいホイールを作るというのも面白いアイデアです。

シマノのカップアンドコーンハブは新品の時よりも使い込むことでハブの回転が滑らかになるようです。いわば育っていく感じです。ハブのあたりが出てからこのハブを使ってカーボンホイールを作るという使い方ができます。つまり2度楽しめます。こんな素晴らしいホイールはなかなかありません。

先ずスポークテンションを調べてみました。

グラフにしますとよくわかります。詳しく見ますとハイテンションで作られています。振れはありませんがスポークテンションのバラつきは結構あります。これは価格から考えて仕方がないと思います。振れはよく取られていますので見た感じはきれいに回るホイールとなっています。

スポーク径 2mmの丸スポークです

スポークは2㎜の丸スポークを使われています。ホイールの剛性はスポークの総面積に比例しますので24本の少ないスポークながら面積的には十分で剛性は高い作りです。重い人にも対応できます。

このホイールのスポークテンションをグラフにしました。次の通りです。

購入時はとてもハイテンション、フレはありませんがテンションのバラつきがあります

残念ながら強弱強弱という形で組まれたホイールは振れが出やすいです。コスパがよく、走るホイールですがスポークテンションが均一でないためしばらく乗り続けますと振れが出てくるホイールです。これは価格的に仕方がありません。何もかも要求するのは無理なことです。購入後、均一にテンションを張りなおしますとこの弱点を解消することは簡単に出来ます。

一度ストレスリリーブを行いますとテンションが大きく下がりました
最終的にテンション調整をおこなったグラフです

リムはオフセットリムを使われていますので左側の非ドライブ側テンションはとても高く優秀です。ハブ、リム、スポークとすべての部品が重いのですがこれは逆に考えますと剛性が高いということです。

結論です。

スポークテンションはバラつきがあります。しかし普段使い、通勤用とか軽さを要求しない場面で使うには最高のコスパを得るホイールと思います。ハブの値段でリムとスポークがついてくると思えばお得です。おまけに十分な性能を持っています。ロングライド用には硬いとか、乗り心地に関して文句を言わなければ価格面ではこのホイールに勝負できるメーカーはありません。買うなら今しかないと思います。ただしスポークの再調整は必要です。

XR31RT24hリム使用ディスクホイールの作製

一見カーボンホイールのように見えますがアルミホイールです。

XR31RT 24hリム使用 ディスクホイール
前輪 805g ノバテックD791SB 24h センターロック
後輪933g ノバテックD792SB 24h センターロック

キンリンリムのXR31RTリムを使いました。このリムはリムブレーキ用のホイールで高い剛性と空力の良さをよくわかっていますので使用しました。仕様は次の通りです。

リム キンリンXR31RT 24h

ハブ ノバテックD791SB,D792SB ともに24h

スポーク ピラーwing21

ニップル ピラーDSN

リムはセンターが3mmオフセットしています。前後ともにオフセットリムを使っています。

3mmセンターがずれていますのでハブのセンターオフセットから生じるスポークテンションの左右差を少なくします。約10%上がりますのでこの値は結構大きく前後ホイールともに左右のスポークテンション差を是正できることは大きなアドバンテージです。

リム重量は約500gありますので決して軽いリムではありません。しかし重い=剛性が高いということですので決して悪いリムということではありません。カーボンリムの1/3の価格ですのでコスパの良さを考えますととても優秀です。

スポークはピラーのwing21黒を使っています。

ハブはノバテックのディスク用センターロック D791SB,D792SB前後ともに24hです。

リムテープを巻けばチューブレスレディーとしてシーラントは必要ですがチューブレスホイールとして使用できます。

リムブレーキの時このリムで乗られた方は皆さんいいホイールといっていただきました。

空力の良さを発揮します。平地では足を休めることが出来ます。登りだけの場合は少し乗る人を選ぶかもしれませんが丘陵地帯でのロングライドでは威力を発揮します。

最近はリムブレーキからディスクブレーキに変更される方が増えています。メーカーも旧のシステムを陳腐化して新しい需要を作り出していますので仕方のない流れかもしれません。

