比べてみると違いがわかるベアリング交換

スポーク調整など点検でお預かりしましたホイールです。

フリーを外して振れ取り台にのせてハブ軸だけで回しましたらとてもきれいに回ります。ベアリングはご自分で打ち換えられました。上手にベアリングを取り付けておられました。

お預かりのカーボンホイール ハブはF482SB 24H ベアリングはNTNに取り換え済み

比較のために同じハブを使って組み立てた新品ホイールがありますのでフリーを外して回転の比較をやってみました。

XR31T 24H  F482SB 24H フリーを外して回転性能を比べました

同じハブですが使っている中のベアリングは違います。どちらも新品ベアリングです。同じくらいの力を加えて回してみました。何回も繰り返して回転の平均を取りますと明らかに回転の違いが出ています。倍くらいの違いが出ています。

お預かりホイールのベアリングはNTNのベアリングです。勿論比較に使ったデフォルトのベアリングは悪くはありません。しかしこの違いを見るとベアリングの取り換えは効果があると思います。少しの勇気があればベアリングの取り換えは出来ますのでやってみる価値はあります。

ホイール買ったらすぐにスポーク調整

お客様より次のようなご連絡をいただきました。

中華ホイールを入手したのですが以前のブログを拝見してスポークテンションの調整をお願いしたくご連絡しました。ブルベ、ロングライドを主な用途にします。今年、初めて400キロのブルベに参加予定で最後まで脚が残るように硬すぎないホイールを希望します。
スポークの種類等は良く分からないのでスポーク変更等の提案があれば併せてよろしくお願いいたします。

こちらからはデータ取りに1時間、ホイールの作業に2時間かかりますので3時間分のご請求です。送料は往復分かかりますのでご理解いただけるのでしたらお送りくださいとお知らせいたしました。

安価な中華カーボンホイールを手に入れられてもスポーク調整が悪ければ使っている間にスポーク折れなどのトラブルに巻き込まれることがあります。

前輪 584g
後輪 669g
お預かり時点の前輪スポークテンショングラフ  ハイテンションで仕上げています
お預かり時点の後輪スポークテンション  ハイテンション過ぎてグラフにできません

お送りいただきましたホイールはとても高いテンションで組まれていました。馴染みだしを4回行いスポークの調整を行いました。タイヤをインストールしましたら15%ほどのテンションダウンが起こりますので少しのハイテンションなら低すぎるよりいいと思います。高めのスポークテンションですが均一に揃っていますのでトラブルは少ないでしょう。

調整後の前輪スポークテンショングラフ
調整後の後輪スポークテンショングラフ

最近の中華カーボンホイールはとても良く出来ていますが仕上がりにはあたり外れがあります。しかし事前に調整しておけば安心です。リスクを取り除いておくのが一番です。客様はいいアイデアを考えられました。

クリスキングハブには専用ツールが必要

クリスキングハブについて続けて書いています。クリスキングハブを触っていると独特の作りを実感します。メンテナンスには専用道具が必要です。

ハブメンテに使う専用ツール

高価なハブですのでこのハブを使う方ならショップに任される方が多いと思います。とても少ないと思いますが自分で何もかも行う方もおられると思います。そんな人は専用ツールも準備が必要です。残念ながら専用ツールがなければメンテはできません。

このハブツールはメカニックの仕事を感じさせてくれる何か特別感があります。使うときはたまにあるのですがいつもクリスキングのすごさを感じています。

クリスキングハブ使用ミニベロホイールの分解

451サイズのミニベロカーボンホイールの作製依頼がありました。今使っておられるアルミホイールを分解してクリスキングハブを使うという段取りです。

矢印のアダプターを取り外す  

ホイールはディスク仕様で前輪ハブにはディスクアダプターを使われています。この特殊なアダプターが使われているホイールを分解するのですがなかなか手強いハブでした。

ハブとディスクアダプター

クリスキングのホームページではいろいろな取り扱い方法の情報を提供しています。以下ディスクブレーキのアダプターを解説しています。

このアダプターはハブに3mmネジで3カ所固定します。取扱説明ではねじを外せば簡単に取り外しが出来るように書かれています。

しかし実際この作業を行いましても簡単には外れませんでした。がっちりと固着しています。

タイヤレバーが折れてしまった

ハブを傷つけないようにプラ系のタイヤレバーでこじるのですが微動だにしません。タイヤレバーの先が折れてしまいました。 クリスキングの取扱説明書には固着した場合の救済策は書いていません。ではどうすればいいのか?

