コリマホイールの組み替え依頼

有名ビルダーさんにオーダーメイドされたコリマチューブラーホイールのバルブ部分が割れたということでホイールの組み替え依頼がありました。理由は分かりませんが手組ホイールファンに任せてみようということです。

コリマ チューブラーホイール 714g バルブ部分が割れています

ソルダリングはやっていませんということを了解頂き送ってこられました。写真のようにきれいなソルダリングは存在感があります。

CXRAYスポークにソルダリング

しかしホイールを分解するときはスポークを切らないと出来ないので勿体ないことです。

スポークは切り取ってハブを取り出しました

スポークはサピムのCXRAYです。約600円しますので12本ということで7200円です。カットしないと分解できないのでしぶしぶ行いました。とても残念です。因みに手組ホイールファンではソルダリングはやっていません。

取り出した左5点は12mm標準タイプのニップル  右側1個はインターナルニップル 頭部が平らです

取り出しましたニップルはインターナルニップルと思っていましたら通常の12mmニップルでした。12mmニップルを逆さにすれば使えないことはありません。しかし正式なインターナルニップルな頭部が平らです。リムを傷つけないようにするには正式なインターナルニップルを使うほうがいいでしょう。見えないところは代用品でも良いというのは個人的にはいただけません。意味があってのインターナルニップルですのでこれはよくないと思います。

TNIエボリューションハブ  ノバテックのハブと同じ

ハブはTNIのエボリューションハブです。フリーはカンパ用でした。フリーを回すと音が大きいのでグリスを入れなおしています。このハブはノバテックのハブと同じなので5mmレンチ2本と10mmレンチがあれば容易に分解できます。フリーの爪音がカリカリと音が高くなればグリスアップをお勧めします。油汚れは油で取ります。難しくはありません。分解するときに少し勇気がいるだけです。ハブの構造はシンプルで壊れることはありません。取り外した部品をきれいに並べておいて、組み立てには逆戻りすればいいだけです。

コリマ32mmチューブラーリム

ホイールと一緒にお送りいただきましたリムはコリマの32mm高リムです。とても軽量です。使うニップルはインターナルニップルを使います。スポーク張りをハイテンションで仕上げるには外側から回すほうがよいということでインターナルニップルを使われてきました。最近のカーボンリムはインターナルニップルを使うリムは少ないようです。インターナルニップルの扱いは難しいですがとても見た目はシンプルですっきりしています。

スポークはドライブ側にコンペティション2.0/1,8/2.0mm、反対側にはレボリューション2.0/1.5/2.0mmの組み合わせです。1.5mmのスポークを扁平にしたのがCXRAYやエアロライトです。お預かり時点ではドライブ側にコンペティション、反対側にCXRAYという組み合わせでしたのでスポークの剛性では同じです。

コリマ32mmチューブラー 731g
右ドライブ側にコンペティション 左側にレボリューション

出来るだけスポークテンションを揃え、出来るだけ振れが少なくなるように仕上げました。馴染みだしは何回も行います。後輪731gとても軽量です。8月のヒルクライムに出られるようで間に合ってよかったです。

ミニベロ後輪ホイールは難しい

普段通勤にも使っておられるミニベロのホイールを10速で走りたいとのご希望でご連絡いただきました。ミニベロホイール後輪のご注文です。今回は手に入るハブの関係で後輪だけ作りました。

DA16 329g
シマノハブ FHTX500 32H

リムはアレックスリムのDA16、ハブはシマノFHTX500、32穴です。スポークは短いスポークでも手に入りやすい星のスターブライトを使っています。

本来ならバテッドスポークを使いたいところですがなかなかこの短いスポークに対応できるセラーはありません。

各スポークの間隔が狭いのでニップルレンチが使いにくい

このようなミニベロのスポーク間隔は32穴ありますととても幅が狭いです。通常の12㎜のニップルではスポークとスポークの間が狭すぎてニップルレンチを回すのに手間がかかります。ではどうすればいいのか?ということですがニップルは後ろから回せるニップルを使えばうまくできます。

ホイール作りの作業としては全く普通のホイールと同じですが12mmの通常ニップルでは時間が掛かると思います。慣れた人なら出来るのかもしれませんがミニベロは難しいと思います。

