シルバーのダイナモホイールをご注文いただきました

22年8月に作らせていただきましたホイールですが落車でリムが傷みました。見てほしいとお送りいただきました。リムが曲がってしまいリムを回転させますとプラスマイナス10mm以上の歪です。ゆらゆらと回転する状態でした。

真上から見るとリムが歪んでいるのがよくわかります これは直せません

これではスポークを引っ張って直すこともできないので正直に直せませんとお知らせいたしました。

リムは台湾のH+SON社のリムでAT25の36穴です。残念ながら今国内のセラーさんでは32穴しか手に入らないことをお知らせしました。

ホイールはとても気に入っておられたようで、最終的には新しく32穴リム、ハブを用意してお作りすることになりました。

新しく前輪を32穴で作り直しています 

余った36穴のダイナモハブは新しくキンリン社の36穴リムを用意してもう一つダイナモホイールを作るというご注文をいただきました。

先ずはH+SONのAT25リムを使ったシルバーホイールです。32Hリムで新しく作り直しています。

スポークはピラーのTB2015(2.2/1.5/2.0mm)トリプルバテッドスポークを使います。ニップルはダブルスクエアニップルです。細いスポークはねじれ易いので扱いは難しいですが乗り心地はとてもいいです。多スポークで作りますととても疲れにくいホイールに仕上がります。

36Hリムから32Hリムに作り直しです

組んでみるとよくわかるのですがリムの剛性はとても高いので縦ブレが取りやすいリムです。リムジョイントが溶接ですので安価なリムではありませんが剛性が高いのでとてもよく走ります。お勧めリムです。

リムの仕上げは鏡面仕上げなのでピカピカです。シルバーホイールはクラシック感がたっぷりですが今回のホイールにはモダンなイメージがあります。クロモリのフレームに取り付けますとクラシック自転車ではありますが新しい感覚がたっぷりの自転車に変身します。

ダイナモホイールは手組ホイールファンでも使っています。ロングライドに、通勤に使えば電池を気にしなくてもよいのでこのホイールの便利さがよくわかります。700cのダイナモホイールは実用ホイールとしてお勧めです。

ビンテージホイールのスポーク修正依頼

ビンテージホイールの前輪を調整してほしいとご連絡いただきました。このホイールの後輪はすでにスポークを替えて修理したことがあります。1970年代に作られたホイールです。

ビンテージホイールの調整です

リムはマビックのGL330、スポークはSマークがあるバテッドスポーク、ハブはDuraハブです。

スポークのSマークはイタリアのSacchetti製です

スポークメーカーが分からなかったので調べたところイタリアのSacchettiというメーカーでした。

約50年前のDuraハブ

ハブはシマノのDuraハブです。品番はわかりませんがシマノのDuraAceの刻印があります。とても滑らかに回ります。約50年経過していますが現役で使えます。本当に素晴らしいと思います。リムはきれいな状態です。大切に保管されていたようです。

スポークテンションは驚くばかりのゆるゆる状態でした。テンションメーターも使われていないと思います。スポークを握って強く張って振れがなければヨシとしたのかもしれません。

非常にスポークテンションが緩い状態です

先ずはホイールの状態を調べました。グラフにしますとよくわかります。スポークテンションはとても緩いのでどの程度ニップルを回せばよいのかグラフからわかります。

ニップルは3.4mmのレンチを使いました。ニップルレンチは沢山持っていますが場面に応じて使い分けるようにしています。通常は3.2mm用と3.4mm用の2種類あればいいのですがスポークの状態でニップルレンチを使い分けると作業がし易いです。ニップルレンチはそれぞれ特徴があります。早く回したい時や、1/4回転。1/8回転、と細かく調整するときに適したレンチがあります。大工さんが沢山道具を使い分けているような感覚です。これは経験で見つけるしかないようです。

ニップルを回していきますとスポークも一緒に共回りしますのでこれを防ぎながらスポークテンションを上げていきます。特に丸スポークの場合ニップルと一緒にスポークも回りますのでねじれが生じますので扱いが難しいです。その点扁平スポークはスポークホルダーを使えばいいので扱いが楽です。

サピムのホームページで細いLaserスポークの説明にこのように書かれています。

 You may have to use pliers to hold the spoke to prevent the spokes from winding up. Only experienced wheel builders should mount up wheels with this spoke.

スポークのねじれを防ぎながらテンションを上げる方法が述べられています。

スポークテンションを出来るだけ均一になるように調整し、振れを最小になるように調整しました。

出来るだけスポークテンションを揃えています

リムのセンターを出すのも大切です。しかしリムセンターを真ん中になるように調整することは必要ですが無理にセンターを出す必要はないと考えています。勿論センターはきっちり出すほうが良いのはその通りです。しかしスポークテンションの均一化を崩してまでセンターを出さなくても良いと思います。無理やりセンターを出すとスポークの張り方の違いから使っている間に狂いが生じやすいからです。ブレーキ側で調整すればいいと思います。

馴染みだしを何度も行いその都度スポークを調整して完成です。ゆるゆるスポークの状態からピンと張ったホイールに仕上がりました。約50年前のホイールが蘇りました。