チューブラーリム、Bitexハブを使って2:1組ホイールの作製

前回記事の続きです。ロバ―ルハブとフルクラムリムの組み合わせで2:1組のホイールはうまく作ることが出来ませんでした。ハブ軸の歪が原因です。

Rovalハブはハブ軸不良のためホイール作りは出来ません

フルクラムのチューブラーリムが残りますのでBitexの2:1組ハブを使って作り直すことを提案しましたところ了解を得ました。

Bitexハブ 7:14 2:1組ハブ

ハブは写真の通りです。ストレイトプルスポークを使ったギア側14本、非ギア側7本の2:1組ハブを使います。スポークはwing21のストレイトプルスポークです。ハブのサイズデータは発表されていませんので正確な実寸計測が必要です。

リムはインターナルニップル使用、ハブはストレイトプルスポークを使います。この二つが条件です。正確な寸法が分かると計算式に入力すれば適正スポーク長は出ます。

後輪チューブラーホイール 762g

インターナルニップルを回すにはスポークが一緒に回らないように固定しながら回すことが肝心です。補助道具が必要ですので難しいホイール作りだと思います。難易度が高いので作り上げた満足感は大きいです。

ロバ―ルハブとフルクラムリムの組み合わせでホイールを作る

前回の記事にはこの逆の組み合わせを説明しています。ホイールはうまく完成しました。次はロバ―ルハブとフルクラムリムの組み合わせで2:1組のホイールを作ります。

結論から言いますとこの組み合わせは上手くいきませんでした。

ロバ―ルハブ 2:1組用
フルクラムリム

フルクラムリムはチューブラーリムで、穴はインターナルニップルを使う仕様です。見た目は簡単そうに見えますが結構難しい組み替えです。ERDの決定には特に注意が必要と思います。

仮組したホイールを回すとハブ軸が振れ取り台から浮き上がりました

スポーク長を出して仮組をしました。振れ取り台に載せたホイールを回してみますと何故かきれいに回りません。仮組が終わったホイールはきれいに回るものですが回してみるとハブが振れ取り台から浮き上がりました。こんなことは初めてのことで何がどうなっているのか分からない状態です。

ハブをじっくり観察しまして原因が分かりました。ハブ軸が歪んでいたのが原因です。ほんの少しですが軸が歪んでいてきれいに回らなかったわけです。

軸が歪んでいるときれいに回らないということは当たり前のことですがホイールをお預かりした時点では分かりませんでした。理由は分かりませんが何かが傷んでいたようです。

スーパーチームのホイールを分解してリムを取りだしました

ハブ軸が歪んでいると分かったのはきれいに仕上がっているスーパーチームのホイールからリムを取り外してロバ―ルハブに組んでみて初めて分かりました。フルクラムリムにはひずみがないと調べました。取り外したスーパーチームのリムもきれいに回っていましたのでひずみがありません。これでやっと原因はロバ―ルハブにあると分かりました。

ハブ軸が歪んでいるとホイールは組めません。遠回りしましたがロバ―ルハブにフルクラムリムの組み合わせは出来ないことが分かりました。ハブ軸が僅かに歪んでいる、こんなことは初めての経験で理由を見つけることに時間が掛かりました。ハブ単体を手回しで回して回っていても微妙な歪は分からないときがあります。

一度はスーパーチームリム、Rovalハブで仮組したホイールを分解しました。しかし再度確認の為組み立ててみました。振れ取り台にセットして回してみましたところ、同じような回り方でハブ軸が振れ取り台から乗り上げる感じになります。残念ですがホイールはばらしました。  

ホイール作りは難しいです。

フルクラム後輪とRoval後輪の組み替え依頼

フルクラム レーシングクアトロLG後輪ホイールとRoval RapideCLX50後輪ホイールのハブとリムを組み替えるご依頼です。

お預かりの後輪ホイール 右RapideCLX50  左フルクラム レーシングクアトロLG どちらも21本 2:1組

レーシングクアトロはチューブラーホイール、Rovalホイールはクリンチャーホイールです。どちらも50mm高リムでスポークは右14本左7本の2:1組です。各スポークの位相はあっていますので組み替えは可能です。