オイルとヒートガンで解決

今回はオイルとヒートガンです。オイルをひと吹きしてしばらく置いてからヒートガンで温めた後タイヤレバーでこじるとポロっと取れました。固着したらオイルとヒートガンで試してみる。ヒートガンはとても便利な道具です。

XR31T・RT20/24Hの定番ホイールのご感想

昨年の11月にご注文いただきましたホイールです。当ブログでは定番ホイールと呼んでいますXR31T/RTで組みましたホイールのインプレをお送りいただきました。

XR31T 20H wing21使用
後輪901g XR31RT 24H 右スポーク TB2018 左スポークwing21

ご感想はわかりやすく乗られる場面ごとに印象を述べていただいています。当ブログでは11月30日に記事にしています。どんなホイールかはこの記事を読んでいただきますとよくわかります。

印象記を記事に使わせていただくことは了解得ています。以下ご感想です。

2ヶ月ほど乗ってみての感想です。完成車に付いていたAlex Rimsのホイール(前後で2000g)との比較です。約400gの軽量化です。

平坦

走り出すと滑らかで特に巡航からの加速時に伸びを感じます。乗り心地も良くなりました。リム内幅が17mmから19mmに広がったこともあってか、石畳の道で足を削られる感じが少なくなりました。滑らかな路面も気持ちよく走れます。リムハイトは24mmから31mmになりましたが、進む感じがあります。

31mmですが、風の強い日には今まで感じなかった横風を感じます。

Stravaで通勤の速度とタイムを記録しています。風力と風向きも記録しています。通勤の速度はわずかに上昇トレンドです。

ペダリングが少し上手くなっただけなのかも知れません。でも冬は荷物も重く風も強い日が多いので、やはりホイールのおかげで楽に走れるようになっている気もします。

あとホイールを替えてから、より重いギアを使ったり、よくダンシングをするようになりました。

上り

十三峠を一度だけ登ることができました。

距離 4.1Km 獲得標高 374m 平均斜度 9.2% 最高斜度 13.5%)

今まではインナーローを使わなければ登れませんでしたが、組んでいただいたホイールではインナーローを使わず1枚重いギアで登り切ることができました。

タイムは15秒くらい縮まりました。

下り

ゆるい傾斜の下り(直線)で重いギアを踏んだときにものすごく進む感じがあり、足があれば進むホイールなんだろうなと感じました。

その他

AlexRimsがとてもよく回るホイールだったので、最初の頃ノバテックのフリーボティーのラチェットが少し渋いと感じていましたが、乗っているうちに馴染んできたような気もします。

4ヶ月に一度くらいの頻度でメンテナンスをしたほうがいいと書いておられたと記憶していますが、フリーのグリスアップ時にベルハンマーのグリスNo.2を試してみようと思っています。

あとスポークがクロス部分している箇所を見て、スポークって結構曲がるんだと驚きました。

剛性の高いホイールなので、ビンディングシューズにも興味が出てきました。今は時間的余裕がありませんが、今後試したいと思っています。

ご注文の際お見積りは2案出しました。通常の丸スポークと扁平スポークを使用した見積りです。お客様はどうせならいい方をということで選んでいただきました。丸と扁平の差は数ワットです。一般には安価な方を選べれる方が多いのですがいい方を選んでいただきました。

36穴ハブ24穴リムでピスト用前輪を作製

今ピストバイクを組んでおられる方よりこのようなメールをいただきました。

現在ロードピストバイクを作っております。手組フロントホイールを検討しておりまして手持ちのハブでお願いできないかと思いメールさせて頂きました。
手持ちのハブはスズエの36Hハブなのですが、24Hリムで組む事は可能でしょうか?リムはまだ未定です。

XR31T 24穴 485g

キンリン社のXR31T24穴リムを提案しましたらお客様も同じリムを考えておられました。31mm高24mm幅で非常に剛性が高いリムです。空力の援護も受けることが出来るおすすめのリムです。

スズエ PROMAX 36穴トラックハブ

ハブをお送りいただきました。リム、スポークは手組ホイールファンでご用意してお作りいたします。

今回のホイールは36穴ハブに24穴リムという変則組です。24穴ハブを使った場合左右フランジには穴が12開いています。使うハブは18穴です。

スポカルクで計算しています

細かい説明は省きますがスポーク長計算ソフトSPOCALKに2.17クロスで計算しますとスポーク長が出ます。スポーク長はソフトが計算してくれるので数値を入れるだけです。