理由は次の通りです。

①ニップルが普通のレンチでは回しにくい

②テンションメーターはスポーク長が短いので使いにくい。使えないときもある。

③テンションメーターがない場合は、使えない場合はスポークを弾いて音で聞き分けスポークテンションを揃えます。しかしこれもまた難しいです。音でやる場合キリがないのでなかなか終わりがありません。

今回は右側左側、各16本で8ペアのスポークで組んでいます。幸いにも1ペアの片側にはテンションメーターをあてることが出来ました。2,4,6,8と8本のスポークにはテンションメーターをあてることが出来ていますのでこれで先ず8本のテンションを揃えることにしています。あとはペアの片方スポークを弾いて音で聞き比べて揃えるという方法を取っています。

いつもの大きいホイールならメーターをあてることが出来るのでスポークテンションばらつき度は5%以上にできますが今回はそこまで出来ていないと思います。しかしスポークが短いので振れは出にくいと思います。

19cmほどのスポーク長です 3クロスで組んでいます 綾も取りました

今回のホイールは小さい径ですがスポークはしっかりと綾を取りました。本来は綾まで必要ありませんが見た目重視にしています。

B5のノートを後ろに置きました 大きさがわかります

納品後にご連絡いただきました。10速に出来て喜ばれているようです。ホントに良かったです。

XR31T/RT32hリムでホイール作製

15年と長く乗られたクロスバイクのホイールを交換したいとご連絡いただきました。お客様はこのブログを楽しんでお読みいただいたようです。XR31T/RTのリムを使ったホイールに興味を持っていただきました。今回はシマノハブをお送りいただいてのご注文です。このリムで作るホイール注文が続きます。

ハブは持ち込みです  一緒にホイールを作っていく感覚です

手組ホイールファンではお持ち込みは大歓迎です。ある意味共同作業的な感覚で、ご一緒にホイールを作っていきます。

リムは500g前後です 軽くはありませんが剛性面ではとても優秀です

ホイールの内容は次の通りです。

リム キンリンXR31T/RT 前後共に32H

ハブ 前輪 シマノ HB-RS400 32H

ハブ 後輪 シマノ FH-RS300  32H

スポーク 前輪 TB2015

スポーク 後輪 左TB2015

スポーク 後輪 右TB2018

ニップル ダブルスクエア

後輪ハブは10速ハブです。使えるギア数は1枚少ないハブですがハブのセンターオフセット値は11速ハブよりも小さいので左右のスポークテンション比率はとても良いホイールに仕上がります。8~10枚とスプロケットのギア数は少ないホイールですがスポークのテンション比率でみると効率の良いホイールが出来上がります。おまけにリムの穴位置が3mm寄っているリムを使いますのでリムでテンション比率は約10%改善できます。スポークのテンション比率を計算上では約70:100の比率に仕上げることが出来ます。

スポーク長計算ソフトでスポークテンション比率がわかります

リムの重量は約500g、ハブの重量は前後で約510gと重いホイールですが駆動比率でホイールの性能を見ますととても優秀なホイールに仕上がります。

一般には軽いホイールを求める人が多いです。しかし力のあるライダーさんは剛性を求めます。軽くて剛性があるのがなお良いと考えますが価格面で難しいと思います。

前輪867g
後輪1102g

コスパを考えますと今回のシマノハブとXR31T/RTリムで作られた多スポークホイールはとても良い組み合わせです。性能と価格を組み合わせた評価では最高の得点を取るホイールではないかと考えています。

出来上がりのホイールは前後で1969gといわゆる文鎮ホイールですが走りの良さは驚かれると思います。ホイールの走りは重量だけで決まるものではありません。

今回のホイールをお勧めする理由はリムの剛性です。ホイールの良さは7割がリムで決まると考えています。当ホイールのリムは31mm高ありますが重量は約500gです。リム高があるので空力の援護を得ることが出来ます。軽くて剛性のあるカーボンリムには及びませんがリム価格は1/4です。コスパよくライドを楽しむにはうってつけのリムと思います。おススメします。

