ホイール組み替えのご依頼

ホイールを今までに3セットご注文いただきましたリピーターのお客様よりメールをいただきました。

内容は次のとおりです。

アレックスリムズのRXD 3というホイールをギャップでフロントホイールのリムを曲げてしまわれたようです。購入された店でリムを取り寄せて、修理を依頼されたのですが、技術的に修理出来なかったようです。どうしてもスポークが折れるとかで仕上げることができません。仕方なく別の店に持っていかれて組み直しをされました。しかし出来上がったホイールはすぐにフレが出るそうです。このようなことから手組ホイールファンでもう一度直してほしいとのことでした。

お送りいただきましたホイールはもともと黒のスポークでしたがこれしかできないということでシルバーのスポークに交換されています。

前輪752g スポークはサピムRaceシルバー変更されています
後輪832g 軽量です
前後ともにオフセットリムを使っています

このアレックスリムのホイールは2つのお店を経て私のところにやってきました。

いつものようにホイールを点検しました。スポークテンションを測りますとホイールの状態がよくわかります。グラフにしますと作り手の腕前がはっきりします。

前輪 ブレーキ側が非常にハイテンションです 強弱強弱とばらつき度が高く均一に組めていない
後輪 メーカーの組んだ状態です

ホイールは横ブレが出ていますが縦ブレは少ないホイールでした。残念ながらスポークテンションは強弱強弱と均一ではありません。この状態のホイールは暫く使うと必ず横ブレが出てきます。またスポークテンションは非常にハイテンションで張られています。極度のハイテンションはリムやハブを傷め、スポークが折れる原因となります。

お客様は詳しいことを仰いませんがどちらの店主もメカニックとしてとても有名だそうです。今は完組ホイールが全盛なのでまともな手組ホイールが出来るショップはとても少ないということがこのことでもよくわかります。リムブレーキからディスクブレーキと覚えることがたくさんあります。ホイール組などしなくても十分ビジネスは出来るのが現実です。新しいホイールを買ってもらえばよいということでしょう。

さて、お客様と打ち合わせの結果、前輪スポークをピラーのwing21黒に交換しました。後輪はそのままでスポークテンションの調整を行います。

組み上げましたが一度強い圧力がかかったリムは歪んでいることが多く非常に組みにくいことが多々あります。今回も強く当たって凹んだリムなので歪んでいる部分がどうしても調整しにくく、スポークの均一化を行うと凹み部分に大きな振れが生じてしまいます。

結構難しいのでこんな場合は少しぐらい振れが残ってもスポークテンションを優先したほうがいいです。このほうが後で狂いが少ないです。無理すれば振れは取れますがスポークテンションが揃っていないとあとあと狂いが必ず出てきます。少々の振れよりテンションを優先するほうが良いかと思います。そうはいっても今回の振れ取りはよくできたと思います。

スポークを緩める、強く張るの繰り返しで調整していきます。2回目のベテランメカニックさんが組んだ結果が上記のグラフのようになったのは仕方のないところもあるのですが時間をかけて振れとテンションのバランスを取りました。まあ簡単に言いますと少し妥協することです。

前輪752gから727gに変わりました  25g軽量化です
スポークテンションを揃えることが第一です  預かった時とかわりました
後輪はスポークテンションの調整のみ行いました
左6番目のスポークの場所に小さな凹みがありましたので難しい調整です

リムにひずみがありますので今回の妥協点はバラつき度5%前後です。通常のホイールでは3%以上になるように仕上げています。DURAホイールが5%前後なのでこれ以上を目標にしているのが理由です。細かくテンションメーターでチェックすることで何とか左右のバラつき度を5%以内に仕上げることが出来ました。

一般的には一人オーナーさんの自転車ショップは技術力があるのですがすべてに優れているショップは限られています。完組ホイールばかり販売している最近の自転車屋さんは自転車の整備技術はあるがホイールは組めないようです。組めても精度は低いです。やはりメカニックとホイールビルダーは違うので餅は餅屋がいいです。

TheBicycleWheelを読み直す

以前のブログ記事に書きましたがホイール作りに関して日本語で書かれた本はありません。海外では出版されていますが特に有名な本はこの本です。検索しますと何冊かヒットしますがやはり一番はこの本のようです。

