チューブラーホイールの作製

現在アルミリムのチューブラーホイールは手組しか手に入りません。チューブラータイヤは取り扱いが面倒、パンクするとタイヤごと変えなければいけないので不経済という人も多いです。しかし真円のタイヤがリムに乗っかる状態で走りますのでとても乗り心地がいいです。おまけにリムが安価で手に入るので高性能ホイールがとてもリーズナブルな価格で手に入ります。使ってみるとその良さがよくわかります。そんなに頻繁にパンクするものではありません。

TNIリム CX22 32H  436g

チューブラーホイールが初めての方よりご連絡いただきましてご注文いただきました。

今手に入るチューブラーリムはTB25もしくはCX22です。アルミリムの場合選択肢があまりありません。今回はTNIのCX22を提案しています。

前輪ハブ シマノ HB-TX505  178g
後輪ハブ シマノFH-TX505  32H  386g

ハブは持ち込みされました。シマノ前輪ハブHB-TX505後輪用FH-TX505 共に32Hです。

スポークは前輪にはサピムLesr(2.0/1.5/2.0mm)、後輪左サピムLesr、右ギア側にサピムRace(2.0/1.8/2.0mm)で剛性を上げています。

お送りいただきましたハブは新品ですが手で回しますとゴリ感があります。これはこのクラスでは仕方ないことです。グリスアップを定期的に行い、ハブを使うことで次第にゴリ感は薄れます。しっかり乗ってハブを育てないといけません。

前輪 805g
後輪  1041g
チューブラーリム面 

チューブラーホイールは外周部が軽いので漕ぎ出しはとても軽く初めての方は驚かれます。お客様の評価が楽しみです。

451リム使用  ミニベロホイールの作製

昨年の9月にミニベロホイールをご注文いただきましたお客様よりご連絡いただきました。再度ミニベロホイールのご依頼です。今回はリムとハブが変わりました。前回と同じようにリムとハブをお送りいただきスポーク、ニップルをこちらで用意するという方法です。

XR270 451サイズ  324g
前輪ハブ 73g
後輪ハブ  248g

リム キンリン XR270 451用 

ハブ 前輪 Reida ハブ 74mm幅20穴

ハブ 後輪 シマノ FH-9000 28穴

スポーク 2mm径 黒

ニップル SquorxPro ブラス 黒

前輪はラジアル組、後輪は2クロス組のご指定です。

キンリン社XR270リム使用 451サイズミニベロホイール
前輪 512g  ラジアル組
前輪スポークテンショングラフ
後輪 746g 2クロス組
後輪スポークテンショングラフ

XR270リムは剛性が高いのでとても組みやすいリムでした。剛性がある、ないは組んでみるとよくわかります。柔らかいリムは振れが出やすくセンターを出すのが難しいです。良いリムを選ばれています。

スポーク調整での注意点はリム径が小さいのでニップルを回した時の反応が大きい点にあります。少しの回転でも大きく振れが出ます。700cのリムと同じ感覚でニップルを回しますとなかなかうまく調整ができません。この点に注意が必要です。緩い状態で一度作り上げて後からゆっくりスポークテンションを上げていくのがいい方法です。

小さいホイールでもスポークテンションは均一になるように調整します。フレが出にくいホイールを作るにはスポークテンションが大切です。

小径車のホイール作りは簡単そうに見えますがとても難しいというのが実感です。しかし今回もうまく作れました。お客様には喜んでいただけると思います。

スーパーチーム・ホイール改良 50mm高23mm幅カーボンホイール

勉強のためにスーパーチーム・ホイールを手に入れました。フレは無くセンターは出ているのですが購入したままでは手直しがいるホイールでした。

前輪スポーク18本 後輪右14本左7本 2:1組
前輪635g
後輪823g

スポークテンションが揃っていないので1年も乗れば振れは大きく出ます。使ってみて初めてわかることです。出来の悪いホイールに当たればテンションの偏りでスポークは折れやすい欠点が出てきます。

ホイールは見た目では全く分かりません。スポークテンションを調べて初めてわかることです。リム、ハブはしっかりしていますのでとても残念です。しかしスポーク替えやテンション調整など手直ししますと見事に蘇ります。

以下詳細です。

新品のスーパーチーム・50mm高を組み替えました。出来れば体重は70kgまでの方にお勧めです。

前輪

スポーク ピラーWing21 黒 左右18本

ニップル DT SquorxPro

スポークテンションを揃えました

後輪 

左スポーク ピラーWing21 黒 7本

右スポーク サピムRace(2.0/1.8/2.0mm)14本

ニップル DT SquorxPro

スポークテンションを揃えました

 