このホイールはこのブログに登場しています定番カーボンホイールのそっくりさんですが普段用に気兼ねなく使えるホイールとしてお勧めいたします。

オールドホイールのスポーク替え

スポークが折れて長く使われていないホイールの修理依頼です。

スポークが1本折れていました

約40~50年前のホイールの修理です。ホイールはマビックのGP4 、ハブは1970年代のDuraハブです。とても珍しいハブですが今も調子よく回ります。

6枚ギアです
1970年代のDURAハブです ギアの外し方が特殊です
チェーンが落ちてスポークの根元が傷んでいました
フリーにねじ部分があります
ヌンチャクを2つ使ってギアを外しました(ホーザンのホームページより)
6速ハブ ギアを外しました

ギアをはずしてみますとチェーンが落ちたからと思いますがギア側根元が傷んでいるスポークが多数あります。チェーンで削れているところもありスポークの取り換えを提案しました。反対側の非ドライブ側はスポークの損傷はありません。何度かスポークが折れたのか取り換えたところがあります。

今回のホイール再点検では

①折れたところだけ変える

②ドライブ側16本を変える

③32本すべて変える

④とても珍しいホイールで、特にハブはなかなか手に入らないオールドDURAハブです。ネットオークションに出されると良いかもしれません。

このように選択肢を4つ用意しましたところ2番をお客様は選択されドライブ側のスポークを取り換えることとしました。

ホイールの組み替えでは難しい問題があります。リム精度の高くないリムが多い点です。最初に組まれた時の癖が残るといいますか、どうしても振れとスポークテンションが一致しないリムがあります。こちらが下手だからかもしれませんがスポークのテンションを揃えると大きく振れが出ることがあります。振れ取りを優先しますとスポークのテンションが揃ません。

このようなことは度々起こります。今回もリムには癖がついていました。スポークが折れた状態で長く置かれていたのかもしれません。

スポークテンションばらつきを出来るだけ抑え、振れを最小になるように仕上げました。テンションと振れのバランスですがどちらかといえばテンション優先です。

スポークテンションを優先すれば振れは少しあってもそれ以上に振れは大きくなりません。この逆では長く使われますと振れは大きくなってきます。こんな事から振れ取りではスポークテンションを出来るだけ揃えるようにしています。

お預かり時点のニップルは3.4mmニップルでしたのでスポークを新しく取り換える際ニップル径は左右同じにしています。左右揃っていますと作業が楽なので星のニップルを使いました。

再生しましたチューブラーホイール

出来上がりました。1970年代のハブですが現役で使えます。カップアンドコーンハブの良いところは自分で手入れ出来るところです。定期的なグリスアップを行えば何十年も使えるとこのハブは証明しています。自転車の歴史を感じるホイールです。

後輪ハブから異音がする?

お客様よりご連絡いただきました。納品しましたホイールにタイヤをインストールして地面から浮かして後輪を回してみると後輪ハブから異音がするということでした。

後輪ハブから異音がするということは初めてのことでしたので、とりあえず着払いで送り返していただきました。

お送りいただきましたホイールを当方の自転車に取り付けて回してみました。じっと回り方を見まして理解しました。

お客様のご心配はホイールのバランスから発生する異音でした。フレームを地面から浮かして空で回転させますと音が発生します。グワングワンと回るこの音をハブから異音がするということでご連絡いただいたわけです。

確認のため手持ちのホイール3点をフレームに取り付けて回してみました。それぞれ音の大小はありますが回るときにグワングワンと音が鳴ります。ご指摘いただきました異音はホイールバランスから発生する音でした。どんなホイールでも大なり小なり音の大きさの違いはありますが音はなります。

ホイールのバランスを取れば音が小さくなりますがそのままで使っても大丈夫です。時速40kmならバランスとったほうが良いかもしれません。しかし通常の乗り方なら大層にしなくてもいいと思います。

今回の解決

①お客様にはホイールのバランスが原因で音が鳴ることをご説明いたしました。したがって不良品ではないことをお知らせしました。

②YouTubeでも沢山の方がホイールのバランスで説明されていますのでご覧になることを案内しました。

同じものを作って比べていただきました

③次に新しい部品を使ってホイールを作りなおして比べていただくことにしました。もう1本作ったわけです。一番わかりやすい解決です。

結論

お客様より連絡があり新しいホイールで快適に乗っておられるようです。同じように空で回しますと同じように音が鳴ることをわかっていただきました。遠回りになりましたが不良品ではないことご理解されたので良かったです。

誰でも最初はビギナーです。私もうまく説明できなかったので大層なことになったのですがお客様も私も一つ賢くなりました。

ホイールバランスが取れていないホイールは大なり小なりですが後輪を地面から浮かして回しますとグワングワンと音出して回ります。これは不良品ではありません。