今回のご依頼は

①Rovalのリムとフルクラムのハブを組み合わせる

フルクラム レーシングクアトロLG チューブラーリム使用 取り外したタイヤです
Roval RapideCLX50 784g 後輪 ギア側スポークにはソルダリングが施されています

②フルクラムのチューブラーリムとRovalハブを組み合わせる

この2つを行いますが難易度は高いと思います。

フルクラムハブの計測です

フルクラム レーシングクアトロの分解は難しい仕事でした。あまり使われていないきれいなホイールでしたがこれが影響してかハブの分解には苦労しました。使われていない部品が固着していましたのでなかなか部品が外れません。しかしいろいろ資料を調べて分解することが出来ました。

ホイールの分解できればハブを計測して、スポーク長を出して再度組み立てです。スポークはドライブ側にはサピムCX-SPRINT、反対側にはWin21を使いました。

簡単な説明を書きましたが実際は難しい仕事です。

Rovalリムにフルクラムハブの組み合わせ 
Rovalリムにフルクラムハブの組み合わせ

写真のようにロバ―ルリムとフルクラムハブの組み合わせはうまく出来ました。良く出来ています。オリジナルホイールです。

RapideCLX50のスポークにはソルダリングされていましたので切り取るしかありません 勿体ないことです

分解前のロバ―ルホイールにはサピムのCXRAYが使われていました。スポークにはソルダリングが施されていました。このように針金でくくられているスポークは分解しても再利用が出来ません。切ってしまうしかありません。1本600円ほどのスポークを切ってしまうのですから勿体ないと思います。このソルダリングにはどんな効果があるのかいつも考えてしまします。因みに手組ホイールファンではソルダリングは行いません。

次はロバールハブとフルクラム チューブラーリムの組み合わせです。詳細は次回にします。

65mm高32mm幅波型リム使用カーボンホイールの作製

お客様はFTP300あるハイアマチュアの選手です。新しくビルダーさんにディスク仕様のクロモリフレームを注文されていて、この際ホイールも新しいホイールにするということでご注文いただきました。力のあるライダーさんはホイールの軽さも大切ですが先ずは剛性を優先されています。

前輪774g 

後輪885g  65mm高でこの重量に驚きます

今回選ばれたリムは65mm高のリムです。じゃじゃ馬ホイールを手なずけるには技術と力が必要です。乗り手と相性がうまくあうと驚くばかりの力が出ると想像しています。

黒一色のホイールは力強い
リムにはシールがありません 迫力を感じます

リムメーカーもこの65mmサイズになりますと24穴リムしか作っていません。スポークが短くなるので剛性は十分担保出来ると判断しているのか28穴リムは作っていません。

凄い迫力です 乗りこなすにはパワーも必要です

お客様は既に46mm高の定番ホイールで走っておられます。46mm高には慣れておられます。

ホイールの役割はリムが7割、スポーク、ハブで3割と考えています。今回のご注文には手組ホイールファンとしましても大いに期待しています。ご感想が楽しみです。

46mm高28mm幅チューブレスカーボンホイールの作製

定番ホイールになっています46mm高28mm幅のリムを使ってご注文いただきました。今回のリムはグロッシータイプのつやアリリムです。柄がありますので今までの無地の定番ホイールとは少し印象が違います。

リム重量 427g グロッシータイプ
穴なしリム  穴はバルブ穴のみです

リムは穴なしリムですのでチューブレス仕様となります。勿論クリンチャーホイールとして使っていただけます。

ハブは必要十分なTNIのREVOハブを使います。スポークはwing21の黒です。

wing21はサピムのCXRAYと比べて少し剛性が高いスポークです。CXRAYはホイールメーカーの宣伝文には最強スポークと書かれていることが多いのでCXRAYは最強スポークと信じている方が多いのも事実です。CXRAYは優秀スポークですが最強ではありません。もともと1.5mmの細いスポークを扁平にしていますので剛性は高くないスポークです。

ホイールの前後を最強のサピムCXRAYで作っていますという宣伝文句にのって買ったホイールが今一つ踏み込んでも伸びないと不満が出るのもCXRAYが剛性の低いスポークであるからです。

