ブルべ等ロングライド向けホイールのご注文

表題の通りブルべ用のホイールが欲しいとご連絡いただきました。2年後のPBP(パリ・ブレスト・パリ)出場を目標にトレーニングされています。

700cでタイヤは35cのタイヤを予定されていますので出来るだけ幅の広いリムをご希望でした。当初TNIのAL31Wを提案しましたがリム幅がもう少し広い方が良いということでフカヤのライドオアシス RGD-01(32H)で組むことになりました。

ライドオアシス RDG-01 32H  570g
前輪ハブ HB-RS470 163g  32H
ティアグラハブ FH-RS470 32H 362g

ハブはシマノハブでティアグラシリーズです。仕上げが上位グレードと違うだけで性能は変わらないということでこのハブをお勧めしました。スポークはDTのコンペティション黒(2.0/1.8/2.0mm),ニップルはSquorxProブラスです。

リム重量は約570gと結構重いリムですが重い=剛性があるということでトレードオフの関係です。力のあるライダーさんは重量よりも剛性を求めるといいます。そんな意味では使用タイヤに適した高剛性のリムを選べれたのは正解と考えます。

スポークを2mm径のストレートスポークにすればもっと剛性が上がりますがバテッドスポークは地面からの力をスポークのばね性が分散してくれますので剛性は1.8mm32本で十分です。

前輪 979g  3クロス組
後輪 1174g 3クロス組

32Hの標準的な組み方、3クロス組で仕上げました。各スポークテンションを均等にし、馴染みだしを何度も繰り返していますので振れは出にくいホイールの仕上がります。

過激なブルべに使っていただけるようです。ご感想楽しみです。

カンパ用のチューブラーホイールの作製

カンパ用のチューブラーホイールの見積もり依頼がありました。カンパ用のハブとアルミチューブラーリムは部品入手にかなりハードルが高いと思います。

手組ホイール用としてのカンパハブはなかなか手に入りませんがミケ社のハブなら32Hで手配出来ます。リムはキンリン社のTB25が剛性高く優秀ホイールに仕上がります。スポークは前輪に中央部が1.5mmのスポーク、後輪にギア側は中央部が1.8mmのスポーク、反対側に1.5mmのスポークを使う提案をいたしました。

後輪 929g カンパフリー
前輪 749g

お話いただいてから部品の手配と組み立てで約3週間かかりましたが完成しました。最近のホイールはスポークが黒色のスポークが多いのでシルバーハブにシルバースポークは目を引きます。

各スポークのテンションを出来るだけ均一になるようにして振れを最小に作り上げます。

現在アルミのチューブラーホイールは完組では販売されていません。今回のホイールは部品は既成ですがホイールとしてはすべて誂えです。いいホイールができたと思っています。

リムとハブ持ち込みでミニベロ後輪ホイールの作製

何度もご注文いただいているお客様よりリムとハブの持ち込みでホイール作製のご依頼いただきました。

アレックスリム R390 756g
DT350ハブ 32H  3クロス組

お送りいただきましたハブはDT350、リムはアレックスリムR390です。

32穴で3クロスで組みます。必要なスポークは短いので用意できるスポークは限られます。CXRAYなどのスポークでは別注扱いになります。当然入手に時間はかかります。

今回は2㎜径のストレートスポークで対応しています。小径車のホイールは通常ホイールと製作工程は変わりません。

しかし

①各スポークの間隔は狭いのでニップルレンチが使えない場合があります。

そのうえ

②完成後の馴染みだしがやりにくいという難点があります。

③テンションメーターが使えない。

しかし①②③どちらも工夫をすれば出来ることです。

スポーク長が短いからと言って馴染みだしの工程を省くことは出来ません。

結論としまして小径車はとても難しいと思います。小さいので簡単そうに見えますがそんなことはありません。ニップルを回した反応は通常の700cのような反応ではありません。微妙なニップルの回転でスポーク大きくテンションは変化します。

テンションメーターの値をグラフ化しました  均一にスポークが張られています

上記の注意点をクリアして完成しました。手前味噌ですがよくできていると思います。

今回も喜んでいただけると思います。

シュパーブハブでホイール作製

1985年くらいの古いロードバイクをお持ちの方からご連絡いただきました。

シュパーブ100/126mm28Hハブを持ち込みでクリンチャーホイールの見積もりをご依頼いただきました。使用タイヤは23cということです。ハブは新品です。約40年前に使われていたハブですが新品でしたのでびっくりしました。