海外のビルダーさんはこの本で勉強しているようです
発売当時定価24.99ドルでした 今はとても高価です

作者のJobstBrandtさんはスタンフォード大学の工学博士でポルシェやヒューレットパッカードのエンジニアをされた方です。第三版のこの本は中古で手に入れました。もう絶版ですが定価は25ドルです。値上がりしていまして倍近くで購入しました。新品はとても買えない値段となっています。

しかし不心得者がネットにアップしていますので記事内容はネットで見ることが出来ます。私も恥ずかしながら10年以上前にネットで読んだ一人ですがやはり紙ベースで見るのとは違います。

本になっていますとパラパラとめくっているだけで新しい発見があります。復習ができます。疑問点を書き込みできますのでこれもプラスになります。

面白い記事をご紹介したいと思います。

ソルダリングについて書いています
どのように計測したかを書いています

76ページのソルダリングについてです。昔からスポークのソルダリングについて議論されてきたようです。ブラントさんはソルダリングする前とソルダリングした後のホイール、同じホイールに同じ負荷をかけてホイールのひずみを計測した実験をしています。結果ではほとんど変化はなかったということです。結論としてどちらも同じとしています。

ソルダリング賛成派の人は自転車に乗った状態と置いて測るのとは条件が違うという意見が多いです。私は利点がわからない派でして違いがわかりません。してもしなくても私には同じですので飾りとしてソルダリングはします。手が込んだホイールに見えるので時々します。お客様のホイールにはハンダが下手なので行っていません。

そんなに英語は得意ではありませんが文学英語ではありませんのでとても分かりやすいです。買うと高価な本ですがネットで調べることはできますのでホイール好きの方にお勧めします。

シマノWH-RS100を分解しました

シマノホイールの低価格ホイールWH-RS100を分解しました。重いホイールですので登り用にはあまり期待できないホイールですが剛性が高いので普段使いには十分楽しめるホイールです。

前回の記事にも書きましたが分解してハブを取り出せばいろんなホイールに再利用できます。おまけにカップアンドコーンハブは育っていくハブなので使うほどに調子よく回るハブに変身します。勿論グリスアップは必要なので定期的な点検は必要です。

分解しました。各部品を量ってみます。

24hカップアンドコーンハブ 364g
559g オフセットリムです
24本で178g

ハブは369g、リムは559g、スポーク178gでした。

予想通りでしたがリムの重量には驚きました。このリムはオフセットリムなので少し通常のセンターに穴があるリムより重いのですが結構ありますね。

しかし重い=剛性が高いということなので全くのマイナス要因ではないと思います。丈夫ということはいいことで長持ちするということでもあります。

ハブは一般に販売されているハブとほぼ同じで重量です。24hのカップアンドコーンハブを安価に手に入れたわけです。

スポークは2mmのスポークでした。残念ながら私にはあまり興味がありません。

ニップルは3.4mm径の12mmブラスニップルでした。アジア圏で使われているニップルです。パークツールのニップルレンチは赤色を使います。

以上、いろいろ楽しめる2度おいしいホイールです。購入の参考になればと思います。

シマノWH―RS100後輪ホイールを購入

シマノの低価格ホイールWH-RS100後輪を試しに買ってみました。

とてもきれいなパッキングでした
後輪1143g 軽くありません

リムブレーキのこのホイール、ディスコンになる前に買っておこうと思っていました。はっきり言いまして今しかないと思います。自転車の流れはディスクブレーキに大きく動いていますので買うなら今です。もうすぐディスコンになると思っています。ハブ一つ買う値段でホイールが買えます。

価格的にはカップアンドコーン24Hハブをリムとスポーク付きで買うような感じです。クロスバイクなど普段履きで楽しんで、それからばらして新しいホイールを作るというのも面白いアイデアです。

シマノのカップアンドコーンハブは新品の時よりも使い込むことでハブの回転が滑らかになるようです。いわば育っていく感じです。ハブのあたりが出てからこのハブを使ってカーボンホイールを作るという使い方ができます。つまり2度楽しめます。こんな素晴らしいホイールはなかなかありません。

先ずスポークテンションを調べてみました。

グラフにしますとよくわかります。詳しく見ますとハイテンションで作られています。振れはありませんがスポークテンションのバラつきは結構あります。これは価格から考えて仕方がないと思います。振れはよく取られていますので見た感じはきれいに回るホイールとなっています。