得られた数値からスポークの伸びなどを考えてスポークの長さを決定します。慣れた人には簡単なことですが通常のホイール作りよりは難易度が高いかもしれません。

使用するスポークはサピムのRaceにしています。剛性が高くLaserほど取り扱いは難しくありません。ショックアブソーバーの働きもしてくれる優秀スポークです。ニップルはSquorxProで組んでいます。ニップルの後ろから力を加えることが出来ますのでとても扱いやすいです。勿論通常の12mmニップルで十分使えますが、締め増しには後ろから締めるほうが勝手いいと思います。

縦ブレを取ってから横ブレにかかります。緩めで縦横の振れを取り、もう一度締め増しして縦横の振れを取るという手順で何回かに分けてますとうまく仕上がります。ただ、振れが取れてもスポークテンションはそろっていません。テンションが揃うように最終仕上げを行うことが必要です。

36穴ハブ、24穴リム使用
2.17クロス組
18穴の内、6穴を飛ばして組んでいます
出来るだけスポークテンションを揃えています

文章で書きますと簡単な作業ですがこれが出来ない自転車屋さんが多いのも事実で結構難しいと思います。

リムテープを巻いて出来上がりです。うまく出来ました。

タイヤ優先で作ったチューブラーホイール

ホイールの良さを決める要素としてはいろいろありますが一番にタイヤ、2番にリム、3番にスポークが重要と考えています。ハブは意外と後ろのほうです。

ワイドリム使用32Hチューブラーホイール  細いスポークで乗り心地はとても良い

タイヤですがプロライダーはチューブラーを選ぶ人が多いようです。チューブラータイヤは対パンク性、ローリング、グリップなど乗り心地を決める性能が優秀なのが理由です。

ヴェロフレックス プロツアー28mm
1本321g

今回選んだタイヤはヴェロフレックスのプロツアー28mmです。

CX22  この赤いシールは剝がしています

リムはTNIのアルミリム、CX22を使いました。ワイドリムで手に入るアルミチューブラーリムはこのリムしかないと思います。チューブラーには根強いファンがいますので長く販売していただきたいものです。

シマノ RS470 前輪ハブ 163g
シマノ RS470 後輪ハブ 360g

ハブは安心のシマノハブです。ティアグラハブを使っています。カップアンドコーンで十分な回転性能です。外観はシンプルで高級感はありませんがよく回ります。ハブの回転性能にクラス分けすることは出来ません。このハブはとてもコスパが良いと思います。

スポークは中央部が1.5㎜の丸スポーク、DTのレボリューション黒で組みました。このスポークを叩いて扁平にしたスポークが高級スポークエアロライトです。価格は3倍違います。

丸スポークと扁平スポークではほんのわずかな空力差はあることはありますが、これには目をつぶり価格優先で採用しています。

チューブラータイヤの扱いは難しいと思う人が多いようです。これは自転車屋さんが面倒くさがるのが原因という話を聞いたことがあります。クリンチャーなら簡単に処理できるのでお客さんに勧めるめるのはクリンチャーばかりということです。そうかもしれません。本当はいいと思っていても本音とビジネスは違うということで残念です。

チューブラータイヤはタイヤの構造上リム打ちパンクがありません。釘のようなものが刺さってパンクするだけです。今の道路事情を考えますと道がきれいですのであまりパンクするということはありません。仮にパンクしても空気はクリンチャーのように一気に空気が抜けるということはありません。ゆっくり空気が抜けるので安全度は高いです。パンクしたときはタイヤをはがして新しいタイヤを貼りつけます。作業はそんなに長い時間かかるものではありません。

タイヤを決めてから作ったホイールです 乗り心地は最高です 直ぐに慣れてしまうのが残念です

出来上がりのホイールはリム剛性が高く外周部が軽いので登りにも強いです。細いスポークを使っていますのでショックアブソーバーの働きをしてくれます。地面からの振動を和らげてくれるのでロングライドでも疲れにくいホイールに仕上がります。

ホイールの価格ですが、タイヤとホイールがほぼ同額です。ホイール本体は意外と安価に仕上がります。良いタイヤで作るチューブラーホイールは良いことずくめです。タイヤ2本でライディングが変わるというのは言い過ぎかもしれませんが初めての方なら驚かれるのは間違いありません。