Surlyハブでピストホイールの作製

Surlyの32Hハブを使ってシングルスピード用のホイールをご依頼いただきました。

リム、スポークは手組ホイールファンでご用意いたします。

後輪 Surly ハブ32h TB2015 XR31T 32H
後輪 スポークTB2015 3クロス組 JIS
前輪 Surly ハブ 32H XR31T 32H 
前輪 Surly ハブ 32H 3クロス組 イタリアン

ホイールの詳細は次の通りです。

リム キンリンのXR31T 32H

ハブ Surly 32H 持ち込み

スポーク TB2015 2.2/1.5/2.0mm

ニップル SquorxPro シルバー ブラス

シマノハブ以外ほとんどのハブは実測しています。今回のSurly ハブも実測しました。

ホームページで発表されているデータは正確なものもありますが、当然いい加減なものもあります。失敗しないようにハブデータは実際に測ったほうがいいと思います。少しの手間です。

スポークの組み方は前後共に3クロスです。前輪は通常のイタリアン、後輪はJIS組で組みます。

使用スポークは1.5㎜と細いのでねじれ易いです。スポークをシッカリとプライヤなどで押さえて組むことが必要です。ねじれ防止用にパークツールでは専用の道具を販売しています。スポークを傷つけないようにするには良いかと思います。

ホイール作りに白帯、黒帯とクラス分けすることは変ですが、1.5mmのバテッドスポークをねじれなく使えたら黒帯ビルダーと思っています。

スポークテンションはピストの場合左右テンションが同じです。このためテンションは100~110kgfで仕上げています。

ギアが多段数の後輪の場合、左側は右ギア側の半分くらいのテンションになります。これはハブの構造上仕方ないことです。このため左が緩くならないように出来るだけ右側のテンションを上げて仕上げます。具体的には120~130kgfです。

テンションを上げすぎてもリムの強度が下がりますのでハイテンションがいいわけではありません。注意が必要です。

音を聞き分けてスポーク調整

テンションメーターを使ってホイール作製を行っています。メーターは校正器を使って出来るだけ正確にテンション値を測っています。パークツールのTM-1は相対値を測るにはいい道具ですが絶対値を出して精度の高いホイール作りには向いていないと思います。

スポークテンションですが一般にはハイテンションが良いと思われがちです。しかしあまりのハイテンションで調整しますとリムの強度が下がります。各スポークが中央に引っ張る力の度合いが高過ぎるのはリムによくありません。カーボンリムでしたら注意書きが張られていますが通常120~130kgfまででおさめるように指示されています。

スポークテンションを出来るだけ均一になるように調整しています  デルの古いパソコンを専用にしています
ホイール作りの最終段階ではギターピックを使って音で調整が楽です

ホイールは何度も繰り返してスポークテンションを調整しますが、最終の調整ではほとんどスポークの張りに変化がありません。この段階になりますとテンションメーターをあてるのが面倒になりますの音で聞き分けています。

ギターピックではじき、音が揃っているとほぼ同じスポークテンションということが分かります。

音の違うところだけスポークを調整すればいいのでとても簡単です。

しかしこの音で調整を最初から行うとなりますと大変です。出来る人もおれらるかもしれませんがこれは厄介と思っています。

テンションメーターとギターピックの併用で調整していますが時短で効率良くホイールを組み上げるにはお勧めです。

DTリムRR521,ティアグラハブでホイール作製

リム、ハブをお送りいただきスポークは手組ホイールファンで提案ということでお作りします。

部品の詳細は次の通りです。

リム DT RR521 

DT RR521 DB 532g

ハブ シマノ ティアグラハブ RS470セット

シマノ RS470ハブ 32H

スポーク 前輪 ブレーキ側 DTコンペティション黒(2.0/1.8/2.0mm)

     前輪 反ブレーキ側 DTレボリューション黒(2.0/1.5/2.0mm)

スポーク 後輪 ギア側 DTコンペティション黒(2.0/1.8/2.0mm)

     後輪 反ギア側 DTレボリューション黒(2.0/1.5/2.0mm)

ニップル 前後共にDT SquorxPro ブラス 黒

ニップルワッシャー DTリム付属のワッシャーを使用

組み方はシマノ方式で組みます。シマノホームページで組み方を図で解説しています。

シマノホームページより  前輪 逆イタリアン  後輪 JIS
リムに付属のアルミニップルSquorxPro

ニップルはリムの付属品としてDT SquorxPro アルミニップルがついていますが今回のホイールには使いません。別にブラスニップルを希望されていますので黒のSquorxProを使用します。

リムに付属のニップルワッシャー  今回はブラスニップルに使います

スポークはDT製品で組み上げています。軽量化にはバテッドスポークが有効です。剛性アップのために前輪ブレーキ側、後輪ギア側には中央部が1.8mmのコンペティションを使っています。

各スポークは出来るだけスポークの張りを揃えて組み上げています。こうすることで長く使っても振れが出にくい仕上がりとなります。スポークテンションが揃うことで前に進む駆動力が各スポークに均一に加わりますので効率よく力が伝わります。

前輪888g
前輪スポークテンショングラフ
後輪1085g
後輪スポークテンショングラフ

組み方の出来栄えは見た目では分かりません。きれいに振れ取りが出来ていれば全く分かりません。スポークテンションと振れ取りは別物です。ペダルを踏み込んだ時に違いがわかります。これがホイールを難しくしているところかもしれません。

馴染みだしを何度も行っています。振れが出にくいホイールに仕上がりました。お客様には喜んでいただけると思います。