スーパーチーム・カーボンホイールはとても安価で気楽に使えるカーボンホイールです。しかし残念ながらロングライドに向いていません。一日輪行しますとくたくたに疲れてしまいます。理由はホイールの剛性がありすぎるからです。ホイールはどうしても安価に仕上げるために安くて2mmの太いスポークで仕上げています。これは安価なカーボンホイールの宿命でCXRAYやWing21のような高級スポークは使いません。

通常スポークがショックアブソーバーの働きをして地面からの衝撃を吸収します。しかしこの太いスポークを使うと地面からの衝撃を和らげることなくダイレクトに伝えてしまうのでロングライドに向かないわけです。これを修正するためには衝撃を吸収する細手のスポークに取り換えることで解決できます。

前輪は太いスポークからピラーのWing21に取り換えています。

後輪はギア側にサピムRace黒(2.0/1.8/2.0㎜)、反ギア側にWing21で組み替えました。

ギア側にコンペティションを使うことで少し太くし剛性を担保しています。

ホイール全体の剛性を下げることでロングライドに使えるホイールに変身しています。

使用リムは23mm幅です。残念ながらこの幅では選べるタイヤの選択肢が少なくなります。

リム幅23mm

スポーク折れ

後輪ギア側のスポークが1本折れたので修理依頼の連絡をいただきました。

ギア側スポークが1本折れています

スポークはウィング21のJベントスポークです。データを残していますのですぐにスポークを用意して取り換えました。

スポークを1本取り換えるのはすぐにできますが折れたことにより他のスポークテンションに影響しています。各スポークのテンションを調べて元に戻します。

スポークのテンション調整を行います

小一時間ほどで作業は終わりますが一日あけて各スポークの状態を再検査しています。時間をあけることで微妙に変化しているのが分かりますので再調整をしておきます。

作業代金はスポーク1本と工賃1時間分と配送の送料となりました。ハブもついでにフリーを外してグリスアップしておきました。2日かかりましたがすぐにお返しすることが出来ました。信頼していただきありがたいです。

TNI REVOハブフリーのベアリング交換

ホイールを両手で持って回してみてゴリ感を感じたらハブベアリングの点検をお勧めします。

ベアリング交換が必要と感じてもハブシェル側のベアリングには傷みがない場合もあります。フリーを外してみてホイール回転を調べる必要があります。

フリーを回してみて滑らかに回らない場合、一般にはフリーごと交換します。しかし交換用のフリーを販売していない商社もありますのでこんな場合はベアリング交換になります。

フリーの本体から取り出したベアリングとスナップリング

今回のベアリング交換はフリー内部の2個のベアリングを取り出して新しいベアリングを圧入します。

先ずフリー爪側のベアリングをポンチでたたきます。フリーの中にはスペーサーが入っていますのでこれをドライバーなどで押すと位置がずれます。フリー内部を覗いてみるとベアリングの端が見えます。この見えているベアリングの端部分をポンチでたたくと簡単に外れます。何度か繰り返すときもありますが必ず外れます。

次は反対側にある奥のベアリングを取り出します。このベアリングはスナップリングでベアリングが外れないように固定されていますので先にスナップリングプライヤーを使ってこのリングを取り外します。そして奥のベアリングをポンチでたたいて取り出せばひとまず休憩です。ベアリング取り出しの同じ作業を繰り返しますが奥のベアリングは結構難しいと思います。

取り出しましたベアリングは15267規格のベアリングでした。6902規格を使っているハブが多いのですが残念ながら使われるベアリングは統一されていません。

プレス機で圧入しています

次はベアリングの圧入です。

今までの逆の作業を行います。手組ホイールファンでは圧入にはプレス機を使っています。サイズに合ったスペーサーを使ってベアリングに負担がかからないように押し込んでいきます。先ずは奥のベアリング、次にスナップリング、最後に手前のベアリングを押し込んで終わりです。通常作業は1時間くらいで終わります。見積もりも1時間分の代金とベアリング代です。

ご自分でフリーのベアリングを新品にする場合コスパを考えますと新しいフリー購入が良いでしょう。工具は結構高価ですし、うまく出来る保証もありません。新しくフリーを買うほうが楽で安心です。しかしこのベアリング交換は興味深い作業でやる気のある方にはとても面白いと思います。出来上がりの達成感は格別です。メカニックをやっている気持ちになります。もちろん失敗しても新しくフリーを買えばいいだけです。興味のある方にはおすすめします。