前輪用 138g 28H
後輪用 218g ボスフリー 28H

リムはナローリムをご希望されました。提案リムとしてTNIのAL300かAL22ですが軽量の後者リムを選ばれました。

AL22 28H 379g 軽量です

AL22 は400gを切る軽量リムです。ナローリム全盛の時代にはよく使われていました。勿論、今でも軽量ホイールが出来ますのでよく使われています。特にクライマーの方には人気があります。

お送りいただきましたシュパーブハブは前輪100mm後輪126mmボスフリーハブです。昔のハブは後輪ギア数が少ないのでハブのセンターオフセット値は今の11速と比べて小さい値です。左右のスポークテンション比率を計算しますと左右のテンション比率は63:100の割合です。現行の11速ハブでは45:100くらいになるのハブが多いです。左右のスポークテンション比率で比べますと非常に優秀です。

後輪スポークテンション比率を左右100:100に出来るだけ近づけようとゾンダのような2:1組ホイールがあるわけで、後輪ホイールの左テンションは大切な要素になります。

少し偏った意見になりますが、古いロードは使用ギアが少ないだけで使うホイールの性能としましてはけっして最新のホイールに負けないものがあります。8速ギアのクロスバイクをチューンアップすればロードバイクに負けないものが出来ると思っています。

出来上がりました。出来るだけスポークテンションの均一化を図りました。

前輪 698g
前輪スポークテンショングラフ
後輪 790g
後輪スポークテンショングラフ
40年前のボスフリーハブ 新品です

前輪スポークは中央部1.5mmのスポークを使っています。

後輪ギア側に中央部1.8mmスポークを使い剛性を上げています。

前輪698g後輪790g前後1488gの仕上がりです。

使うタイヤを上手に選べば現行ホイールに負けないホイールが出来ます。

50mm高カーボンホイールの作製

リピータのお客様より連絡いただきました。

カーボンリムとストレイトプルハブの持ち込みでホイール作製のご注文です。
スポークとニップルはこちらで準備いたします。

50mm高リム ノバテックハブ Wing21
前輪642g
50mm高リム ノバテックハブ Wing21
後輪816g

用意しましたスポークはピラーのWing21のストレイトプルスポークとDTのSquorxProブラスニップルです。

スポークオフセットの計測が大切です

ストレイトプルスポークを使うハブではハブサイズを測るのに注意が必要です。
スポーク長を出すのにスポークオフセットの実測が大切です。
この数値がでたらめでしたらスポーク長が長すぎたり短かったりします。
しっかりと測ることです。

ハブにスポークを通しますとリムの穴位置は決まっています。
決められた穴に通してニップルを取り付けます。
仮止めでスポークテンションは緩い状態で一度組み上げます。
どのニップルも一度に締めるのではなく少しずつ均等に締め付けていくのがコツです。

馴染みだしを繰り返して仕上げます。時間尾あけて繰り返します。
スポークテンションが揃うように組み上げます。
ホイールの良し悪しはこれで決まります。

フルクラムRacing600を分解して新しいホイールの作製

使わずに置いてあったフルクラムのRacing600を組み替えて新しくシクロレース用で使いたいとご連絡いただきました。

お預かりしました後輪 きれいなホイールです
お預かり時点のスポークテンショングラフ  テンションのバラつきが大きいのは仕方ないです

お客様のプランでは新規のリムはTNIのAL22Wです。リム幅が広くなり軽量化を図れます。リム剛性も高いリムです。シルバースポークを希望されました。

お預かり時点の前輪  右側スポークはラジアル組ではなくクロス組です
お預かり時点の前輪スポークテンショングラフです  テンションのバラつきが大きいのは仕方ないです
お預かり時点の後輪  反ギア側スポークはヘッドインです。内側からスポークを通しています

ホイールは16:8の2:1組で作られています。前輪はブレーキ側16本3クロス組、反対側は8本1クロス組です。後輪はギア側16本3クロス組、反ギア側はラジアル組ヘッドインで組まれています。ヘッドインで組む理由は左右のスポーク間隔を広く組むことで横剛性を高めています。