XR31T/RTリム、シマノハブでホイールのご注文

ご自分でも自転車のホイールを組める方よりご注文いただきました。オートバイのホイールも組める超ベテランのライダーさんからのご注文です。普段通り組めばいいのですが今回のご注文にはちょっと張り切ってしまいます。

シマノホイールから取り出した20Hハブ
シマノホイールから取り出した24Hハブ

ハブはシマノホイールWH-R501から取り外した前輪20H後輪24Hハブです。シマノハブは通常28H、32Hと多スポーク用のハブしか販売されていません。今回の20・24Hのシマノハブはこのブログを読まれてヒントにされたそうです。

ご注文の内容は以下の通りです。

リム XR31T/RT 20・24H

ハブ シマノハブ 20・24H お送りいただきました

スポーク 前輪 ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm

スポーク 後輪 ピラーTB2015 2.2/1.5/2.0mm

スポーク 後輪 ピラーTB2018 2.2/1.8/2.0mm

ニップル ダブルスクエア ブラス

見積もりを出しましたところダブルスクエアのニップルについて問い合わせがありました。ニップル重量が重いのではないかとご心配されました。

12mmニップルの場合、重量は10個で9.5gです。ダブルスクエアの場合10個で12.5gということで64個での差は約19gですので、前からも後ろからも調整出来る利点は大きいですとご説明しますと了承いただきました。

前輪はスポーク20本ですので一般にはラジアル組ですが2クロス組をご希望されました。乗り味を柔らかくしたいとのことでした。スポークが長くなりますのでショックアブソーバーの働きは大きくなります。

今回のホイールは前後ともに2クロス組です。後輪スポークは左右の太さを変えています。右ドライブ側には中央部が1.8mmのスポークにして剛性を上げています。もともとリムに剛性がありますのでお伺いしました体重、乗り方から考えまして剛性が足りないことはないと思います。しかしホイールの剛性に関しては好みがありますので最終的には乗ってみないと分かりません。

スポークはとても大切な働きをします。完成されたホイールをチューニングできる部分はハブとスポークです。ハブの場合はベアリングの取り換えなど考えられますが走る時速を考えますとなかなか目に見えての改善は望めないように思います。スポークの場合はっきり変化を感じることが出来る部分です。しかしスポークの交換などなかなかできるものではありません。特に完組の場合キシリウムホイールのように特別なハブに特別なスポークですので交換は難しいです。しかしRovalのように手組を謳っているメーカーの場合スポークは汎用品を使っていますのでチューニングアップにスポーク交換は可能です。考えて見られるのも良いかと思います。

前輪766g 左右2クロス組 乗り味は柔らかくなる
後輪1019g 左右2クロス組
センターオフセット値が小さいハブと3mmオフセットリムで左右テンション比率はとても良い

何度も馴染みだしを行いホイールは完成しました。お客様は経験豊かなライダーさんです。道場破りの客人を迎える気持ちですがとても良いホイールが出い上がりました。ご感想が楽しみです。

RR411リム多スポークホイールのご感想をいただきました

5月24日に記事にしていますDTのRR411リムを使用した多スポークホイールのご感想をいただきました。勿論手組ホイールファンの宣伝になるのですが手組ホイールを考えておられる方に参考になると思います。お客様にご了解を得ましたのでインプレ記事にさせて頂きます。

以下原文です。

希望通りのホイールを製作して頂き、ありがとうございました。

走行後の感想です。

まず走り出しの安定感や漕ぎ出しが軽くなりました。

以前のホイールと比べて重量が軽くなったせいもあると思いますが、オーダー時に教えて頂いた

スポークテンションによる影響が大きいのでしょうか、性能表を見るとほんとにバラつきの数値は小さいですね。

そして乗り心地も良くなりました。

もともとフレームはクロモリ(正確にはモリブデン鋼)ですので乗り心地としては硬めでしたが、

荒い舗装や減速帯の凹凸も角が取れたような感じになり、クロモリ本来のしなやかさに戻った感じです。

こちらもオーダー時に長距離で疲れにくいとホイールと伝えておりましたが、スポークの種類はお任せしていましたのでそこも最適な選択をして頂けた結果なのかと思っております。

