丘陵地帯でいつもライディングを楽しんでおられると伺いました。登り降りが頻繁にある地域で乗っておられる方よりご連絡いただきました。
坂の多い地域なのでダンシングで乗られることが多いそうです。お客様は身長もあり体重が110kgということでご自分の体格に合ったホイールがなかったと伺いました。
行きつけの自転車屋さんでは今販売されている完組ホイールにはお客様にピッタリのホイールはないとはっきり言われたそうです。それなら体に合うホイールを作ってあげたらいいのにと思うのですが、手組ホイールを作れない自転車屋さんのようです。最近はこのような自転車屋さんばかりです。自転車を販売するだけではどうかな?と思っていますがその方が楽なのでしょう。
お客様は仕方ないので不満ながらも最初から付属の鉄下駄ホイールで走っておられたようです。付属のホイールは一般には丈夫すぎるホイールですが残念ながら体重のあるお客様にはフィットしなかったようです。
このような環境では剛性高く作った手組ホイールしか解決方法はありません。お客様はいろいろネット検索された結果、手組ホイールファンにご連絡いただきました。
さて、お客様に提案しましたホイールは次のホイールです。
リム XR31T・RT 32H 後輪は3mmオフセットリム
ハブ 前輪シマノ HB-RS300 32H 後輪 シマノ FH-RS400 32h
スポーク 前後共に DTコンペティション 2.0/1.8/2.0mm
ニップル ダブルスクエアニップル ブラス
提案リムは31mm高24mm幅の高剛性リムです。今使っておられる鉄下駄ホイールがシマノであれば24mm高のリムと思います。
一定時間に荷重してリムがどのくらい変形するかを調べます
このリムなら荷重試験をしたことがあるので100kgの重量を駆けたときの歪のデータがあります。凹みのデータでは24mm高のリムは31mm高のリムと比べて約2倍近く歪んでいます。比べると剛性はそんなに高くありません。
ホイールの剛性はスポークの総面積に比例します。太いスポークを使えば剛性の高いホイールが出来上がるということです。
一般には鉄下駄ホイールは2mm径の丸スポークを使っています。前輪20本、後輪24本です。スポーク総面積を計算しますと138mm²です。方や、今回の提案ホイールではコンペティションですので中央部が1.8mm径です。前後の合計スポーク面積は163mm²で25mm²面積が増えます。これだけの面積増加で十分なホイール剛性を得られるのかという疑問が起こりますが心配いりません。バテッドスポークを使うと良い結果が出ます。
バテッドスポークは隣同士のスポークが協力しあって地面からの荷重に対して力を分散する働きをします。スポークがショックアブソーバーの働きをしますので荷重を分散することが出来るわけです。このスポーク理論はアメリカのNorthwestern University Matthew Ford博士の論文を読まれるとよくわかります。
ホイールは地面に触れるところは凹んでいます
提案の31mm高リムは荷重に対しての剛性がありますので地面に接する部分は凹みにくいという利点があります。また、バテッドスポークを使うことでホイールの軽量化を図りながら荷重に対して分散することで重い体重に耐えることが出来るホイールに仕上げることができます。
ホイール作製に於いて各スポークは出来るだけテンションを揃えていますのでスポークにかかる力のバラつきは少ないと考えます。これはスポーク折れなどの防止につながりますのでホイール作りには必須と考えています。
このようなプランで提案しましたホイールが次のホイールです。
前輪 896g
前輪スポークテンショングラフ 均一にスポークを張ることでフレが出にくくなります
後輪 1114g
後輪スポークテンショングラフ オフセットリムを使いますと左テンションが高くできます
前輪 896g 後輪 1114g 前後で2010g 重量はありますが剛性高いリムを使っていますので安心して使っていただけるホイールに仕上がっています。お客様のご感想が楽しみです。