今回のwing21はCXRAYと比べて少し剛性が高いスポークです。このため24本では適正の時が多いのです。しかし32本の多スポークになりますと剛性がありすぎると感じることもあります。

ホイールの剛性はリムとスポークで決まります。ホイールはスポーク数と使うスポークを考えながら組み上げることが肝心です。

前輪708g
後輪823g
カッコイイホイールです これなら欲しいです

組み上がったホイールを写真でお客様にご確認いただきました。カッコイイホイールですねと連絡しました。気にいっていただいたようです。ホイールは組み上がっても2、3日時間をいただいています。スポーク調整には時間をあけて行うことが大切です。

いいホイールが出来上がりました。これなら欲しいです。

比べてみると違いがわかるベアリング交換

スポーク調整など点検でお預かりしましたホイールです。

フリーを外して振れ取り台にのせてハブ軸だけで回しましたらとてもきれいに回ります。ベアリングはご自分で打ち換えられました。上手にベアリングを取り付けておられました。

お預かりのカーボンホイール ハブはF482SB 24H ベアリングはNTNに取り換え済み

比較のために同じハブを使って組み立てた新品ホイールがありますのでフリーを外して回転の比較をやってみました。

XR31T 24H  F482SB 24H フリーを外して回転性能を比べました

同じハブですが使っている中のベアリングは違います。どちらも新品ベアリングです。同じくらいの力を加えて回してみました。何回も繰り返して回転の平均を取りますと明らかに回転の違いが出ています。倍くらいの違いが出ています。

お預かりホイールのベアリングはNTNのベアリングです。勿論比較に使ったデフォルトのベアリングは悪くはありません。しかしこの違いを見るとベアリングの取り換えは効果があると思います。少しの勇気があればベアリングの取り換えは出来ますのでやってみる価値はあります。

ホイール買ったらすぐにスポーク調整

お客様より次のようなご連絡をいただきました。

中華ホイールを入手したのですが以前のブログを拝見してスポークテンションの調整をお願いしたくご連絡しました。ブルベ、ロングライドを主な用途にします。今年、初めて400キロのブルベに参加予定で最後まで脚が残るように硬すぎないホイールを希望します。
スポークの種類等は良く分からないのでスポーク変更等の提案があれば併せてよろしくお願いいたします。

こちらからはデータ取りに1時間、ホイールの作業に2時間かかりますので3時間分のご請求です。送料は往復分かかりますのでご理解いただけるのでしたらお送りくださいとお知らせいたしました。

安価な中華カーボンホイールを手に入れられてもスポーク調整が悪ければ使っている間にスポーク折れなどのトラブルに巻き込まれることがあります。

前輪 584g
後輪 669g
お預かり時点の前輪スポークテンショングラフ  ハイテンションで仕上げています
お預かり時点の後輪スポークテンション  ハイテンション過ぎてグラフにできません

お送りいただきましたホイールはとても高いテンションで組まれていました。馴染みだしを4回行いスポークの調整を行いました。タイヤをインストールしましたら15%ほどのテンションダウンが起こりますので少しのハイテンションなら低すぎるよりいいと思います。高めのスポークテンションですが均一に揃っていますのでトラブルは少ないでしょう。

調整後の前輪スポークテンショングラフ
調整後の後輪スポークテンショングラフ

最近の中華カーボンホイールはとても良く出来ていますが仕上がりにはあたり外れがあります。しかし事前に調整しておけば安心です。リスクを取り除いておくのが一番です。客様はいいアイデアを考えられました。

クリスキングハブには専用ツールが必要

クリスキングハブについて続けて書いています。クリスキングハブを触っていると独特の作りを実感します。メンテナンスには専用道具が必要です。

ハブメンテに使う専用ツール

高価なハブですのでこのハブを使う方ならショップに任される方が多いと思います。とても少ないと思いますが自分で何もかも行う方もおられると思います。そんな人は専用ツールも準備が必要です。残念ながら専用ツールがなければメンテはできません。