スポーク径 2mmの丸スポークです

スポークは2㎜の丸スポークを使われています。ホイールの剛性はスポークの総面積に比例しますので24本の少ないスポークながら面積的には十分で剛性は高い作りです。重い人にも対応できます。

このホイールのスポークテンションをグラフにしました。次の通りです。

購入時はとてもハイテンション、フレはありませんがテンションのバラつきがあります

残念ながら強弱強弱という形で組まれたホイールは振れが出やすいです。コスパがよく、走るホイールですがスポークテンションが均一でないためしばらく乗り続けますと振れが出てくるホイールです。これは価格的に仕方がありません。何もかも要求するのは無理なことです。購入後、均一にテンションを張りなおしますとこの弱点を解消することは簡単に出来ます。

一度ストレスリリーブを行いますとテンションが大きく下がりました
最終的にテンション調整をおこなったグラフです

リムはオフセットリムを使われていますので左側の非ドライブ側テンションはとても高く優秀です。ハブ、リム、スポークとすべての部品が重いのですがこれは逆に考えますと剛性が高いということです。

結論です。

スポークテンションはバラつきがあります。しかし普段使い、通勤用とか軽さを要求しない場面で使うには最高のコスパを得るホイールと思います。ハブの値段でリムとスポークがついてくると思えばお得です。おまけに十分な性能を持っています。ロングライド用には硬いとか、乗り心地に関して文句を言わなければ価格面ではこのホイールに勝負できるメーカーはありません。買うなら今しかないと思います。ただしスポークの再調整は必要です。

XR31RT24hリム使用ディスクホイールの作製

一見カーボンホイールのように見えますがアルミホイールです。

XR31RT 24hリム使用 ディスクホイール
前輪 805g ノバテックD791SB 24h センターロック
後輪933g ノバテックD792SB 24h センターロック

キンリンリムのXR31RTリムを使いました。このリムはリムブレーキ用のホイールで高い剛性と空力の良さをよくわかっていますので使用しました。仕様は次の通りです。

リム キンリンXR31RT 24h

ハブ ノバテックD791SB,D792SB ともに24h

スポーク ピラーwing21

ニップル ピラーDSN

リムはセンターが3mmオフセットしています。前後ともにオフセットリムを使っています。

3mmセンターがずれていますのでハブのセンターオフセットから生じるスポークテンションの左右差を少なくします。約10%上がりますのでこの値は結構大きく前後ホイールともに左右のスポークテンション差を是正できることは大きなアドバンテージです。

リム重量は約500gありますので決して軽いリムではありません。しかし重い=剛性が高いということですので決して悪いリムということではありません。カーボンリムの1/3の価格ですのでコスパの良さを考えますととても優秀です。

スポークはピラーのwing21黒を使っています。

ハブはノバテックのディスク用センターロック D791SB,D792SB前後ともに24hです。

リムテープを巻けばチューブレスレディーとしてシーラントは必要ですがチューブレスホイールとして使用できます。

リムブレーキの時このリムで乗られた方は皆さんいいホイールといっていただきました。

空力の良さを発揮します。平地では足を休めることが出来ます。登りだけの場合は少し乗る人を選ぶかもしれませんが丘陵地帯でのロングライドでは威力を発揮します。

最近はリムブレーキからディスクブレーキに変更される方が増えています。メーカーも旧のシステムを陳腐化して新しい需要を作り出していますので仕方のない流れかもしれません。

このホイールはこのブログに登場しています定番カーボンホイールのそっくりさんですが普段用に気兼ねなく使えるホイールとしてお勧めいたします。

オールドホイールのスポーク替え

スポークが折れて長く使われていないホイールの修理依頼です。

スポークが1本折れていました

約40~50年前のホイールの修理です。ホイールはマビックのGP4 、ハブは1970年代のDuraハブです。とても珍しいハブですが今も調子よく回ります。

6枚ギアです
1970年代のDURAハブです ギアの外し方が特殊です
チェーンが落ちてスポークの根元が傷んでいました
フリーにねじ部分があります
ヌンチャクを2つ使ってギアを外しました(ホーザンのホームページより)
6速ハブ ギアを外しました

ギアをはずしてみますとチェーンが落ちたからと思いますがギア側根元が傷んでいるスポークが多数あります。チェーンで削れているところもありスポークの取り換えを提案しました。反対側の非ドライブ側はスポークの損傷はありません。何度かスポークが折れたのか取り換えたところがあります。