2:1組のハブは手に入れるのが難しいです。 良いハブです。このホイールは中古では安価に出ている
前輪ハブ144g 2:1組ハブは手に入れにくいので安価に出ているホイールを見つけるのもいいと思います。

ホイールから取り出したハブを点検しました。とても良く出来ています。なかなか2:1組のハブは手に入りません。中古市場ではこのホイールは比較的安価で出ていますので出物があれば手に入れるのも良いかと思います。いいハブです。

お客様にもお知らせしましたが、カーボンリムでこの2:1組ハブを使う場合、通常の市販リムでは穴の角度が1:1組とは違いますので購入には注意が必要です。今回のアルミリムでは穴位置がオフセットなしであけられていますので普通に使えます。

組み上げましたホイールは前輪スポークには中央部が1.5mmのバテッドスポークを使っています。後輪には中央部が1.8mmのバテッドスポークで剛性を上げています。

もとのホイールでは前輪が左右1.8mmのバテッドスポーク、後輪左に2mm、後輪右に1.8mmのバテッドスポークが使われていましたのでお客様の体重から考えまして前輪スポークを細くしています。

中央部が1.5mmのスポークは軽量化には非常に有効です。最強スポークと言われていますCXRAYは1.5mm径のスポークを扁平にしたスポークですのでいわば兄弟スポークです。丸スポークではねじれを防ぎながらのテンション調整ですので扱いは難しいスポークです。性能差では空力が1Wほど勝るCXRAYですが価格は丸スポークの3倍しますので今回は丸スポークで提案しています。

TNIのAL22W 24H TB2015スポーク使用 1.5mmのスポークは軽量化に使えます
前輪スポークテンショングラフです  左右のテンション差がなく2:1組の理論が生きています
後輪16:8 857g 中央部1.8mmのバテッドスポークを使用  反ギア側はヘッドインにしています
ギア側ハブフランジが70mmと大きいのでスポークが平行に張られています このデザインが素敵です
スポークテンションを均一になるようにしています 左右のテンション差も少ない  いいハブです

出来上がりました。2:1組の特徴がよく出ました。左右のスポークテンション差はほとんどなく出来上がりました。ご感想が楽しみです。

チェコスロバキアのトラックハブでホイール作製

競輪場のスプリント系競技の練習用としてホイール作製のご依頼がありました。

ハブは持ち込みです。

前輪ハブ 195g 24H
後輪ハブ 両切り 227g 24H

たたき台の提案ですがすぐに受け入れていただきました。

リム TNI AL31W 

ハブ RAKETA RAW HUB 前後共に24H

スポーク 前輪 ウィング21 シルバー 

スポーク 後輪 コンペティション シルバー

ニップル SquorxProブラス

前輪はラジアル組、後輪は2クロスのJIS組で作製します。

ピスト愛好の方にはこのRAKETAブランドがよく知られているようです。シマノハブでは24Hは作られていません。36穴か32穴のハブしか選択肢がないのが残念です。RAKETAのRAWハブはハブシェルが太くて剛性が高いと感じます。数値的な比較情報は持ち合わせありませんが見た目からでも丈夫な印象です。

リムはTNIのAL31Wです。剛性が高い優秀リムです。とてもいい選択と思います。

スポークは前輪にピラーのWING21で作ります。丸スポークと翼型のスポークを比較しますと強度は変わりませんが空力では翼型が勝ります。僅かとはいえ競技用なら空力が勝る方を選択されるのは良いと思います。

スポークの張りは100~120kgfです。この値は経験からでた数値でこれでないといけないという訳ではありません。好みの張り具合があるのですが先ずはビルダーからの提案で作らせていただきます。

前輪 848g
後輪912g 
後輪はJIS組みです

出来上がりホイールはシルバーハブ、スポークでなかなかいい感じです。最近のホイールは黒いホイールが多いのでシルバーで仕上げますと新鮮です。お客様のご感想が楽しみです。

BoraOneのハブを使ってG3ホイールの作製

お客様よりご連絡いただきました。

カンパのbora one 35(ディスク)を所有しております。 所有しているboraのリム内幅は17mmですが23mmワイドリムにしてみたく、ハブは現物の物を流用。リム(カーボン製)とスポークは新規で手配して頂き、組む事は可能でしょうか?