このハブツールはメカニックの仕事を感じさせてくれる何か特別感があります。使うときはたまにあるのですがいつもクリスキングのすごさを感じています。

クリスキングハブ使用ミニベロホイールの分解

451サイズのミニベロカーボンホイールの作製依頼がありました。今使っておられるアルミホイールを分解してクリスキングハブを使うという段取りです。

矢印のアダプターを取り外す  

ホイールはディスク仕様で前輪ハブにはディスクアダプターを使われています。この特殊なアダプターが使われているホイールを分解するのですがなかなか手強いハブでした。

ハブとディスクアダプター

クリスキングのホームページではいろいろな取り扱い方法の情報を提供しています。以下ディスクブレーキのアダプターを解説しています。

このアダプターはハブに3mmネジで3カ所固定します。取扱説明ではねじを外せば簡単に取り外しが出来るように書かれています。

しかし実際この作業を行いましても簡単には外れませんでした。がっちりと固着しています。

タイヤレバーが折れてしまった

ハブを傷つけないようにプラ系のタイヤレバーでこじるのですが微動だにしません。タイヤレバーの先が折れてしまいました。 クリスキングの取扱説明書には固着した場合の救済策は書いていません。ではどうすればいいのか?

オイルとヒートガンで解決

今回はオイルとヒートガンです。オイルをひと吹きしてしばらく置いてからヒートガンで温めた後タイヤレバーでこじるとポロっと取れました。固着したらオイルとヒートガンで試してみる。ヒートガンはとても便利な道具です。

XR31T・RT20/24Hの定番ホイールのご感想

昨年の11月にご注文いただきましたホイールです。当ブログでは定番ホイールと呼んでいますXR31T/RTで組みましたホイールのインプレをお送りいただきました。

XR31T 20H wing21使用
後輪901g XR31RT 24H 右スポーク TB2018 左スポークwing21

ご感想はわかりやすく乗られる場面ごとに印象を述べていただいています。当ブログでは11月30日に記事にしています。どんなホイールかはこの記事を読んでいただきますとよくわかります。

印象記を記事に使わせていただくことは了解得ています。以下ご感想です。

2ヶ月ほど乗ってみての感想です。完成車に付いていたAlex Rimsのホイール(前後で2000g)との比較です。約400gの軽量化です。

平坦

走り出すと滑らかで特に巡航からの加速時に伸びを感じます。乗り心地も良くなりました。リム内幅が17mmから19mmに広がったこともあってか、石畳の道で足を削られる感じが少なくなりました。滑らかな路面も気持ちよく走れます。リムハイトは24mmから31mmになりましたが、進む感じがあります。

31mmですが、風の強い日には今まで感じなかった横風を感じます。

Stravaで通勤の速度とタイムを記録しています。風力と風向きも記録しています。通勤の速度はわずかに上昇トレンドです。

ペダリングが少し上手くなっただけなのかも知れません。でも冬は荷物も重く風も強い日が多いので、やはりホイールのおかげで楽に走れるようになっている気もします。

あとホイールを替えてから、より重いギアを使ったり、よくダンシングをするようになりました。

上り

十三峠を一度だけ登ることができました。

距離 4.1Km 獲得標高 374m 平均斜度 9.2% 最高斜度 13.5%)

今まではインナーローを使わなければ登れませんでしたが、組んでいただいたホイールではインナーローを使わず1枚重いギアで登り切ることができました。

タイムは15秒くらい縮まりました。

下り

ゆるい傾斜の下り(直線)で重いギアを踏んだときにものすごく進む感じがあり、足があれば進むホイールなんだろうなと感じました。

その他

AlexRimsがとてもよく回るホイールだったので、最初の頃ノバテックのフリーボティーのラチェットが少し渋いと感じていましたが、乗っているうちに馴染んできたような気もします。

4ヶ月に一度くらいの頻度でメンテナンスをしたほうがいいと書いておられたと記憶していますが、フリーのグリスアップ時にベルハンマーのグリスNo.2を試してみようと思っています。

あとスポークがクロス部分している箇所を見て、スポークって結構曲がるんだと驚きました。

剛性の高いホイールなので、ビンディングシューズにも興味が出てきました。今は時間的余裕がありませんが、今後試したいと思っています。

ご注文の際お見積りは2案出しました。通常の丸スポークと扁平スポークを使用した見積りです。お客様はどうせならいい方をということで選んでいただきました。丸と扁平の差は数ワットです。一般には安価な方を選べれる方が多いのですがいい方を選んでいただきました。