今回のホイール再点検では

①折れたところだけ変える

②ドライブ側16本を変える

③32本すべて変える

④とても珍しいホイールで、特にハブはなかなか手に入らないオールドDURAハブです。ネットオークションに出されると良いかもしれません。

このように選択肢を4つ用意しましたところ2番をお客様は選択されドライブ側のスポークを取り換えることとしました。

ホイールの組み替えでは難しい問題があります。リム精度の高くないリムが多い点です。最初に組まれた時の癖が残るといいますか、どうしても振れとスポークテンションが一致しないリムがあります。こちらが下手だからかもしれませんがスポークのテンションを揃えると大きく振れが出ることがあります。振れ取りを優先しますとスポークのテンションが揃ません。

このようなことは度々起こります。今回もリムには癖がついていました。スポークが折れた状態で長く置かれていたのかもしれません。

スポークテンションばらつきを出来るだけ抑え、振れを最小になるように仕上げました。テンションと振れのバランスですがどちらかといえばテンション優先です。

スポークテンションを優先すれば振れは少しあってもそれ以上に振れは大きくなりません。この逆では長く使われますと振れは大きくなってきます。こんな事から振れ取りではスポークテンションを出来るだけ揃えるようにしています。

お預かり時点のニップルは3.4mmニップルでしたのでスポークを新しく取り換える際ニップル径は左右同じにしています。左右揃っていますと作業が楽なので星のニップルを使いました。

再生しましたチューブラーホイール

出来上がりました。1970年代のハブですが現役で使えます。カップアンドコーンハブの良いところは自分で手入れ出来るところです。定期的なグリスアップを行えば何十年も使えるとこのハブは証明しています。自転車の歴史を感じるホイールです。

後輪ハブから異音がする?

お客様よりご連絡いただきました。納品しましたホイールにタイヤをインストールして地面から浮かして後輪を回してみると後輪ハブから異音がするということでした。

後輪ハブから異音がするということは初めてのことでしたので、とりあえず着払いで送り返していただきました。

お送りいただきましたホイールを当方の自転車に取り付けて回してみました。じっと回り方を見まして理解しました。

お客様のご心配はホイールのバランスから発生する異音でした。フレームを地面から浮かして空で回転させますと音が発生します。グワングワンと回るこの音をハブから異音がするということでご連絡いただいたわけです。

確認のため手持ちのホイール3点をフレームに取り付けて回してみました。それぞれ音の大小はありますが回るときにグワングワンと音が鳴ります。ご指摘いただきました異音はホイールバランスから発生する音でした。どんなホイールでも大なり小なり音の大きさの違いはありますが音はなります。

ホイールのバランスを取れば音が小さくなりますがそのままで使っても大丈夫です。時速40kmならバランスとったほうが良いかもしれません。しかし通常の乗り方なら大層にしなくてもいいと思います。

今回の解決

①お客様にはホイールのバランスが原因で音が鳴ることをご説明いたしました。したがって不良品ではないことをお知らせしました。

②YouTubeでも沢山の方がホイールのバランスで説明されていますのでご覧になることを案内しました。

同じものを作って比べていただきました

③次に新しい部品を使ってホイールを作りなおして比べていただくことにしました。もう1本作ったわけです。一番わかりやすい解決です。

結論

お客様より連絡があり新しいホイールで快適に乗っておられるようです。同じように空で回しますと同じように音が鳴ることをわかっていただきました。遠回りになりましたが不良品ではないことご理解されたので良かったです。

誰でも最初はビギナーです。私もうまく説明できなかったので大層なことになったのですがお客様も私も一つ賢くなりました。

ホイールバランスが取れていないホイールは大なり小なりですが後輪を地面から浮かして回しますとグワングワンと音出して回ります。これは不良品ではありません。

ホイールを持ち帰っていただきました

ホイール修理のお客様です。

バイクで来られてホイールを背負って帰られました。リュックに括り付けるやり方です。昔の画像でチューブラータイヤを背負って走っている姿をテレビで見たことがありますがホイールを背負って帰られました。