追加です。

シールを外してきれいにしてみたが再利用はお勧めできません

ベアリングのシールを外してきれいにしてから再利用できないかとやってみました。やり方が悪いのかなんとなくゴリ感は残るようです。自転車用のベアリングは高価なものではないので新品ベアリングを使うほうがいいと思います。

後輪ハブのベアリング点検

TNIのREVOハブを使ったホイールの後輪ハブにゴリ感が出ているので点検依頼がありました。

フリーを外して回してみます ゴリ感なく回っていますので今回はフリーのベアリング交換を行います

先ず両手でハブを持って車輪を回してみます。ゴリゴリした感覚がありました。次にハブフリーを取り外し振れ取り台に載せて回してみました。この時車輪はすんなりとゴリ感なく回っています。回転を見ていますとハブシェル内のベアリングには問題がないようです。

フリーにはベアリングが2つ入っています。今回のゴリ感はこのフリー内部のベアリングが傷んでいるようです。後輪ハブには合計4個のベアリングが使われていますが今回の点検ではフリー側のベアリングを交換することにしました。

フリーをハブシェルから取り外します。両側のハブキャップを取り、フリーを引き抜けば簡単に取り出すことが出来ます。

フリーのメンテナンスでは一般にはフリー本体をそっくり交換します。残念ながらTNIのREVOハブでは交換用のフリーを販売していません。しかし交換用のフリーを手に入れることが出来るようになりました。REVOハブのフリーではありませんが代替品のフリーがありますので安心です。今回はベアリングの交換で対応することにしました。

スポーク交換でホイールの剛性アップ

約2年前にご注文いただきました定番ホイールの36mm高28mm幅前輪20H後輪24Hがシュータッチするようになったというご連絡をただきました。

温いと難じるようになったホイールです

最初にお納めしました時は快調に乗られていましたがブレーキ面がこすれるようになったようです。言い換えれば乗り手のパワーがついたと考えられます。日頃の練習の賜物です。

ホイールの対策案としてスポーク替えの提案をしました。

スポークを取り換えました

現状スポークはピラーのウィング21を使い後輪ドライブ側のみCX-Sprintです。新しいスポークは前輪を左右CX-Sprint、後輪ドライブ側にはコンペティション、後輪反ギア側にCX-Sprintの組み合わせです。全体としては20gほど重くなります。これだけでホイールの性能はガラッと変わります。

お客様からご感想をいただきました。他にディスクホイールもご注文いただいていましてそのホイールとの比較です。何事も比較すれば変化が分かります。しっかりと剛性が上がったのを感じていただいたようです。以下メール文です。

剛性アップ感じることができました。前のはたわんでいましたが、今回はホイールが立っている印象で特にフロントの支えが効いていて前荷重がしやすくなりました。discの方はフロント24本wing21でそれに近い印象です。

CX-Sprintx20本とウィング21x24本がほぼ同じ印象です。スポークで剛性が変わります。日頃ホイールに不満があれば先ずはスポークを交換するのはコスパが良いと思います。

前輪36mm高、後輪46mm高リムブレーキ用カーボンホイールの作製

秋に行われる鈴鹿サーキットレースに使いたいということでご連絡いただきました。

当初のご希望ホイールは手組ホイールファンでは定番のリム高46mmのリムブレーキ用のホイールです。

体重を伺いましてからホイールは前輪36mm高16穴、後輪46mm高24穴を提案しました。軽量化と剛性アップを得る方法として前輪リム、後輪リムの高さを違える手法はよく取られる方法です。しかも在庫しているリムなのですぐに納品できるホイールです。内容は次の通りです。

リム 前輪36mm高28mm幅 穴ナシリム 16穴 ブレーキ面強化

   後輪46mm高28mm幅 穴ナシリム 24穴 ブレーキ面強化

ハブ 前輪 バイテックス RAF12 16穴

   後輪 バイテックス RFR12 24穴

スポーク 前後共に DT コンペティション黒

ニップル DT SquorxPro 黒ブラス

当初は前輪16穴ということを少し心配されていました。しかしゾンダの前輪は16Hですのでゾンダと同等の剛性を得るスポーク使うことを説明しましたところご納得いただきました。

特殊加工によりブレーキ面が強化されているので釣り針のような模様が出ています

リムはブレーキ面を特殊加工で強化されていますのでブレーキがよく効くリムです。今までのお客様のご感想ではディスクに負けない効き方です。安心度が増します。前輪16穴,後輪24穴です。ホイールの剛性はスポークの太さで調整しています。

スポークテンションについては、スポークテンションが高いから剛性が上がるというものではありません。中心部に引っ張る力が大きすぎるとリムに過剰な負荷がかかりリムの変形を招きます。リムメーカーが推奨するスポークテンションは前輪100~110kgf、後輪125~135kgfです。しっかりと振れを取り、スポークテンションの均一化を図ることが大切です。テンションを揃えるにはグラフにしますとよくわかります。