までは平地130キロほどで後半の疲労感がありましたが、交換後はまだまだ行けそうな感じですので、今後の長距離が楽しみです。

とてもありがたいインプレをいただきました。

文内に性能表とありますのはテンションデータをグラフにしてお渡ししています。このグラフはテンションのバラつき度が分かりますのでホイールの状態がよく理解できます。

ホイールは早く走れるに越したことがありませんが、どれだけ長く安定した走りが出来るかが大切と思います。乗り手の好みに合わせてお作りするホイールは安心できます。

お勧めいたします。

軽量アルミホイールの作製

何度もご注文いただいているお客様よりご連絡いただきました。

前回は31mm高のアルミリムでご注文でしたが今回は22mm高24mm幅のリムで前輪20H後輪24Hのホイールです。

詳細は次の通りです。

リム TNI AL22W 前輪20H後輪24H 後輪はオフセットリム

ハブ ノバテック A291SB F482SB

スポーク 前輪 ピラー WING21 シルバー

スポーク 後輪左 サピム CXRAY シルバー

スポーク 後輪右 ホイールスミス DH13 2.3/2.0mmシングルバテッド シルバー

ニップル ダブルスクエア ブラス シルバー

リムはTNI、ハブはノバテックです。スポークは相談で決めています。ほぼすべてお客様がご指定されています。組み方は前輪にはラジアル組、後輪左を3クロス組、後輪右には2クロス組です。後輪はいわゆるヨンロク組です。

後輪24穴のホイールでヨンロク組をしますとハブの左側スポークはスポークがわずかですがオーバーラップします。ヨンロク組では左スポークテンションが左右2クロス組より少し高くなります。計算上は1~2%高くなりますのでお客様はこちらを選択されています。

もう少し詳しく説明しますと、後輪は穴位置が3mmオフセットしていますのでスポークテンション比率は約10%改善します。それにプラスしてヨンロク組で1~2%のアップです。通常の左右を2クロスで組むのではなく少しスポークが重なってもテンション比率のいい方を選択されています。ご自分のプラン通り試してみることは良いことだと思います。

スポークは前輪にCXRAYよりも少し剛性が高いWING21を選ばれています。20本のスポーク数ではより剛性が高い方がよいと考えられました。後輪ドライブ側には2mm径の高剛性スポークを使い、左側には高級スポークのCXRAYを選択されています。

ドライブ側ホイールスミスDH13 左側CXRAY 太さの違いがよくわかります

ホイール組にはどれが正しい方法というものがありませんので好きな方法で組めばいいのですが、後輪は右ドライブ側から左へと組むのが組みやすいので右から左で行っています。何のことやら?ですが、この説明で分かる人はわかると思います。

前輪665g
前輪スポークテンショングラフ
後輪864g
後輪スポークテンショングラフ

組み上がりの重量です。前輪665g後輪864g、前後で1529gと軽量です。 スポーク選択でホイールの剛性調整を行っているよく考えられたホイールです。

お客様は今までのご注文で出来上がりに関してのデータを持っておられます。ご自分のプラン通りにご指示いただきました。軽量+剛性というバランスを考えられたご注文でした。

前回のホイールは31mm高でしたので主に平地用、今回の22mm高ホイールは登りがメインの使い方をされると想像しています。

ご自分でホイールのプランを立て、組み立てを手組ホイールファンに委託されています。出来上がりのご感想が楽しみです。

波型亀甲柄カーボンリムでホイール作製

3度目のカーボンホイールをご注文いただきました。

波型亀甲柄のオーダーリム使用

今回は波型リムで亀甲柄を指定されました。リムブレーキ用で前輪ブレーキ面は強化タイプです。オプションで特殊加工されたブレーキ面はブレーキがよく効きます。

前輪 ブレーキ面は強化加工をしています 方向性があります

リムブレーキ用のカーボンホイールはブレーキが心配という人が多いようです。これは慣れの問題ですがオプションで強化しますと心配は少なくなります。ディスクブレーキにしなくても充分使えるという人が多いです。慣れたフレームを変える必要がないのでファンが増えています。

亀甲柄で特注しています 後輪用のブレーキ面は通常のブレーキ面です

リムは柄が亀甲柄で写真のように波型です。波型にすると空力が良くなると言われています。最近のトレンドのようでいろんなメーカーから発売されています。実際手組ホイールファンにも問い合わせが増えています。