うまくリュックにくくり付ければホイールは運べます。車でもっていかなくても自転車屋さんに行けます。きっと喜ばれると思います。

46mm定番ホイールの振れ取り再調整

レースで落車されたお客様よりご連絡いただきました。ホイールの再調整のご依頼です。

レースが終わってそのまま送ってこられました

スポークテンションが大幅に狂い、タイヤをつけたままお送りいただきました。幸いにもリムには損傷なくクイックだけが使えなくなりました。

今回はスポークの取り換えも要りません。ホイールの再点検で済みます。ただタイヤ外してリム、タイヤをきれいに新品状態に戻すのは結構時間が掛かります。

このような手順で作業を進めます。

・レバーを使ってタイヤを外す

・タイヤのチェックと汚れ除去、特にビード部分には注意が必要です。シーラントの残りがついているとビードは上がりません

・リムをきれいにふいて点検、汚れ除去。リムのヘリをきれいにすることが肝心です

・スポークテンションの再調整

・バルブのチェック

・タイヤ装着、ビードクリームを使うと楽です

作業で大変なところはタイヤを外してきれいにするところです。タイヤレバーではずすのは簡単のようで大変な作業です。

チューブレスタイヤで運用するのは意外と厄介なことです。新品の時は簡単にビードが上がります。石ケン水でビードは上がるのですがタイヤをはめるときにクリームを使うととても楽です。最近使い始めたのですがもっと早く使えば良かったと思っています。ビードクリームは安価に手に入りますのでお勧め品です。

各スポークのテンションを出来るだけ揃うように再調整します

自転車は買った時からメンテナンスが始まります。フレームに関しては個人でグレードアップやメンテナンスが出来る人も沢山おられます。しかしホイールのメンテナンスを個人でやるのは難しいものです。手前味噌になりますが何かの時に連絡できるビルダーがいるのは安心です。保険付きのホイールを買ったようなものです。

ICANカーボンホイール後輪の再調整

前輪を修理したことを記事にしましたが後輪の調整もご依頼いただきました。

後輪はニップルの取り換えと調整を行います。

ICAN 45mm 後輪 789g

バラつき度は低いのですがハイテンション過ぎると思います

お預かりしましたホイールはいつもスポークテンション、センター出しはどうなのかと事前チェックします。振れはほとんどありません。見た目はよくできています。やはり問題はスポークテンションだと思います。メーカーはこれでOKしていますが私はハイテンション過ぎると考えます。

グラフにしますとよくわかります。このグラフを作るソフトではメーターが0.24mmの値が出るとグラフになりません。ギリギリのところでグラフになりましたが驚くばかりのハイテンションです。

ICANではハイテンションがいいと考えているのでしょうか?前輪の時もびっくりしました。

ハイテンションはリムの凹みを少なくするのにはいいですが高すぎるのはよくありません。ドライブサイドが120~130kgfにするようにといつも購入しているリムメーカーでは指定しています。やみくもに高くするのはよくありません。リムを傷めるもとになります。

今回預かりました後輪はドライブサイドが約160kgfと驚くばかりのハイテンションでした。こんなに高いとスポークはショックアブソーバーの働きをしません。直接リムに衝撃が伝わります。段差を乗り越えるときなどにリムが割れるもとになり得るのです。リムが凹まないようにスポークテンションを高くすることはお勧めしますがこれも限度もので闇雲にテンションを上げることは逆効果です。

人様が作ったホイールを預かりますと勉強になります。今回面白い発見をしました。

使われているニップルがとても長いのです。約18mmあります。

ニップル長 18mmはなかなか手に入りません

どうしてこんなに長いのか不思議に思いました。アルミニップルなので重量は軽いのですが何故こんなに長いニップルが使われているのかわかりませんでした。今回の仕事にはニップル交換も依頼されています。DTのSquorxProブラスニップルに交換です。お客様は軽いアルミニップルよりも重くても丈夫なニップルを希望されました。

作業をしていてわかりました。長いニップルはとても作業がし易いです。ニップルの取り外しにおいて手で回すときはとても回しやすいのです。多分長いニップルを使われている理由はこれだと思います。

作業効率を上げる。少しでも早く沢山作る、これです、これが理由と思います。余計な事ですが…

スポークテンションを下げました

中華カーボンなどいわゆる無名のホイールを購入される場合しっかりと測れるテンションメーターがあればいいと思います。ブランドホイールも中古の場合は要注意です。振れがなくても安心できません。手組ホイールファンのホイールは無名ですので信頼得るためにテンショングラフをお付けしています。ご安心ください。