前輪45mm高、後輪55mm高でG3用のリムを特注することになりました。リムメーカーにはハブの計測や図面の確認などメーカーとのやりとりを行いました。新規の図面を起こしてもらいG3リムの別注を行いますので通常より時間が掛かります。

BoraOneから取り出した後輪ハブ

届きましたリムは期待通りのリムでした。BoraOneから取り出したハブを使って組み立てます。スポーク長はハブの正確な計測から始まります。ストレイトプルスポークを使うハブではスポークオフセットがあるハブが多いので注意が必要です。

前輪 45mm高 727g 穴なしリム使用
前輪 45mm高 8:16 穴なしリム使用

スポークはギア側にサピムのRace、反ギア側にwing21を使っています。リムは穴ナシリムで注文していますのでリムの穴はバルブ穴だけです。リムテープがいらないリムです。穴がないので通常の穴有リムよりは強度が高いのは間違いありません。

後輪 879g
後輪 55mm高 8:16 穴ナシリム使用

出来上がりましたホイールの費用は高級ホイールの約1/3ですのでお客様には喜んでいただいたようです。BoraOneをもう1セットをお持ちなので追加でご注文いただきました。

46mm高ホイールを使って3位入賞されました

10月4日の記事で「前輪が乗り味に影響する」と書いています。

Hopeハブを使いました46m高のホイールを使われたお客様がレース3位入賞を果たされたことご連絡いただきました。10月19日のレース後、直ぐにお知らせいただきました。

28mm幅46mm高リムブレーキ用 前輪カーボンホイール  Hopeハブ使用18H
HopeハブRS4 18H ウィング21 ラジアル組

先日は46mmホイールの作成ありがとうございます。本日、神奈川県で開催した『川崎マリンエンデューロ』レースにて、年代別(40代)で3位入賞することができました。ありがとうございます。
今回のホイールでのレース参加初回での入賞です。最終周回まで脚を残す事が出来ました。

この結果は日頃のトレーニングの賜物です。お手伝いできましたこと喜んでいます。厚かましくブログ記事に使わせていただきました。おめでとうございます。

SHIMANO ALFINEの内装ハブでミニベロホイール作製

お客様より連絡をいただきました。

次の仕様でホイール製作をお願いすることは可能でしょうか?

前輪(リムブレーキ使用予定)
・ハブ…20H(OLD100mm)
・リム…Silverock XR-240 20インチ(451)20H


後輪(リムブレーキ使用予定)
・ハブ…シマノALFINE11 SG-S7001 ブラック 32H
・リム…Silverock XR-240 20インチ(451)32H

内装ハブは特殊ですがホイール作りではオーソドックスな組み方になります。

組み立てをお受けすることになりました。

お送りいただきました内装ハブ

お送りいただきました内装ハブは結構重量があります。32Hなので通常の3クロス組で組みます。前輪は通常の20Hハブでラジアル組です。

用意するスポークは約200mmと短いので手に入りやすい2mm径のスポークを使います。

スポークを使うホイール作製ではテンションメーターがなくても振れ取りは出来ます。しかし適切なスポークテンションで組み上げることが重要です。

ここで小径車のホイール作製では困ったことが一つあります。短いスポークではテンションメーターが使えないことです。勘に頼るしかないのですが解決策はあります。

それはスポークを弾いて出る音に頼ることです。これはビルダーさんが昔からやっていることですが一歩踏み込んでスポークが110kgf、120kgfではどんな音がするのか知ることで解決します。調律師のようにスポークの音を聞いて組み上げていきます。音を頼りにスポーク調整を行うのですが、音を使った調整はキリがありません。頃合いのところで切り上げますがホイールの精度は格段によくなります。

前輪 ラジアル組
後輪 32H 3クロス組

ホイールの振れ取りは慣れればできます。しかし振れが出にくいホイールに仕上げるには振れ取りだけでは足りません。スポークテンションの均一化です。

出来上がり後はしっかりと馴染みだしを繰り返して仕上げます。リムテープを巻きまして納品です。うまく出来ました。