ブログを読んでいただいているお客様よりご連絡いただきました。
テンションメーターの校正についてのご相談です。校正器を作るかこちらでメーターを校正して使われるかで悩まれました。校正器を作られる場合はどんな部品を集めればよいかなどお知らせしました。結果的には校正のご依頼をいただきました。
TM-1をお送りいただきました。まっさらです。メーターをもう一つ持っておられてPWTのメーターをよく使われるようです。PWTは柔らかいので使いやすいといっておられます。しかし柔らかいメーターは個人的には安定した結果を得られないように思います。
現在私もTM-1を使っていますがざっとスポークテンションを知るにはとても便利です。正確さには欠けますが十分実用になります。ただし校正していることが肝心です。
例えば目盛り21は正確には何kgfを示すのかを知ることが大切です。
私の校正方法は選択したスポークを例えば100kgfで引っ張りその時の示すメーターの目盛りを記録するという方法です。
TM-1に付属するチャートとは大きく違うことが多いです。今までお預かりしましたTM-1はほとんど10~20%違っていました。
昔のことですがある方のブログでホイールのスポークテンションを確か180kgfで仕上げていると書かれていたことを思い出します。この方はおそらくTM-1を使っておられたと思います。メーターが狂っていることを全く疑っておられなかったのでしょう。仮に180kgfでしたらホイールは完成しますがリムはすぐにニップル穴のところが変形すると思います。またハイテンションで仕上げたから剛性が上がるわけではありません。ホイールの剛性とスポークテンションは別物です。
話がそれました。お送りいただきましたメーターはスポーク3本調べてチャートを作りました。簡易式ですがラミネート仕上げにしておきますと作業場に置かれても便利です。
実際使うのは100,120,130kgfが分かればよいかと思います。
私の使うデジタルメーターは100kgfで0.33mmを示しますので時々ですが作業前にこの数値かどうかを調べています。いずれメーターのばねは劣化しますので取り換えが必要だと思いますが今のところバックアップのメーターがありますので2台で交代しながら使っています。
メーターの精度は必要ですがそれも程度ものです。個人的には大雑把でもホイールは大丈夫と思います。私がお勧めしたいのはメーターを使ってスポークのテンションを揃えることです。ギターのようにスポークを弾いて音で張りを調整する方法がありますが私はうまくできません。音痴なのでしょう。できないことはないのですがとても面倒です。何ヘルツまで音を合わせる必要はないと感じています。
Duraホイールもスポークテンションは100%揃っていません。バラつき度で言いますと5%のバラつきです。5%のバラつき度はDuraホイールだからこの数値です。結構難しい数値です。
私もホイール作りを始めたころはほとんどバラつき度が20%を超えていました。ホイールはスポークテンションが揃っていなくても引っ張りのバランスが取れていれば振れ取りができます。振れが取れると一応ホイールは完成ですがこれではスポークが折れたりすることが頻繁に起こります。スポークテンションが揃っていれば各スポークにかかる力が偏りませんのでスポークが折れにくくなります。
こんなことから話は戻りますがテンションメーターには正確さが必要なわけです。送られてきたメーターは実用に耐えられるメーターになりました。長く使えると思います。ホイール点検ホイール作りに役立つでしょう。
しかしボツボツ部品を集めてご自分の校正器を作ることはけっして無駄な買い物ではないと思います。