前輪 スポークテンショングラフ
後輪スポークテンショングラフ

出来上がりです。

前輪 648g 
後輪 848g
リムはニップル穴がありません  リムテープは不要です

前輪648g、後輪848g、前後1496gと軽量に仕上がりました。何度も馴染みだしを繰り返して仕上げています。フレが出にくいホイールです。

前輪35mm高、後輪45mm高穴なしリムでチューブレスホイール作製

ご自分でハブとリムを手配された方からホイール作製依頼の連絡がありました。ロードバイクの製作はすべて出来るライダーさんですが、「餅は餅屋に」ということでホイールはお任せいただきました。

チューブレスリム、ハブを持ち込みされました
前輪 左右ウィング21スポーク使用
前輪スポークテンショングラフ 出来るだけ均一になるようにしています
後輪 左右ウィング21使用
後輪スポークテンショングラフ  出来るだけ均一になるようにしています

ご自分で用意されたリムとハブは次の通りです。

リム 前輪35mm高28mm幅 ディスク用チューブレスカーボンリム 

リム 後輪45mm高28mm幅 ディスク用チューブレスカーボンリム

ハブ Ryetディスクハブ 前輪24後輪24ストレートプルハブ

手組ホイールファンが用意するのはスポークとニップルです。

スポーク 前後共にピラー ウィング21黒 ストレイトプルスポーク

ニップル DT SquorxPro ブラス黒

超軽量のRyetハブは前輪左2クロス組右ラジアル組です。後輪は左右2クロス組で組んでいます。このストレートプルハブを失敗なく使うには正しい計測が大切です。勿論Jベントのスポークもハブ計測が大切ですがストレートプルの場合ハブにスポークオフセットがありますので注意が必要です。

リムにニップル穴のないホイールは通常のホイール組と違って作製難易度は上がります。加えて、縦ブレ横ブレをとってからスポークテンションの均一化です。スポークテンションを揃えると駆動効率が上がりフレが出にくくなります。高価なホイールを調べますとスポークテンションが揃っています。時間をかけて調整している証拠です。

ホイールの剛性はリムとスポークの種類で大きく変わります。今回はピラー社のウィング21スポークで組んでいます。ホイールメーカーの宣伝文に最強のスポーク、サピムCXRAYを使っていますとよく書かれています。確かにCXRAYは良いスポークですがこと剛性となりますと話が違います。最強、万能スポークではありません。今回のウィング21もよいスポークですが乗り手によってはヌルイかもしれません。スポークは乗り手の力や好みで選びます。

暫く乗り込んでいただきヌルイ感じであればスポークを太くする処方があります。オーダーメイドのホイールはご希望に沿えるのが良いところです。ご感想が楽しみです。

50mm高32mm幅波型カーボンリムでホイール作製

何度もご注文いただいていますライダーさんの紹介でお客様よりご連絡いただきました。50mm高で今評判の波型リムを使ったホイールがご希望です。ハブはこちらの提案でいいとのことです。

長年ホイールを作っていまして感じることですがホイールの良さを決めるのはリムだと思います。部品の影響力は①リム②スポーク③ハブの順番だと感じています。美的な面ではありません。

リム 50mm高32mm幅 波型リム 24穴 チューブレス用穴なし

ハブ ノバテック ディスクハブ 24/24

スポーク 前後共にピラーwing21黒

ニップル SquorxPro ブラス黒

組み方は前後共に左右2クロス組です。片側ラジアル組の組み合わせもありますが標準的な左右クロス組で提案しています。

ホイール価格の話をします。ブランドホイールの半分~1/3以下の値段になります。時給1500円x時間数の工賃が手組ホイールファンの主な利益ですのでおのずと価格的には安価なホイールとなります。しかし性能ではブランドホイールと比較しましても負けてはいません。残念ながらラベルなしのホイールですのでホイールというものに正しい理解が必要です。

今までご注文いただきましたお客様のお話ではどちらのホイールですかと尋ねられることが多いようです。このためジワリジワリと口コミでお客様からご連絡いただいています。勇気ある方々が増えていますのはありがたいことです。

前輪 683g ノバテックディスクハブ 24穴
前輪の波型リム 50mm高のチューブレス仕様
後輪812g ノバテックディスクハブ使用 24穴
無印ながら波型リムは存在感があります

とても存在感のある軽量ホイールが出来上がりました。50mm高のホイールながら前輪683g、後輪812g、合計1495gです。これなら欲しいと思います。