ハブ、スポークはお任せいただきましたのでノバテックハブとwingスポークで組んでいます。

ノバテックハブは台湾の量産ハブです。高級ブランドハブではありませんがフリーなどの部品が容易に入手できます。摺動性も必要十分の性能です。

スポークはピラーのwing21スポークです。サピムのCXRAYやDTのエアロライトよりは剛性が高いスポークです。空力はウィングスポークの方が少し勝っていると言われています。この差が理解できる人はなかなかいないと思いますが良いといわれると気持ちとしてはいいものです。

スポークの剛性がCXRAYよりも高いのでCXRAYを使われたホイールではヌルイと感じる方には良い選択と思います。高級スポークだからよく走るというのではなく、乗る人の力や体重にあわせて選択するのが本筋と考えています。

前輪 620g
後輪832g

スポーツテンションを出来るだけ均一になるように、出来るだけ振れを少なくして仕上げています。お客様の評価が楽しみです。

DTのRR411リムで多スポークホイール作製

手組ホイールを検討されていたお客様よりご連絡いただきました。シマノハブの持ち込みでホイール作製のご依頼いただきました。

お送りいただきましたハブ 前輪用157g
お送りいただきましたハブ後輪用FH5800 32H  重いハブは丈夫ということです
前輪用428g
後輪用455g  後輪用は少し前輪より重い
後輪リム 穴位置が左側にずれています

ホイールの詳細です。

リム DT RR411 前後共に32H 後輪リムはオフセットリム

ハブ シマノ HB-5800 FH-5800 共に32H 持ち込み

スポーク 前輪 TB2015(2.0/1.5/2.0mm)シルバー

スポーク 後輪左 TB2015(2.0/1.5/2.0mm)シルバー

スポーク 後輪右 コンペティション シルバー

ニップル SquorxPro ブラス シルバー

リムにはアルミニップル(SquorxPro)シルバー、ワッシャーが付属します。手組ホイールファンではブラスニップルをお勧めしていますのでブラスのSquorxProを使用しています。勿論スポークの長さを注意すればアルミニップルも強度では心配いりませんが、より丈夫なブラスでお作りすることになりました。

左アルミニップル(リムに付属しています) 右ブラスニップル(これを使っています)
付属ワッシャー リム穴周辺を強化します

ワッシャーはリムに付属していますのでそのまま使用しています。ワッシャーはリム穴周辺を強化します。ハイテンションでスポークを引っ張ってもリム穴周辺は変形しにくくなります。

前輪スポークは中央部が1.5mmの細いスポークを使っています。スポークがショックアブソーバーの働きをしてくれますので地面からの衝撃を吸収してくれます。このためロングライドに適しています。長時間のライドでも疲れにくいホイールとなります。

後輪左も同じスポークですが右側を中央部が1.8mmのスポークにして太くしています。太くすることで剛性を高めています。ほんのわずかな差ですが剛性が高まっていわゆる掛かりの良いホイールとなります。この手法はよく使われる方法です。

スポークテンションは出来るだけ均等になるように組み上げます。チェーンから伝わる力はハブから各スポークに伝わりますがこの時スポークの張りが不揃いなら伝わる力は減じます。駆動ロスが起こる原因にスポークの不揃いがあります。

前輪791g
前輪スポークテンショングラフ
後輪1052g
後輪スポークテンショングラフ

スポークテンションを揃えて駆動ロスが少ないホイールに仕上げます。

ロングライドに適した多スポークホイールはとても優秀です。輪行にも適しています。チューブレスタイヤ、バルブ、シーラントを用意すればチューブレスホイールとして使えます。お客様のご感想が楽しみです。

XR31T/RTリムを使ってホイール作製

最初はレーシングゼロの調整依頼が始まりです。最初はお客様には部品の調達が出来ないのでお断りしたのですが、再度新しいホイールの見積もり依頼をいただきました。

何故見積り依頼をいただいたかと言いますとキンリンXR31T・RTで作りましたホイールはレーゼロに負けないことをお知らせしたからだと思います。

このブログを始めたころ2019年にシクロ選手によるホイールの乗り比べをやっていただいたことがあります。レーゼロ、ユーラス、XR31T/RTのホイール、AL22で作った有名ショップの手組ホイール、ライダーさん行きつけショップの手組ホイールの5セットを緩い下り坂、3%の登り、7%の登りの場面に分けて、一定距離を一定の力(270W)で走ってタイムを計るというテストです。

この時のXR31T・RTのスポークは前後共にCX-RAYでした。結果を言いますと下り坂で一番早かったのはXR31T・RTです。登りでは剛性不足の為レーゼロに負けています。

結果から考えましたことはスポークの剛性不足だと判断しています。あとでスポークの太さを替えて剛性を高めました。成績はとても良くなりレーゼロに負けないホイールに変化しています。

お客様はこの話に乗っていただきました。提案のホイール作製プランは次の通りです。当初2種類の提案をしています。通常の丸スポーク案と扁平スポーク案で価格は少し違います。お客様は扁平スポーク案を選ばれたました。

リム XR31T・RT 前輪24H後輪28H 後輪リムはオフセットリム

ハブ ノバテック A291SB24H F482SB28H

スポーク 前後共に ウィング21 シルバー

ニップル ダブルスクエア シルバー

ホイールはとても奥が深いもので軽いだけが良いという訳ではありません。乗り手の体重、好みや走力でいろいろと選択肢が増えます。

今回のアルミリムは500gほどの重量があり軽いリムではありません。しかし力のある人は軽さでなく剛性を求めます。空力がよく剛性が高いリムを使いました。スポークはCXRAYより剛性の高いウィング21です。

出来上がりは走りでは負けない無印ホイールです。負けているのはブランド力だけで高級ホイールに乗っているという自慢はできません。しかし価格はブランドホイールの半額以下で高い性能を得ることが出来ます。

要点を整理しました。

*荷重試験で好成績のリムを使う。

*CXRAYは良いスポークですが万能スポークではありません。

*体重、乗り方でスポークの選択を行う。

*安価なハブでも摺動性は悪くない

最初はレーゼロの修理依頼から始まり、ホイールのご注文に至っています。

前輪729g
前輪スポークテンショングラフ
後輪917g
後輪スポークテンショングラフ
後輪リムは3mmオフセットリムです

バルブ、シーラントを使えばチューブレスホイールとしても使えます。ノーブランドというブランドで楽しく乗れるホイールです。ご感想が楽しみです。

カーボンホイールのスポーク2本取り替え

グループライドで仲間の後輪とご自分の前輪がハスってスポーク2本歪んだので取り換えてほしいと連絡ありました。

お客様は高速ライダーさんで普段は軽く35km巡行で淀川サイクリングロードを走っておられます。昨年お納めしました46mm高のカーボンホイールはとても調子が良いということで気に入っていただいています。

お預かり時点のホイールです 見た目ではほとんどわかりません
歪んだスポークです
見た目ではわかりませんがホイールの状態がよくわかります

スポークは見た目ほとんど歪んでいるかはわかりません。しかしスポークテンションを調べてみますと傷んでいるのがよくわかります。

リムは穴ナシリムです。先ずはスポークの取り外しからですがニップルはぽとりとリム内に落ちてしまいます。これを一つだけあいているバルブ穴からリムを振って取り出します。運が良ければすぐに出てくるときもありますが5分振り続けても出てこないときもあります。まさに運しだいですが中にあるニップルが1個、2個と少ない場合ほど出にくいです。結構時間が掛かります。

リムメーカーはスポークテンション値を指定しています。前輪の場合100~110kgfです。テンションメーター校正器を用意して110kgfはメーターの何目盛りなのかを見ておくと正確に直せます。

厳密にすることは要りませんが指定値範囲内に納めることがリムを長く使えることになります。きれいに回って振れがなくても各スポークのテンションが不揃いの場合はトラブルの元になります。テンションが凸凹状態では緩いスポークが折れやすいので出来るだけスポークテンションを揃えることが大切です。

ホイール作りの肝は「スポークテンションを揃えること」と言い切っても良いくらい大切です。これは見た目では全く分かりません。

出来上がりました。仕上がりがこの状態です。きれいに組み直しできました。